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河川局

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会 -日本文学に見る河川-

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会
-日本文学に見る河川-
第十回議事録

平成17年2月28日(月)

5.「歴史・文化のかわづくり」について
 
○芳賀委員長
   それでこの後は、さっき事務方からお話がありました「歴史・文化のかわづくり」について、ちょっとここでご相談するということがあるので、じゃあ、事務局のほうからちょっと、時間足りなくなってきましたけど、ご説明お願いします。
○事務局
   クリップどめにしております資料−2でご説明をさせていただきます。
 本懇談会でございますが、文学・芸術などを題材といたしまして、日本人がどのような思いを抱きながら川と接してきたのか、川と日本文化や風土との関わりはどうであったかなどを探り、歴史と風土の観点から見た望ましい川とは何かを考察することを目的に、議論をしてきていただきました。
 これまで9回にわたって懇談を行ってまいりまして、特に平成15年5月には報告書を取りまとめ、今後の川づくりのための調査・計画に当たってのよすがを示していただいております。
 この報告書をはじめ、本懇談会の活動につきましては実際に現地で活用されるように、国土交通省や都道府県の河川の担当者に広く伝えておるところでございます。
 また、お手元の一番後ろのほうにつけております、「歴史・文化に根ざした郷土の川づくりのための調査の手引き書」というのは、これはまだ実際に河川の担当者のほうに配布はいたしておりませんが、これから配布をしようということで考えているものでございまして、歴史と文化を生かしたまちづくりのための調査方法、そのデータの整理の方法、活用の考え方などをまとめたものでございまして、こういったものを実際の現場のほうに配布をして進めてまいりたいと思っているところでございます。
 資料−2に戻りまして、こうした中、国土交通省といたしましては、成熟社会を目指す我が国において、都市や地域における貴重な水辺空間を歴史・文化の香りあるものにすることが重要と認識しておりまして、歴史・文化を今後の国土形成、河川管理の底流にしていきたいと考えてございます。
 そのため、昨年度いただいた報告書の内容を生かし、具体的に歴史・文化の香り高い国土を形成していくために、どのような視点からどのような方策や工夫を行っていけばよいのかということにつきまして、本懇談会におきまして提言をいただきたいと考えてございます。
 例えばということで、視点として考えられることといたしまして、川に関する歴史・文化を知ってもらうには、いかにすればよいか。歴史・文化が身近に感じられる水辺空間づくりは、いかにあるべきか。歴史・文化の香りが将来にわたって育まれるような雰囲気を醸成するには、いかにすればよいかなを考えておりまして、どういったことにつきまして具体的に方策や工夫を行っていけばよいのかということについて、お伺いしたいと考えてございます。
 次のページでございますけれども、今回、ご提言をお願いしたいということでお諮りをいたしまして、ことしの春、具体的な内容を提案させていただきまして、夏前までに提言を取りまとめるというような形で進めさせていただきたいと思っております。
○芳賀委員長
   そうすると、そこまできてこの懇談会というのは終わり。
○事務局
   いえ。そうではございません。
○芳賀委員長
   あ、そうですか。まだ。(笑)
○事務局
   また、外国文学と川との関係ということで、また。
○芳賀委員長
   ガンジス川もあるし。(笑)
○事務局
   諸外国の川との比較において、我が国をもう1度考えてみるということにつきましては、引き続き取り組ませていただきたいと思っております。
 次のページでございますけれども、例えばということで、今後の川づくりにつきまして考えられることということで、イメージしていただけることができるようなものということでペーパーをつくってございます。
 左のほうに基本的な視点ということで、先ほど申しました3つの視点が書いてございます。知ってもらうということにつきましては、歴史・文化の関わりがある川のほとりの歴史的建造物や句碑、治水施設、文学や歴史的事件、地域の伝承、伝統行事などの存在をさらに知ってもらう。よく知られてないものについても、さらに掘り起こし、より豊かな情報としてお知らせしていく。
 それから水辺空間づくりにつきましては、地域の歴史・風土を反映した川の姿や文学・芸術の背景となった景観などを考えたトータルデザインされた川づくりを行っていく。歴史や文化に関する素材をつなぎ、歩きながら楽しく学ぶことができるよう動線を確保するとともに、余暇活動・学習活動の場を提供する。
 それから、将来にわたっての雰囲気の醸成ということにつきましては、水辺空間や、川と人との関わりを大切にする。あるいは、歴史・文化のかわづくりの取り組みが将来に引き継がれ、後世から見ても良好なものとなるよう、人々の活動の場や必要な情報の整備・提供を行い、歴史・文化の橋渡しの担い手となる人の育成やネットワークづくりを手助けしていくというようなことを例示として今、考えてございますけれども、こういったことにつきまして、具体的に各先生の方からご意見、ご提言をいただきたいと思っております。
 右側のほうでございますが、実現するためにとりあえず考えられる方策としまして、川に関する歴史・文化の再発見でございますとか、歴史・文化の案内役の充実など知ってもらうための工夫ですとか、川の博物館などの有機的連携と充実、それから歴史・文化がトータルデザインされた水辺空間づくりなどを考えてございます。
 イメージをしていただくために、さらに次の4ページ目以降でございますけれども、歴史・文化の雰囲気をうまく生かしながら散策路を整備したり、あるいは伝統行事も復活させるなどの取り組みを行っております。栃木県栃木市の巴波川の絵など……。
○芳賀委員長
   巴波川(うずまがわ)?
