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河川局

審議会等の情報 各種懇談会等


豪雨災害対策総合政策検討会
(議事録)


4.議事
(1)検討の進め方について

(事務局) 本検討会の座長につきましては、○○委員にお引き受けいただいております。
 それでは、○○座長、よろしくお願いいたします。
(座長) ○○でございます。短期間に大変たくさんの作業をしないといけませんので、どうか委員の皆様のまたご協力をお願いしたいと思います。各委員の中には、既に災害地の視察をされている方もあろうと思いますので、ぜひどしどしとご提案いただければありがたいと思います。
 それでは、議事次第に沿いまして審議を始めたいと思います。まず、本検討会の進め方などについて事務局から説明を受けた後、本年の災害の状況と特徴について審議を行いたいと思います。
 それでは事務局より説明をお願いします。
(事務局) ○○でございます。たくさんの資料がございますが、なるべくご審議のほうのお時間をと思いますので、ちょっと失礼などもあるかとも思いますが、はしょった説明になるかと思いますけれど、よろしくお願いします。
 まず資料1ですが、それ以外に今、カラーでA3の横長のものがございます。総合的な豪雨災害対策の推進というのが頭に書いてございます。実は、今回の委員になっていただいています方も、何人かはこの関連の話題の中で既にいろいろなご審議をいただいているかと思いますので、ちょっと位置関係を書いております。左上でございますが、新潟・福島、それから福井の豪雨がございましたが、これを受けまして、実は右のほうにこれまでの対応とございますが、7月26日に政府全体でこの豪雨を踏まえました関係省庁の局長連絡会をつくってございます。それぞれの、どちらかというと現状の政策の中で充実・強化を取りまとめるというようなことをしてきてございますが、この中で1番目と2番目にありますような情報の伝達・提供、それから高齢者の避難というようなことが、下に赤線で引っ張ってございますけれど、この部分だけは避難勧告の基準というか、どういうときに見直したらいいかということが、なかなか市町村長さんが判断権者ということであっても、情報をどう理解してどう判断していくかというところは、何かフォローが要るだろうというような意味での基準と、高齢者の避難支援につきまして、内閣府それから私ども、それから消防庁、厚生労働省等で検討会をつくっておりまして、年度内にこのアウトプットを右側に赤で書きましたようなことで出そうとしております。
 それから、つい11月4日までご審議をいただきましたが、水防法の改正をすべきではないかというようなお話が前々からございましたので、水災防止体制のあり方研究会ということで、水防活動関係等につきましてご審議をいただいて、先日、取りまとめをいただいたところです。
 これらの動きをしていたところでありますが、左のようなグリーンで書きましたような、たくさんの10個にわたる台風、その他、地震まで発生しているということで、先ほど来お話がございました抜本的に左下でございますけれども、自然的条件も、その集中豪雨、気象のいろいろな変動もあるのかもしれませんが、変わってきている。そういうものを踏まえた対策のあり方と、それから社会全体もいろいろな少子高齢化で高齢者がたくさん亡くなったり、それからまたコミュニティーも変わってきたというようなこと等も踏まえて、現在、もう1回抜本的に見直してみて、どういうふうな豪雨災害対策、水害と土砂害、高潮等の対策をやっていくべきかという、右下のようなことを、今回お願いしているところであります。先ほど局長もおっしゃいましたようなことで、できましたら緊急的な対応についての一旦まとめと、それから少し腰を据えたきちんとした提言というのをいただければと思ってございます。
 資料1のほうでございますが、資料1、A4の縦長の紙が2枚ございます。上のほうは今申し上げましたようなことを文字で書いてございますが、下の@からEとございます、大きな点はまた今後のご議論で、これに縛られることではございませんけれども、的確な警戒・避難が行われるよう、豪雨・高潮等のリアルタイム情報、そのとき、災害時の情報の把握・提供はいかにあるべきか。それからA、これは平常時でございますが、各地域で発生する可能性がある災害、それからそのとるべき行動についての情報を、平常時からどのように住民、これは住民だけじゃなくて市町村等もかと思いますけれど、どう住民に周知されるべきか。それからBは少子高齢化とか地域コミュニティーの変化を踏まえた地域の水災防止力の再構築はいかにあるべきか。Cは集中豪雨の頻発、それから少子高齢化の進展など、それを最近の自然的社会的状況の変化を踏まえますと、防災施設の機能の維持向上、例えばすぐに避難が難しい地域の施設のあり方みたいなものだとか、ダムなども最近いろいろ詳細に雨の状況がわかるんであれば、もう少し機能アップした運用ができないかとか、いろいろそういう機能の維持向上を考えられるか。Dは、先ほど局長のお話にもさせていただきましたように、従前の計画を超えるようないろいろな自然現象が出ております。これに対して早急に効果を出そうとした場合の、やっぱり従来の枠にとらわれない多様な計画、それから整備というのはどんなふうにしていったらいいかということでございます。Eは、今回、総合政策と銘打ってございますけれども、単にハード、単にソフトということでなく、ソフト、ハード、両方相互に関連した総合的な政策として、この@からDまでの連携といいますか、横断的なものとしてもどうしたらいいかというようなことかなと思ってございます。
 2枚目に、今後の流れを書かせていただいてございます。先ほど来、名称が検討会とか委員会とかございますが、11月15日、次回から社会資本整備審議会の河川分科会の中にこの豪雨災害対策総合政策委員会というものを位置づけまして、この手続を経ましてここで出発をさせていただきたいと思いますが。手続の関係、その他で、本日は間に合いませんので、今日は正確に言いますと河川局長の私的諮問機関としての検討会というので、ちょっと検討会と委員会という微妙な言い回しを変えてございます。ただ、流れとしまして、早めにいろいろなご提言をいただきたいのもございますので、本日は、今年起きました災害についてレビューするとどういう課題かというようなことにつきましてのお話。それから、もしできましたら、対応策についてのいろいろなご提案等もいただければと思います。それで、15日には1回目となっておりますが、そういう課題、それからそれに対応する緊急的な対応策としてはどんなことがあるだろうかというものを、きょういただいたご意見も踏まえてご用意させていただきたいと思っておりますので、そのようなご審議をお願いしたいと思っております。
 ちょっと書いてございませんが、17日には兵庫県の直轄の河川である円山川が2カ所ぐらいで破堤、堤防が切れて、大きな被害が出ております。それから京都府の由良川でバスが取り残されたのをご案内かと思います、そこの現地へ行ける方ということで、ちょっと視察を用意しておりますのと、今月の末ごろに全体の緊急的に対応すべき事項についての提言をいただければと思っております。
 右側のほうは、これは仮に書いておりますが、こういう時期でございますので、来年度の予算、それから水防法の改正その他、幾つかの制度上等の準備もしておりますので、慌ただしい中で恐縮でございますが、こういうものに生かせる時期に緊急的な対応のプランをぜひご提言いただきまして、それに対して行政としてはこうするというアクションプランみたいなのをつくりまして、今のようなことへ反映したいと思います。それから、その後には、少し腰を据えたといったものでございますが、先ほどの幾つかテーマを掘り下げた格好で、全体の提言を来春までにお願いできましたらと思ってございます。
 以上が全体の流れでございます。続けてよろしいでしょうか。

(2)平成16年度の災害の状況と特徴について

(事務局) お時間の関係もありますので、ここからちょっとはしょった説明で恐縮ですが、平成16年度の災害の状況についてというのが資料2のほうに用意させていただいています。それから資料3は、これの災害を見ましたときの特徴でございます。資料2のほうはさっと行きまして、資料3のほうに移らせていただきたいと思います。
 まず、資料2でございますが、1ページ開きますと、今年の台風、豪雨の、6月ぐらいから台風4号から始まりましたところのものが載せてございます。2ページにございますように、合計24万戸ぐらいの家が浸水して、200数十人の方がお亡くなりになったり行方不明になっております。3ページには新潟・福島の水害、集中豪雨でございます。赤いところにありますような非常に湿舌というか集中豪雨がありました関係で、次の4ページにございますような、絵のプリントの色がわかりづらくて大変恐縮でございますが、濃い緑色の信濃川が左下から右上に流れてございますが、ここに合流しています刈谷田川というのと五十嵐川が流れてございます。刈谷田川のほうは、ちょっとバッテンが同じ色、赤くなっちゃって見えないんですが、左下に破堤箇所と書いてあるところが線の引っ張ってありますところ、これは中之島町、刈谷田川の左岸で、ここで大きな破堤がございます。あと、上流にも幾つかちょっと見づらいですが、バッテンがありますようなところで堤防が切れたりしてあふれています。それから右上の五十嵐川のほうは三条市内を流れております、これも下流に向かいまして左側のほうで堤防が切れてあふれてございます。これはただ、随所にこういった左岸で今切れたりしておりますが、両方の川とも右岸側、反対側も水が堤防からあふれるというような状況で、まずあふれたところで堤防が相当傷んでおりますので、どこで切れてもおかしくないという状況だったと思います。
 5ページは、五十嵐川という川の経緯が書いてございます。ちょっと見づらくて、わかりづらくて大変申しわけございませんが、ちょっと見ますと昭和36年に、これは集中豪雨がございました。これを契機に基本高水のピーク流量、ダムだとかで調節しない場合の流量が毎秒2,000立方メートル、それからダムで調節した後が毎秒1,600立方メートルというようなことであります。このためのダムが昭和39年にできておりますが、この後、改修計画ということで少し大きな洪水に耐えられるように直しているんでございますけれども、川のほうは33年ぐらいのところにあります計画高水流量が毎秒1,120立方メートルとありますが、大体毎秒1,200立方メートルぐらいの能力のまま、ダムはできたんですけれど、川のほうはそのまま、その昭和30年代ぐらいの豪雨時のところでストップしております。その分、今回、一番下にございますが、そういう大きな毎秒2,000立方メートルというような洪水が来てあふれたというものでございますので、完全に現状の能力をオーバーしているわけです。
 6ページも刈谷田川というところでございます。これは計画が3昭和6年、やはり同じものでできておりますが、この計画は一応すべてできております。先ほどと違いまして、途中段階ということでなくてできているんですけれども、一番下にございますが、毎秒1,900立方メートルの洪水が来ておりますけれども、毎秒1,700立方メートルというのがもともとの能力でございますので、あちこちからあふれたというものでございます。
 7ページは福井の足羽川でございます。これは真ん中下の棒グラフがございますけれども、これは新潟等も同じなんですが、以前、1986年にきたものからしばらくたちまして非常に大きなものが来ております。先ほどの刈谷田川なんかも昭和36年から降雨を超えるものが久々に来ているというようなことでございます。
