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河川局

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記者発表


流量の変動による河川環境の回復への建設省における取り組み
  1. 取り組みの目的

     川らしい河川環境は、低水から高水を通じた河川流量の変動により形成されるが、我が国においては洪水調節や水資源開発、発電等を目的として建設されたダム等により、流量の減少、流況の平滑化が生じている。

     その結果、川らしい景観が失われるとともに、河川に生息する生物の多様性が損なわれるなど影響を生じ、沿川住民等から清流やせせらぎを求める声が高まっており、河川が本来持っている役割や機能を回復するために、河川の流量の変動を回復させることが求められている。

     このため、河川流量の変動と生態系などについて調査、研究を進めるとともに、モデル河川を指定し具体的な清流回復の取り組みを行うこととしている。

  2. 取り組みの基本方針
     1)
    調査研究の推進

     河川の流況を改善するには、水資源開発施設の建設や運用の変更など新たな投資を伴う場合もあるため、流況と河川環境の関わりを解明し、その効果等をあらかじめ検証しておく必要がある。

     そのため、河川の流量の変動と河川の物理的環境(河道の状況、瀬・淵の分布等)との関係や、そこに生息する動植物との関わりについて把握し、河川の流量の変動が川らしい河川環境の形成に果たす役割を明らかにするための調査研究を行う。

     1
    モデル河川における調査研究
    (1)
    名張川水系

     淀川支川木津川の上流にあたる三重県の名張川には水資源開発公団により青蓮寺ダムが約30年前に建設されている。また、その近傍では、同じく水資源開発公団により比奈知ダムが建設されており昨年秋期より、試験湛水中である。その両ダムの下流部の河川環境を比較することにより河川の流量の変動と生態系等との関わりについて調査し、河川の流量の変動を検証するとともに今後の対応のあり方について検討するものである。

    (2)
    利根川、荒川水系

     利根川支川神流川には下久保ダムが約25年前に建設されている。また、荒川には二瀬ダムや浦山ダムが完成しているが、ダムによる影響はさほど顕著には現れていない。この両河川の現況を比較することにより河川の流量の変動と生態系との関わりについて調査し、ダムによる影響を検討するとともに今後の河川環境のあり方について検討するものである。

     2
    自然共生研究センターにおける調査研究

     木曽川の三派川地区に現在整備中の世界最大の野外実験河川であるが、本年秋に完成し本格的な調査研究に着手することとしている。そこでは延長800mの人工水路において水量のコントロールにより流量の変動を発生させ河川流況がどのように変化していくのか調査研究することとしている。

     2)
    モデル河川、モデルダムにおける河川環境の回復の推進

     川らしい流況を回復するため、発電ダムにおいては昭和63年度から発電ガイドラインに基づき維持流量の確保に努めてきたが、さらに平成9年度から以下の取り組みを行っている。

    (1)
    ダムの弾力的運用による河川環境の改善
    • ダムの弾力的運用により、渇水時の流量の確保や清流回復を行っている。
    • 今年度は、大川ダムを対象として、弾力的運用による試験放流を実施し物理的環境と生物の関わりについて調査しその効果のモニタリングを行うこととしている。
    (2)
    清流回復のための関係省庁連絡会議
    • 河川(水)環境に関連する省庁が連携し、ダム・堰等の周辺地域を中心として、清流回復などに関する情報交換、今後各省庁が連携して取り組むべき施策の検討を行うこととしている。
    • 現在、ダム・堰等の下流の河川環境の実態調査を実施中であり、地元の要望を踏まえて課題を調整し、実現可能なものから各省庁連携による対応の具体化を図る予定である。
  3. 施策の効果

     河川流量の大規模な年変動を生起させることにより、本来の川らしいより自然な状態の河川環境に近づくことが可能となる。



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