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第5回豪雨災害対策総合政策委員会
(議事録)


2.議事
総合的な豪雨災害対策の推進について

(委員長) 本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。それでは議事に入ります。
 本日は前回の議論も踏まえ、本委員会としての総合的な政策提言のとりまとめについて審議を行いたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の○○でございます。座ってお話をさせていただきます。
 本日は資料−1のほうで「総合的な豪雨災害対策の推進について」という、この委員会の提言のたたき台をまとめてみておりますので、これをご審議をお願いしたいと思っております。恐縮でございますが、資料一番最後にA4を横長にしました「緊急提言における施策の体系」というのがございますけれども、ご案内のとおり11月末、12月初めに緊急提言をおまとめをいただきまして、その中で、この紙にございましたように、左側のように大きく5つのテーマがあって、緊急時の情報を受け手側の情報へ、2つ目が平常時からの情報の共有、3つ目が減災ということのための施設、ハードのほうの機能維持向上と危機管理体制、それから早く安全にするためのいろんな土地利用なんかも考えました整備手法、それから地域の防災力の構築ということでございました。
 繰り返しでございますが、真ん中に緊急提言で提言をいただきましたものの骨子的なものを書いてございます。一番右にそのときに残されました課題というか、引き続き検討すべきものとしまして右側に、避難勧告の発令基準の明確化、それから管理水準の区分その他がございます。
 恐縮ですが、資料1の1枚おめくりいただきますと、この提言の素案の目次の案をつけさせていただいてございます。今、お話を申し上げました一番右の欄でございました引き続き検討すべき事項という中につきまして、前回までご審議をいただいたところでありますが。大きく分けてみますと、この目次の構成で見ていただければと思いますが、1の「緊急提言と検討課題」というのは、いわゆる少しイントロと言いますか入り口でございますが。先ほど申し上げました幾つかの項目につきまして、大きく分けると2番の1つは土地利用だとか、いろんなものを考えました中で、どちらかというと画一的と言いますか、同じような形で治水対策だとか安全性の確保をやったり、それから管理におきましても、結構どこも同じようにというものを、少し内容をきちんと厳密化と言いますか区分することによりまして、やるべきものはしっかりとやってというようなことをはっきりさせようと、そういうめり張りをつけた形を整備の世界におきましても、管理の世界におきましてもということで、大きく2番でくくってございます。これが1つの今後の防災、河川行政・砂防行政・海岸行政での一つの大きな柱になるものかと思います。
 それから3は、今回幾つか、先ほど出ています項目を見ますと、これまで各河川とか砂防とか海岸の行政というのが、施設管理者等としての行政としてしっかりやっていくというのがあるんでございますが。一方、やはり地域の防災力と相まって初めて効果を発揮するものでございますので、そういう問題が昨年の災害ではたくさん課題としてやはり浮かび上がってございます。こういうことに対して本格的な支援というのを情報の面でも、十分でないかもしれませんが復旧・復興その他の面でもしていくべきではないかというのを3番として大きくくくらせていただいております。
 それから次のページでございますが、その他ということで4番、その他の項目をと、こういう構成で大きくとらえて見られるのかと思って、まとめてみております。
 たたき台のたたき台と思いますが、とりあえず文章でざっと書かせていただいておりますので、恐縮でございますが、さっと読み上げさせていただいたほうがいいかと思いますので、若干の時間をいただきまして「はじめに」以降読ませていただきます。
(事務局) では、提言(素案)を読ませていただきます。1ページ目からお願いいたします。
はじめに
 自然的・社会的条件から災害に対して脆弱な国土構造を有する我が国においては、古くより水害・土砂災害・高潮災害等についての防災対策が行われ、これまでの我が国の発展を支える社会経済活動の基盤が整備されてきた。
 こうした中、昨年は、梅雨期の集中豪雨や度重なる台風の上陸により、全国各地で激甚な水害、土砂災害及び高潮災害が数多く発生した。これらは、未だ災害に対する整備水準が低いことも大きな要因であるが、近年の集中豪雨の増加などの自然的状況の変化や、少子高齢化などの社会的状況の変化に起因した新たな災害の様相を呈するものでもあった。
 安全で安心できる社会の形成を図るためには、昨年の災害から浮かび上がった新たな課題に的確に対応すべく、これまでの災害対策を総点検し、その抜本的な改善を図る必要があり、本委員会が昨年11月に設けられた。検討すべき内容が多岐にわたるため、まず緊急に対応すべき事項について同年12月に「総合的な豪雨災害対策についての緊急提言」(以下、「緊急提言」と言う。)としてとりまとめた。
 緊急提言では、まず、昨年の一連の災害の特徴を自然的状況と社会的状況の変化の両面から分析し、今後の豪雨災害対策の基本的方向を示すとともに、情報関係を中心に、早急に具体化を図るべき施策について提案した。
 その後、本委員会は、防災施設等の計画・整備・管理のあり方や地域の防災力の向上についての審議を進め、今後の河川・砂防・管理・海岸行政において取り組むべき施策等について本提言をとりまとめた。
 緊急提言を受け、昨年12月に国土交通省において「豪雨災害対策緊急アクションプラン」が策定され、現在、着々と関係する制度や体制の整備、必要な事業実施が図られてきている。本提言についても、速やかにその具体化を図り、安全で安心できる社会とするための豪雨災害対策を強力に推進すべきである。
 1.緊急提言と検討課題
 a.緊急提言で示した対策の基本的方向
 昨年の水害、土砂災害、高潮災害から明らかになった自然的・社会的状況の変化による新たな課題に的確に対応し、できるだけ早急に安全度を高めるとともに、災害が発生した場合でも被害を最小化する「減災」を図ることが、今後の災害対策の基本的命題である。
 緊急提言においては、今後はこれまでの災害対策から、以下の内容に重点をおいた災害対策に大きく転換すべきであるとした。
 1ソフト対策とハード整備が一体となった減災体制の確立
 2災害安全度の早期向上のための多様な整備手法の導入、既存施設の有効活用、管理の高度化
 そのため、提供する災害時情報の送り手情報から受け手情報へ転換、必要な防災関係情報が平常時から共有される社会への転換、巨大な自然の外力が発生しても壊滅的被害とならないための施設や体制の整備、効果的・効率的に安全を確保するための多様な計画・整備・管理の展開、地域の防災力の再構築を行うべきであるとも提言した。
 このための具体的施策については、河川・砂防・海岸の各行政機関が自ら行う情報提供や地域で実施する水防活動等に関する施策を中心に、早急に具体化を図るべきものとして緊急提言において提案した。
 b.新たな河川・砂防・海岸行政の展開
 近年の社会経済状況を踏まえ、これまでの災害対策行政を抜本的に見直し、緊急提言に加え、以下のような新たな施策を実施していくべきである。
 1土地利用状況等を踏まえた効果的・効率的な計画・整備・管理
 これまでは、個別の地域・箇所等の状況に関わらず、ある程度画一的な水準での計画・整備・管理が行われてきている。今後は、被災した場合に回復不可能な人命についての被害や地域社会に甚大な影響を与える被害を早期にかつ確実に減少するよう、土地利用や住まい方の状況等を踏まえ、画一的でなく個々の必要性に応じた安全度、品質等の確保を図る方策を導入すべきである。
 2地域の防災力向上への本格的支援
 これまでの河川・砂防・海岸の各行政は、各施設管理者等としての役割に特化してきたきらいがある。自助・共助・公助がバランスよく機能してはじめて安全が確保されるものであるため、地域の防災力向上も本来の重要な使命として取り組むべきである。
 3その他効果的な減災対策の推進
 2.土地利用状況等を踏まえた効果的・効率的な計画・整備・管理
 災害対策を効果的・効率的に進めるには、計画・設計・整備・維持管理・危機管理等の各場面において、画一的な水準を確保するという考え方をとるのではなく、被災した場合の地域社会への影響の状況等で区分し、それぞれの箇所、施設、部材等に応じた安全度や品質等の確保を図るようにすべきである。特に、人口の減少、土地開発の鈍化、投資余力の減退等、最近及び今後の我が国の社会経済状況の変化を考えれば、今後の災害対策にとって重要である。
 国民が等しく災害からの安全を享受できるようにすることを災害対策の基本としつつ、効果的・効率的な対策により早期に各地域における安全度向上が図られ、必要性に応じたより厳密な維持管理がなされるよう、以下の施策を実施すべきである。
 (1)土地利用状況等を踏まえた災害対策
 a.基本的考え方
 これまでの治水対策は、防御される氾濫域の様々な将来の土地利用の可能性を考え、現在の土地利用に関わらずほぼすべての河川の区間での同様の安全度を確保すべく、同一機能を持つ連続した堤防を築造する手法等がとられてきた。しかしながら、集中豪雨の頻発等を踏まえ、また投資余力が限られる中で、水系全体の安全度を確実かつ早急に向上させていく必要がある。今後は、人口減や開発圧力の減少等といった氾濫域内の土地利用状況を踏まえ、守るべき対象を明確にして、効果的・効率的な整備を進める。
 また、昨年の災害では現況の施設能力を超える洪水が発生し、郊外部での破堤に比べ大きな被害となる市街地部での破堤が多く生じた。集中豪雨の影響を受けやすい中小河川では、今後もこのような超過洪水の発生が予想され、仮に災害が発生する場合でも、市街地部での破堤は回避できるようにするなど、水系全体として壊滅的な被害とならないための対策を講ずる。
 b.具体的施策
 1土地利用状況に応じた安全度確保方策の体系的制度化
 氾濫域の土地利用状況に応じて必要な治水安全度を設定し、これに合わせ、従来からの連続堤防方式でなく、輪中堤の築造や宅地等のかさ上げ・移転等により宅地等を早期に安全にする方式を、治水対策の重要な手法として進める。このため、治水安全度とその設定方法等について整理し、地域の土地利用、意向等にも適合した手法としての体系的制度を確立する。
 2効果的な災害対策の観点からの土地利用の誘導
 従前から遊水機能を有し、水系全体の治水安全度の確保の観点からその機能が今後も維持されることが望ましい区域、治水安全度が元来低く、土地利用にあたって相当の安全確保対策が必要となる区域等については、土地利用状況を踏まえた治水対策を実施するとともに、治水対策の方針を反映した土地利用への誘導を図る。このため、治水計画と土地利用計画との調整、並びにそのための地域合意形成を図る仕組みを構築する。
 3中小河川における減災を図るための超過洪水対策の実施
 集中豪雨の影響を受けやすい中小河川において、施設能力を超える洪水が発生した場合にも、市街地部での破堤は回避できるよう、遊水地域の確保、市街地部の河川の堤防強化等を図る。その際、洪水位が急激に上昇する一方、高い水位が短時間しか継続しない中小河川の特性を考慮した施設設計とする。
 (2)防災施設等の機能維持のための管理基準
 a.基本的考え方
 昨年は多くの地域で、破堤をはじめとした防災施設の破壊により甚大な被害が発生した。施設規模を超える自然の外力の発生が原因であるとはいえ、地域の防災力の低下、水防体制の脆弱化等が進行する中で、機能維持としての管理の重要性がより一層再認識された。