 この雨が来まして8ページのように、これは福井市内でございますが、九頭竜川水系に流れ込んでいます日野川が南から北へ流れております。両側に合流している足羽川が福井市の市内で、これも赤と赤で見づらいんですが、左岸側の堤防が写真のように、これも水が上から越水、あふれまして堤防が壊れております。このときも、ここだけじゃなくて反対側の右岸側だとかいろいろなところで水があふれて、どこで切れてもおかしくない状況になっていたと思われます。
 これは9ページ、少し経過と流れがございますが、ここは上流にダムをつくる計画があって、現在調査を中心に進めておりますけれども、まだそういうものができているわけでございません。一番下にございますが、毎秒2,400立方メートルの洪水が来ております。そのほか、川のほうの流下能力は大体毎秒1,300立方メートルぐらいでございますので、そういったものがあふれたと。ちょっと今回も合流します川の水位が低かったので、結構うまく流れてはくれたんですけれども、あまりまだまだ能力がないということであふれて切れたというものでございます。
 10ページは台風10号等でございます。ちょっとこの辺はこういう四国とか幾つかのところでまたあふれたというので見ていただきたいと思います。
 13ページは台風21号でございます。これは結構大きいほうでございますが、左のように赤いところに集中豪雨が重なって、非常にたくさんのところで記録的な豪雨になってございます。水害としては14ページから三重でございますとか、何ページかずっと行きまして17ページぐらいまで三重でございます。18ページからは愛媛だとかこういうところで非常にたくさんの箇所で同時多発的な水害が起きてございます。ちょっと後で行きますが、土砂の災害もたくさん同じように出ております。
 20ページからは台風22号でございます。これは台風21号よりは小さいんですが、特徴的には南関東なんかでも水害を生じてございます。21ページは静岡とか千葉でございます。特徴的なこととして、22ページには横浜の中心部、帷子川などが能力を超えて出水し、左のように、見づろうございますが、青線で囲った薄くグリーンで塗りましたところに水がついております。赤で書いておりますようなところ、地下の飲食店だとか書いておりますが、こういう地下街だとかビルの地下なんかだとか駐車場が赤いところで書きましたところが水につかってございまして、こういうところは避難勧告もなかなか出てなく、どうしようかというか、問題になっております。
 23ページは東京の新しい南北線の地下鉄の駅のところがあふれているものでございます。ここも地下鉄のところは水がついているわけでございます。
 それから24ページ、これからちょっと何も書いてございません、台風23号でございます。23号は、これは非常に一連の台風の中では一番大きかったわけでございますが、兵庫県の円山川という川が日本海側に流れてございます。これの24ページにございますように、下流に向かいまして右側、右岸のほうで円山川の赤いバツのところで堤防が切れてございまして、それからまた上流の出石川という、これは円山の支川の左岸、これは両方とも、先ほど来、ずっとお話ししていますのは、ほとんど全部県が管理されている中小河川でございますが、これは国が管理している大きな川で堤防が切れて、青い濃いところが浸水しています。ただ、これはちょっと絵が見づらくて恐縮ですが、薄く水色がほとんどの平野のところに書いてあります。これは内水排水とか、川の水位が高うございますので、ポンプだとかいろいろなものから水をはこうと思ってもはけない、そういうので市街地のほうの堤防が切れているというわけでありませんが、内水の被害になっております。それから、堤防からあふれているという越水で全域が水についております。25ページからその辺の様子を写真でごらんいただけるかと思います。
 26ページには、事業の経緯だとか計画の経緯が書いてございますが、一番下のほうを見ていただきますと、毎秒4,200立方メートルという流量を出しておりますが、現況の可能な流量能力が大体毎秒4,000立方メートルぐらいでございます。これもこれを超えて、やはりあふれたりして切れているものでございます。
 27ページは隣の京都府の、これも日本海側に流れております由良川という川でございますが、この川は非常に昔から広くあふれる、だけれども非常に連続した堤防がなかなかつくりづらいということでございまして、テレビ等でごらんになって、バスの上に避難をされてというところで、もともと非常に水に浸かりやすいところで、ここを通過した観光バスが、行けるところまで行ってみようというところで立ち往生したというものでございます。情報の問題、その他の問題、いろいろあるかと思います。
 時間の関係でちょっと29ページに移らせていただきます。29ページは土砂の災害の一覧表でございますが、もう非常にたくさんの集中的な豪雨があったというのが今回の特徴でございますので、土砂災害としては非常に起こりやすいといいますか、ピンポイントでどっと来るものですから、そこの山がどっと削られる、がけが崩れるというようなことで、これだけたくさんものの被害が出ております。あと,中身はごらんいただければと思います。
 31ページから、大変恐縮ですが、似たようなフォーマットで整理しております。そういう洪水の場所で雨がこうなって、大体どういう被害が出ているというものが、随所出ているというものの、一つ一つの少し特徴的なものを36ページ、37ページというようにつけさせていただいています。エリアは大体、先ほど一連の河川の話を申し上げましたようなエリアと同じような場所でございます。
 時間の関係で42ページまで飛ばさせていただきます。42ページは、これは高潮の関係でございますが、台風16号では瀬戸内のところであちこち高潮、海面が台風等で上がりまして浸水をしております。高松市内の中心部がそのブルーのようなところで水に浸かっております。43ページに、若干特徴的な話としまして、ちょっとわかりづらい資料で恐縮ですが、実はグラフがございますけれども、青い線が潮位でございます。もともと海の水面が上がったり下がったり、ちょっと上に緑で書いてありますけれど、大潮でございまして、それの満潮ということで非常にベース水位が高くなっています。そこの真ん中ぐらい、0時の一番上に小さく書いてございますけれど、最大瞬間風速が30.7メートルとかありますように、これは台風での風の強さもちょうどこの時期ぐらいに強かった。それとあともう一つ、中心気圧が970ヘクトパスカル、ちょうど一番中心気圧が低い時刻がこの前後でございました。というので、水位を高くする3つの要素が、風で吹き上げる、それから気圧が低くて水を上空へ吸い上げる、それから月の引力の3つが重なって赤い線のような従前の既往最高水位というのが赤線で横にありますが、50センチメートルも超えるような状況で、先ほどの高松市内での水害が起きております。
 44ページ、これは台風23号でございますけれども、高知県の室戸で上の堤防、海岸の堤防が高潮のエネルギーでどんと左上の絵のように飛びまして、後ろにあった住宅のところで3名の方がお亡くなりになったというものでございます。いろいろな原因は今、検討調査中でございますけれども、従前考えておりますよりも非常に横から来る力が強いというか、波力というか、そういうものがこれの大きな原因の一つになっているかとも思われます。これも耐力が十分に大きいようなものが出ているというものでございます。
 ちょっと、それから恐縮でございます、資料3のほうに移らせていただきたいと思いますが、資料3のほうは、そのうちの特徴的なものをさっと並べております。1ページは、台風がいっぱい来ましたと。それから2ページは集中豪雨の回数を10年単位ぐらいで並べておりますと、時間雨量50ミリ以上の中でも、今年はやっぱり一番多くなっています。10年ごとに見ましても100ミリ以上の平均回数が2.2、2.3、4.8というように、どんどん集中豪雨の回数が大きくなっていると。
 3ページは1時間雨量を見ますと、どのような分布かなと見ますと、日本全体、全国的に散らばっているというのが見てとれます。4ページは、これは日雨量、それから時間雨量でございましたが、日雨量で見ましても、大体こういうある程度全国的なところで今回は起きている状況でございます。
 5ページは、先ほど申し上げました高松市の潮位の話が、ちょっと繰り返しになっておりますが、ついております。
 6ページも、先ほどちょっと申し上げました室戸の堤防が切れたり、どんと大きな波の力で壊れている。いずれも従前考えていますものを、かなり大きなエネルギーで来ているというものであります。
 それから7ページは、今回、堤防がたくさん切れております。これは新潟の写真で、左側が刈谷田川のところで、左側が破堤前、右側が破堤後でございますが、たまたま避難所にもなっておりましたお寺が、跡形もなくなくなっておりますし、周辺の家も屋根がそのままずっとワンブロックずれているという状況になっております。
 それから右の写真で見てわかりますように、堤防の破堤でございますので、上流からの土砂を含んだ水が出ております。そのために、ほとんど相当な土砂が入っておりまして、後の復旧、復興でも被災者の方は大変な苦労をされていると。ほとんどもう柱だけしか残った家も使えず、家財道具あるいはその他も全部無くなっておりますし、相当なストレスがたまったりしています。それから、こういうところでお年寄りがたくさんお亡くなりになったりしていますが、やはり堤防が切れるというと津波と同じで、スピードが全然違います。どんと来ますので、時間も非常に短いというのも一つの原因になっているかと思っています。こういう堤防が切れるということの大変さ、8ページはその後片づけの大変さだが載っております。
 9ページには高齢者の方がこういった、これは情報の話、それから避難のタイミングの話とコミュニティーの話、いろいろございますが、そんな状況でございます。
 10ページは、このとき保育園が孤立をしております。これは少子高齢化、ついつい高齢者の方のお話ばっかり出るんですが、共働き社会みたいなものを支えるというのは保育園であって幼稚園ではございませんので、そういうところが孤立して、普通ですと親御さんが面倒を見るというのがうまくいかない、ここは非常に立派な保育園でしたので大丈夫だったんですけれども、これからの災害という、これからの社会の災害というのが、ちょっと現象として見えてきているのかなと思います。
 11ページには刈谷田川、今の新潟の川で一つ話題になりました、避難勧告がおくれたのではないかというようなお話が出ております。幾つかの市町村ではタイミングも違いまして、この絵の細かい説明をすると、ちょっとこれだけで15分ぐらいかかりますんですが、上のほうには雨がどうだったとか、そのときに水位が折れ線グラフであります。そういう雨が増えましたところで赤い縦のオレンジの線が、堤防が切れたところがそれぞれ3つぐらい書いてございます。こういうタイミングに合わせて下のほうはそれぞれ警報、それから先ほどの避難勧告、それから場合によっては災害対策本部などの設置みたいなものがどの段階でなされたかというのが出ています。なかなかちょっと、早く出されたところとぎりぎり、それから出してもまだ足らなかったというのがありますが、市町村長さん等のお話でも、情報自身がどう判断していいかが非常によくわからないというところがございます。だからその辺のことをちゃんとしないといけないのかなと思っています。
 12ページは避難勧告の話は土石流、土砂災害のところでも何というか、その出すことがおくれたりしているものがあります。判断基準、土砂災害につきましては、気象庁と砂防部、その他、消防庁とも勉強して、幾つかやり方を決めたりしているんですけれども、そういうものは情報が出ましたところでもうまくいく仕組みが必要だというものであります。それから、そういうものが13ページ。
 それから14ページには、あと一つの問題として、避難勧告が出ましても、例えば円山川でも実際避難した人は1割未満というようなことでございます。そういう情報と行動みたいなものの問題がございます。