○事務局
   はい。
○芳賀委員長
   珍しい名前。
○事務局
   江戸時代に日光東照宮の物資輸送のためのいろいろな集散地としまして蔵が多く建てられまして、そういった歴史的景観を生かしたまちづくりが行われているような例でございます。
 それから次のページでございますが、松江市の松江城の周りのお堀でございますが、堀川でございます。昔、城下を守るということに加えまして、物資の輸送とか生活用水などにつきまして古くから生活に結びついてきた堀川でございますが、水質が悪くなってきたということで、水質浄化事業によりまして堀を甦らせる。
○芳賀委員長
   この浄化作用も国土交通省ですか。
○事務局
   ちょっと工夫がありまして。普通は中に水を川へはく、洪水のときに水に浸からないようにはくんですけど、逆流できるように、日ごろ使ってないときに大きい川の水をここへぐるっと回しまして。グルグルと回してやると堀の水がみんなきれいになって、そうすると船とか船の周りの石垣から何から、全部周りの家並みもみんなきれいになっていってるんですね。そういうのを実験的にやって、結構うまくいったという例です。
○芳賀委員長
   うまくいったんですね。前は汚かったですね。
○事務局
   ええ。
○芳賀委員長
   船に乗って回るなんていう感じは全然なかったですね。そうですか。これも国土交通省の島根県事務所がやった仕事ですか。
○事務局
   そうですね。出雲工事事務所でございます。
○芳賀委員長
   ああ、そうですか。松江市でもなく、島根県でもなく。
○事務局
   ただ、役割分担してまして、お堀の中は市か県がおやりになって。
○芳賀委員長
   ああ、そういうことになって、イニシアチブは。
○事務局
   先ほどの水をグルグルと回すほうはこちらがやってというような、連携をしています。
○芳賀委員長
   はい。
○事務局
   次のページでございますが、歴史的な建造物保存の例ということで、荒川と荒川の放水路を隔てているところの岩淵水門という、明治43年につくられた水門があるわけでございますが、これは地盤沈下で操作に支障が生じたり、また計画的に合わなくなっているということで、昭和48年に、それの下流側に新しい水門を建設いたしまして古い水門はその役目を終えたんですけれども、現地のほうに保存いたしまして、公園などと一体となりました地域に親しまれる構造物として残している例でございます。
 それから次のページでございますが、長崎県の本明川。1839年に建設された眼鏡橋が、石橋でございますけれども、あったわけでございますが、1957年の水害で、その石橋が洪水をせき止めるということで大きな被害が出ました。それの災害復旧ということで、爆破してしまうということも考えられたわけでございますけれども、川のほとりに移設保存して、現在は地元の方々などに親しまれている施設となっているという例でございます。
 それから次のページですが、京都の鴨川の納涼床でございます。川の中に橋げたがせり出しているような形になっているわけでございますが、歴史的・文化的な経過を含めまして、例外的に設置を認めるということでございます。
○芳賀委員長
   例外的なんですか、あれは。ほんとうは法律違反なのですか?