 また、管理施設が増加する一方で、限られた予算と管理体制の中で効率的に維持管理を充実させていくことが大きな課題となっている。特に、都道府県が管理する中小河川においては、財政事情等の問題から、堤防等の施設の点検も十分行われていない場合が見受けられた。
 これまでは、管理内容について特段の基準を定めず個々の河川ごとに必要と考えた管理が実施されてきたが、最低限必要な管理内容は何かといった点が不明確で経験的に行われてきたため、結果として本来必要な管理内容に対して実際行った管理内容に不足や無駄があった可能性がある。このことは河川の区間レベルの問題としてだけでなく、個々の施設、その部材レベルでも同様である。
 これらのことから、最低限必要な機能維持としての管理内容を明確化することにより、確実に行うべき維持管理の適正化を図る。このことにより、費用の低減、環境との調和等も期待される。
 b.具体的施策
 1最低限行うべき維持管理基準の策定
 「どのような河川の区間では、どのような河川の機能が維持されるべきか、そのためにどのような管理をすべきか」を明らかにした上で、状態の監視・評価、維持、操作、改善等について最低限行うべき管理行為の内容や頻度等を具体的に定めた最低基準を策定する。
 その際、必要に応じ、河川の規模、氾濫域の状況等から想定される災害ポテンシャルの大きさ等を勘案して、管理基準をランク分けする。
 2河川ごとの管理方針・計画の策定
 的確な管理を行っていくためには、各河川の特性を踏まえ、最低基準にも照らし、各河川ごとに管理方針・計画を定め、公表する。また、策定にあたっての地域の理解を得るためのプロセス・手法等についても検討する。
 河川の管理方針・計画の策定にあたり、河川整備基本方針及び河川整備計画との総合性を確保する。さらに、状態の監視・評価、維持、操作、改善等といった一連の行為が相互に関連するサイクル型管理体系を構築する。併せて、今後の事後評価システムは、災害の有無にかかわらず出水後に治水機能、施設状況等について評価するものにする。
 3施設・部材の整備・管理基準の策定
 施設や構造物を構成する部材等についても、全体として河川の機能が発揮されるように、例えば「洪水時に損壊してはならないもの」、「ある程度の損壊を許容するもの」などに評価・区分するなど、必要な機能、耐久性、品質等について基準化し、効率的な施設整備・更新・維持管理等を行う。
 3.地域の防災力向上への本格的支援
 河川・砂防・海岸の各行政は、災害から国民の生命・財産を守るという責務を有している。各行政は施設管理者等としての役割のみを果たせばよい訳ではない。災害対策は、自助・共助・公助がバランスよく機能してはじめて安全が確保されるものである。特に近年の少子高齢化などの社会状況の変化から地域の防災力の低下が懸念される中で、各行政は関係機関とも協力して地域の防災力の向上を強力に進めるべきである。
 今後は、河川・砂防・海岸の各行政は、その目的・責務を効果的に達成するために、地域の防災力の向上も本来の重要な使命として、以下の施策について具体化に向けて取り組むべきである。
(1)的確な避難等のための情報提供体制の充実
 a.基本的考え方
 市町村長は、避難を伴うような豪雨災害に遭遇する機会が少なく、また災害事象に必ずしも精通している訳でもない。市町村長が避難勧告等の発令を円滑に行えるようにするため、その目安となる河川水位、土砂現象等の情報の充実を図る。併せて、河川の状況、斜面の状況、洪水氾濫の被災状況等の情報をわかりやすく提供することが必要である。
 住民が避難するために市町村からの避難勧告等が必要だという考え方だけでは、緊急時の行動が行政まかせになり、避難勧告等がないから避難しないといった受け身の対応になるおそれがあるので、危機管理上問題である。避難勧告等の情報の入手如何に関わらず、緊急時に住民自らが的確な判断・避難を行えるよう、現に生じている自然現象や災害状況の程度や事態の逼迫度など、全体の状況が理解できる情報を提供する必要がある。
 b.具体的施策
 1市町村長が的確に避難勧告等の発令をするための河川洪水警報、特別警戒水位情報、土砂災害警戒情報等の充実
 改正予定の水防法及び土砂災害防止法、別途検討された「避難勧告等の発令の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」等と整合を取り、発令の目安として活用できるように河川水位等の情報、土砂災害警報情報等の提供内容の充実を図る。その際、従来から発出している河川洪水警報等についても、避難等の判断の目安として活用できるように改善する。また、危険の程度をより明確に示すための新たな土砂災害警戒情報の提供を検討する。
 2災害を実感できる情報の提供
 市町村長等が避難勧告等の発令にあたって的確な判断を行えるよう、また住民等が避難勧告等の情報の入手如何に関わらず的確に行動できるよう、河川管理者等は、河川水位の縦断的変化、氾濫域の浸水状況、土砂災害の危険度を判断するのに有効な前兆現象の情報など、自然現象の変化や災害の拡がりを実感できる情報を提供する。そのための提供・伝達の体制を確立する。また、これらの情報を過去の同種情報との比較の形で提供することも検討する。
 3市町村等への支援体制の確立
 避難勧告等の発令にあたり緊急時に市町村長が行う状況判断に役立つよう、各種情報についての解説や今後の見通し等を河川管理者等から直接市町村長に助言する仕組みを構築する。
 緊急時に出される様々な情報について市町村が理解できるように、河川管理者等は平常時から市町村と連携強化を図り、市町村も参画できる防災研修や水防訓練等の充実などサポート体制を整備する。
 4わかりやすい情報への転換
 市町村や住民等が事態の逼迫度を理解できるよう、河川水位の計画高水位までの余裕、ダムの貯水残容量など、施設能力の余裕の減少の度合いがわかる情報を提供するなど、受け手の視点での情報の形に転換する。
 住民が情報の内容をより容易に理解し的確に避難ができるよう、画像、三次元デジタルデータ、図表等を用いたビジュアルな情報を繰り返し提供する。
 5情報の収集・提供体制の整備
 河川管理者等は、それぞれの必要性に応じ、全体の状況を迅速に把握できるよう、固定カメラの設置、移動カメラの配備、人工衛星の活用を含む上空からの観察撮影など、画像情報の収集方法の多元化など情報収集体制の充実を図る。
 インターネットや各種メディアなど多様な媒体も活用した住民等への情報提供、データ放送も可能になる地上デジタル放送の活用方策についても検討する。また、避難者が多く集まる避難場所への情報提供について、関係機関とも協力して体系的に実施する。
 (2)水防技術の向上と広域的な水防支援体制の確立
 a.基本的考え方
 現在の水防工法は旧来からのものが大半であるが、水防団員等の減少と高齢化等により従前の水防体制が弱体化していることを踏まえ、少人数や未経験者でも的確な水防活動が行えるよう、水防技術の向上を図るための新たな技術開発とその普及を進める。また、的確な水防活動のために、近隣の水防団等からの応援や水防資機材の広域的な調達支援を円滑に行う体制を構築する。
 b.具体的施策
 1水防技術開発の緊急実施
 従来の水防工法の現状を評価し、水防工法の簡易化、水防活動の機械化・高度化等に向けた技術開発とその普及を早急に図る。評価は産学官からなる適切な評価検討体制により実施する。
 2水防資機材の備蓄状況の総点検と改善
 水防資機材の備蓄状況等について全国的な総点検を行い、十分な水防活動ができるよう改善を図る。
 3広域的な水防支援体制の構築
 水害の状況等からみて当該市町村の水防団等のみでは十分な水防活動がなされないおそれがある場合に近隣の市町村の水防団等が水防支援する体制を構築する。
 緊急時に水防資機材の広域的調達が可能となるように、資機材の使用・在庫に関する情報の共有化や水防車両の配備・出動体制等を定めた行動計画の策定など河川管理者等間の広域的な支援体制を整備する。
 (3)被災後の復旧・復興への支援
a.基本的考え方
 被災者の復旧・復興に向けた活動に対して、各種情報の錯綜により対応が混乱する場合が多く、効果的な取り組みができないことがある。復旧・復興活動の中でも、氾濫水とともに家屋内に流入した大量の土砂、流木等の処理は家財道具の処分とあわせ、被災者とりわけ高齢者にとっては大きな負担となっている。住民の復興に向けた市町村の取り組みに対して、豪雨災害対策を担う河川・砂防・海岸行政も積極的な支援を図る。
 1被災者の後かたづけ等への支援
 被災者の後かたづけ等への市町村の支援活動に対し、河川管理者等は散水車等各種機器の調達などの支援を行う。また、被災者及び市町村のニーズを把握し、ボランティア等が容易に活動できる排泥器等の新機種の機器の開発、流木等の廃棄物のリサイクル技術の確立、泥、廃棄物の一時的処理場として河川敷地を円滑に利用するためのマニュアルの整備等、河川行政等の中での支援を検討する。
 2被災者支援センター設立への支援
 災害発生後、行政、NPO、ボランティア等が行う救助・救援・生活支援等に関する様々な情報・支援を、住民等がワンストップサービスで受けられるように、被災者支援センターを関係機関が協力して設置する。
 様々な機関が円滑な支援活動を一体となって行えるよう、河川の破堤、道路の通行止め等の被災情報、その後の復旧情報等を、地図・映像情報とも併せて正確・迅速に提供する防災情報共有プラットフォームを構築する。
 (4)防災教育等の推進
 a.基本的考え方
 市町村も住民も被災経験が少なくなり、地域で過去に生じた大きな災害の情報を知らないことが多くなっている。各種災害の性格とその危険性を知り、災害時にとるべき行動を知識として身につけておくための防災教育が体系的に実施されるよう、関係機関と連携し、河川管理者等は学校教育、地域ごとでの学習その他様々な場面において支援を展開する。
 b.具体的施策
 1学校教育での防災教育
 通常の授業時間や総合学習の時間における防災教育について、関係機関と連携し、出前講座制度等の活用、教材等の開発・提供などの支援を実施する。
 2地域の防災講座等の実施
 水防団、NPO、ボランティア等と連携して、職場や自治会等で地域防災講座の開催など、地域における防災教育を展開する。併せて、地域防災訓練等を実施する。
 3災害記録等の整理と優れた教材の開発
 地域の災害の危険性を認識してもらうため、過去の災害、地元のお年寄りの話、地名の分析など地域固有の災害の記録を整理し、これらを題材にして防災教育のための優れた教材の開発に努める。
 4災害の伝承者の登録・派遣体制の整備
 お年寄りなど過去に地域で生じた災害の経験者は災害の情報を後世に伝える上で貴重な役割を果たすことから、災害の語り部として防災教育の一端を担ってもらうため、人材の登録・派遣の仕組みを整備する。
 5防災教育支援行動計画の策定
 河川管理者等は、防災教育への支援を体系的に実施するため、以上の施策を総合的にとりまとめた支援行動計画を策定する。
 4.その他効果的な減災対策の推進
 1危機管理行動計画の策定
 これまでは、計画規模の外力に対して被害を発生させないよう施設整備を進めてきたが、自然現象を対象にする以上、施設能力を超える外力が発生する可能性が常にある。施設能力を超える外力が発生し施設が破壊した場合でも壊滅的な被害が生じないよう、危機管理体制を予め構築する。
 破堤等により災害状況が発生した場合でも救助・救援・復旧・復興のための行動を円滑に行えるよう、河川管理者等は県や市町村をはじめ防災関係機関と連携して、複数の被害想定に基づき、水害発生時の行動計画を定める。
 特に、利根川、淀川等の大河川が破堤氾濫した場合には、被災地域が極めて広域にわたり、甚大な被害が我が国の社会経済活動に極めて大きな影響を与えることが想定されるため、関係機関は一体となって国家的観点から大河川の氾濫時の危機管理行動計画を策定する。