 15ページは、これは避難所でございますけれども、よく町を歩いていましても、どこどこが避難所だとかいう看板が見えますけれども、大体の場合、地震のときに避難所が書かれております。ところが、例えばこの三条市の避難所は浸水エリアの中に赤い丸がたくさんございます。大きな青線が浸水した場所でありますが、こういうところでどうしていけばいいのか。水がつかりやすいところは避けるとか、ある程度どうしようもないところは少しビルの上のほうに何かをするとか、いろいろな工夫を現実的な問題としていく必要があるかと思います。
 16ページだと、土砂災害の場合でも避難所そのものが被災をすると、災害を受けるという例でございます。
 17ページは、実はこういう人々の避難でありますとかいろいろな避難所の設置場所等にも役立つと思いますが、どういうふうに浸水が想定されたか、それからそれを含めてハザードマップというのがあります。ちょっと直轄河川と補助河川とございます。国が管理しているものは主要部分につきましては大体つくってあるんですが、これもつくってあるといっても内容がいいかどうかにつきましてはいろいろ問題があると思いますけれども、つくられています。それから、一つ、今回たくさんの中小の県の管理の川からでいろいろな水害を受けていますが、先ほどの新潟、福井の川もハザードマップはございません。ここの一つの原因が洪水予報河川といいますか、洪水の予報ができる川についてはそういう図をつくりましょうというんですが、小さな川になりますとなかなか余計大変でございまして、それがひょっとしたらネックになっているかもしれないというので改善が要るのではないか、洪水予警報ができる、できないにかかわらずマップをつくるようなことも考えていかないといけないのかなと思っております。
 18ページは、ハザードマップの作成・公表状況でございますが、もう少し、特に補助河川、数は同じぐらいに見えますけれど、直轄の川というのが数は少ないというのがあります。
 それから19ページは土砂災害で、今回の新潟の地震もそうでございますが、3回ほど同時多発で起きました水害のほうも同時多発になっていまして、随所で集落の孤立化という問題が出てございます。情報もとられますのと、復旧、それからいろいろな救援、その他、全体に問題を生じております。
 20ページはバスの話でございますが、この川はちょっとわかりづらいですけれども、左上の写真のように山のほうまで全部川みたいになって流れるんですね。左下にございますのが平常時ですが、それが雨があってあふれると全体が。こういう情報が、また河川の洪水対策もこういうことを踏まえて、今やっているわけでございますけれども、そういうところへ外の人が観光バスで来たときの一つ情報のあり方等々でございます。
 それから21ページは由良川の先ほどと同じような、情報を出したタイミング等のものを載せてございます。
 22ページは、先ほどちょっとお話ししました地下の浸水というのが、一つ問題となっております。
 23ページは、ダムの調節、新潟の刈谷田川、それから五十嵐川、両方ともダムがあって洪水で調節をしております。ただ、先ほどお話もしておりましたように、従前の計画よりもとか、現状の河道能力よりも非常に大きな雨が来ております。大きな洪水が来ておりますので、下にダムの絵がこれは下の軸が時間の軸で、上が流量の軸、それからダムのほうはためた水の量ですが、ダムの線は赤い線がダムに入ってきた水です。これが黄色い部分をダムへためまして緑線のようなものを下流へ放流していると。ですから、黄色のほうが全部、多分ダムにためているわけですが、満杯になりましたので、後ろのほう、今14時、15時ぐらいのところですが、ここから後は赤い線と緑の線が一緒になっていますように、下流の水を増やしてダムから放流することで下流が余計に心配になる、悪くなるようにはしないと、下流の洪水が悪くなるようにしないけれど、入ってくるものを調節するということができなくなります。入ってくる水イコール出ていく水というような運用を、通常これはただし書き操作と言っておりますが、こういう操作をしておりますが、この前後で堤防が切れて水があふれているというので、非常にこういうダムの調節についても、下流の方がうまく情報が伝わっていないのか。それから情報の内容がよく理解されない全体のシステムになっているのかもあって、非常に混乱を生じて、いろいろな避難するのも防災対策上も支障が出ております。
 また24ページには、その辺の誤解がもうちょっと広がりますと、逆にダムから出したものがそういう洪水を助長しているみたいな誤解すら出ていることもございます。
 それから25ページでございますが、先ほどの新潟、福井なんかのところを踏まえて、実は今年度の予算の中でも堤防の強化対策、これは堤防が幾つか切れまして、そういうことでの関係、それから浸水想定区域、先ほどのハザードマップを特に県が管理されている中小河川に広く、すべての川でなくても、ああいう新潟、福井で切れましたような堤防があって市街地にあるような川は特に早めにつくるための制度と、それから情報の体制システムをちゃんと整えてあるようなもの、情報の空白域もなくそうという問題があります。一番下の、例えば新潟で水害が起きれば青森からでも行くような、そういう制度をつくろうかというようなことを考え出している。
 そのバックボーンがちょっと後先になりましたが、26ページのような避難勧告だとか、一番右のほうに避難勧告については市町村の判断を支援する、右にございます高齢者などの住民の自主的な判断・行動を支援というようなこと、一番左にございますような判断・行動に役立つ情報、それについていろいろ今の避難勧告と高齢者の話題にもありました、そういうところで例えば省庁、河川局合わせまして、きめの細かな予警報をどうしたらいいかといったような話だとか、幾つかのやれるものを書いてございます。あと、地域の水防力の強化、それから堤防の、今の先ほどのような安全点検と強化みたいなものを、今、進めようとしてございます。
 以上とさせていただいてよろしいでしょうか。
 ちょっと間違ったご説明を1つ。今、資料の3で16ページでございますが、先ほど、土砂災害で避難場所が土石流により被災した事例というのを出しました。これは避難所として指定されているのではなくて、たまたま避難していただくのに土砂が来たということで、どういうところが危なくて、どう避難したらいいかという情報がいいかなということでございまして、ちょっと訂正させていただきます。

(3)現状の問題・課題について

(座長) どうもありがとうございました。
 本年の災害の状況と特徴について説明いただきました。これからまたご質問やご意見を伺うわけでございますが、何しろ15日に1回、月末にお集まりしたときには緊急提言という大変急いでいる状況でございますので、なるべく効率的に進めさせていただきたいと思います。それで、長期的なものと、それからとにかく現地は何をやられるのかと、そういう問題等があろうと思います。とりわけ緊急的に何をやっていかなきゃいかんかという問題を意識しつつ、これから議論をいただきたいと思います。
 災害直後に現地を見られている先生もおられますので、その災害を見たときのご意見等も踏まえて意見発表していただきたいと思いますが。○○先生も現地、どこか見られているんですか。
(委員) 私は新潟と、それから福井の水害は土木学会の調査団の団長ということもございまして、議論をしていますので、それに基づいて、現在、特に短期的という面でまずお話をしたいと思います。
 先ほど資料2、3でご説明いただいたところですが、私どもで議論していますと、やはり大きく分けて雨と水位、これは川の計画にも長期的な問題としては関係してきます。それと堤防、地域の防災という4つの観点が中心だと思います。雨につきましては、1時間の雨量というよりは6時間であるとか24時間の雨量が大変大きかったのが特徴です。過去の記録を塗りかえているという箇所が多いというふうに考えております。
 これは将来的な問題としては治水計画の課題にも関係してきます。といいますのは、治水計画のほうは2日間の雨量とかあるいは下流の本川の基準点を守るということで従来のものはできております。しかし今回特に、新潟と福井は、県の管理の河川で9カ所ずつぐらいでしょうか、破堤しているというようなことです。そういった上流での防災と、全体をどう考えるということを、もう少しきちんと考えていく必要があるんじゃないかという課題が、我々への宿題として出てきたのではないかと思います。
 それから破堤の写真等がございました。破堤はいわば壊滅的な被害になり、被害が拡大するということがあるわけです。その点では、やはり粘り強い堤防といいましょうか、崩壊が短時間で起こるということをできるだけ避けるということ、それを考えるべきではないかということを感じております。例えば、私たちが現地を見た段階では、護岸は破堤の初期にはかなり残っておりまして、その護岸を越えて住宅地のほうに水が流れ込んでいます。ですから、水が来るのは、先ほども滝のように来たとか津波のように押し寄せたというのがあるんですが、護岸から流れ落ちて堤内のほうに行っているという状況が2つか3つの地区ではあります。ですから、護岸をもうちょっと支えを考えるとか、あるいは地盤改良等も考えるということが重要であると思います。これは最近の例では地震によって信濃川の堤防が大分傷んでいますが、そういったことにも役に立つのではないかと考えます。
 それと、堤防に関して言いますと、水が堤防を越えたか越えないか、あるいは漏水によって壊れたのではないかというようなことがマスメディアでは大変な関心事となっていますが、まだ私どもの調査では、この細かいメカニズムはもう少し時間をかけて考えないといけないという段階です。ただ、堤防の天端の高さは、場所によってかなり変わっていまして、これは相対的なものですが、低いところ、高いところがあります。波を打っているというのが事実で、低い部分で破堤しているなり、あるいは堤防が被害を受けて水防活動でやっと破堤を免れたと、そういったところがあると思います。
 先ほどの避難所の関係でも、いわゆる重要水防拠点の近くに避難所が設けられているとか、そういう例もかなりございまして、やはりそういったところ全体を見直すということは大変重要ではないかというふうに思います。
 一応、前段のハード的な面からの気がついたところはそんなところです。
(座長) ほかに現地を見られているのは……、○○先生。
(委員) 私は新潟の三条、見附、中之島あたりの浸水域の住民に対する悉皆調査を今やっておりまして、ほぼ一次集計が終わってきたところです。現地のヒアリング、そして調査等々を踏まえて思うところを述べさせていただきますと、まずマスコミ等も言っておりますし、住民も言っておりますが、勧告が遅かったと。これは新潟だけではなくて、ことしの水害全般にそういうことがよく言われるわけですけれども。住民の側から見て、逃げるのに十分な時間があったのか、もしくは逃げる準備に対して十分な時間があったのかといいますと、勧告が出てから中之島町なんかはわずか十数分しかないとか、1時間、2時間しかないというような事例が多くて、住民の側からいくと、やはり避難勧告の発令が遅かったという話が出てくるんだろうと思います。
 ところが、今度、出す側の自治体の話を聞いたり、雨量の状況なんかを見ているときには、非常に狭い流域での豪雨災害ですので、降り始めてから五、六時間で破堤に至るというような状況が非常に多いと。そうしますと、降り始めて1時間目で勧告が出せるかというと、その段階で出せれば十分な時間はあるわけですけれども、そんなのは出せるわけがないと。2時間、3時間ぐらいで出したら、今回ぐらいだったというような状況の中で、住民の視点でものを見るのと、出す側の理屈でいうのでは、これは大分話が違うなという感じがするんです。
