ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 過去情報

河川局

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会 -日本文学に見る河川-

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会
-日本文学に見る河川-
第一回議事録

平 成12年8 月24日(木)
14:00〜16:00

場所:中央省庁合同会議所

4.懇談
○委員長
  短い時間の中でお話頂きまして、どうもありがとうございました。清元、端唄、小唄、そういうところまで研究なさったというのは大変ですね。墨田区あたりで何か隅田川に関するものをまとめてもいいですね。
○久保田委員
  ご存知な方が多いと思いますが、「都市の川、隅田川を語る」というものを隅田川市民交流実行委員会という市民運動がまとめています。
○委員
  墨田区に緑図書館というのがあります。そこで良く集めています。あの界隈の方が、よく来られていたと聞いております。緑図書館の館長さんが大変熱心な人で長くやっています。
○委員
  日本中の河川に関するまず土木関係の報告書から調査書からそういうものをまず集めて、それから徐々にこういう文学とか美術を集める。広めてくれと前から(建設省へ)お願いしているところです。
 
○委員
  私は近代ばかりで、隅田川が出てくる小説とか、隅田川が描かれている映画とかも、随分私なりに調べたところがあります。今の芳賀先生のお話のように私も前から東京都にお願いして、隅田川を舞台にした映画をちゃんと買い取って、ビデオライブラリーをつくってくれと言い続けています。
○委員
  絵だけ集めてもまた大変でしょう。北斎の『隅田川両岸一覧』。それから広重だってあります。そういうものを一度集めて見て展覧会をやってみる、2日間ぐらい映画と清元と絵と詩の朗読とあるような。朝から晩まで隅田川漬け。
 
○委員
  映画で思い出しましたが、九州のドキュメンタリーの映画作家がつい最近、『筑後川』という映画をつくり、東京では9月2日だったかな、紀伊国屋ホールで上映されます。川をドキュメンタリー映画の対象にするというのは、近年多くなっています。『柳川掘割物語』といいまして、柳川が昭和30年代にすごく汚くなったときに、市のお役人の方が中心になってきれいにしたドキュメンタリーがあります。それから『阿賀に生きる』という阿賀川染めの人たちの姿を描いたドキュメンタリーも3年ほど前につくらています。今度は筑後川。川はドキュメンタリー作家の心をわき立てるものがあります。
 
○委員
  また古いところから、絵はがきから集めたりしたら、おもしろいでしょう。これはほとんど博物館をつくらなきゃいけない。
○委員
  川の博物館というのはおかしくないです。前、江戸博でやった近代の東京の版画展のときは、先ほど今橋委員が挙げた川瀬巴水とか小林清親とか、ほかたくさんの方のもので、それは大体隅田川です。それから荒川もありました。
○委員  
  さっきの藤牧義夫、それから長谷川利行も随分描いていますね、油絵で。それから鏑木清方もあります。
 
○委員
  藤牧のが今から25年くらい前ですけれども、国土庁がやっている水の日という最初のイベントで、ぼろぼろになって捨てられていた美術から引っ張り出して裏打ちをして、それで展示ができるようになりました。要するに建設省関係がやった行事から生まれました。だけど持ってないというのは寂しいと思いました。
 
  非常に精密な線描の写生です。あれは全部原寸サイズでコピーでもいいですね。線描だからぴしっと出る。それから絵図です。これもたくさんある。絵まで買うと予算は3億ぐらいはかかるんでしょうか。これは大変なことを建設省はやり始めたと思います。江戸東京博物館を使えばいいでしょう。展覧会は、隅田川から始めますから江戸東京博物館が喜ぶでしょう。あそこは版画や何かをたくさん持っているわけだから。
○委員
  この前、たまたまパリに行きましたが、そのようなことをセーヌ川で、パリの市役所でやっていましたね。まあ大したものではなかったですけれども。それから図書館にも文献が、市庁舎の一番上にある図書館にずらっとありますね。セーヌ川に限らず、あらゆる文献、全部そろっています。
 
○委員
  建設省管轄下、あるいは各自治体管轄下、建設省と地方自治体との合同でやることになるのか。何かこの研究会の最後にはそういうことをはっきりと書いて残したいものです。資料だけではなくて、映像から文学から絵画から集めて。これは大仕事です。先ほどの白百合の女子学生にもお願いして年表つくって頂く。
 
○委員
  現代文学は、とてもこの年になると追っかけられない。現に、どんどんできつつあります。
○委員
  川は確かに推理小説なんかに非常に使いやすいでしょうし、殺人事件にはもってこいだし。河川敷って、何かいかにも、ただ通っても人が殺されそうな感じがすします。
 以上のようなことで時間になりましたので事務局にお返しします。

5.河川局長あいさつ
○河川局長
  大変おそくなって申しわけありません。大変楽しいこの会議に最初から参加できなかったことは残念に思っております。
 私ども河川行政の役割は、主に治水、洪水から人々を守ること、人々の飲み水、生活のための水を供給すること、そして河川環境を保全することです。それを一くくりに言いますと、日本の文明のインフラを担当していると言えます。インフラストラクチャーというのは日本語で言いますと「下部構造」です。私どもはいわゆる人間における「下半身」の整備を担当しているわけです。
 最近その「下半身」が「上半身」の方から非難を受けております。肥大化している、「下半身」が「上半身」のことを忘れて勝手な方向に向いている、その面のミスマッチが起きていることを指摘されているように思います。
 戦後、ぼろぼろになったときは、「下半身」が弱かったために、「下半身」を強化し、豊かな社会を目指すことはだれも異存がなかったわけです。しかし、ここまで豊かになってくると、ちょっと待て、インフラだけがそんなに独走していいのか、上部構造のメタフィジカルな部分が何を考えているのか、どういう考えを持っているのかを知って「下半身」が動いているのか、というところに来ていると個人的に感じております。
 私ども、全く上部構造の文学とか芸術とかの部分には疎いわけです。今、隅田川の最後のお話を少し聞いて、九鬼先生が『「いき」の構造』をそういう世界の中で書いたというのは大変楽しい話です。例えば、さきほど紹介された歌を隅田川の横に、看板に書いておく。有名な『「いき」の構造』という哲学をつくった大学者がこんな粋な歌を、色っぽい歌を書いていることを読んで、10人のうち1人の高校生が『「いき」の構造』を読むことがあれば、我々河川行政が上部構造との接点を少しずつ見つけられていくようにう思います。座長をお願いしている芳賀先生は、私ども河川局は何にもわかっていないことを良くわかっていらっしゃる先生なので、安心してこの懇談会を任しております。変な話ですけれども、この懇談会のアウトプットを何かを河川局として何も考えておりません。河川行政として今日のお話を聞き、少しつまみ食いをさせていただく。つまり、よりよい上部構造のためのインフラを考えていく材料にしていきたいと思います。ですから、アウトプットは、私ども、自分がわからないから見えないわけです。そういう意味で芳賀先生に一任いたして、この会をスタートしております。これから先生方のご指導を賜わりたいと考えております。
6.閉会
 

目次に戻る


Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111