 2大規模な豪雨災害等の原因究明等のための調査検討体制の確立
 ある規模の自然外力を対象にした治水等事業は平常時には事業の効果等を評価することは困難であり、災害が生じる規模の自然現象が発生した時点で事業の事後評価を適切に行うことが必要である。
 また、これまでは、各現地の必要性に応じて個別に原因究明等が実施されてきたが、類似災害の今後の発生防止に向けて、豪雨災害等について先端的な技術的観点から体系的に原因究明等を行い、その成果を今後の災害対策に適切に反映することが効果的・効率的である。
 事業の適切な事後評価と効果的な災害対策の実施に必要な知見の集積を目的として、一定規模以上の災害や特殊な災害等を対象に、迅速かつ機動的な調査・評価ができるように体制の整備を図る。
 3孤立化等を防止する施設の整備
 土砂災害等により、交通網等が遮断され役場や病院等の重要施設が孤立化する恐れのある地域では、災害時に人的被害の拡大や救助救援活動の困難が懸念される。
 渓流や海岸沿いに位置し迂回路のない地域で一定規模以上の人口等を有する地域を対象に、被害の拡大を防止し迅速な救助救援体制を講ずるため、災害時にあっても最低限の安全度を確保でき壊滅的な被害を緩和できるよう、重要施設を保全する防災施設を整備するとともに、情報伝達システムの二重化による通信のリタンダンシーの確保など必要な対策を講ずる。
 4流木災害対策の推進
 流木による河道閉塞等に起因する土砂災害が各地で発生したことから、森林整備と調整を図りながら、渓岸浸食対策、流木捕捉対策等を推進する。
 以上です。
(委員長) いいですか。ありがとうございました。
 総合的な豪雨災害対策の提言(素案)について説明いただきましたが、これについてご意見またご質問等ありましたら、ご発言をお願いいたします。
 少子高齢化社会と言っていますが、今回の災害を省みると、少子の問題というより高齢化のほうの問題じゃないかなと思うんですけど、いかがですか。
(事務局) 結論から言うと両方あったほうがいいと思うんですけれども。一つはやはり支える体制みたいなものがなくなってきているので、新潟の刈谷田川なんかでも保育園が孤立するわけですね。これは幼稚園ではなくて保育園だということが重要で、これは共働き社会を支えていると、少子化してみんな働かないといけなくなってまして、本当は洪水警報が出ていれば休園すべきところなんですけれども、やはり共働きで休園できなかったというお話を伺ったりしていますので。そういう幾つかの話題も含めて、全体の社会がそうなっているということで、お年寄りの問題としないほうが逆にいいとは思っていますけど。
(委員長) どうですかね。今の説明は子供がいるからの話でしょう。子供がいるから問題になっている点は昔とは変わらないでしょう。社会変化をして、お年寄りが家に閉じ込められたの、水防団がいないのというのは、昔から見て脆弱になってきたということであるけれども、保育園の問題というのは昔もあったし、今もあるわけでしょう。
(事務局) いえ、保育園だということは重要だと思うんですが。そうではなくて、核家族化だとかと同じことというより、核家族化なんかもあるんだろうと思うんですが、要は支える……
(委員長) 少子という現象が問題ではないんじゃないですか、今のは。
(事務局) 少子というのは子供という意味ではなくて、人口の全体の先細りみたいなものを全部含めて少子高齢化と言っているかと思いますので。
(委員長) だから、その少子だということは。
(事務局) 支える人が、昔はですね……
(委員長) 子供が多くて、子供を助けないといかんという問題だったら、保育園を守らなきゃいかんということであって、少子の問題じゃないしね。
(事務局) 結局、共働きをしないといけないようなことになっているということなんですね。それで共働きを支えるみたいなところに保育園が存在していると。雨が降って天気予報がなっても休園できないというのが現在の社会事情であります。
(委員長) だから、それは少子化の問題じゃなくて、男女共働社会とか、女性も働き出した社会の問題であって、今回の災害で、社会が脆弱になったとされた点は、少子化が起因して問題になったということではないんじゃないか。
(事務局) ちょっと、この話はあれですが。
(委員長) 今子供がいないから、いずれは将来もっと人口が減るとか何とかというのはあるかもしれませんけど。去年の災害で社会現象として顕著になってきたのは高齢化が非常に顕在化して、新聞ではお年寄りが閉じ込められたの、情報が入らなかったの、亡くなった方が高齢者だったというのは、明らかに社会構造の変化だということは言えると思うんですけども。少子高齢化とみんな一口にいうのは人口問題でとらえているけれども、災害の面から見て社会的に何が問題だったかといえば高齢化の問題ではなかったのか。
(事務局) あまりやりとりしてもあれでございますが。
 お年寄りの問題があることは事実なんですけれども、お年寄りの問題だけだと思われることが非常に問題ではないかと思っておりまして、それは核家族化であろうが、少子化であろうが、みんなまわりを助ける若い世代の人たちが、お年寄りもいてもいいんですけれども、助ける人がいればいいとか。それから、前はだんなが働いていればよかったのが、だんだん子供が少なくなってといいますか、働き手が少なくなっている中で、みんな共働きしているという社会になってきている、そういうところでいろんなものが働いている……
(委員長) どうもそれはいかがでしょう。結果のその結果というように、つながっている話をしているようでね。パンと聞かれたときに、去年の集中豪雨の増加などの自然的状況の変化、少子高齢化などの社会的変化といったときに、少子まで持ち出すのはちょっといかがかなと思います。パッと読んだ人がわかってはもらえないんじゃないかな。
(委員) ちょっといいですか。
 関連して申しますとね、やっぱり背景の整理が十分でないから、こんなことの議論になったと思うんですね。背景をただ単に常識的にというか、いろんな議論があるままに並べたら、今○○さんがおっしゃったように社会構造が変わってきて、今回の災害現象が非常に問題として顕在化したんだけども、それを一つ一つ詰めてないというところが少子高齢化からすぐに今回の提言に至っているというプロセスが見えにくいと。委員長がおっしゃるように、今回の問題で議論したところのほとんどは、むしろ高齢者が非常に大きな被害にあったとか、そういうことになっているので、その辺のなぞ解きといいますか仕組みが少し説明不足なんじゃないかなという気がしました。
 あまり上から論じてくると中身がないように思われるので、やっぱり具体的なものをきちっと出したほうが私はいいと思うんですけれども。一般的に今回の提言の中でさまざまな課題とか問題点が露呈したんですけれども、それに対する書き方が非常にはぐらかされているような感じがしまして、短い緊急提言の文章の中に、どういうことが問題であって、何をしなければいけないということが、密につながったような書き方がされてないところが少し気になったことが今の議論になっているんだと思うんですけれども。
 それと関係ないことでよろしいでしょうか。
 一つは緊急提言がございましたけども、緊急提言との関連性が比較的明確でないかなと。すなわち今度の政策提言には少し緊急提言の中身について触れておく必要があるんじゃないか。緊急提言でかなり大事な問題について手当てしてきた。私、前回も申し上げましたけれども、例えばストックの効用・活用とか、そういうふうなものについては、当然緊急提言で既に着手しているんだけれども、この着手は着手しただけに過ぎず、まだまだ手当てしていかなければいけない課題というのをいっぱい含んでいると思いますので。緊急提言でやったからということではなくて、やっぱりそれをきちっと推進していくためには引き続き検討すべきところにも書いていかないといけないし、今回必ずしも引き続き検討すべきことだけをこの災害対策の推進についてという文章にまとめるわけではないというところがちょっと指摘したいところでございます。
 もう1点は、水防のことについて書かれているんですけれども、水防には2つの側面があるということを書いていただきたいなと。1つは確かに施設対応、堤防とか治水構造物の施設をぎりぎりの段階で守ること、これが水防なんですけれども。もう1つは、特に今回の提言では避難とか、あるいはその避難の指示・勧告についても話が言及しているわけですけれども、そうなれば水防団の役割の中で避難路の確保であるとか、そういったところにも本来水防団というのは十分機能を発揮しなければいけないと思います。そうすると、例えば地方公共団体の首長からの避難勧告・避難指示の問題とともに、首長がいかに水防団への指示を出すかというところについても、やはり書き込んでいかなければならないのじゃないかなというのが1点です。
 あと少し気になったところが、超過洪水という表現と施設能力を超える洪水という2つの表現がありました。今まで超過洪水というのは、計画の外力を超える規模というふうに多分定義していたと思います。だから、治水の対応で超過洪水対応というのはスーパー堤防しかないというふうな表現をしてきたわけですけれども。今回の災害で非常に顕著になったことには、計画が進捗してないために現状の施設能力を超える外力が来ている。これに対して対応しなければいけないということが今回の問題であるんだけど、ちょっとごっちゃになっているような気がしたので、少し整理していただきたい。
 それから、災害の事後評価に言及されているんですけれども、これは評価のところで議論すべき問題かもしれないんですけれども。例えばダム・フォローアップで治水効果を議論されている中で、非常に小さな洪水であっても、洪水調節しました、これによって水位が30cmあるいは10cm低減しましたというのは、これは決して今回の災害対策の概念の中での治水効果じゃないと思うんですね。むしろ小さなときには、水位低減なんかする必要はないわけで、緊急事態をいかに意識した治水効果が取れたということの事後評価にうまく変えていかないと、単に事後評価とすると、小さなところで早めから実はダムが洪水調節をやったとか、ため込んじゃったというのは、プラスの評価のほうになっちゃう可能性がありますので、この辺が注意していただきたいという気がいたしました。
 ちょっと長々申しましたけれども、以上でございます。
(委員長) どうぞ、ご意見ある人。
(委員) よろしいでしょうか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 全体は、かなり検討し、書き込んでいただいたなとは思います。ただ、最初の2.土地利用状況等を踏まえた効果的・効率的な計画・整備・管理、これはこれで結構なんですが、私の個人的な趣味と言ったら怒られますけれども、私が個人的に考えてますのは、1.土地利用状況を踏まえた災害対策と2.防災施設等の機能維持のための管理基準、これは題名からすれば1が1で2が2だろうとは思うんですけど、本文の中にもありますように、これまでの管理基準につきましてはあいまいさがあったとか、管理内容に不足やむだがあった可能性があるとかまで書いています。一方、土地利用の話は前からずっと言われていることを書いただけで、流域治水の小委員会のときも同じような議論があって、これに近いことが議論されていたと私は思っています。
 新しく、また積極的にやらなければならないのは2番目の、1の(2)の防災施設の機能維持のための管理基準であろうと思います。とりわけ具体的施策の中で最低限行うべき維持管理基準の策定とか、河川ごとの管理方針、計画の策定とか、ここまで書いたら、河川の管理区間のどの部分でどの程度の危険性があるかということについて、相当の技術的な裏づけを持ってやっていかなければならないわけですよね。後のほうで書かれているソフト面での新しい施策がありますが、技術的なハード面、そしてソフト的に対応するうえからも、この部分は極めて重要な意味を持っていると思います。ここのところが今回の提言の中では、非常に重要な意味を持っていると思います。河川ごとに、この川のこの区間はどれだけの安全度レベルがあるのか、必要なのかということについて、相当真剣に検討するんだ、やるんだということだと思います。