 そういった面からいきますと、住民の視点では遅かった、だけど出す側の論理からいくとぎりぎりというのか、こんなものじゃないかなというようなところで、なかなか遅いと一言で片づけてしまうには問題がありそうだというふうに思います。
 共通することは、いずれも県管理だとか中小の河川で狭小な流域での水害ということで、どうも水位を見ていたのでは遅いんじゃないかということを僕は感じております。そうなってきますと、上流で降り始めて、どの段階で勧告を出すのかということになるんですけれども、いずれにしましても、もっと早く出せるような仕組みを考えなきゃいけないというのは、今現状として大きな問題だと思います。そのための方法というのを考えていかなきゃいけないとは思うんですけれども、そのときに一つは雨量を見ていかなきゃいけないんじゃないかということを感じるということ。
 それと、もっと大きな問題が僕はあると思っております。それは上流で、例えば途中で、新潟の豪雨の場合、五十嵐川や刈谷田川の一番上流の栃尾というところで、時間雨量40ミリ、50ミリの雨が降り始めたと。その段階でひょっとしたら今がそのとき、つまりこの五、六時間後に破堤するかどうかはともかくとして、警戒態勢に入らなきゃいけないような事態になり得るということを、勧告を出す自治体の方が、エマージェンシースイッチをオンにできるかどうかというところが非常に大きいんだろうと思うんです。今回、刈谷田川、五十嵐川の関連する水害の自治体の方々が、もし早く勧告が出せているとするならば、降り始めてから1時間、2時間の段階で、既に上流の雨のことはわかっていて、なおかつ今がそのときかもしれないという、今出そうか、今出そうかという状態になっていなきゃいけないわけです。そういう面においては、そのエマージェンシースイッチみたいなのをオンにできるかどうかとところが非常に重要になってくる。
 そういう観点から、市町村役場の担当の方々の感触を聞いてみますと、はたと気づいたときにはこんなになっていたということです。要は上流で降っていたこと、降り始めたことはわかっていたけれども、今がそのときという認識を持てなかったところに大きな要因があるような気がするんです。
 そういった面では、今これからハザードマップなんていう話にも話は展開していくのかもしれませんけれども、ハザードマップというのは切れたらどうなるかという話ですので、ちょっと話が違うように思うんです。今、例えば三条、見附、中之島というような町であるならば、この町は上流で時間雨量四、五十ミリの雨が降り始めたら、どれぐらいで破堤するとか、勧告を出さなきゃいけないとか、そういう状況になるのかという、流域と川での自分の町の場所、この関係から、どれぐらいの早さで事態の展開がするのかということを、それぞれの市・町の担当者が知っているということが重要じゃないかなと、僕は思いました。
 ハザードマップまで全部つくりましょうの前に、常識的に、終わってしまえばですけれども、地図を見れば、これだけ狭い流域でこんな上流部にある町だったら、四、五十ミリの雨がざっと降れば、四、五時間でこんなことになるんだろうなというのは、今言われれば我々だってそう思うんですけれども、そうじゃない状況の中では、なかなかそうは思えないわけです。改めて、それぞれの市町の担当者に、大雨が降り始めてから何時間ぐらいで勧告だとか指示を検討しなきゃいけないような状況になる地域なのかということを、それぞれの市・町の担当者に、ハザードマップまでとは言わずとも、そこまででも知らせておくことが効果的なんじゃないかなというふうに感じてきました。
(委員) その点に関しましては、私、印象的なのは、三条の市長さんが言っておられたんですが、実は地震と水害との基本的な対応関係を十分に認識していなかったということがあります。といいますのは、水害、洪水はまさに今言われているように、雨が降って、それが原因で起こってくるわけで、事前に、いわば準備ができる部分があるんです。地震は予知というのは一生懸命にやっていますが、かなり難しくて、その発生後の対応が非常に重要な部分です。防災担当者にそのあたりの認識といいましょうか、洪水と地震の特性、それが少し違っていて、やはり地震対応の防災体制と洪水対応の防災体制は、別のことが必要になるんだということを十分に認識していただくというのがスタートになるんじゃないかと感じました。
 そういう意味では新潟では、資料3の11ページでしょうか、見附市は3時間ぐらい前に対応を始めているんです。ここは途中の雨が非常に大きいということで、既に動き出していまして、そこはかなりスムーズに動いている。それから、雨も時間40ミリとか50ミリの雨が3時間とか4時間、連続して降っているんですね。したがって、もう6時間で200ミリを超えるような雨になってしまっているというのが、いろいろなところで見られます。ですから、1時間に水位が1メートル上昇するというのが、今回の、ことしの例ではたくさん見られまして、これは従来にない早さです。ですから、そういうことはたくさん起こり得るということで、今後の体制を考えないといけないというふうに思います。
 それから水防の、先ほどもちょっとご説明ありましたが、いろいろなところで危険状態になって、破堤は左岸というのが新潟と福井は多いんですが、右岸側も非常に危険な状態になっていて、そちらで早くから危険状態になりました。そうすると、皆さんの認識は、右岸が危ないというところにずっと傾いて、避難勧告もそちらに早く出る。実際は反対側、左岸が危険であるのに、そこにあまり目が集まっていなくて避難勧告がおくれたという、実際の現象から考えますとそうなったと思います。そういうところもありまして、やはり時間的な関係を十分に考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
(委員) 私は21号から22号について、土木学会で緊急災害調査の団長をしております。それから新潟県の災害については、県の委員会で現地を見て中身についても議論しております。ということで少し申し上げたいことがございます。
 今回、非常に災害があって、新聞等の論調では、あるいは住民の方も同じような意見だと思うんですけれども、すなわち今までの治水は施設治水だと。ダムと堤防で守る、これのやり方の限界が見えたんですねという表現をするんです。だからといって施設なしでソフトだけでは決して守れないし、流域治水的な、流域対応だけでは決して守れないということも、やはりきちんとしていかなきゃいけないという視点でちょっとお話ししますと、やはり超過しているという表現が、先ほどからも事務局の説明でありましたけれども、何を超過しているのかというと、一つは計画を超過している。それから計画は非常に立派なものなのだけれども、もう一つは現状、現時点の安全性がどうかというところを超過している。
 ある程度、施設による治水安全度が上がっていて初めてその後の防災施策が効くわけで、これからきちんとやっていかなきゃいけないのは、現状の施設治水のレベルがどれだけか、計画の施設治水のレベルがどれだけかということについてきちんとチェックするとともに、それがどの程度であるべきか。今までは1/150という安全度を持ちながら、実は1/30の実力しかないというふうなバランスだったわけです。その辺をどこまで我々は求めていくのか。現在どのレベルであるのか。その間をどうつなぐのか。すなわち考えられる治水安全度と現状の状態をどうつなぐのか。それからもう一つは、計画も超えるような超過洪水に対してどういうふうに考えるのかと、この辺を区別してかかっていかないといけないというふうな気がします。
 それで堤防の問題に、次に移るわけですけれども、先ほど○○先生もおっしゃいましたけれども、堤防はよく、やれ漏水破堤なのか、侵食破堤なのか、あるいは越水破堤なのかというのが議論されるんですけれども、仮に漏水破堤で裏のりが滑っても、滑っただけでは大した災害にならないわけです。そこから上を河川水が流れていて堤内地へ流れていって、破堤口を拡大して大量の氾濫水がすごいスピードで堤内地を襲うからであって、このプロセスをやはりしっかり河川技術者は知っておかないといけない。
 それがあって初めて、少し話の出ています粘り強い堤防が評価できるし、あるいは堤防周辺の土地利用形態の議論もできるし、あるいは河畔林といいますか、堤防の堤内地側の林地であるとか、あるいは堤内地側の河川沿いの舗装化であるとか、そういうもので少しでもはんらんによる極めて悲惨な災害を防ぐことができる。そういうふうな、あるいは○○先生のおっしゃったような避難の場合についての時間稼ぎが数十分できるかもしれない。こういったところに少し議論を進めていかないといけないのじゃないか。すなわち、堤防にパイピングで穴があくとか、裏のりが少し滑るといった限界を議論するのは堤防設計の問題であって、これから防災対策としては、やはり切れたときにどんなことが起こるのかをきっちり我々が示していかなければいけないという気がします。
 それから堤防という守り方とダムという守り方の決定的な違い、先ほど、五十嵐川あるいは刈谷田川でございましたし、我々4年前に矢作川でも経験しましたし、今回の21号、三重県で宮川水系では宮川ダムがただし書き放流という形で、それまで非常にきれいに洪水調節していたものが、貯水池が満杯になることによって急遽ただし書き操作に入って流量が入ってきた流量と等しくなります。その時点で放流量が下流側の整備状況と無関係に増えることになります。確かに先ほどの説明がありましたように、そいつを流したわけではなくて流れているものを通過させただけなんですけれども、住民から見れば、それまで安全であったものが極めて急激に安全度が変わってしまうということは非常に困る。すなわち、これから超過洪水対策、それは現状のレベルを超えるにしても計画のレベルを超えるにしても、その閾値を非常に滑らかにしておかないと、そこで安全度が急激に大きくドラスチックに変化するということは、すなわち堤防が切れるのと同じような意味合いで非常に危険なので、超過洪水の対策の滑らかな移行がとれるような対策でないといけないのじゃないか。
 このときに、これまで操作に非常に気を使われて、できるだけ操作が技術者の責任にならないような操作、自然調節であるとかをやられてきたんですけれども、少し責任を伴うんですけれども、もう少し適切な、そういう滑らかな操作はあり得ないんだろうかと。自然調節方式というのが、決して貯水容量を有効に使うという意味で有効かどうかというのはもう一度点検する必要があるんじゃないかという気がしています。
 時間の都合もありますので、今はその施設治水という視点で、今回の災害から見えるポイントというものを指摘させていただきました。
(座長) ○○委員は現地をごらんになって。
(委員) 本格的な土砂災害調査というわけではなくて、幾つかちらちら見ているだけですので、ちょっと別の観点で。
 今年と昨年と比べると、土砂災害を私は見ていますけれども、違うのは、報道で避難勧告というのと避難の指示というのと、これが随分はっきりと使い分けて報道されています。去年まで、よく市町村長に申し上げていたのは、避難勧告と避難指示、せっかくカードは2枚あるのに、重ねて使っているようなところがある。せっかく2枚あるんだ。だから去年の後半から今年にかけて私が言っていたのは、「気楽に出そう避難勧告」というキャッチフレーズで、注意報と警報みたいな格好で、避難勧告を出さなかったって怒られるわけですから、とにかく避難勧告というのはすっと出す。ところが、避難勧告を出すと災対法でいろいろ作業を伴うものですから、その辺を今の時代に合わせて整理してやる必要があると思っているんです。