○事務局
   法律違反というか、許可を可からしめればいいということなので、許可の基準としては一般的にはあまりこういうものは、やはり阻害物になりますのでしておりませんが、厳密にどこまで問題かというのを検討しております。
○芳賀委員長
   このためにこの委員会をやっているわけでね。(笑)あれがなくなったら鴨川でなくなる。大いに奨励してください、むしろ。
○事務局
   ええ。
○芳賀委員長
   反対側にも何か。去年かおととし、出雲歌舞伎で舞台をつくるだけでも大変だったようですね。おたく河川局と、それから京都の消防署だか警察署だかと。仮設の仮舞台をつくってそこで出雲阿国歌舞伎をやって、こちら側の先斗町のほうのお茶屋から眺めたという、あれは非常におもしろかったんですけど、あれはもう大変な苦労をしたらしい。
○尾田委員
   河川区域の中に能舞台があるところもあるんですよ。
○芳賀委員長
   そうですか。つくってしまえばいいんですね。(笑)文化と歴史の保存とか言えばいいんですね。
○事務局
   どうしたらできないかじゃなくて、どうしたらできるかをぜひやりたいと思ってますので。
○尾田委員
   京都のこの床のこれ、材質が今全部鉄骨になってますよね。あれは木に戻すべきですよね。
○芳賀委員長
   せっかくあれ許してるんだから。直されたら。
○事務局
   続きまして9ページからでございますけれども。(笑)A3版で折り込みになってございますが、川の博物館・資料館のリストがございまして、約200ほどのものがあるのではないかと。これは、これから歴史・文化といろいろ関わりを深めるための拠点として活用していけるとともに、また、ネットワーク化によりましてさらに歴史・文化を伝えていくような場として活用できるのではないかと考えてございます。
 A3版の後ろのページでございますが、13ページでございます。多少、円グラフで分類をしてございまして、右のほうからでございますが、河川の事務所やポンプ場などのスペースを有効活用しているもの、それから国が建物を別途建設しているもの、それから国と自治体が協力して設置したもの、都道府県が設置したもの、市町村が設置したものなど、いろいろございます。また、用途につきましても、その下でございますが、川・水をテーマにしたもの、魚をテーマにしたもの、ダムをテーマにしたもの、砂防をテーマにしたものなどがございます。
 14ページからでございますが、上のほうに河川事務所やポンプ場などのスペースを有効利用した例が2カ所ほどございます。北上川と豊川でございます。国が別棟の建屋を設置した施設ということで、九州・筑後川の例、それから白川の例がございます。
○芳賀委員長
   九州・白川は何県ですか。
○事務局
   熊本の市内を流れています。
○芳賀委員長
   あ、熊本市内ですね。
○事務局
   安蘇の外輪山の中の水を集めて、ちょうど熊本を通りまして有明海へ。次のページでございますが、国が自治体と協力して設置した荒川の知水資料館、それから都道府県が設置した例ということで千葉県立関宿城博物館、それから市町村が設置した例としまして相模川のふれあい科学館、それから北九州市立の水環境館などがございます。こういったものをこれからいかに有効活用していくかということにつきましても、ご議論いただければと思います。
 それから最後のページでございますけれども、これまで歴史・文化のいろいろご議論いただいた内容につきましてはホームページのほうに記載してございます。左の下に出ておりますのは、実際のホームページの画面の例でございます。右側でございますが、現在、公開している情報、歴史・風土に根ざしたこの懇談会の議事録でございますとか、先ほどの報告書、それからいただきました和歌と祭りにつきましてのリスト、それから歴史的建造物のリスト、広報活動の事例や河川伝統技術などが掲載されてございます。
 本年度追加といたしまして、先ほどごらんいただきました調査のための手引きでございますとか、和歌、祭りなどのリストの追加、それから川にまつわる歴史・文化をつくった人々とか、川の博物館の現在見ていただいているようなリストなどをさらに充実させていきたいと思ってございます。以上でございます。
○芳賀委員長
   どうもありがとうございました。これについても皆様からご意見をいただくということになっておりますが、いかがでございますか。これ言い出すといろいろ……。
○高橋委員
