審議会等の情報
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河川審議会について
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1.役割分担を考えるに当たっての視点
そうした中で、経済・社会の近年の変化を踏まえつつ、河川管理における国と地方の役割分担を考えるに当たっての視点は以下の通りである。 (1)災害に対する安全性の的確かつ着実な確保 河川整備により治水安全度は着実に向上してきているが、未だ欧米などに比べても低い水準にあり、毎年のように全国各地で水害が発生している。また、都市機能の高度化等により、水害に対して脆弱になってきている地域もある。 このため、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系については、国による確固とした治水対策等が必要である。 具体的には、ダメージポテンシャルが高く、氾濫による社会的影響が大きい水系については、大洪水に対しても十分な安全性が確保されるよう、恒久的に国による高い水準での整備・管理が実施されることが必要である。また、これ以外の水系については、氾濫域の状況等も踏まえ、極めて激甚な災害が発生した場合に、国による早急かつ抜本的な対策を実施したり、計画的整備を行った後に、地方に移管する等の機動的な仕組みが必要である。 (2)安定的な水供給の確保 水資源開発や水使用の合理化等により全国的には水需給量の逼迫地域は減少したが、東京圏、福岡圏等においては、都市域への人口集中や多量の不安定水利等により渇水が頻発している。 このため、無駄のない水使用等の水需要マネジメントを行うとともに、我が国全体に影響を及ぼす主要都市等に対する広域的水資源開発や渇水調整については、国が調整することが必要である。また、域外分水等の広域的水利用や国家的プロジェクトに伴う水利用については、地域の利害が複雑にからむため、国が責任を持って計画・整備等を行う必要がある。 (3)環境を重視した河川管理の推進 自然環境の保全や都市の再構築に合わせた良好な都市環境の形成等への要請の高まりなど、環境面での河川の役割の増大を踏まえ、環境を重視した河川管理を推進するための工夫が重要である。 このため、地域と連携した河川環境の保全を推進するとともに、水と緑が連続して存在する貴重な空間である河川の特性を踏まえ、国民的財産としての上下流にわたった良好な河川環境の保全については、国により率先した保全方策等を講じる必要がある。また、河川空間のみならず、周辺地の利用や保全と一体となった環境マネジメントの推進が必要である。 (4)公平かつ円滑な広域調整体制の確保 左右岸や上下流のバランスを踏まえた河川整備、洪水時危機管理対応、渇水調整等は、歴史的・世界的に共通した河川管理上の極めて基礎的な課題である。 このため、流域が複数の都府県にまたがり他県等に大きな影響を及ぼす場合は、広域的観点からの調整を行いつつ、計画、整備及び管理を国が行う必要がある。 (5)個性豊かな自立型地域社会の形成
個性豊かな自立的型の地域社会の形成を図るため、まちづくりと河川整備の連携や、地域住民のニーズを河川の管理に反映する施策の推進が重要である。 このため、以下のような市町村等の参画の拡充を図る必要がある。 また、河川整備計画等への関係地域住民の意見の反映、河川管理者と市民・NPO等との連携による河川環境の整備と保全、河川に関する種々の情報の提供、及びボランティアの支援等の推進が必要である。これらの地域参画の効果的定着を図るための具体的方策については、早急に検討・確立すべきである。 なお、効率的かつ効果的に河川等に関する課題に対処するためには、流域での対応と適正に役割分担を行い、それらと一体となった管理を推進することが重要である。これらについては、河川審議会答申「新たな水循環・国土管理に向けた総合行政のあり方について」等も踏まえ、今後さらに検討・推進する必要がある。 |
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