 この話はこの検討会、委員会は洪水のほうに行くんですけれども、洪水と土砂災害と、同じ避難勧告といっても雰囲気は違いまして、釈迦に説法ですけれども、洪水の場合はずっと危険度が目に見えて、みんなで認識するわけです。それで破堤しない、越水しないとしたらよかったねと、みんなで安堵するわけですけれども、土砂災害はずっと何も見えなくて、避難勧告だけが雨が降ったから出て、何も起こらなければむだだったんじゃないかという感じになります。これを総合化していくときに、土砂災害は違うということは認識しながらも、違うんですよでは、やはり動きにくい。それで、今回の小さい河川での洪水予報の話があるんですけれども、土石流が出るような、がけ崩れは川ではないんですが、それにつながるようなものも、さっき予測しないとだめという話がありましたけれども、雨だけじゃなくて水の方で予報警報作業をやりながら土砂の特殊性を出すようなことをしたい。これまでも道路の対応で忙しくて、次に河川を対応し、最後に土砂の話を忘れていたみたいな感じになるわけです。一緒に動いていけるような中で、土砂災害の予警報を位置づけたいなと思います。
(座長) それでは気象関係のご専門の○○委員から。
(委員) 意見は特にないんですが、ことしは大変異常気象と言われて、大変ここに書いているような基準を超えた超過現象が起きていると。これは今後、私はずっと在職中からも、この傾向を従来の施設の管理する基準を相当超える可能性があるので、それをどうするかというのは、国土管理の上で考えるべき時期に来ているのではないかというふうに思っているところであります。
 それで、○○先生や○○先生や○○先生からお話があった中で、施設で守るためのものと守れないもの、つまり防災、防止と軽減と2つの観点で整理する必要があるかと。すべて防止することは不可能であると。その観点で、○○先生もおっしゃった話というのは非常に興味深く聞かせていただきました。
 ぜひ検証していただきたいのは、実はハザードマップというのは、ほんとうにつくって検証した例はあまりないんですね。検証されたというか、それが社会で我々が、つまり報道も含めてほんとうにそれがどうだったか。今回、このハザードマップの例で幾つか、例えば避難所が埋まってしまったと。そうするとハザードマップの有効性は一体何だったのか。それは自治体の首長さんは、地震の避難場所とは書いてないんですね。地図上にも書いてないし、公園、ここが避難所ですよと誘導するにも、これは地震のための避難とは書いてありません。ということで、ぜひ一度見てみたいなと思うのは、ハザードマップで実際の現況と想定した浸水域、これは当然、水の問題として考えたときに、積算雨量がどう時々刻々なっていて、破堤に至ってはんらん域がどう拡大していったかというのは、水の観測値がある限り、必ず計算できるはずだと思うんです。これの点検はぜひやっていただきたいと思っています。
 以上です。
(河川局長) 今の○○委員のお話に対して、補足させていただきたいと思うんですが。先ほどの三条市の避難場所をマークした絵があったかと思いますが、あれはハザードマップとは全く別のものでございます。ハザードマップはどのぐらいの水深で水がつくから、避難路からその避難場所というのは、当然その水がつくことを前提にして表現するようにしていますので、今ご指摘のような懸念というのは、またお示ししたいと思いますが、その辺は解消できていると思っています。
(委員) 今おっしゃった中で、愛知県ではこの間、庄内川の派川の新川の破堤がありましたけれども、そのときにはまだハザードマップはできていなかったんですけれども。愛知県の浸水想定区域図をつくるに当たっては、東海豪雨の新川破堤を再現できるシミュレーションでつくるということがされています。それがハザードマップにどんなふうに化けたかというのは、詳しくまだ聞いていないんですけれども。そういう逆の経験ですけれども、破堤経験があって、それが再現できる計算法で浸水想定区域図をつくったという例があります。
(座長) それでは、○○市長さんは今回の災害は経験されておりませんし、どうも千葉県のように出水になって相当時間経てから非難の問題が議論されるような地域と違って、さっきの降って数時間たったら避難情報を出す側の論理、それを聞く側の論理という大変際どいお話も聞きました。日ごろ大変いろいろな業務などでご多忙な中で、職員にこういう防災問題を直ちに対応させるというのは大変だろうと思うんですが、何か市町村の実情でもお聞かせ願います。
(委員) 実は、私のところはほとんど今回災害がなかったものですから、切迫感が乏しくなることについてはお許しいただきたい。
 首長の行動パターンというのを、まず申し上げておかなくちゃいけないと思うんですけれども。一つには、今、金がない中で、できるだけ目立つ仕事はやっても、そうじゃない仕事は少し後回ししてしまおうかというところがあります。それからもう一つには、責任を問われるということはなるべくやりたくはないという行動パターンになりがちだということです。それは先ほどの防災の避難勧告なり指示というところに、どうもつながってしまうと。つまり、なるべく早く出したいという気持ちがある一方で、何回もやってますと、そのうちオオカミ少年になってしまうというような話もあり、また、あいつ、しようがないな、いつも脅かしやがってというような話になることもあり、どうしてもそれを避けようという行動パターンになってきてしまうと思っています。
 先ほど来からお話がございましたように、何をルールにするのかわかりませんけれども、例えば降雨がこれだけあったときには、指示なり勧告なり出すというようなルール化というようなものをどこかでつくってしまわないと、おそらく首長はあまり出したがらないということになるのかなという気がしています。
 それともう一つ、先ほど来、避難場所の話がございましたが、水防という視点を消防関係に比べて、自治体はちょっとおろそかにしてしまっていたのではないかということです。実は、災害対策基本法において、自主防災組織というのは、地震も火災も、それから水害も想定としているわけですけれども、私どもの市では自主防災組織を作るとき、基本的には火災、震災の対策しか頭にないというような感じになっている。だから避難場所も、先ほど問題点として指摘された高さ関係なんていうのを考えずにつくってしまっているわけです。
 また、私どもも、ハザードマップつくれと言われていながら、つくっておりません。何故かといいますと、必要性はわかるけれども、お金がかかるということから後回しにという判断をしてしまっているのです。先ほど申し上げたもう一つの首長の行動パターンがそうさせているのです。ある程度補助制度をつくっていただけるということを積極的にやっていただくということが必要だと思っております。
 それとあともう一つ申し上げたいのは、先ほど言いました自主防災の組織を組織化する際、消防のほうでは補助制度につながっています。ところが、水防のほうはその手当がないというのが実態です。そこら辺を少しお考えいただけると、今度は水防向けの自主防災組織というようなものを考えていき、おそらくハザードマップ、それと避難対策につなげていけるんだろうなというふうに思っています。水防の中でハザードマップが位置づけられるのかどうか、先ほどの資料を見るとわかりませんけれども、そういう形の中で助成制度ができていき、さらにその中で自主防災組織なりとうまくつなげていただけると非常にありがたいなという感じがしております。
 以上です。
(座長) 水防法の関係については、今、河川行政としてはどんな取り組みをしているのか、ちょっとご披露いただけますか。
(事務局) ○○でございますが、水防法の関係の今の取り組みの状況ということでございますけれども、今の災害の状況等を踏まえまして、幾つか部内でも検討いたしておりまして、例えば浸水想定区域につきましては、現在のところはまだまだ指定も少のうございますので、特に中小河川におけるような浸水想定区域の指定の、例えば義務づけ的なことはできないかとか、あるいは情報といった意味での的確な避難確保という意味で、その情報の周知・伝達・公表をどのようにしたらいいかとか。あるいは高齢者が利用するような施設ですとか、地下施設における円滑な避難確保のために、どのように市町村の防災計画の中に位置づけるなり、どういう形でやったらいいかとか。そういった、一つは情報の面でございますが、いかにその情報の提供というのをうまくできるかというのは、こちらとして考えてございます。
 あとそれから、体制の面でございますけれども、専任の水防職員はもともと少ないわけでございますが、全般にちょっと弱いところがございますので、そういう意味で、例えば水防の協力をしていただけるような方々をうまく取り組めないかとか、そういった体制面の検討など、そういうことなどを今、内部でやってございまして、水防を中心としましてどういうことができるか、この法改正に向けまして、今、取り組みを検討しているところでございます。
(座長) 市長さん、注文があったら。
(委員) 一番お願いしたいのは、水防と言ったときに、それは堤防を守るための水防だけでなく、被害が起こったときの水防対策まで広げて国土交通省さんで考えるのは非常に難しいのかもしれませんが、そこまではみ出せないものなんだろうかということです。そのときの水防組織というのは、先ほど書いてありましたNPO法人であるとか企業という話については、これはどちらかというと応援団として体力を使っていくという話で、破堤を防ぐとかそういう話なのかなというような感じがするんですけれども。そうじゃなくて、今度は避難の部分まで含めて、自主防災組織をどういうふうにしてうまく活用するのか。その組織化を水害のほうで、水防という観点から組織化をしていけないか。そのときに、おそらく高齢者対策というような話、災害弱者ということになれば、私どもは平均的な首都圏の自治体だと思っていますが、高齢化率16%。そんな中で独居老人、もしくは老人だけの世帯というのを調べてみますと、やはり同じぐらい、16、7%あります。それだけの人間をいざというときに助けるといったときには、おそらくは福祉関係、特に介護関係の仕事で高齢者をよくご存じのヘルパーさんであるとか、そういう方たちをうまく水防組織の中に組み込んでいける、そういうところまで、これはちょっと省庁の名前言っちゃいけませんが、ほかの省の独壇場でない形の中で、河川サイドがはみ出していって、特にそのハザードマップがつくられるところについては対応していくというような話ができればいいんじゃないかなというか、そんなことを思っているわけでございます。
(委員) 関連でよろしいですか。今のお話で、専任の水防団が少なくなっている、あるいは水防団自体の高齢化が進んでいるというのがあるんですが、私が聞きましたのでは、一つの例ですが、新潟県中之島町、破堤したんですが、消防団イコール水防団であるという認識を消防団長の方は言っておられます。それと、福祉と水防なり、災害の連携という意味では、今度の水害後にだったんですが、その消防団の活動マップの中に、今、市長さんが言われた独居の一人暮らしの高齢者の方の家はマークをつけて、民生委員の方々とも日ごろから連携をするという活動は始められているようです。ですから、今おっしゃられたような組織で職務が違っているような部分も、やはり連携をとって、いろいろな機能が同時に満足できるような方向ということを考えるべきだと思います。
(委員) 水防の話と避難の話を。
 私は高校から大学、大学院と、桂川右岸ですが、消防団と水防団と警防団とやっていたんです。消防も、最初はローカルな消防ですから、それこそ火事場にも行ったことがあるんですが、そのうち広域消防署ができると、もうやじ馬整理だけに回されまして、水防もいろいろなトレーニングをしたんですけれども、木流しなんかやったんですけれど、いざ洪水になったら木なんか周りにないんです。今ですとトンパックが並ぶので、今の時代に合わせた、ローカルな、それこそ小さな川が水位が上がってきたところに土のうを並べる、私は排水機場が浸水しそうだというので行ったことがあるんです。弱くなっているから再組織すればいいという話じゃなくて、今の時代に合わせた何をやらせるのかと。当時も思ったんですけれど、この指示はどこから来ているのかなと。多分、ほとんど指示はなくて、具体的なその場所だけで反応しているんだと思うんです。だから、人も必要ですけれども、情報の、今どうなっているかわかりませんが、うまい流れ方が必要だなというのが当時も思っていましたし、今は離れているんですけれど、どうなっているのかなと思っています。水防団をまた充実させるというときに、ひっかかるところです。