 ただ気になるのは、6ページの1最低限行うべき維持管理基準の策定の下の2行なんですが、「その際、必要に応じ、河川の規模、氾濫域の状況等から想定される最大ポテンシャルの大きさ等を勘案して、管理基準をランク分けする」と。これはこの通りで別に新しいことではなくて、いつもこれを言っています。しかしこれを言うがために管理の基準が、すなわち危険度に対する管理基準があいまいになっていると私は思います。もちろんたくさんの人々が住んでいれば河川の重要度が高いのはわかっているんですけれども。川の中の洪水が流れたときに水位がどうなって流れて、どういうふうな危険があるかについては、まずは堤内地にどれだけの人が住んでいるからなんて言う前に、洪水自身がどんな流れ方をして、そのために堤防等のどの場所がどんなに危険かということをちゃんと技術的に裏づけて、最低行うべき維持管理の基準を考えることが必要で、どうしても被害ポテンシャルが大きいというところに話が行き過ぎてしまい、根本的に考える必要のある視点が抜け落ちてしまうことが心配です。都市が非常に大事であるというのはわかっているつもりなんですが、まずはこの土地利用の話の前に(2)防災施設等の維持・管理、機能維持のための管理基準を出して、こういうことをやるんだということをはっきりうたってもらえれば、随分河川の安全に対する施策のあり方も変わってくるだろうと思います。
 その点でお願いしたいのは、これはお任せいたしますけれども、土地利用の状況を踏まえた効果的・効率的な計画・整備・管理は重要ですけれども、今回の提言の新しさ、ウエートづけの意味で、(2)の防災施設の機能維持のための管理基準を前に出して、これまでの反省の中でしっかりとした維持管理基準を決めていくかということを明瞭に打ち出したということを示していただきたいというのが私の希望です。
 以上です。
(委員長) ちょっと今の意見に違う意見を申し上げたいんですけどね。
 今まで土地利用を踏まえてやってきたじゃないかと、例えば総合治水対策というのも大きく展開してきたんですけど。いわば少子高齢化という時代を見ると、過去に大都市圏に年間七、八十万人も人間がなだれ込んで来て、田んぼも畑も片っ端から都市化した時代とはもう違ってきているだろうと。ある程度土地利用も動かなくなってきた。したがって、今まで農地でも荒れ地でもみんなとにかく都市化前提ということで、河川技術屋さんは全部安全にしようと、日本中隅々まで安全にしようという思いでやってきたんだろうけど、そろそろ立ち止まって、今住んでいる場所、今の資産の集中しているところは確実に守りますよと。したがって政府の投じる治水事業が限度があるということになったら、限られた投資をどこにするんだという考え方をこの際取り入れたらどうだというのを、実は前回、私は申し上げたんです。ちょっと○○委員、おられなかったんで申し上げます。
 そういう意味で土地利用に関する河川技術屋さんの見方も少し立ち止まって考え直す時期じゃないかというのが、私としては提言したので、あえて1番に載せていただきました。だから1番と2番は両方とも重いというふうには思っていますし、特に2番のほうの、結局現場任せの、現場の第一線の人の判断に任せるのもあるけれども、結果的に災害が起こってみると全般的にどこを守るのかという視点がちょっと弱かったんじゃないかと思います。そういう意味で、どちらかと言ったら河川は工事をやるとか整備をやるということが主眼だったけど、やはりそれと相まって管理をしっかりやるというのが大きな柱だし、1、2、両方とも重いという点では私も同意見でございます。
(委員) 十分そこはわかっているつもりなんですが。委員長のおっしゃるとおりでかまいません。ただ、(2)の管理基準をどうするかについては、こういうことについて大事だと思っていたけど、これまでそれを本格的にやるんだと打ち出すことがなかなかできなかったことについて、総合的豪雨災害対策の推進の中で重要な項目として出てきたわけですよね。これが出てきた最大の理由は、今回の大きな豪雨災害で越流を起こしたり破堤をしたりして、これに対して河川技術者が技術的にどうだ、技術にこだわり過ぎだというんじゃなくて、やっていなかったことを今からやるんだということが私は大事だと申し上げたかったのです。ぜひこの点を具体化していただければよいと考えています。
 最後の質問なんですが、具体的にこういうことをすぐにでもやっていくつもりで書いているのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。少なくとも整備計画レベルでやるのかとかといった点です。
(委員長) いやいや、これは我々が提言する立場ですから、やりなさいと言っているわけだから。
(委員) やりなさいということですね、ごめんなさい、自分の立場を忘れていました。
(事務局) ご質問にちょっとだけ。
 多分ステップ・バイ・ステップでないとだめだと思いますので。今○○先生がおっしゃるように、すごいことをやらないといけないことになると逆にだめかもしれないですが、最低、維持管理として何を、草刈り一つでも何回しないといけないのかと、そういうこともちょっとクリアになっていないわけですので。さっきの個別の安全度が厳密でないとだめだと言われると、みんな逆に動かなくなってしまうかもしれないと思いますから、きちんとできること、やることは何なのかということをまずやって、それから各川でも自分たちのところの川はこんなふうにしていかないといけないということをつくっていくというステップを、これは提言をいただいたら、そういうふうなことをやっていこうということではございますけど。ちょっと安全度の厳密性までそこで全部出していけるかどうかについては、ちょっと今後の話かとは思います。少しステップ・バイ・ステップを許していただかないといけないとは思います。
(委員長) ちょっとつけ加えというか確認みたいなものですけれども。
 少子高齢化で資金もそんなに潤沢ではなくなってくるし、防災対策の要員も減ってきますよね。そういう状況を前提にして、やっぱり守るところは守ると。したがって、若干ランクの低いところはしょうがないということも前提の管理基準になるわけですね。お互いにそういう共通の理解が必要ですね。いいほうばっかり主張すると、どこも守れということになっちゃって、前と同じでしょうとなります。昔紹介しまして、先生もご承知でしょうけど、天塩川なんか、あんな長い川で人口の少ないところで全部水防活動をやれというのも無理な話となって、そうするとやっぱり拠点を防御する必要がある。管理においてもそういう濃淡を明らかにしたものになってくるんだろうと思うんですけどね。それが個別の河川管理基準に反映されることを期待したいと思うんです。
(委員) はい、期待したいと思います。
(委員長) 次の方。どうぞ、○○委員。
(委員) 今のお話の延長でちょっと大事な言葉が出て。安全度ですね。我々が提言する立場です。参考資料の補足資料に安全度とは、例えば輪中堤だとか幾つか例があるんですが。この例で何が安全度、堤防の安全度とはなんぞやというのを、やっぱりきちっと書かなきゃいけないと思います。
 それから4ページ目の4行目からこれが出てくるんですが、安全度と品質というのは何かというのがよく理解できないし、私が説明できない言葉なんで。これがずっと後の管理まで全部一貫した思想になりますので、土地の利用の流動性だとか、ここのところの言葉について少し整理をしていただきたいと思いました。
 それから14ページ目なんですが、孤立化の防止で、情報のことは書いてあるんですけれども、実際に孤立化したときに、これは国土交通行政、河川行政の一環で考えているアクセスの問題をやっぱり書いておかないといけないんではないかと思うんですね。孤立化支援対策というのは情報提供では飯は食えませんので、生活物資の確保というのは非常に重要な課題になるのではないかと思うんですよね。そういう観点で、我々が提言する立場で言えば、アクセスの問題もあわせて検討していただきたいというふうに思う次第であります。
 それから、情報のところは全体的に国に準備をしていただく、例えば情報なんかでいろんなコンテンツというか基本的な情報の整理等、それから特に9ページの場合、災害を実感できる情報の提供のときに、過去の情報との比較の形で提供するという、これは非常に重要なので、私は従来から個人的には主張をしているんですが、ぜひ河川行政、海岸行政等で国土環境データベースをこの際つくってほしいと。その中には災害履歴もあり、その地域の気象水理特性なんかが書かれているような水害管理にかかる理科年表みたいなものをつくる取り組みを始めていただくのが、それが伝承につながるはずなんで。
 例えば、この間の福岡の地震のとき、我々がパッと調べようとしたときに理科年表を見るんですね、地震被害履歴。当然政府がつくっていただいた日本の地震活動という非常に体系づけたものがあるんですが、残念ながらそこにはあまり詳しいことは載ってなくて、災害履歴を見ようとすると理科年表に頼る。水利水文に関する理科年表の部門というのは割と薄くて、なかなか調べられないというのが実態なので、この辺を少し書きたいなという感じはしております。
 以上であります。
(委員) よろしいでしょうか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 二、三、申し上げたいと思います。
 既にちょっと触れられていますが、この報告書は最終といいましょうか全体ですので、緊急に対応すべき施策ということを既に発表されているわけですが、それと併せて総体として取り扱っているという認識が薄いように感じます。例えば、ここは基本的な考え方と具体的な方策という組み合わせでやっていますので、その具体的方策のほうに緊急提言として出されたものを盛り込めば、この委員会で議論された全体としての内容を含むことになっていくんではないかと思います。
 次は4ページのところで、先ほど○○委員も指摘されたんですが、一番下の段落ですが、超過洪水というのと現況の施設能力を超える洪水との問題です。ここは計画論との区別をきちんと説明されるというのがいいのではないかと思います。
 それと、6ページの管理方針・計画の策定というのが2にございますが、これには時間軸がないんですね。これは毎年やるとするのか、何年ごとにやるとか、それを書き込まないと具体的にはならないんではないかと思います。
 11ページに被災者支援センター設立への支援があります。これは大変大事だと思いますが、ここには災害発生後やるんだと書いてあるんですね。これはやはりちょっと不足していて、行政、NPO、ボランティア等が平常時から人的に交流していて、防災情報の共有プラットフォームを段々作り上げ、それに基づいて具体的にどういう行動をするとか、あるいは役割分担をどうするかを議論し、あるいはいわゆる演習的なことも行うことが必要です。センターが常時存在していてこそ、こうした活動が可能になるので、常設であることが一番大事だというふうに私は思います。
 それから12ページの学校防災教育があります。具体的施策として1から挙がっていますが、じゃあ、それぞれがどういうふうに関係しているのか。あるいはここでは支援行動計画を策定するとありますが、この中にどういう項目を含めないといけないのか。それはいわば1から4までのようなものをどう組み合わせるかということです。具体的施策というからには、そういう各項目の関係をどう考えるのかというところまで踏み込むのが望ましいというふうに思います。以上です。
