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河川局

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会 -日本文学に見る河川-

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会
-日本文学に見る河川-
第二回議事録

平 成12年12月1日(金)
13:00〜15:50

場所:橿原ロイヤルホテル

5.懇談(2)
○委員
  今のは飛鳥水郷説、水京説ですね。
○千田委員
  ただ、石もある。日本書紀の記事を見ますと、石人像は全然日本書紀に出ないんですが、須弥山の像は辺境の民が来るたびに、須弥山の像をつくるとある。日本書紀を素直に読めば、倉庫に入れてあった。運んでくるんです。
○委員
  こういうのは、例えば、水飲み場というか噴水とかそういう性格のものではないんですか。大体、ヨーロッパの噴水は、もともと水飲み場ですよね。
○千田委員
  そんなのじゃないと思います。儀式のたびに出した。だから、当然、宮の中には井戸があったんですよ。今は湧いていませんが井戸が出ているんですよ。
○委員
  これだけの都があったとなると、用水のシステムはあったはずです。江戸時代の城下町とか見ると、今は殆ど我々それ忘れてしまっているかもわからないけれども、用水のシステムはすごい。1戸、1戸に水路が行くようになってますから。
○明日香村長
  どの遺跡掘っても井戸は1つぐらいついてきます。奈良万葉文化館が建っている飛鳥池遺跡も2つほど井戸出てますし、飛鳥京のところも出てますし、大官大寺のところも出てますし、方々で井戸は皆出ている。割と湧き水はきれいなんです。酒屋さんもあるぐらいですから。
○委員
  昔はやっぱり湧き水を延々と運んで来て使ってましたよね、目の前に川が流れておっても下の水を汲み上げるのは大変ですから、古代ローマがつくった町は全部そうですね。アクアダクトでずっと掘っていきますから。川の水を使えるようになるためには、水の力で水車で圧力ポンプにして、汲み上げる技術ができてからです。
○委員
  飛鳥川の水を引いているとおっしゃるという先生のお話だと、取ったのは、多武峰の方からかもしれない。そうしたら、日並皇子の挽歌の天ツ水という考えだったのかもしれません。ちょっと時代は下がってしまいますが。そういうのがずっとあって、それが歌われているのかもしれません。水の都は、結局、藤原の宮や板蓋宮でも、皆まず井戸を中心にしてぐらいに考えられますよね。特に藤原京をつくるときの歌というのは、木をどこから運んできたのか、水をどこからどうしたか。それでもって都をつくったという賛美の歌になってますよね。やはり都は結局、水をどう確保したかで、それを歌に入れたんじゃないか。村レベルでも沖縄の宮古島の村だての神話というのは神様が自分たちの住むところをどうやって水を確保したか。井戸を探していって、ここの水が甘いからここに住むことになったという神話があって、それは今もお祭してますよね。
○委員
  資料にひいてある万葉の歌の飛鳥川の一番最初の歌ね「明日香川しがらみ渡し塞かませば流るる水ものどにかあらまし」の「のどにかあらまし」というのは「のどかにあらまし」のことですか。つまり急だったわけですね。もし、しがらみ渡し塞いたならば、もっとのどかにゆっくりと流れてくれるだろうにと。つまり非常な急流だったわけか。 昔から石橋はすぐなくなっていたじゃないですか。4首目「年月もいまだ経なくに明日香川瀬瀬ゆ渡しし石橋も無し」しょっちゅうなくなっていたわけですね。
○委員
  万葉で歌われた飛鳥川は大きく分けると2つです。亡くなった人を思って歌っているんですが、葬るため、向う側に葬るために渡る。それから恋人と会うために向う側に渡っていく。基本的にこの2つです。
○千田委員
  明日香の面積は24km2ありますが、実際の明日香の中枢部というのは大体4km2ぐらいです。この4km2というのは、永田町と霞ヶ関を合わせたぐらいです。ということは、首都機能なんて分散する必要はないわけなんですよね。4km2あったら、日本は治めることができるんです。田園景観を保存することは難しい。ところが田園景観というのは現代の景観であって、一方では歴史的景観を保存せよという。そうするとこれは発掘を全面的にしないと歴史的景観は出てこない。そこのジレンマがある。
○委員
  田園的であって、そこにも埋もれているという。そこの淡いがいいところ。
○千田委員
  淡いはいいんですが、田園計画を保存するということは、農業を持続しないといけない。農業で生活をできるようにしてくれるかという住民の主張が当然あるわけです。
○委員
  明日香村が本気でやられるなら、先ほどの話のあらゆる公共事業をすべてそこのチェツクを通らない限りつくらさないというような常設の委員会をつくられたらどうですか。そのとき委員は少なくとも1年のうち20日間は明日香村に住んでいることとか、そういうのが必要と思いますけれども。いずれにしても日本はどうもトータルで見て何かやるというのが無い。
○委員
  ローマも遺跡だらけですが、あれはどうしているんですか。ローマ、フィレンツエ、それからエジプトのカイロあたり。これは事務局の方で調べていただけますか。
 飛鳥川は割合小さいから、20kmの長さというから割合まとまって整備が可能では。
○委員
  お金をかけても十分価値がある川だという認定をいただければ、それはやっぱり心構えも変わってくるでしょう。
○委員
  そういう意味でここに予算につける場合は必ず文化的なものという形で1割増しするとか。同時にソフトな意味でも十分いろいろなことをよく考えてつくることは必要でしょう。

6.閉会
○委員長
  それでは予定の時間を過ぎましたが、今日は本当にどうも充実した見学をさせていただきましたし、誠にありがとうございました。
 

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