 それから避難ですけれども、避難させろ、避難しろ、避難しない。避難ってすごく不自然な行為じゃないかなという気がしています。梅雨時期の豪雨で土砂災害から避難する、今回は台風で、風もあるという話になると、すごく不自然な行為です。だから、片方ハードがあって、片方ソフトがあって、ソフトはハザードマップと避難と土地利用という話になるのですが、何かその中間があっていいんじゃないかなという気がするんです。
 結局、だれが金を出すかという、個人が金を出す話になりますけれど、地震ですと耐震補強みたいな話、少しは補助があるのかもしれませんが、基本的には個人の行為なんです。これと同じような、米国ですと洪水が起こっても、家が流されないように何か少し工夫するようなアイデア集があったりするんですけれども、どうも日本人は全部役所にお願いしてしまうからなんでしょうけれども、自分でという習慣がないんじゃないかなと思います。したがって、土砂災害、特に危険度が高まっていることがわかりにくいので避難しにくい。洪水の場合は、それはいいけれども、いざというと多人数が、どこへ行くんだということになります。例えば避難はできないとか、しないという発想で何ができるか、何をやるべきかみたいな発想もちょっと皮肉的な言い方ではありますけれど、必要じゃないかなと思います。そうでないときれいごとで終わってしまうと思っているんです。
(座長) 報道関係でいろいろやっている○○委員、ご意見をお願いします。
(委員) ○○です。まず、新潟で私ども、被災者1,000人に聞くという今回の新潟水害の見附、中之島、三条の皆さん、床上浸水した方を対象にサンプリング調査しまして。ちょっと数字は今持ち合わせていないんですが、ほとんど避難情報が伝わっていません。多分、過去の同種の調査の中でも相当低いほうの部類だろうと思っています。見附市でほんの一部の方が、事前に大雨洪水警報とか避難勧告とかを聞きましたというお答えがあるんですが、ほかはほとんどゼロ、壊滅状態というんでしょうか、ちょっと言葉はよくわかりませんが、そういう状態です。  福井ではやっていませんが、どうもいろいろ聞いてみますと、福井はもっと中之島並みではないのか。中之島役場がつかってしまいましたので、あそこも同じではないかということで、今回、どうも私どもも大いに反省しなきゃいかんとは思うんですけれども、そういう危機的な状況がほとんど市民の住民の皆さんに伝わらないまま、堤防が破堤したということがどうも正しいのではないのかなと思います。
 雨が何回も降る、また降ったからまた漏るとか。せっかくいろいろ洪水警報だとか、いろいろな種類の情報が出るんですけれども、その情報の違いが、どうもまだ皆さんにご理解いただけていないんじゃないのかなというふうにも、一方では伝えるほうからいうと思うということです。
 同様の水の、ここ過去数年で最も土砂災害が起きやすくなっていますということもあるんですけれども、私ども、なかなか地図でそれを表示できなかったりすることもあるのかなとか、あるいはその意味するところが何なのかということ、大変難しい、行動には結びつかないことなのかもしれませんけれども。それほど功を奏しているというふうにも思えない。どうも世論調査をやっていますと、あんまり芳しくないということでございます。
 台風でもそうなんですけれども、やっぱり、毎回毎回いろいろ工夫はするんですが、なかなかこの風水害の場合は、今、こういう状況になっています。例えば最も危険なのを100とすると、今回幾つなのかみたいなことをどうやって伝えていくのかというのは大変難しゅうございまして、ほとんど後の祭りになっていて、伊豆半島の屋根が飛ばされたのを見て、やっぱりほんとうにそうだったのと思ってみたりとか。23号でも、ひょっとするとあれは上陸、伊豆半島にぶつかる直前になって減衰がすごかったのかなと思ってみたりとか、次の日になって、伊豆半島にぶつかるまではすごかったんだと思ってみたりとかいうところがあります。リアルタイムにつかまえることを、我々は目的にしているんですが、なかなか難しいというのが正直なところじゃないのかなと思います。
 それからもう一つ、先ほどの意見にも賛成なんですけれども、水害の場合、避難する場所がないというのも、ほとんど場所によってはほんとうのことだろうと思うんです。去年ですか、山陰水害20年で、島根県の三隅町というところに行きまして講演会をやった後、被災地を全部見せていただいたんですが、口々に皆さんがおっしゃるのは、確かにそうなんです。1万人の町なんですが、逃げる場所がないんです。1カ所だけあって、それは高台の最近できた中学校のところなんですけれども、そこに逃げるにしても相当早くから逃げないと、そこへ行けません。行く途中が危ないんですから、降り出したらもうだめですね。それは三隅町だけでなくて、いろいろなところが多分そうで、避難してくださいといったって、実際問題、避難する行き先がないんです。それから、非常に複雑ですね。ニュアンスもあまり伝わってない。何回も何回も同じような事態がある、そういったようなことが、なぜ今回の新潟のようなデータしかとれないのかということに対して、必ずしも十分な分析ができていないんですけれども、相当市民の皆さんには伝わっていないということを、どうも思ったほうがいいんじゃないのかというふうに感じています。じゃ、どうしたらいいんだろうかということが一つです。
 それからもう一つ感じましたのは、市町村に盛んに地方の放送局から、水害のたびに電話を入れます。避難情報を我々は収集しなきゃいけないわけでして、一生懸命入れるんですけれども、この避難の情報に市町村の方たちの認識のばらつきとか、先ほどの根本さんのまさにおっしゃるとおりで、この間23号の静岡県内は、あらゆる町村が自主的な避難を呼びかけています。あの台風ですよ。やってきても、自主的な避難を呼びかけているわけです。つまり、勧告じゃないんです。NHK静岡放送局には一生懸命、それは災対法でいうところの避難情報60条なんですかとか、そういうことを知識があるないというのもあるんですけれども、どうもいろいろ突き詰めていきますと、伊豆半島のほとんどの町村が、つまり自分で逃げる場所のある人は、今のうちに逃げてくださいとしかおっしゃっていないわけですね。静岡なんて、地震対策は非常によくできているんでしょうけれども、水害になると実態はそうです。NHK静岡放送局はどうしたかというと、これは60条の避難じゃないから、放送はどうしようかとかと困っちゃうわけです。それで、あまり困ったものだから、後であれは問題だなんていう原稿まで書いているわけです。
 ほとんどの市町村の方たちが、要するに勧告を出していない。しかし、避難情報は出したよとおっしゃっている。これは一体何なんだというので、静岡放送局は大変困って、12時間ぐらい放置して伝えていないということになっています。ですから、後で消防庁さんがお集めになった事後報告によると、非常に早い時間に避難が出ていることになっているんですけれども、実態はそうではございませんで、これはどう伝えたらいいのかというのは、私どもはわからない。はっきり申し上げると、わからない。
 じゃ、避難勧告ということは、避難場所があるんですねということになるんですが、そうはおっしゃっていない。さっきの三隅町とほとんど近い。どこに避難していいのかというのは、伊豆長岡なり、あの辺の伊豆半島の町のことはおっしゃっていない。それは責任がとれないからじゃないかと、私は思うんですけれども、そういうのが実際でして、なかなかそれは水がつかる地域と土砂が崩れる地域の違いといいましょうか、難しいですね。そして、ほとんどどこへ避難したらほんとうに安全なんだと言えるのかというふうに詰め寄られますと、答えることが多分できないのではないのか。三隅町なんか完全にそうですね、町が水没したんですけれども、逃げる場所がない。住民の皆さんは口々に、私はかなり強化してきたことを講演したんですけれども、立ち往生しまして、最後にはお答えすることができなくなりました。それは実際だと思うんです。ほんとうだと思うんです。
 ですから、そういう難しさの前に首長さんたちは、そんないいかげんに、はい、避難勧告を、はい、何とかというふうに、多分おっしゃれないだろうというふうに思います。現実をあちらこちらで起きるものを、今回でも、何回もいろいろなところからご質問がありましたので、新潟、福井、静岡、千葉、台風が通り過ぎるたびに、地元の放送局にはそうやって取材依頼といいますけれども、実態を聞いています。
 ただ、相手の市町村の方たちの言い分を聞いてみれば、そごがわかるということになるんでしょうが、私どももそこまではしていないんです。多分、相当そういうわけでは難しいんじゃないのかなというふうに思いますので、私どもが思うのは、避難準備とか、相当ラフなんですけれども、避難準備とかいうようなものだったら出せるのかな。弱者の皆さんは準備の段階で逃げていただく、そういう別の取り決めなり何なりがあって、そういうことだったらできるのかなというふうにも思います。
 もう一つ、これはちょっとここで言うのがふさわしいかどうかわかりませんが、気象庁のあの警報のように、オンライン情報にしていただかないと、もうほとんど私どもの手に負えません。電話をするんですけれども、相手の方はいつもいらっしゃらない。名前を名乗り合って、ほんとうなんですねというんですけれども、後になって違っていましたという電話が入ってくる。こういうことがしょっちゅうです。ですから、オンライン情報にして、何時何分にこの町は確かに何々情報を出したんだという証拠を残していただかないと、私どもは、そうは言っても社会的責任、放送責任がございますので、「ごめん、いや、あのとき、おれは思ったんだけど、町としてはあれは違っていたんだ」というようなことを後で言われますと、もうこれは放送できなくなっちゃうわけです。そういうことの連続でございまして、オンライン情報で証拠を残していただきたい。確実に何時何分に出したんだという、だれが見ても間違いのない証拠を残していただかないと、放送は社会的行為ですから、後になって後講釈で、あのときがそうだったんだと、出したんだと言われても、私どもにとっては困るんです。そのときというのは大変に忙しくてやることは山のようにございますので、ぜひオンライン情報に早くしていただいて、しかもこれは大量な情報になりますと、とても放送をどういうふうに……、将来、5年後のことを思いますと、今、私ども心配しているのは、すごく大量の避難情報になって、何丁目、何丁目なんてやっているうちに、株式情報のようになってしまうんじゃないかと思っています。
 ということで、実際はこの情報伝達も難問山積、ほとんど何も解決されてないというふうに申し上げたほうが現実に近いんじゃないのかというふうに、今感じております。
(座長) きょうはあえて短期の、今月末を目指して、どういう緊急提言かということで、避難の問題にかなり集中して議論していただいております。その中でも、施設の能力とか、今まで積算雨量がどうなっているとか、そういうことによって避難すべきだとか、あるいは日ごろからこのくらいになれば災害は起こり得るんだとかという予備知識を、ハザードマップという形で出しているんだと思います。特に今の治水施設の能力を周知しておくべきなのではないかというようなご意見があったと思うんです。