(委員長) はい、○○委員。
(委員) 地域防災力の向上の本格的な支援という形の中で、情報提供体制について大分しっかり書き込んでいただいているということで、現場におります首長としては非常に情報をたくさんいただけるということでありがたい形になっています。
 9ページのちょうど3のところで、市町村が理解できるように河川管理者等は平常時から市町村と連携を図っていろんなことを研修等をやっていただけるということ。これも非常にありがたい話だと思っております。
 ただここで一つお願いしたいのは、この市町村というときの市町村の中で、避難勧告の判断をする首長が判断するための判断基準というようなものをしっかり頭にたたき込ませるような、そういう研修か何かやっていただけるとありがたいなと考えます。と申しますのは、本来これが8ページの下のほうに書いてあります、判断・伝達マニュアル作成ガイドラインのところで議論されているのかもしれませんけれども。情報はたくさんいただいて、そのいただいた情報の中で今度は自分が政治的な判断として避難命令を出さざるを得ないという形になったときに、かえって情報過多になって判断ができかねるという話になりかねないかなというような気がしておりまして、そこの点をちょっと心配しておりますので。
 情報はたくさんいただきますが、そのときに、こういう状況になったらこうしなさいよと、そこのところを簡単につくっていただけるようなものがあるとありがたいかなと思います。これは余分な話というか、ここで書き込む話じゃないと思いますが、そうしていただけるとありがたい。情報が必要だ必要だと言いまして、たくさんの情報をいただいちゃって、いただいたものが消化できなくなるということがございますので、そこの点をひとつご配慮いただければありがたいというふうに思っております。
 それからあえて余分な話を申し上げますが、現在行われております三位一体の改革の議論は基本的には受益と負担のアンバランスから出てきている財源不足をどうするかということがポイントだと思っています。その中で自分のところがこうなっちゃ困るよと、一生懸命に自分のところに負担がこないようにということで、それぞれの団体、頑張っていますけれども、それぞれの皆さん方、頭の中には別のコンセンサスがあると思っているんですよ。というのは、ちょっと受益が大き過ぎちゃっているから、その受益を何とか減らすようなことはしていかないとしょうがないよねということです。だから今回の6団体の案にもなっているし、最終的に数字合わせだと言われながら、数字ができてきたということがあるんだと思っております。ただ、お互いしょうがないんだよねっていうところが、どうも強く意識され過ぎちゃうと、本来の姿について見失っちゃうんじゃないかなと危惧しております。
 決してこの4ページに書いてある「投資余力が限られる中で」ということを否定するつもりはありません。現状においてはそうですから、この緊急提言という中では、これはそういうふうにしていかなくちゃいけないと思います。だけども、それだけでいいのかなというのをいつも思っておりまして、決してここで書いてくださいという意味じゃありません。多分別のところで考えていると思いますし、それは当然当たり前の話だよということですが、それが多分この13ページのところの利根川、淀川の大河川が破堤氾濫した場合はというところに書いてあるんだというふうに私は思っております。
 地震の場合に今被害想定で、どこで何が起こる、あした起こるかもしれないというような形で、大都市圏で、例えば東京でどこでどういう地震が起こったときに、どういう被害が出てくるか、だからどう対策をしなくちゃいけないということで、耐震構造の学校を、どんどん耐震補強しなさいよと、こんな言い方をしているわけです。ところが河川について考えてみれば、地震が1000年というような長いタームでの確率で危機感を宣伝している。河川の場合、利根川でもたかだか200年ですか、洪水確率というのは。そういう確率の中で起こりうる災害です。そういうことからすると河川局としても遠慮せずに、財政状況に配慮せずに守らなくちゃいけない極めて重要なところについてどうするのかということはそれをまず前提とした上でこういう緊急提言を出しているんだという整理をする必要があるのではないでしょうか。13ページに危機管理行動計画の策定のところだけ利根川、淀川というのが出てきますと、なんかちょっと対象がぼけてしまうのではという感じがしたというのが1点ございます。以上です。
(河川局長) 委員長、よろしいでしょうか。
(委員長) どうぞ。
(河川局長) 一、二、整理していただきたいことがあるんですけれども。
 1つは、今回は緊急提言をいただいて、それから残りの部分についてご議論をいただいた分をまとめたという感じで資料ができているんですけれども、最終提言の形にもっていくのにあたって、それを両方合わせた形で、緊急提言を読まなくても最終提言を読めば今後の方向性が出てくるという形にすべきであれば、次回までにそのような整理をさせていただきたいと思います。これ1点、ちょっと整理していただきたいと思います。
 それからもう1点、これは超過洪水というのと能力を超えるというところの話とも関係するんですが。主に中小河川の豪雨対策という形でこの委員会の議論を集中的にやっていただきたいという気持ちがこちらのほうとしてはあったわけです。今○○委員からお話がありました、結局計画まである程度近くまでできているんだけれども、いざというとき、それを超えるような天変地異が起こったときの話というのを入れていくと、ちょっとぼけてくるところはあるんです。それでいきますと、整備途上において集中豪雨みたいなものがあったときにどうするのかというところがメインではないかなと思っているんです。そうしますと、情報の関係だとか、能力を超える豪雨、今まで経験したことのないようなものが起こったときに対応できるようなハードあるいは情報関係も含めて地域の水災防止能力を高めていくという、そこのところを強く幾つかのポイントに分けてご提言をいただくと、緊急的な対応も含めてでありますけども、これからの対応がしやすくなってくるかなと思うんですが。
 この2点について方向性を示していただきますと、事務局としては整理しやすくなってくるんですけど。
(委員長) 第1点は、この会議の終わりごろに、緊急提言の関係が委員お二人からもありましたし、やはり緊急提言とこの提言を合わせて、要するに両方読みなさいではなくて、1つ読めば全体が、今回の委員会の結論がわかるというほうがいいんではないかなと、私としては最後に議事整理しようと思っていました。
 それから2番目の問題は、若干私の意見を先に言わせてもらうと、河川技術屋さんというのは、私も含めてですけれども、計画ありきなんですね。計画の中だったら守らないといかん、外だったら守らなくていいとしています。ところがそんな計画が完成したところなんか日本じゅうほとんどなくて、いわば整備途上なんですね。途上のときにどう守るか、その施設を超える能力に対して、いかに災害重篤度のレベルを減らすかというのが本来であって、そのための安全度を少しずつ高めるのが工事ではないかと思うんです。皮相的には計画ができるまではどうなっても氾濫してもかまわないとしていますが、本当は違います。先人たちはやっぱり都市部から築堤していくとか、防御の緊急性のあるところから手をつけてきたわけです。それでなおかつ施設能力を超えたときは、その外力をどこで放散させるか正直いうと、今回の円山川も市街地じゃなくて対岸の農地で氾濫したんで、その結果を意図していたかどうかは別として、結果的にはよかったんではないかと思います。そういう国土の管理のあり方が問われていると思います。
 たまたま今回は中小河川ではあったかもしれないけど、私も山陽新幹線で、23号台風に閉じ込められましたけど、あの台風は時速何キロでしたか、七、八時間で近畿を横断したんですかね。あれが2日ぐらい横たわっていたら、僕は淀川が大氾濫したんじゃないかと思います。したがって、今回の災害は単なる大河川氾濫に対する警戒警報であって、決して中小河川だけの問題として理解しないほうがいいんではないかと思います。治水事業の進め方の中で、利根川も淀川も次の出水の予備群としてあるんだという前提で考えたい。今までは予算が無限にあるから、ちょっと待ってください、氾濫したらすぐにやりますよと言えたけれども、予算が限られた中で拠点をどう整備してやっていくかというやり方。江戸時代にしてもそういう形で、田んぼには人が住まないで人家は高台にあったというのが当たり前でした。大都市圏の膨張で東京圏の田園地帯にみんな家が建っちゃったという現象を経験しました。今後は、これから人口が減っていく、人口が移動しない時代を迎えます。もう少し原点にかえって拠点を守る守り方をするほうがいいんじゃないかなと思います。これは私の長い間考えて来た結論であります。
 そういうことで中小河川が顕在化したけど、やっぱり治水全般で、一つは高齢化社会だとか、それから今まで降らないはずの雨が最近はよく降るという前提の中で、災害をどうコントロール――コントロールという言い方は悪いですけど、災害重篤度・激甚度をいかに引き下げるかというやり方じゃないかなというのが、私の意見なんです。また委員の皆さんは別な意見があるかもしれませんけれども。
 ご諮問もあまり中小河川というお話じゃなくて、豪雨災害ということでしたので、やっぱり大河川も見つつ守る手段のメニューを多様化するということじゃないのかなと私は思っております。
(河川局長) 2点目につきましては、そこまで幅広にご提言いただけるほうが我々としてもありがたいと思いますので。中小河川を特出しするかどうかも含めて、まとめの段階でご整理いただければありがたいと思います。
(委員長) はい、○○委員からどうぞ。
(委員) 今の局長の2点目のお話にも関係するかと思うんですが。
 まずこの素案なんですけど、全般的にはまあ河川行政ですね、なかなか行き詰まっているところがあって、それを少し変わろうとしているのかなという感じが、全体としては伝わってきまして、総論的には高く評価できるんじゃないかというふうに思っています。
 ただ、幾つか気になるところがありまして、1つは先ほど局長が言われた2点目の話なんですけれども。これは前もちょっと申し上げたんですが、この報告書ですと8ページがあって、市町村の扱い方っていうのがどうなのかというふうに思ってまして。例えば情報の受け手という形で市町村と住民を一緒に扱っておられますよね。しかし、理論的には市町村と住民は違うんですよね。市町村は行政側の話といいますかね、河川局からみると何か市町村長さんにもわかるように言うと、わかるように言うという点では市町村長と住民は同じであるという感覚なのかもわかりませんけれども、それはもうとんでもないことで、市町村と住民の間には大きな差がございます。行政側と住民側では全く違うということです。
 そういう点でいいますと、ちょっと市町村に甘すぎるというのが私の考えで、情報を出せと言ったり出し過ぎるなと言ってみたりしてますけど、やっぱり防災の基本単位ですから、素人じゃ困るんですよね。現行法上は自分自身が責任の主体であるということですから、そこはもっと第一線なんだという自覚をもってやってもらわないと困るし、もしそれでやり切れないと、能力に問題があるんだということになりますと、現在の防災の単位に問題があるということですから、現行法を何とか変えないといけないということだと思いますね。
 その点については、だから理解できるようにするとかですね、さしあたって暫定的にそういうことがあるかもしれませんけれども、本当の緊急事態ということになれば、これは危機管理という話で13ページの話になってくるんだと思いますが、もっと国なり県なり、あるいは防災の単位をもう少し考え直すなり。それから単に助言とかそんな話ではないので、助言して相手がわからなければしょうがありませんので、そこはちゃんと責任を持って、どこかが責任を持ってやってくださらないと困る。ということで、最終的な文章のつくり方はいろいろでしょうけれども、市町村の話と住民を一緒にしないでほしいということで1点、申し上げたいと思います。
