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河川局

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記者発表


    8.まとめ

     平成10年度の実態調査は、一級河川を対象に全国規模で実施した初めての調査であり、これまでほとんどデータのなかった水環境における内分泌攪乱化学物質の実態を把握する上で、貴重なデータが得られた。

     河川及び下水道における前期(7〜8月)、後期(11〜12月)2回の調査を通じて、主に以下のような点が明らかとなった。

    (1)
    河川における調査
    • 水質調査

       今回調査対象とした化学物質のうち、特にノニルフェノール、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ビスフェノールAについて前期・後期ともに3〜6割程度の調査地点で検出されるなど、最高でも数μg/lという低い濃度ではあるが、内分泌攪乱化学物質の疑いのある化学物質がわが国の河川水中に広く存在していることが確認された。また、人畜由来の女性ホルモンである17β−エストラジオールについても、7割を超えるの調査地点で検出され、同様に広く存在していることが確認された。

    • 底質調査

       水質調査と比較して調査地点数は少ないものの、水質調査と同様の物質について高い検出率となっており、これらの化学物質が底質中にも同様に存在していることが確認された。特にノニルフェノールとフタル酸ジ−2−エチルヘキシルについては、一部の地点で比較的高濃度の値がみられた。

    • 魚類調査

       調査時期の問題もあって、各調査地点ごとの実態の把握に十分な個体数のデータではなく、また、ビテロゲニンの濃度にも年間を通じた変化や個体差があるものと考えられ、1回の調査による1個体のデータがその河川の平均的な状況を示しているわけではない点にも留意する必要はあるが、今回の調査結果から、コイのビテロゲニン濃度について、これまでにない貴重な全国的なデータが得られた。また、調査した雄のコイの一部(約1/4)は体内でビテロゲニンを生成していることが確認された。ただし、雄のコイが体内でビテロゲニンを生成する要因としては、同じ場所に生息する雌のコイが排出する女性ホルモン、餌等により摂取する植物性のホルモン様物質、河川水中の人畜由来の女性ホルモンや内分泌攪乱化学物質など様々な要因が考えられ、今回の結果がどのような要因によりもたらされたものかは判断できない。

    (2)
    下水道における調査

     下水処理施設への流入下水からは、検出濃度の差はあるものの調査対象とした化学物質の多くが検出されたが、放流水での検出濃度は大幅に低減しており、下水処理場による一定の削減効果が確認された。また、放流水での検出濃度は、河川水での検出濃度と比較して、必ずしも高いレベルではないことが確認された。

     以上のように、今年度の調査により、水環境における内分泌攪乱化学物質の実態に関する初めての測定結果が得られたところであるが、水質については2回、底質及び魚類については1回だけの調査であり、十分な実態把握がなされたとはいえない。このため、今年度の調査結果を十分に踏まえて、来年度以降も実態把握のための調査を継続するとともに、確認された化学物質がどのような経路で河川、下水道に流入しているかを把握するための調査を、環境庁等とも連携の上、実施していくこととしている。

     また、精度管理等の調査手法については、今年度の前期、後期の調査を通じて、種々の改善すべき点が見いだされたところであり、これらを踏まえて来年度以降の調査の充実を図ることとしている。特に、分析等の精度管理には、細心の注意を払って今年度の調査を実施したところであるが、さらに精度の向上を図り、調査データの信頼性を高めていくこととしている。


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