河川局においては、21世紀における水を中心とした社会システムについて検討するため、都市・地域整備局下水道部との連携のもと、「21世紀の社会システム、国土管理のあり方に関する研究会(座長:丹保憲仁放送大学学長)」を平成14年7月に設立した。本研究会においては関係省庁・地方公共団体・関係機関の出席のもと計10回にわたり熱心な議論を重ね、平成16年8月に「変革と水の21世紀への提言」として取りまとめて頂き、8月4日河川局長に提言された。
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1.研究会の目的
20世紀のわが国は、大量生産・大量消費を中心に構成される社会を築き、物質的豊かさを生み出したが、反面大量の廃棄物を排出させ、水環境や生態系に大きな影響を及ぼすなど、社会や国土の様々な面における問題が生じている。また、21世紀を迎え、わが国は人口の減少が確実となり、経済においても20世紀のような成長が考えられない中で、世界的な水資源を始めとする資源の制約や地球規模の環境問題の増大など21世紀社会を脅かす現象が見え始めている。
こうした状況下で、日本社会が持続的に活力を持ちつづけるためには、消費を中心とした社会システムから再利用・循環利用・廃棄物利用を重点とした社会システムへ変更し、限られたエネルギー、物質のなかで国民の生活と満足度を維持していくことが重要である。
このような変革する時代において、太陽エネルギーによって駆動し、地球上の物質輸送とエネルギー・熱輸送を担うことで自然循環の根幹をなす「水」に着目して、今後100年間の我が国の進むべき道筋を示す意義は大きいと考える。
そこで、従来の社会システムに起因する様々な問題点を明らかにしたうえで、わが国が持続的に活力を維持しうる水に関連した社会システムのあり方を提言し、水を中心にすえた自然循環を重視する社会への転換の必要性を広く国民に示すことにより、水分野が21世紀における新たな循環型社会システム・国土管理へのフロントランナーとなることを目標とした。
また、急激な経済発展が予想され、降雨特性等もわが国と類似性を持つ東南アジア各国への社会システム提案にも資することも考慮した。
2.提言の概要
本提言では、20世紀を回想し現状を概観するとともに、21世紀社会を脅かす現象を示し、これからの社会システムと国土管理のあり方を水に着目して示している。
21世紀の社会システムを変革していくためには、地球の受容能力を超えて過剰な熱と物質を放出してきた大量消費型社会から化石エネルギーなどの非再生エネルギーをあまりつかわない太陽エネルギーによる自然循環を重視する社会を志向していくことが重要であるとの認識のもと、以下のような提言とともに、水から見た社会システムの転換の必要性とその有効性を提示した。
【大量消費型社会から自然循環を重視する社会への円滑な転換】
従来の量的な尺度だけでなく質的な尺度を持った社会システムを設計すること
【水との関わり合いの転換】
自然循環を重視する社会においては、水が社会システム全体に関わる範囲が大きくなり、水の利用システムを質的なものに転換していくこと、また、そのためには地域との関わり合いをより深め、水文化の再構築をしていくこと
【人と自然との関わりの転換】
今よりももっと人と自然とが調和していくように、20世紀までの人間の一方的な自然利用、自然征服の思想を転換していくために、人と自然との関係を多面的に把握し、新しい国土空間設計を目指していくこと
【健全な水・物質循環輸送システムを目指した流域圏管理】
上記を進める有効な施策として健全な水・物質輸送システムを目指した流域圏管理が重要であること
【水に着目した国際社会への貢献】
わが国の経験を踏まえて、水に着目した国際社会へ貢献していくこと
3.今後の予定
河川局においては、広範な分野の委員からなる研究会から頂いた提言であることから、短期的に取り組んでいく課題については各種施策に積極的に生かしていく予定であり、長期的に取り組むべき課題についてはさらに研究を重ねていきたいと考えている。
提言については、当課で配布致します。
・別紙1−「21世紀の社会システム、国土管理のあり方に関する研究会」委員名簿 (PDFファイル 78.8KB)
・別紙2−提言目次 (PDFファイル 63.3KB)
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問い合わせ先 |
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国土交通省 河川局河川環境課 |
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| 流域治水室長 | 河瀬 芳邦 | (内線:35461) |
| 課長補佐 | 宮藤 秀之 | (内線:35452) |
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| 代表電話 | 03-5253-8111 |
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| 夜間直通 | 03-5253-8447 |
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