 それからもう一つはその点とも関連するんですけれども、6ページの維持管理基準の話というのがありまして、これも内容的には、基本的になかなかおもしろいというふうに思っております。ただ、ちょっとイメージがよくわからないのは、最低基準というふうにいった場合には、これは普通はナショナルミニマムとかというのが頭に上がって、画一的にやりますよというのが最低基準の普通の概念ですよね。ですけども、それを各河川ごとに違うとか、状況によって違うとか、何といいますか、どうも管理させる現場のところに少しある種の裁量を持たせるような意味合いがあるような、ないようなという感じで分かれていて、いま一つイメージがわかない。1級河川の場合どうか、2級河川の場合はどうなのか、それから指定区間はどうなのか、それ以外の区間ではどうなのかというところの整理がどういうふうになっているのかなというのはぜひご説明いただければいいと思いますし。それから別に概念にとらわれる必要はありませんので、現実に動くような形で基準をつくっていくということで、次の時代の河川管理のあり方の先駆け的なものになれば、それはそれでいいと思いますが、そこのところをもう少し詰めて、さらに進化させていただけるといいと思います。
 それから後は細かいところでは、水防の話があったんですけれども、これも総体的にいいますと、ちょっと水防の話はやっぱりあまり展望がないので、できれば水防を充実するというプロパーの話じゃなくて、ほかの関係省庁ですよね、消防庁の肩を持つ気はないんですけれども、しかしながらその水防団の充実はなかなか厳しいかなというのが感触としては持っているところです。
 それから事後評価の話は、これは私は本省の方に申し上げたいと思っているんですが、評価の話は少し膠着化していると思っておりまして、もうワンランク質的にアップしないと、せっかく始めてこれだけ手間隙かけて事後評価をやっているのに、その評価自体が硬直化しつつあるので、やり方含めて少し考えてほしいなということは全般的に思っているところです。
 それからもう1点だけ。少子高齢化の話があったんですけれども。そうですね、少子高齢化は最初からそうなんですが、ただのスローガンと化しているところがあって。この間ある人と話していたら、ずっと「高子少齢化」って言っておられて、いかにも中身がないんだなということがよくわかったんですけれども。確かに話は少子の話ではなくて高齢化の話であると。それから多分言いたいことは、雇用形態が変化していて家に人がいないんですよね。家族は大体日中バラバラになっていると。そういう人口分布というんですかね、昼間の人口のあり方というのがある。そこが問題で、子供のことを親が守れない、おじいさんを子供が守れないと、そういう状況があるので、人口形態とか就業形態とか、そういうところにむしろ問題があるということなんで、少子高齢化と言わないで、そういうふうに分けて書いてもいいかなと思いますね。
 それからあと、幼稚園、保育所の話は、これは前に申し上げたところですけれども、両者の違いは厚労省と文部科学省は違うとずっと言い続けているわけです。だけれどもそうじゃなくて機能は同じでして、そうであるのにここで重ねて保育所だから違うんだというふうに言うのは時代錯誤といいますか、ちょっとわかってないんじゃないかという感じがします。そういうことを前提に用語は使っていただきたいということでございます。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 先ほどの河川局長の緊急提言との関係については、委員長がおっしゃる整理に賛成でございます。
 2点目につきましても、中小河川というわけではなくて幅広に考えるという整理でしたが、私1回目にも申し上げましたが、やはり高潮災害というのをきちんと考えると、雨が降らないということも想定に入れるんですねということはご質問して、そういうふうに考えて提言してくださいというご回答だったと思うんですが。1ページ目にきちんと水害、土砂災害、高潮災害とうたっている割には、高潮災害を受ける具体的なメニューが全くないのが非常に気になります。これは津波と同じで、国土交通省だけでできるものではありませんが、気象庁と連携しながら、おそらく避難支援情報まで行き着くにはまだまだ穴のあるところがいっぱいあって、その一部については国土交通省も責任を果たしていくべきだというふうに思いますので、ぜひ具体的なメニューの中に高潮災害に対する避難支援情報の提供に結びつくような施策を書き込むべきではないかというふうに思います。
 あと2点ほど簡単にお話しさせていただきたいと思いますが、先ほど○○委員のほうから安全度という言葉の使い方に関して整理したほうがいいんではないかということがございましたが、私も似たような印象を持ちまして、4ページ目で特に「水系全体の安全度を上げるためにはめり張りが必要」だとか、あるいは「市街地が重要で水系全体として安全度がある」というふうに書いてあるんですが、これは素直に読むとというか自然に読むと、むしろ水系全体の安全度だったら別にめり張りをつけないほうがいいんじゃないかという読み方もできますので、そこについてはきちんと整理をする必要があるんではないかというふうに感じました。
 最後ですが、一番最後のところに流木災害が出てきておりますが、このとらえ方ですが、河川下流から河口、海岸にかけてになりますと、むしろ復興時に処理の問題というのが非常に大きな問題になってきます。これは流木だけではなくて、河道内樹木が出て行きまして、それを処理するというのが当面の問題でもあり、これが長く環境への影響というのも出てきているような状況にあると私は認識しておりまして、ぜひ回収処理、あるいは流木だけではなくて河道内樹木に対する対応も書き込む形にすべきではないかというふうに思います。
 以上です。
(委員長) どうぞ。
(委員) ちょっと細かい話になってしまって、これはどこの省庁でやるのか、よくわからないところもあるんですけれども。
 前もこういう席で話したことがあるんですけれども、一番気になっているのは、化学薬品とか世の中非常にわけのわからない物質があちこちにあって、それが例えば洪水のときに流出するとか、そんなときの対応をどうするかです。川で二次災害というのがあるのかどうだかわかりませんけども、そういうものに対してどんな対応をとられているのか。
 そういうのは別の省庁でやるにしても、いろいろそういう特殊な施設なり場所に対してどういう情報提供など、日ごろからやらせているのか、その辺が何となく気になります。世の中がどんどん複雑化してきて、なんかわけのわからない世の中になると、とんでもないものが流れ出してくるとか、そういうことがあったときに対応をどうしたらいいのかということが一つです。
 これももう一つ大事なことなんですけど、文化財、文化遺産というんですかね、そういうものが洪水とかでなくなってしまうというのは非常に重大問題だと思うんですね。人だけではなくて財産の中でも、そういう文化遺産、1回失われたらなくなってしまうようなものをどうやって保護するか。これを国交省がやる話なのかどうかわかりませんけれども、どこかでやってもらわないといけないし、そのための必要な情報は常にほかの省庁とも連携を取ってやるようなことを考えていただけたらなと思うんですけれども。そういうのをどこに、こういう中に組み込んでいくか、よくわかりませんけれども、そういうこともちょっと表に出るような形で何か文章を考えていただくといいと思っているんですけれども。
 以上です。
(委員長) ちょっと広すぎてですね、文化遺産はやはり文化庁かなんかで考え頂くのがよろしいですね。
素案があれば、提案してください。
(委員) そういうところでそういうことを対応して考えておられるんだと思うんですけども。
(委員長) やはり基本はまずそちらのほうでしょうね。
(委員) 連携ですかね。そういう情報を積極的にどんどん流してやるというか、そういうことも……
(委員長) 流してやるというか……。
(河川局長) ハザードマップとかそういうものをちゃんと解説してお知らせして上げることによって自衛手段を講じてもらうなり。化学薬品なんかの場合には、常識的に水のつかないところに、もしくはそういう対策をしたところにということがあるはずですので。それに役立つような基礎的な情報を提供してあげることが重要だと思いますので、書き込むとすれば、その辺の修飾語的な中身になるのかなと思います。
(委員長) 緊急提言でハザードマップのことはかなり書いてありましたから、それに関連してですね。
(委員) はい。
(事務局) 水質の件につきまして、もともと危険物についてはそれぞれの管理者が地震とか水害があったときに流出等をしないように管理するのが原則ですけれども。もし河川に出てきた場合には水濁法に基づく水質汚濁防止連絡協議会というのが各水系に設置されていまして、その連絡網で必要な利水者、取水をしている用水ですとか、そういうところに連絡がいって、必要な場合には測定と取水の停止というようなことをやっているということです。
(委員長) それでは、○○委員。
(委員) ざっと拝見していて、8ページのところに書かれていることはやるべきこととして、これでいいと思うんですけれども、ちょっと姿勢というのか、そういうところで若干の違和感を覚えるというところが感想です。
 と申しますのは、どうもここの文章、8ページの情報のところとかを見ていると、主体がやっぱり行政になっているなという感じがするんですね。情報を収集する、これも行政、そして提供する、これも行政。やっぱり住民の避難とか、そういった問題というのは、基本的にどれだけ情報をとっても住民自身が行動を主体的に起こさないとどうにもならないわけで、もう少し主体が住民のほうにあるような視点での見方が重要ではないかなと、この8ページあたりでは感じるんですね。
 それはどういうことかというと、早い段階で主体的な行動を住民自身が取れるような意識の問題、これは多分教育のところ、防災教育と連動するでしょう。そして、早い段階でその行動が取れるような、スイッチ・オンになるような最初の段階での情報、今まさしくここに提供しようとしている情報がこれだと思うんですね。彼らが主体的な行動を取れるような、スイッチ・オンするような情報が、ここに書かれている8ページの情報だと思うんですね。
 その後もう一つ重要になってくるのは、これは新潟の豪雨災害の住民の行動を細かく調べていて非常に気づくことなんですが。新潟の豪雨というのは近年の災害の中でもちょっと特徴というのか、たまたまの話なんだと思うんですけれども、僕が見ているのが、朝住民が子供を含めて日常生活を始めてしまった後に災害という事象が始まって、先ほど○○委員のほうからもありましたが、家族が地域空間の中でバラバラになった状態で避難勧告となった。このときの住民の行動を調べると、住民の行動は必ず世帯単位の行動になっていて、具体的に言うならば、お父ちゃんはお母ちゃんと連絡が取れないと、取れない限りどれだけ水につかっていようがそこに突進していくわけですね。そのころ子供とお母ちゃんは避難所に行っているのに、二次災害というのか、お父ちゃんだけヘリコプターでつり上げられるみたいなことになっているわけですね。
 要はそこで初めてお父ちゃんの主体的な情報収集だけではなくて、家族との連絡行動も含めて考えるべきだと思うんですね。それを支えるような、災害時には情報が錯綜するだとか輻輳するだとかいうんですけれども、連絡体制というのが、彼らが情報を取ろう、その情報というのは家族との連絡も含めてですけれども、それをやろうとしているときに、それを支えるインフラというのが平常時を基準にしてつくられているものですから、すぐに携帯電話なんかもいっぱいになってしまったりして、必ずしもうまく連絡が取れなかったりする。そのときに個々の行動というのがうまくいっていないんです。要は家族との連絡が取れないものだから水の中に突進してしまうと。