 これは、洪水の被害と土砂災害とまた様子が違うんでしょうけれど、事務局としてはどうお考えになりますか。特にまた、ダムの操作でも、超過洪水になって急にどんと放流するんだったら、もう少し超過洪水へ向けて、うまい滑らかな移行はあるんじゃないかなんていう発言もありましたし。いずれにしても、住民に今のどの能力で、雨量何ミリであなたは守られているのというのを、今、計画ばっかり言うけれど、現有施設の能力はどうなっているのとかという情報を示すことについてちょっと事務局のほうから、説明をしていただけますか。
(河川局長) 緊急課題を意識したご意見を、今たくさんいただいた中で、一つ重要なことが、今、座長がおっしゃった施設のことだと思うんですけれど。まず施設の実力をチェックするという、これは○○先生が堤防の低いところとか、そういうわかりやすいご指摘もあったんですけれども。とにかく弱点を把握して、それを共有化するという努力が必要なんだろうと思います。対策はそれにあと、緊急対応できるかどうかというのは、今年の夏の出水の後も総点検というか目視点検をかけて、対応を今やっているところなんですけれども。弱点の把握と、そのことを情報として共有できるようにしていくということと、それから限界、例えばダムの場合にはどういう計画でできていて、今、その空き容量がどのぐらいあって、どのぐらいの雨までは調節機能があるんだというようなことも含めて、当然、管理者として把握しておかなければならないということもありますけれども、わかりやすい情報で提供するということは必要かなと思います。
 これは円滑にマイルドにすりつけていくというただし書き操作でもそういうことだというような認識だとか、それから、これはちょっと言い過ぎになりますけれども、台風とかそういう非常に大きいものが近づいてきているときに、逆のただし書き操作というか、予備放流みたいなことが決められていないからやらないんだということじゃなくて、決められている、決められていないけれどもやるんだというようなことを責任持ったところが判断して取り組んでいかなければ、今ある施設を有効に活用することは、せっかく操作とかソフトの関係でやる能力があるのに、やらないというのはもったいない話であって。ただ、責任とか何とかというところは裏腹になっていきますから、こういう大きい異常気象が考えられるような場合、そこはちゃんとした組織として責任をとれるような形でやっていくべき時期ではないかなと思っています。
 その話と、それから水防活動みたいな話と結びつけていかなければならないんですけれども、今年の出水でも、やはり今までにこんな経験をしたことないというようなことが、行動をかなりおくらせているという面もあるんだと思います。それから、当然、情報がうまく伝わっていないという○○委員のご指摘のようなところは、確かに我々はあると思っていますので。そこのところを系統を1系統だけにしないとかいう改善もやっていかなければならないし、それを受け手が、水防団なんかは今まで施設を守るということにものすごく特化したような行動パターン、みずからそう思ってやってきていた嫌いがあるわけですけれども、そうじゃなくて情報を得ようとする努力ができるような水防団であり、それを地域に伝えることができるような水防団であり、ある時点からは避難とかそういうものを手伝うような水防団で。これは消防団と水防団を兼ねているのがほとんどの人たちなので、どっちの法律で行動するか何とかというところを取っ払うと、かなり有効に機能していくんだろうと思いますから、そういうところは緊急に改善点として打ち出していかなければならないところではないかなと思います。
 ちょっと幾つかの話ですけれど、いろいろ関係し合っていると思いますので、うまく整理をしていかなければならないと思いますが。何か、もう一つあれば。
(事務局) 整備状況が、要するにどのぐらいなんだということがどの程度言えるのかというご質問があったんですけれども、我々、河川の計画論上の話からすれば、ある地点の、その2日間の流域平均の雨量に対して幾らとか、日雨量で幾らとか、そういう計画をしているわけです。ですから、同じようにそのレベルで、その地点でそういう流量に対してはどのぐらいまでは今の河川のキャパシティーはありますという、そういうところまでは出せると思うんですが、実際はそういう情報というのはあまりリアルタイムでは役に立たなくて、じゃ、直接そのある地点の上流の降雨の観測した雨が幾らだったかどうなんだとか、もう少し短時間の、例えば6時間雨量でどのぐらいになったらどうなんだとか。そういうところまで踏み込んで整理しないと、そこのところがやっぱり直接的な意味のある情報にならないのかなというふうに思いますし、そういう難しい問題があるんですけれども。検討課題だなというふうに思います。
(座長) 難しい問題ですが、何かお話を聞くと、専門的過ぎて住民はもっとわからないでしょう。道路情報センターなんかでは、どこどこが今事故で車は通れませんなんていうのはどんどんやっていますよね。ですから、ちょっと雨の降っている最中に治水課長が出てきて、こう解説したら大分違うんじゃないかなと思います。
ただ、それだけにリスクが多いですね。当たるのと当たらないのリスクがはあって、うまく当たって当たり前で、当たらないほうは空振りのオオカミ少年はいいけれど、逆で大水害を当てられなかったときはどうなるんだとか、その辺もあるんで、当然難しい答えだと思いつつ、ちょっと質問してみたわけです。そのリスクの問題も含めて、ちょっと○○先生に行政法の立場からご意見を聞かせてください。市町村長さんも大変、行政責任を問われているのだと思います。
(委員) 根本的な話で、行政責任はどこにあるかという話がございますけれども、先ほど地震と水害の話がありましたが、ちょっと私は少し整理が違っていまして、問題の根本というのは、水害関係の法制度を、地震関係の法制度と比べてみますと、やっぱり地震というのは基本的には不可抗力で、一応予知はできるけれども、あまり人間にとって有益的な予知かどうかという問題がある。ところが水害の場合は、およそ災害というのは想定外に起きるという大前提ですから、そういう意味では想定外なんだけれども、通常予想される想定外といいますか、そういうものが水害の責任を根拠づけており、今までの河川行政はそれで来ていると思うんです。事前予防が中心だし、ハードが中心だしというところで来ていたと。
 ところが、今回我々が突きつけられている問題というのは、それを超えたところの話で、むしろ想定外の災害、極めて巨大な台風が来るという話は、巨大地震が来るということと、むしろパラレルなのであって、そういう意味では地震対策に近づいているようなところがある。おそらくそこが、今、我々が対応しなければいけないところで、法制度ということでいきますと、河川法がコアになっている河川行政と、それから災対法がコアになっている災害対策とのギャップといいますか、両者が接合していないんですね。特に河川管理の場合は国が中心にやるのか市町村ベースでやるのかという話と、ハードが主なのかソフトが主なのかという、そこのところに中間項がまさにないということで、今、緊急にやるとしても、何か上手なミックスジュースをつくらなきゃいけないという話で、主従の関係をとりあえず置いておいてというところが、一つあるだろうと。できることはやっていくと。
 それから情報につきましても、リスクの話がございましたけれども、間違っているかもしれないけれども、出さなきゃいかんし、それを出せるような体制をつくることが必要です。例えば情報提供とかその避難指示や勧告の話も、市町村に任せますと揺れるわけです。揺れるし、政治的な配慮もあるしということになりますと、それはむしろ地元から距離のあるところが一律的な画一的な、弊害はもちろんあるんですけれども、しかしそうは言ってもそこでむしろ情報を出させるような仕組みをつくっていくということが、リスクこみで必要になってくるのかなというふうに思っております。そんなところです。
 あとは、消防と水防の話がございましたけれども、消防については今回、国民保護法制の関係もあって、消防緊急援助隊ですか、あれについて消防庁の長官の指示権というのを入れたんですね。消防は、ほんとうに市町村ベースでやってきたところに、消防庁の長官の指示権って入れたということで、極めて異質な話で、ほんとうに動くのか動かないのかわからないけれども一歩踏み出したんです。ということころがあって、私がこの狭間にいるところの河川行政の部分についても、おそらくそういう試みが一つあっていいんじゃないかというふうに思います。この新規の予算の話でも、例えば水害広域緊急援助制度なんていうのは、消防の緊急援助隊が一つモデルにあるのかなと思いますけれども、何かやり方が、経費を国が負担するとかという話なので、ちょっと間接的すぎるので、こんなのでいいのかなと思います。基準についても、情報の提供についても、むしろ国か県かわかりませんけれども、あんまり地域にまかせすぎるとかえってよくないということがあって、とりあえず仮にということですけれど、もうちょっと抜本的なことは考えなきゃいけないと思います。
 それから、消防と水防はもう同じなので、先ほど、水防は補助がないから消防みたいに補助しましょうなんていう話がありましたけれど、消防団だって、少々補助したってやりゃしないんですね、全体的に言って。むしろ消防と水防を分けてやるというよりは、消防のほうも火災が減っていますから、そういう意味では災害対策部隊としての重要度のほうが高くなっているので、そこはもっと積極的に、はっきり言ってどっちか一個でいいので、消防団なら消防ベースのほうに何か縦割り行政を積極的に解消するような形で動いていくといいなというように思ったりしております。
(委員) 先ほどの現状の能力の話で、今回、気がつきましたのは、流域委員会が現在、非常にアクティブに活動している川は、ウエブに現状の流下能力まで出ています。ただ、問題は、一級河川はそれでやるんだとすればできますが、今回、多く破堤が起こったような県の管轄の部分までできるかというと、なかなか難しい面がある。○○座長が言われたリアルタイムというのは難しいと思うんですが、やはり計画としてこういうものがあって、その雨に対して現状の流下能力はこうですというのは、出ているところもありますし、可能だろうと思います。
 それと、先ほどの避難の件では、非常に、水害なり災害の時点では大変多くの情報が錯綜するということで、今回のでも見られているように、ファクスを見ていないとか、あるいはいろいろな情報は送っているけれど、行政官庁も伝わらないし、住民にもうまく伝わっていない。したがって、一つの手段は、やはり数値的な基準をつくって、それを出すほうも、当然受け取る住民の側も、こういう条件になったら避難の勧告が出ると理解するわけです。ですから、それはある状態量を示すものだという共通認識をきちんとつくり上げるということが大事ではないかというふうに思います。それでないと、市町村長さんはなかなか出しにくいという現況にあるし、非常にたくさんの情報を一時期に処理するという中では、現実的にはかなり難しくて、ある基準をつくっておくというのが、それも住民が知っておくというのが非常に大事じゃないかと思います。
(委員) 先ほどの消防と水防の関係で、私の言い方がちょっとまずかったかもしれませんが、もうちょっと正確に申し上げますと、災害対策基本法上は、消防、それから水防、両方ともこれは当然入っているという形になっていると思っております。ただ、現実に今動いているという形になりますと、耐震火災対策を主眼とした防災の計画ができ上がっている。さらに、それをバックアップするような形の中で、自主防災の組織等についても、消防関係からの補助金が出ているというような形になっているというだけで、水防のほうの助成策が出てこないわけです。消防団と水防団の関係ですが、私たちの地域ではほとんど水防団がなく、消防団が代行しているということもわかっているんですが、どうも間に合わせ的にといいますか、消防をメインとして水防もやるかというような形にしかなっていないというのが、現場での認識という感じかなというふうに思っております。水防活動というのが当然、この災害対策基本法の中にもあるわけですから、水防法の方からのアプローチという形の中での自主防災組織、決して別につくれという意味じゃなくて、そんなアプローチをしておかないと、いつまでも間に合わせ、とりあえずおつき合いしようかというような感じになってしまうのかなと思っております。