   去年の秋ころだったかな。入間川流域に関係して、5つ、6つの近隣の市町村の、主として市立の博物館なんかが連合して、入間川の歴史と文化みたいな展示会をやったんですね。これは行ってみましたけど、全部見ませんでしたが、いい企画だったと思うんです。そこで見てる限り、それとてもよかったんですけど、それを現場、実際の川で見るというときにどうなのかというのがちょっと心配なんですね。そこの展示でもって、昔このあたりに何々があったとか、何々が住んでいたとかというのはそこでわかるんですけど、これが実際の入間川のその場所のところにそういうプレートが写真入りであれば、多分、歩いている人も楽しいでしょうし、私なんかは自転車で、サイクリングロードをなるべく使っていくんですけど、それもやっぱり役に立つと思うんですね。
 前に大和川だかどこかでそういう、そこの場所の説明なんかのプレートがあって、これはいいことだなと思ったことがあるんですが、そういうのはまだ、川に関してはあまりよくないんじゃないですかね。
○事務局
   ええ。今、少しやろうとしているのが、博物館という幾つかの例があるんですけど、ミュージアムというか、川全部が博物館になるようなことをどうしたらいいかと。ただ、そのときでも、ちょっと分厚い資料だけはこういうところへ寄らないと見えないんですけど、さっき動線とかありましたように、現地に行くとそこに、知りたいことが出ていると。ただ、あまり看板だらけになるといけないので。
 我々がやっているところで、おっしゃったように、箱物の中に入ればというよりは、川全部が博物館だということを何とかうまくつくりだしていきたいなと思っておりますので、まさにおっしゃられるようなことを目指したいと思っています。
○高橋委員
   大きい看板を立てるとだめだから。
○事務局
   感じのいい何か案内と。
○高橋委員
   それと、この間の祭りとか歌枕以来、いろいろきょうも出てましたが、こういう資料、博物館の一覧表なんかが出てきてとてもいいことだ思うんですが、ここのところくださる『リバーフロント』にそういうのがいっぱい載っていて助かるんですけど、あれが市販されるというか、一般の人に広く見られる、知られるという手だてが取られているかどうかですね。ちょっと町の本屋さんでそういう雑誌を見たことないんですけど。それむだだと思うんですね。
○事務局
   2種類ありまして、『フロント』というカラーのものと。『リバーフロント』という白黒の、少し何十ページかのものと。
○高橋委員
   いろいろデータが随分入ってて、役に立つはずですよ、あれ。
○芳賀委員長
   たくさんちゃんと自分で取っておけばね。
○高橋委員
   そんな感じがしたんですけど。ですから、多分、皆さんの内部的なあれがあるかもしれませんけれど、どんどんそういうのも一般の人に。
○芳賀委員長
   雑誌『フロント』のほうには、そのたびに毎号どこか日本の川を1つ取り上げて、なかなかいい写真とエッセイをつけてありますね。あれを全部まとめて日本の百名川とか、そういうのはできないの。
○事務局
   リバーフロント整備センターと相談してみます。
○芳賀委員長
   今までもう随分……。もう50を超えているでしょう、あそこで挙がった川は。
○事務局
   ぜひそんな工夫をと思います。あと、ちょっとそういうお話が出たついでで恐縮なんですが、10回近くこの会も話が出ている、それ自身も少しお話をつけ加えていただくなりして、まとめたもので何か、世の中のどこか出版社で請け負っていただけるようであれば、少し企画をさせていただいてもよろしいのかどうか。特に委員の先生方も、できましたら少しお助けいただいて、こういう文化とか歴史とかを見て川を見ていくということを、世の中にいろんな発信をさせていただければと思っております。大体方向性がよろしければ、またご相談をしたいと思います。
○芳賀委員長
   そうですね。魅力的な本にしないとね。国土交通省と見えるような感じじゃなくてね。何かいい写真や絵が入っていて、歌もあり、絵もあり、それから西欧も、きょうのミシシッピーとかセーヌ川とか、ダニューブとかラインとかボルガとか、黄河、揚子江、ガンジス川、その辺のことも、いわば比較河川文明論で挙がっていて、そうなったらすごいですね。ほんとうは世界水フォーラムでそういうのをちゃんと出してくれるといいですが。
○尾田委員
   今、それを考えていまして。まず、とりあえずアジアの川、アジアの水をやろうということで、ちょっとまだ作業がおくれております。