 これは津波のときなんかでもそうなんですけど、津波の避難勧告が出たときに、子供が遊びに行っている、もしくは学校に行っている、この状態だとお母さんは子供の安否がわからない状態では自ら逃げないわけですね。つまり津波の点呼は成立しないのが普通だと思うんですね。こういうように情報の主体とか連絡行動の主体というのは、災害時においてやっぱり住民だと思うんですね。それを支えるようなところに対してもう少し記述がほしいなという気がします。特に新潟の豪雨を見ていてそう思います。
 そういった意味において、全体としてここに書かれていることそのものは、住民のそういった主体的な行動をスイッチ・オンするための話が中心で、そこから先での住民の行動を支えるような情報インフラみたいなところもちょっと考慮しておく必要があるということと、その行動を早く促すような意識の醸成、これは後ろの教育の部分と連携してくると思うんですけれども、あくまで自分の命は自分で守るんだという意識があったら主体的な行動も彼らは取るわけですので、その教育の部分との連携も出てくると思うんですけれども。そういったところが視点としては欠けていて、書かれていることは全部これでいいんですけれども、これにもう少し加えていただきたいという気がいたしました。
(委員長) 例えばどんなご提案ですか。
(委員) まず8ページの書き出しからなんですけれども、これはもちろんこういうことなんだろうと思うんですね。ここに「災害から国民の生命・財産を守るという責務を有している」のは行政なんだというふうに一番最初にボンと出てくる。確かにそうではあるんですけれども。その次のフレーズでは「自助・共助・公助がバランスよく機能」するようにと、ここが出てきた時点でですね、責務は行政にあってそれを主体的にやらなきゃいけないというような、行政がやらなきゃいけないという姿勢が最初に出てきているんだけれども、それではやりきれないところがあって、自助・共助・公助みたいな言葉で、何となくちょっと引いているような、そんな感じがしますよね。やっぱり主体は行政であり住民でありという、自分の命を守る責務は個人単位で見たら住民だと思うんですね。それを何とかするのはやっぱり教育の部分だというふうに僕は思うんです。
 そういう観点から教育のところを見ていくと、そこまで踏み込まれていないと思うんですね、教育の書きっぷりというのが。何と言いましょうかね、ここに書かれている内容には、教育の姿勢みたいなところには踏み込まれていなくて、やるべきことの列挙がされているだけというような感じがするんですね。防災教育はどういう姿勢でやるべきかというようなところがないという感じがしました。
 具体的にどうすればいいのかというところは、やはり自助というのが原則としてもう少し前面に出てこなきゃいけないし、そのためには主体的な行動を早い段階から彼らが取り始めるような意識というのをつくっておいてもらう、そういう教育で、カリキュラムというのかメニューというのを決めていかなきゃいけないということがもう少し出てきたほうがいいんじゃないかなというふうに僕は思います。
(委員) ちょっとそれに補足してよろしいですか。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) ちょっと似たようなジャンルにいながら、いささか○○先生と発想が違うんですけれども。
 ここは国に対する、あるいは国交省に対する答申ということですから、やはり国の責任ということで記載しておくほうがベターだろうというふうに思っています。ただその中で、今おっしゃったように自助の部分あるいは自主判断という部分が大事だということは、当然背景としてはある。それがここに書かれている。その中の整理として私は8ページの「a.基本的な考え方」の第2パラグラフ、第4行ですね。「緊急時に住民自らが的確な判断・避難を行えるような情報提供を」という部分で、実は私は今○○先生のかなりがカバーできるんではないかと。それに対して具体的に何をもっていくのかというところを書き込むほうがいいんではないかという印象を持っています。
 具体的には、○○先生、異論がありそうだけど、取りあえず展開させていただくと、一つはやはり防災教育の中で幾つか――その前にちょっと引っかかっているところは、緊急提言のほうでは地下街の避難計画というのが出ているんですが、例えば地下にいるときに情報は入ってこない。そうすると例えば河川管理者として、そういう地下街とか、あるいは大規模施設ですね、ディズニーランドが高潮の被害に遭うかどうかわかりませんけれども、そういうところに対する情報提供というのを考えるかどうかということ。観光施設になると数が多いんですが、やはりそういう地下施設に関してはある程度考えてもいいんではないかという気がします。そうでなければ住民の判断は当然できない。
 それから2番目に、やはりこれは円山川のバスのところを少し考えていたのですが、あそこは連続堤じゃないところだったと思うんですね。ところがそれがそういう区間であるということを住民あるいは通行者は知らなかったはずなんですね。つまり河川ロジックというのは、ここでどんな議論をされても、それがきちっと伝わってなければ意味がない。そういう面では、河川の管理のロジックというものを転換する転換しないは別として、それは具体的にどこにどう反映しているのかということを、例えば標識レベルでもいいから見えるような形にしないとだめだと思っているんですね。それが防災教育の中で、これは学校教育を中心に書かれていますけれども、やはり標識・表示といったような日ごろわかる形で展開されるべきだというふうに思っています。
 それからもう一つ、ちょっとこれも緊急提言のほうで豪雨災害に適応した避難場所の総点検という中で触れられていたのかもしれないんですが。これは大江町とか中之島町をイメージしているという、これは避難する場所がないというところが出てくる。これは、これが河川管理者の業務かどうかは、ちょっと私も疑問があるのですが、もし仮定なり想定を超える洪水を想定するならば、緊急的には避難施設というものをどう考えるのかというのは少しご検討いただいたほうがいいんじゃないかなという気がしています。
 非常に細かいところなんですが、それに関連して9ページの4、わかりやすい情報への転換。これは私自身そう思っていることを書いていただいて非常にありがたいと思うんですが、2行目のダムの貯水残容量という表現自体、もうここでわかりやすくない表現が出てきている。これは何万立方メートル残量が残ってなんて知ったこっちゃないんですね。むしろ私はこれよりも、今非常に誤解も多い但し書き操作以降の放流という表現ですね。ここは今現在何割カットしているというのを常に言っていっていただければ、それがだんだんカットできなくなってきている、これはやばいなというような形の表現をしていただいたほうがいいと思うんですね。やはりこういうところ、一つ一つ河川ロジックが十分に住民に伝わらない隘路があると思っています。
(委員) 異論と反論があるので。
 防災情報の問題はですね、この短い文章で平面的にとらえるべきことじゃなくて、もともと時系列的に整理をするのと、○○先生がおっしゃったように防災の主体がだれかというものによって情報の内容が変わるんですね。それを基本的な考え方でそれをギュッと圧縮してしまわざるを得ないので、私はこれでいいと思うんです。問題はこれから派生していく実施計画をつくるときに細かい問題を、だれがつくるかというところできちっと○○先生や○○先生のおっしゃることが生きていかざるを得ないと思うんですね。
 本来は自助・共助・公助、それの現象と住民が意思決定をする、あるいは首長さんが意思決定をする以前のときの情報と、意思決定をして避難をしてバラバラになったときに、水かさがどうのこうのじゃないんですね。自分の子供たちがどうなっているかという情報に転換されるわけで。私がちょっと気になっているのは、そういうときにやたらに提供するとかいって、情報の氾濫になる。情報はつくっていただきたいんです。住民がみずからアクセスするということも必要ではないかという提言もなされているんですね。何でもかんでも行政が住民に提供するというのは、本当はよくない。住民の意思決定を自らしなさいと言いながら全部行政が提供しますよというのは相反することなんで、提供するんじゃなくて、そういうデータを我々はいろんな災害にあるように、国交省だけじゃなくて、いろんな関係する省庁がいるわけですから、そういうところで国交省がリードをして、そういうものを準備するようにしなさいというのが我々の役割じゃないかと思うんですね。国交省が全部準備し切れないはずなんです、災害情報というのは。
 それはなぜかというと、現象が時系列によって住民の意思行動が変わるということが確実に起こるのと、破堤だとか雨の降り方だとか、そういうのが全部変わる。その組み合わせをどう情報として生かすかというのが、国交省の能力だけではできないはずだと思っております。
 以上です。
(委員) ちょっと時間があるようですので。
(委員長) どうぞ。
(委員) 今のお話、別に私も異論はないんですけれども。ただ、例えば災害情報で緊急時にすべて提供しろということを申し上げているわけではなくて、例えばそれは事前のレベルからでもいいと。つまり住民が判断するための基礎材料が今提供されていますかということを問いたい。それができているならばインターネットなりでアクセスしなさいというのはいいですけれども、そこの状況になっていないと理解しているんですね。
 例えば具体的には河川の計画高水高が何メートルだというのを住民が知っているというふうには思えないし、表示もなされているとは思えない。あるいは危険水位が何メートルだと橋げたに表示されているとも思えない。こういうのがあるかないかで、やはり随分と変わってくるという、それが事前の防災教育だし、それが実際に住民がアクションを取るときの判断をする上での重要な情報になっていくと思うんですね。
 そういう意味で私が申し上げているのは、どっちかというと事前の話を申し上げているという感じであります。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) ○○先生のお話も踏まえての話なんですが。基本的に情報というのは、情報取得態度があって初めて情報のやりとりというのが成立してコミュニケーションが成立すると思うんですね。今のここの状況ですと、送り手の情報を集めてきて、どんどんどんどん全部出していきますよと、収集側と発信する側の話ばかりが、僕のイメージでは書かれている。今の○○委員の話のほうは、全部提供する必要はなくて、ここにおいておけばいい、提供できるような状態になっていればいいと。
(委員) そういう情報もある、送らなきゃいけない情報もある。それをどういうふうにやるのかというのは各論の世界になると言っているわけ。
(委員) そういうことですね。さらにそれを受けての○○委員の話は、情報を取りに行けばいいという話もありましたね、インターネットで。それが準備されていればいいと、そういうのもあるだろうというふうに○○委員はおっしゃった。
 そうなんですけれども、そういう行動をすべて成立させるのは、やっぱり住民の主体的な行動あってのものであって、それをどう促すのか、そういう住民でどうあってもらうのかという主点がないといつまでたっても、飲みたくない馬に水を飲ませるかのごとく、役に立たないと思うんですね。