 ハザードマップをつくりながらの話として、水防の視点を持った自主防災組織にもしていくことが必要ではないかということが言いたかったことです。別にしてくれという意味ではありませんので、それだけ申し上げておきます。
(委員) 先ほど、局長がおっしゃったんですが、場所によって状況がちがうんでしょうが、水防団って越水し始めたり、破堤すると、被害者になるんです。私も1回経験ありますけれど、分団長が、「もうだめだ」と。要するに、帰って避難しろということになるわけです。人を助けに行っているような余裕は、消防の場合はポイント、ポイントですので、周りが救えますけれど、水防団はよほど広域に準備しないと無理じゃないかなと思いました。
(河川局長) ちょっと一つ発言を。水防団、消防団、確かに勢力的なものはかなり変わってきているんですけれども、例えば岐阜市なんかは消防団より水防団の数のほうが多いというような実態もありますので。不規則発言でございますが。
(委員) 大体、議論が河川に集中しているんですが、土砂災害が、河川に匹敵するぐらい、昨年、ことしと多かったわけですね。緊急、政策提言の場所なので、ちょっとなじまないご提案なんですが、緊急アピールを仮に今月いっぱいまとめたとしますと、実は私が気になっているのは、中越地震の後のこれから豪雪になって、あそこは自然の雪のダムになるわけです。非常に治水施設、施設治水のコンセプトが脆弱性になっている。融雪の時期がちょうど来年3月ぐらいから、集中豪雨の起こる梅雨前線の前までの間に、施設能力が相当低下しているところで、問題、要するに国土交通省の抱えているすべての災害があそこに集中してしまう可能性がある。この緊急アピールをつくるときに、その中越地震対策みたいなもの、県も自治体もいろいろなところがあって、報道機関も注目していますので、それをぜひ意識して、土砂災害も含めた対策ができるようなアピールをつくらないといけないのではないかというふうに思います。ちょっとコメントです。
(委員) 話のフェーズがここなのかどうか、ちょっとわからないんですけれども、あえて発言させていただきます。新潟の豪雨から、いろいろなつい先日、中越地震まで、いろいろな災害をことしは私自身も経験しまして、それできょうここにこういう会議が、その教訓を生かそうということで持たれているんだろうと思うんですけれども。非常に根本的なところで苦になっていることがありまして、こういう経験を踏まえて、まさに今、ちゃんと情報を出そうじゃないかと。また、避難困難者の問題も何とかしようじゃないかと、どんどんいろいろな対策が反省を踏まえてやられようとしている。これはこれで僕は行政がやるべき重要な仕事だと思いますし、それはそれでいいということで論は待たないとは思うんですけれども。
 大変苦になっていることは、住民と行政の関係です。ある意味、どんどん防災という観点において大きな政府になっていっているんじゃないかなという感じがしているんです。それはどういうことかというと、例えば昨年の、きょうの資料の中にもありましたけれども、避難勧告が出ても住民が逃げない。そして僕が驚いたのは、昨年の5月26日の気仙沼での地震のときの津波の調査なんですけれども、津波の常襲地帯であるにもかかわらず、避難率が1.7%しかないと。その理由というのが、非常に防災意識が高い、防災訓練もやっている、津波の関心が高い。高いがゆえに、情報収集に走って避難はしないという変な構造になっているというような状況の中で、どんどん住民の行政に対する依存度、例えば情報に対する依存度、それから避難するときの避難所でのいろいろな対応をしてもらうのが当たり前という、その依存度。どんどん高まっていっているというのが現状のように思います。そうした中で、さらに行政の防災にかかわるサービスの向上が図られようとしているということの中で、僕は大きな問題点がこれから出てくるんじゃないかなというふうに思っております。  実は8月の後半から9月の後半にかけて、JICAの専門委員としてカリブ海へ行っておりました。ちょうどこのときにハリケーンのとてつもなく大きいのが、僕の行っている間に3つも来まして、その住民の対応というのを見たときに、明らかにその町の雰囲気の中に、いい意味でも悪い意味でも、住民は行政を当てにしないというのか、全く当てにしないと。つまり、カテゴリー5の平均風速が70メートルもするような、今まさにハリケーンが来ている。その前において行政が無力であることは当たり前で、すべての対応が無力になるのは当たり前。その中で自分がどう生き長らえるのかということに対して、みんな、個々人がすごく一生懸命になっている。ホームセンターには板を買いに走る人が長蛇の列をつくり、ろうそくはみんな買っていってしまい、最後は何かアロマテラピーですか、あのにおいの出るようなそんなろうそくまで売り切れてしまうような対応を、個々の住民が懸命にとっている。自分の命を自分で守るという、非常に根本的な鉄則ができているように思うんです。
 それに対して、日本へ帰ってきて直後にいろいろな災害があって対応していると、僕はアンケートをやって住民のフリーアンサーなんかを見ますと、情報は来なかったとか、避難所に行っても食べるものが十分になかったとか、文句ばっかりという状況を見ました。文句ばっかりというところに対して、だから問題なんだというふうに行政の方は考えておられるようなんですけれども、果たしてそうだろうかというのを、今、僕は非常に感じております。
 今、日本の災害ということに対しての社会的な構造というのはどういうふうになっているかというと、おそらく災害に対峙しているのは行政で、行政の加護の下に住民があるという、こういう構造になっているように思うんです。災害の対応がうまくいかない、それは先ほど櫻井先生の言葉をかりるならば、まさしく今の水害は想定外の想定外で起こっていると。だから対応できないわけです。そうすると、当然、そこに不備がいっぱい出てくる。それはみんな行政の批判とか行政の不満とか、そういう形で出てきている。
 ところが、カリブ海とかアメリカなんかでもそうなんでしょうけれども、僕が見た実感というのは、災害に対峙しているのは住民であり、地域社会であると。その地域社会、日本は、災害、行政、住民というこんな構造になっているのに対して、カリブ海で僕が見たのは、災害に対峙しているのは地域社会という一つの枠であって、その中に行政があり、住民があり。行政がやるべきことは行政として公助の部分で、住民は住民で自分のことを一生懸命にやる、これが自助であって、中にはやっぱりどうにも自分一人では対応できない人もある。これはみんながその地域社会でやってやるという共助の部分があると。災害に対して地域社会が対峙していて、その中に自助、共助、公助というのが横並列にあって、これが3つ、うまく機能して初めて地域防災力の高い社会というのができるように思うんです。
 カリブ海が、だからといって高いというわけではなくて、どれもこれもだめなものですからやられてしまうわけなんですが、日本の場合には幸いにも公助の部分も共助の部分もやろうと思えばできる素地がある社会だと思いますし、どうも欠けているのが、そこが大きくなりすぎて自助が押しつぶされているというような気がしてならないんです。
 その結果として、アンケートのこの今、フリーアンサーを見ているんですけれども、どれもこれも、何だ、文句ばっかりかよという、見ていて嫌になるような状況なわけです。ここは行政の方々は、やはり公僕として、行政サービスの向上、国民の福祉の向上ということにおいて邁進されていることは、それはそれで僕はいいことだとは思うんですけれども。その公助の部分が進むのであれば、それにバランスがあるだけの自助の部分が達成できるようなバランスというのがすごく必要になってきているように思うんです。それが崩れているものだから、避難勧告が出ても逃げない、もしくは避難勧告が出なきゃ逃げない、出ても逃げないというような非常に変な構造になってきてしまっていると思うんです。
 今、ひょっとしたら、今ここに上がっているいろいろな対策がこれから進もうとしている、個々個別の対策というのは、どれもこれも重要なことで、もちろん早く的確な情報が流されるようになるということは重要なことだという認識は持ちますけれども、その一方で、これが進めば進むほど、また災害過保護という言葉を使うのは言い過ぎかもしれませんが、災害過保護というのか、過剰な行政依存の住民というのか、それをさらに助長するようなことを心配します。それがなきよう、自助の部分を進めるという、そのバランスの中で進めるような対応を考えていかないと、どうもこの施策の体系の中に、住民に対して何かを求めるというところがなくて、いっぱいいっぱいサービスをしますと、また書いてあるようにも思うんです。そんなことはないですか。その辺、もしコメントがあれば。
(事務局) 私はたまたま内閣の防災にいて、防災伝搬の話をやったんですけれど、今、先生がおっしゃるような問題意識が全体にありまして、阪神だってだんだん風化して、阪神が残したのは何なんだということで、やはりそういうところのものにやっていこうと、全体は思ってやっていて。例えば今度の水害の例でいうと、例えば情報の出し方が、この前の由良川のバスみたいなのありますね。そうすると、どこでちゃんと封鎖しているというか、だれかがきちんとした管理した情報を与えないとだめなのかというのじゃなくて、ほんとうはナビゲーションなのか何かわからないけれど、広く危険情報みたいなのは、バスの運転手も何も共有していれば、おのずと自分のサバイバル的に考えてああいうことは起きなかったと。だから去年の、その似たような話は、北海道の日高のあれも、国道はきちんととめたんだけど、たまたまちゃんと管理していない道道へ行ったらだめだったとか。それは何か今、与えられる情報で、何か管理社会でやるというのは防災ではだめだなというのは、ここ数年の大きな問題意識で、今回ももう今の情報一つもそうなんですけれど、そういうところに気をつけたようなアウトプットの出し方を、当然のことをしないといけないなとは認識しておりますので、今後またよろしくご指導をお願いしたいと思います。
(座長) 前提に少子高齢化とか、土地の集落の防災力が落ちているとかって認識もある中でどうやっていくかということも、この検討会の中で出てくるんじゃないかと思います。それから、きょうはあえて月末に緊急アピールということでしたので、当面する課題、特に避難問題に集中したと思います。事務局では現地視察も計画しているようですし、それぞれ災害が起こったところには、それぞれの課題もあると思いますので、それらも含めて次回は網羅的にというか、もう少し中長期的な課題にも広げて議論していただくように、事務局で資料をつくっていただきたいと思います。特に、きょう議論できたものは、おそらく緊急アピールの大きなバックボーンになると思いますので、事務局で整理していただければありがたいと思います。
 時間が過ぎましたので、ここで締めさせていただきます。本議題につきましては、短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。次回は、本日の議論を踏まえ、現状の豪雨災害対策の課題とその対応のあり方を中心に審議をいただきたいと思います。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議事は以上でございます。





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