標記につきましては、河川法第16条第3項に基づき、国土交通大臣から社会資本整備審議会会長へ意見を求め、同審議会から河川分科会に付託されました。その後、社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において審議を行ったのち、平成19年4月19日に開催した社会資本整備審議会河川分科会の審議を経て平成19年5月11日付けで、河川整備基本方針を策定し、同日付で官報に公表されることとなりました。
記
<球磨川水系河川整備基本方針策定までの経緯
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球磨川水系の河川整備基本方針の策定にあたっては、河川法第16条第3項に基づき、国土交通大臣から社会資本整備審議会会長へ意見を求め、同審議会から河川分科会に付託されました。
具体的な審議については、専門的内容について河川分科会の下に設けられた河川整備基本方針検討小委員会において、平成18年4月13日から平成19年3月23日の間に11回の審議が行われました。その後、平成19年4月19日に開催した社会資本整備審議会河川分科会において小委員会での論点の報告を受けて審議が行われ、球磨川水系の河川整備基本方針(案)が了承されました。
これらの経緯を経て、平成19年5月11日付けで、球磨川水系河川整備基本方針を策定し、同日付で官報に公表されることとなりました。
<球磨川水系河川整備基本方針の概要
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平成9年に河川法が改正され、豊かでうるおいのある質の高い国民生活や良好な環境を求める国民のニーズに的確に応えるため、制度を見直し、それまでの工事実施基本計画に代え、新たに、河川整備の基本となるべき方針に関する事項『河川整備基本方針』と具体的な河川整備に関する事項『河川整備計画』に区分されました。
河川整備基本方針は、各水系における治水、利水、環境等に関する河川管理の長期的な方針を、総合的に定めるものであり、河川整備の基本となるべき事項等を定めます。
今回策定した球磨川水系について、地形、降雨、環境等の特性を踏まえた治水・利水・環境に関する整備の方向性を示しています。また、治水計画の基本となるべき事項として、目標とする洪水の流量である基本高水のピーク流量(計画の基本となる洪水の流量)を最新の水文データ等も加えて検討し、計画を策定しました。
【河川整備基本方針・河川整備計画について】
・https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/index.html
【社会資本整備審議会河川分科会について】
・https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/bunkakai/index.html
今回策定する球磨川水系の河川整備基本方針の主な内容は次のとおりです。
●球磨(くま)川水系(流域面積1,880km2、幹川流路延長115km)
(流域及び河川の概要) |
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球磨(くま)川は、その源を熊本県球磨(くま)郡銚子笠(ちょうしがさ)(標高1,489m)に発し、免田(めんだ)川、小(こさで)川、川辺(かわべ)川、山田(やまだ)川、万江(まえ)川等を合わせつつ人吉(ひとよし)・球磨(くま)盆地をほぼ西に向かって貫流し、さらに流向を北に転じながら山間の狭窄部を流下し、八代(やつしろ)平野に出て、前(まえ)川、南(みなみ)川を分派して不知火(しらぬい)海(八代(やつしろ)海)に注ぐ一級河川である。 |
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流域内には、下流部に熊本県第二の都市である八代(やつしろ)市が、上流部に球磨地方の主要都市である人吉(ひとよし)市があり、球磨川の河川水を利用して肥沃な穀倉地帯が形成されていることや舟下りが地域観光のシンボルとなっていることなど、古くから人々の生活、文化と結びつきを持っており、さらに、尺アユと呼ばれる大型のアユをはじめとする多様な生物を育む豊かな自然環境に恵まれている。 |
(河川の総合的な保全と利用に関する基本方針) |
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沿川地域を洪水から防御するため、堤防の新設、拡築及び河道掘削により河積を増大させる。 |
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河道掘削等の河積の確保にあたっては、河道の維持、多様な動植物の生息・生育する良好な河川環境、河川景観等の保全、舟下り等の河川利用に配慮する。 |
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下流部の深掘れが著しい区間については、堤防の安定性確保のための対策を実施し、連続堤の整備による治水対策が困難な中流部の山間狭窄部においては、住民との合意形成を図るとともに、関係機関と連携・調整を図りつつ、適切な役割分担のもと、輪中堤等により効率的に洪水被害の軽減を図る。 |
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人吉市街部区間においては、薄い砂礫層の下に軟岩層(人吉(ひとよし)層)が分布しており、河川環境の保全や河川管理施設等への影響の観点から、軟岩層を極力露出させないよう配慮する。 |
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流域内の洪水調節施設により洪水調節を行う。その際、関係機関と調整しながら、既存施設の有効活用を図るとともに洪水調節施設を整備し、計画規模の洪水を安全に流下させる。洪水調節施設の整備・運用にあたっては、施設周辺及び下流の河川環境および土砂動態等へ、できる限り不可逆的な影響を与えないように努める。 |
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河川環境の整備と保全に関しては、これまでの地域の人々と球磨川との関わりを考慮しつつ、球磨川の清らかな流れと豊かな自然が織りなす良好な河川景観の保全を図るとともに、貴重種を含む多様な動植物が生息・生育する豊かな自然環境を健全な水・物質循環系の構築とともに保全及び整備し、次世代に引き継ぐように努める。 |
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アユをはじめとする魚類の生息に配慮し、瀬・淵が交互に出現する現状の河床形態については、治水面との調和を図りつつ可能な限り保全に努めるとともに、堰・発電ダム等の横断工作物が多数設置されていること等により、魚類等の移動が阻害されていることを踏まえ、関係機関との連携・調整の下、魚道等の改良や整備により縦横断的な連続性の確保に努める。 |
(基本高水のピーク流量及び計画高水流量) |
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基本高水のピーク流量は、基準地点人吉において7,000m3/s、横石において9,900 m3/sとし、河道と洪水調節施設への配分についても人吉において4,000m3/sと3,000m3/s、横石において7,800m3/sと2,100m3/sとした。 |
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