 これでよろしいですか。要望で2点です。1つは、どうも歴史・文化のかわづくりといったときに、ともすれば化粧をするような形で物を考えがちなんだけど、そうではなしに、基本的に川のあり方そのものを変えるというか。例えば、前、この委員会で飛鳥川をみんなで視察に行ったときに、こんな飛鳥川をつくっていてほんとうにいいのというふうに皆さん方感じられたというか、おっしゃったわけですよね。万葉の、日本の国家が生まれた土地に流れる川の整備のあり方として、あんな川があるはずがないので。
 だから、歴史・文化のかわづくりというのを全国の川すべてに考えるというのは、それはそれでものすごく大事だけど、やっぱりそういう基本的な川づくりそのものの根本からつくりなおすという、そういう川を1つか2つやると。それで、まさにそういうハード以外の、歴史とか文化とか文学とか万葉学とかそういう先生方が一緒に入っていただいて、そういうことを根本から考え直して、それでなおかつ治水の機能もまた任せられるような、例えばトンネル河川で下を通すとかというのもあり得るだろうし、そういうことをやる、そういう事例を1つか2つ要るんじゃないかなというのが1つ。
 もう1つは、歴史・文化のかわづくりというと、常に過去ばかり見てしまうけれども、かならずしもそうでなくて、新しい川の文化を生み出す。例えばことし、世界レガッタが長良川で開かれようとしていますよね。世界レガッタはアジアで初めてなんですね。あれはもともとヨーロッパでしかなかったのを、アジアで初めて開く、で、長良川で開くわけですけど、ああいうのこそまさに新しい日本の川の文化をつくっていく、そういう機会なので、そういうものにもっともっと積極的にね。川の文化をつくり出すんだという視点でいろんなことをもっとやられたらどうかと僕は思うんだけど、非常に腰が引けているように感じてまして。
 こういうときに、歴史・文化のかわづくりといったとき、もちろん過去も大事だけど、将来に向けて新たな文化をつくっていくんだという、それもちゃちなものをつくるんでなしに、世界に通用するね。できればそれは長良川に毎年世界レガッタが来るという、世界レガッタのウィンブルドンにするとかそういう気宇壮大な、新たな文化をつくるんだという視点もね。過去だけでなくて、将来を見つめたのも要るんじゃないかなというふうに思います。
○事務局
   ちょっと言い訳しますと、A3の左側の一番下はそのつもりで設けたはずだったんですけど、だんだん直しているうちに雰囲気とか、関わりを大切とか、ちょっと趣旨がずれてしまっているんです。もともと、「将来にわたって歴史・文化の」、これ雰囲気じゃなくて、育まれるようなことは何ができるんだろうかって。おそらくそれはハードもちょっと考えないといけないし、おそらくそこには人が相当関わっていないといけないのでということの両方書いていたつもりが、雰囲気と大切という、ちょっと腰が引けたと、今おっしゃられたように、なってしまったのかもしれません。そういうふうにぜひしておかないといけないなと思っております。
○尾田委員
   だから、新しい川の文化の創造というか、その視点もものすごく大事で、そこも落としてしまうと、何か後ろ向きばかりになってしまうと思う。
○光田委員
   今、尾田さんがおっしゃられたことは、ほんとうに我が意を得たという感じで賛成なんですね。過去ばかり見て、それを補修して価値を高めるということはもちろんしてほしいし、大事だと思いますけど、一番大事なのは河川局が新しい文化をつくっていくということなので、これができるようになったらとても強いですよね。
 私、かねてから空想的なアイデアがあって、これはあくまで童話として聞いていただきたいんですが、キャッチフレーズは1000年河川をつくろうというんです。それは、1年に1個――数字はあくまで象徴ですよ、あまりまともに取らんといてほしいんですが、1年に1メーターしか河川をきちんとしない、その1メーターに1億円をかける。ただし、それは1000年続ける。もちろん貨幣価値は変わるだろうから、国土交通省の予算の1万分の1を毎年投下すると決めてもいいんですが。それで最高の技術と……。
○芳賀委員長
   どこか1つの川について。
○光田委員