 ですからその辺の部分は、やはり住民が主体的な行動を起こすような住民である防災教育の部分というところ、これがまずやっぱりすごく重要で、加えて彼らが主体的な行動を起こせる段階での最初のスイッチ・オンの情報が重要で、そしてその積極的な情報収集行動をやろうとしたときの、それを支える情報インフラというところまで、これはそれこそ河川行政だけの話ではなくなるかもしれませんけれども、それも必要になる。そこまで含めてやらないと実効性がないんじゃないかなということを言いたかったということです。
(委員長) また○○委員は、先ほどのお話が情報化との関係でありませんか。
(委員) まず首長の能力というところから申し上げたいと思いますけれども、全ての人がその能力があると思ったら大間違いだというと言いすぎでしょうか。選挙で選ばれた人間ですから、人気投票みたいなところがあるということを前提に考えていただかないといけないと思います。そう考えたときには、実は情報は精査していただいて、しかもなおかつ単純明快な形で教えてもらわないと、おそらく動かないだろうと、動きようがなくなってしまうんじゃないかというふうな感じがしておるということが一つあります。
 それからもう一つは、今度は受け手のサイドですが、災害が起こったときの受け手の行動パターンとして、確かに自分が情報を得るということもあると思いますけれども、やはりそのときには、なぜ行政のほうからこういう情報が出なかったのか、避難命令が出なかったのかというところがまず第一番の問題になってくるだろうなと思います。おそらくその避難命令が出ればある程度は動くという形、それはいろいろあるんだと思いますけれども、私はそう思っておりますので、ともかくスイッチ・オンするときの判断基準というのは、ある程度簡単明瞭なものにしておいてもらいたいと思います。危ない、逃げろと。危ないのはどういうことをメルクマールにして危ないというのか。
 例えば私どもで言えば、栗橋のところの洪水流量がどのぐらいになると、そこでピークが出た後で何時間後に野田でピークが出るよと、これは経験則上わかっているわけです。そうすると、そこがどういう状態かということが情報としてあれば、今逃げなくちゃいけない状況なのかというのはある程度想定がつくとか。そういう情報だけいただければ、それ以外にどこの河川でどうだとかこうだとかということをもらっても、それは我々にとってみれば余分な情報でしかないという格好になる訳です。そういう意味で、さっきの伝達のマニュアルの中でそういうことを書いていただけるとありがたいと思っています。
 もっと地域情報から言いますと、例えば野田の場合だとすれば、どこの堤防のどの場所が危ない場所であると、これは経験則上わかっているところがあります。そこのところで、外に水が漏れだしたときに、その水の色が濁っているか濁ってないかということを判断基準にして逃げるか逃げないかを決めると。こんなことが多分あるんだと思うんです。各事務所が承知している情報と、地域で承知している情報と、そういうものを前提として持っている中で、その点についてどうなんだという情報をもらえれば判断できる。こんなことになるんじゃないかというふうに思っています。
(委員長) ○○委員、ご意見ございましたら、たくさんあると思いますが。
(委員) 私も30年ぐらいやっていますけど、私どもの一斉伝達のシステム上で一番進歩したのは地震の震度速報なんですね。これは途中、5強弱を十何段階にしようかという議論がありました。結局日本式の震度階にして今の5強・弱、6強・弱なんですけれども。
 一つは、阪神・淡路の前には、こんなにたくさんのところにああいう計測器が張りつくことができるということは、私も考えてなかったわけですね。その前は気象庁さんの、○○さんが部長をやっておられたころは160地点ぐらいでやっていたわけですよ。さらにその前は人間が測っていた。だから地震が起きて10分以内に伝えるなんてことは不可能な時代に私はスタートしているんですけれども。そういう時代から始まって、今では2分で私どもの速報が始まる。どこが大体危ないんだ。ちょっと今自治体震度計の弱点もありますけれども、大体自治体震度計があと3年ぐらいで――わかりませんけれども、次の世代になればもっとよくなるということを前提に言えば、これは非常に物事のわかりが非常に早いレベルまで来ましたよね。今から30年前のことを考えると、ここまで30年後にくるなんてことは思ってもいなかったので。
 地震というのはいきなりきます。何の前触れもなく我々にくるわけですから、放送上は最も難しいわけですね。ところが今や地震のほうが、ちょっと言葉は乱暴ですけれども、だんだんこうやっていけばいいんだという手法を放送上は我々は持つに至ったかなという感じがしている。まあ、阪神・淡路のようなことがありますから、またどこかで失敗して、違うじゃないかということが起きないとも限りませんけれども。
 やっぱりこういう手法でいうと、川というのはなかなかわからない。わからないというのは、水位というのはとても難しくて、なかなか避難の方程式の単純なものが出てこないところにどうも問題があるんじゃないのかなと思いますけれども、そういうことですね。
 結局はIT、インフォメーションテクノロジーを活用して住民に情報伝達を行うしかない。例えばITの道具としては携帯電話などを使うことが今後予想されますが、そうなった場合は情報発表のやり方はどうあるべきなのか、どのような内容にすべきかについて河川の洪水に関する情報についてもさらに検討する必要があるのではないかと思っています。
(委員) 一つは事務局にお願いをしたいということに気がつきました。それは先ほど○○委員が、一番問題なのは子供さん、世帯としての行動をするということです。学校の防災教育ということを考えますと、今は地震についてはよく映像で出てくるように、小学校なり中学校、避難行動がすぐに取れるわけですね。
 洪水に対して、現在小・中学校がどういう形での避難なり態勢を考えているか。と言いますのは、それが家庭に伝わっていれば、両親は子供が学校に行っているときは、自分たちの子供はこういう形になっているということがわかるわけですね。したがって、家族との連絡なりは、つながらなくてもかなり安心をしていられる。
 そういうことにも関係がありますので、現在洪水に対してどういう行動なり訓練がされているかを、少し調べていただいて報告していただくと、ここの議論も収束が早いかなという気がしました。
(委員) 今○○委員の話で、地震は確かに、今はちょっと地震が起こるとバッと震度の地図が出るんですけれども。テレビのほうでなかなか流していただいてないのがリアルタイム雨量レーダーですか、あれがアニメで見られるというのは非常に状況がよく見えると思うんですね。インターネット等で見られている方が多いと思いますし、現実に豪雨が続いているときにはアクセスがなかなかしにくいような状況なんですけども。あれをぜひ一般の方も見られると、バッググラウンドとしてどんな状況にあるかというのが非常によく見えると思うんですね。豪雨域がどんなふうに近づいてきているとか、あるいは自分のところは真っ赤っかな状態がもう既に何分続いているとか、何時間続いているとか、そういうことがまず基本的に流すという方針が非常に重要だと思うんですけども。
 もう一つ大事なことは、地震と違って豪雨に対しては各流域とか地域ごとに何らかの形で人間が守っているというその限界を、やはりきちっとそれぞれの地域あるいは流域ごとに、あるいは流域の中の細分割した部分ごとに知らせておくというふうな仕組みを、やはり避難ということを考えれば重要なことだと思うんですね。それは多分ハザードマップとかそういう形での工夫もあるでしょうし、すなわちこの地域でリアルタイム雨量レーダーで赤いところがもう1時間も続いているような状況ですと、我々の住んでいるところは非常に危ないんだと。でも違う地域に住んでいる人は少しはまだ余裕があるとか、そういうふうなことがわかるようなということが、避難という視点から考えたときの一つの方法論だと思うんですね。
 そういう枠組みの中で今まで考えてきた、例えばきょう提言で出していただいたやつが、その中の考え方、あるいは避難をいつしたらいいかという考え方に、どんな情報が役に立つか、あるいは提言した施策がどんなところで役に立つのか、時間を伸ばすのか、あるいは逃げなくてもいいのか、そういうふうなところにどう直結するのかを見えるようにしていただくと、今回の提言で今後やっていかれる施策が住民にとって避難したり、住民の安全性を確保するのに非常に役に立つと思いますので、提言をまとめられるとともにそういう情報を使った中で一体どれだけの人が助けられるのかというところもちょっとチェックしていただければありがたいと思います。
 以上です。
(委員長) 非常に建設的な意見が多かったので、交通整理のしようがないほどですが。
アクセスの関係はどうなんでしょう、事務局として。由良川でバスが立ち往生したというのも一つありますし、僕らも現地を見たときに、自衛隊が派遣されてきたけど、現地に行けなくて、一晩手前で止まっちゃったという話があって、地域からアクセス道路の問題が非常に強く出ていました。
 この書き方で読めれば読めるだろうけど、本来業務ではなくて努力義務の問題だから書かないということなのか、日常生活道路というのもありますけれども、災害に強い道路というのは一つこれからまさに少子高齢化になっていたときに、あったほうがいいんじゃないかなと思いまして、私はそういうのを書いてもらったほうがいいんじゃないかなと思います。
 それから管理基準のところで、最低基準という言葉は誤解を招くかなと思いました。最低というのは最低限これをやれよだけど、それはいわゆるどうでもいい場所から都市部までを含めた最低と読まれるおそれがあります。ランク分けと書いてありますから、恐らく意識しているのは標準的な市街地はこのくらいの基準よと、もうちょっと人口の少ないところではこのくらいの基準ということを念頭に幾つかのスタンダードがあるというふうにお考えになっているのだと思います。この最低基準という言葉だと誤解を招くような気がしますね。標準と書いたらいいのかどうかもわかりませんけど、用語をちょっと考えていただくといいと思います。
 時間がまいりまして、先ほどの緊急提言との関係ですが皆様に諮って、やはり最終答申ということで緊急提言もまとめて、これさえ読めば両方わかる形にしたほうがいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでございますか。

(「異議なし」の声あり)

(委員長) じゃあ、そういうことで事務局で次の機会にそろえていただくことをお願いします。本日特に情報の問題については、それぞれ委員の皆さんにもいろんな見解がありました。次の委員会でモデルを書いていただきたい。
 要は、市町村が自治体、住民行政を最初に預かっているわけですから、市町村長さんに受け取りやすい情報を提供するということが、まず行政としての責任でしょうし、それから住民に教育するためには出前講座等でご協力するというのが筋かなと私は思いました。
 そんな趣旨で本日の議論を踏まえて、本委員会としての総合的な政策提言の取りまとめをさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日の各委員の意見を踏まえ提言の案について再度整理し、次回の会議で紹介するようお願いします。各委員におかれましても今回の提言素案についての言い足りない点等ございましたら、事務局のほうに出していただくようお願いします。
 最後に本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得たのち、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議事は以上で終わらせていただきたいと思います。
(事務局) ○○委員長、どうもありがとうございました。




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