   いや。それはモデル的に5つぐらい選んでもいいですし、野原の川でもいいし、町中でもいいんでしょうけど。そこを歩けば癒され、励まされるような、あ、こんな川とのかかわりがあったのかということを、1年に1メーターずつつくっていく。それはもちろん、担当者が変わっていったらちぐはぐになったらいけないから、10年計画ぐらいは業者にいろいろアイデアを出させて、こういう技術でこういう発想でするという、いわば連句、連歌の発想ですね。前の人がやった1メーターに私はこうする。
○芳賀委員長
   だから、既にある川に手を加えていくわけですね。
○光田委員
   それでもいいし、新しいモデルをつくってもいいでしょうから、それはいろんなパターンを考えたらいいでしょうが。
○芳賀委員長
   それじゃ、じゃあ、尾田さんおっしゃる飛鳥川あたりで、まず。
○光田委員
   そうそう、そういうふうに。そこを歩けば……。
○芳賀委員長
   あれは1メーターじゃ足りないかもしれない。
○光田委員
   いや、それ1000年で1キロの河川ができる。数字はあくまでモデルですよ。ただし1000年間は、1度触ったものは手をつけないという。そうすると、200年前はこんな技術だったのかとか、このあたりは日本が疲れていた時代だなとか、ここに来ると元気だなとか、これはひいおばあちゃんが生まれた年の川だとか。
○芳賀委員長
   1メーターごとに年代が入っていくわけだな。
○光田委員
   そこに来ればいろんな人がやってきて、河川局はこうだったのかという、そういう川をつくる。
○芳賀委員長
   あのころの河川局長はだれだったとかね。
○光田委員
   今、伊勢神宮があれだけ20年に1回遷宮をやっているのは、あれ技術の伝承ということがあるわけで、とにかく今の河川局で、ほんとうに偉そうなこと言いますが、一番大事なことはチープな川じゃなくて、すごいという川づくりのモデルを見せながら技術を高めていくという、それがやっぱり強いと思うんですよ。日本の川は絵にならないとよく画家が言いますけど、そうであってはやっぱりちょっとつらいので、絵になる川という、何かわからないけどここはすごいという空間を、河川局が1000年かけてつくる。そういう1000年河川という、そういう提案。これに近いものができないだろうかというのが私のかねての考えだったんですが、今、尾田さんの言ってくださったことはほぼ同じことだと思うんです。ありがとうございました。
○尾田委員
   いえいえ。こちらこそ。
○芳賀委員長
   まず飛鳥川と鴨川ぐらいを選んでいきますか。隅田川はもうどうせだめだ。(笑)
○高橋委員
   佐保川も入れてほしいんです。
○芳賀委員長
   佐保川、まあね、そうなってくれば。
○尾田委員
   佐保川入れますね。
○高橋委員
   やっぱりひどいですよ。何であれが世界遺産の地域の川なのかなって。
○芳賀委員長
   そうか。そう言い出すと……。50本の川で1億円を分けるんじゃ。まあ、でも、そうやってどれかの川をとにかくモデルとして、この環境問題から歴史・文化の問題から含めてつくり直していく、あるいは新しくつくっていくというのはいいですね。で、国土交通省実験事業ということで。文化実験事業という。そこから甦ってくる。今度自民党が書きかえようとしている憲法の前文も、伝統と歴史と文化だっけ。まさにこれですな。中曾根案ね。
○事務局
   ちょっと事務局からでございますけど、私ども、文学とか歴史にほど遠い感性の人間が、パタパタと我々相談して書いているので、委員の方々の観点からだとこういうふうにやるんじゃないかといういろんなご意見を、ぜひいただければと思っています。これはほんとうに私ども、何もないとイメージがということで書いたものだけでございます。よろしくお願いします。
○芳賀委員長
   はい。どうもありがとうございました。こういうものをやがてちゃんとまとめていくわけですね、この懇談会では。
 それから、次期の懇談会というのは事務局のほうで。
○事務局
   はい。できれば5月、6月のうちにもう1度やらせていただきたいと思いますが、事務局のほうからまたご連絡をさせていただきます。
○芳賀委員長
   それじゃ、もうよろしいですか、皆さん。じゃ、次回の日程はまた改めて事務局のほうからご連絡いただくということにいたします。じゃ、どうもありがとうございました。渡邊先生、ほんとうにどうも大変刺激に富んだお話で、ありがとうございました。
 
6.閉会
 

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