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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


I. 経済・社会の変化を踏まえた河川管理の役割分担の特徴


 21世紀への移行期にあたる今、我が国の経済・社会状況は大きな転換期を迎えており、戦後50年のそれと比べて大きく異なっている。この経済・社会の変化は、今後の河川管理のあり方についても大きな影響を及ぼすと考えられる。

 例えば、治水施設の整備により、河川が洪水時に氾濫する頻度は低下したが、地下利用の進展や都市の中枢管理機能の集積など都市機能の高度化により、仮に洪水が氾濫した場合の市街地の水害に対する脆弱性は逆に増大している。このため、このような都市を水害から守る治水施設のより着実かつ重点的な整備とともに、確実な警戒避難のための体制・制度の整備が必要となっている。また、環境ホルモン等新たな水質問題の登場により、水環境保全対策だけでなく、利水対策として、取排水系統の再編などによる安全な水の確保が重要となっている。加えて、自然環境の保全の要請はますます高まっており、河川法改正により法の目的に位置づけられたように、「河川環境の整備と保全」が非常に重要になっている。また、高度情報化社会の到来は、危機管理、日常管理等に関する情報提供のより一層の迅速化、効率化を可能としている。さらに、最近の異常気象や温暖化といった地球レベルの環境の変化は、河川管理に重大な影響を及ぼすことが懸念されるため、河川行政としての対応策を早急に検討することが必要となっている。

 このように、経済・社会の変化による河川管理上の課題を踏まえると、今後、より適正な河川管理を行うためには、以下のような視点に留意すべきである。

 今後、河川管理において留意すべき主な視点

  • 重要都市、重要交通網の安全の確保
  • 整備水準に関する広域的バランス
  • 減災型システム(被害防止型から被害減少型への治水対策の移行)
  • 洪水時における機動的な危機管理対応
  • 広域的水融通
  • 広域的水利用のための事業者間連携(河川、下水道、上水道等)
  • ・安全な水の確保
  • 水質監視、水質規制(環境行政との連携)
  • 身近な自然環境の整備と保全
  • 生態系の保護
  • 地球規模の気象変動等の状況把握、機敏な対応
  • 事業の重点的な実施
  • 高い技術力等による効率的な整備
  • 市町村参画
  • まちづくりとの連携、住民参加
  • 透明性、アカウンタビリティ
  • 平常時からの広報活動
  • 健全な水循環系の形成

 また、以上のような経済・社会の変化による河川管理上の課題については、河川における対応策のみでは十分に解決できず、流域と一体となって総合的に取り組む方が適切かつ効果的に対処できるものが多い。具体的には、河川への流出抑制対策としての流域での雨水の貯留浸透の促進や保水・遊水機能確保を義務づけた土地利用規制、浸水被害軽減策としての水害に強い住まい方の誘導や警戒避難システムの整備、及び水質保全対策としての排水規制、農薬規制や下水道整備などである。

 このような流域と一体となった総合的取組みにおける河川管理と流域対策との適切な役割分担については、今後さらに検討を進める必要がある。

 河川管理における国、都道府県等の役割分担については、流域対策を除外して考えると、次の二通りの観点から整理することができる。

 一つは、河川管理者としての国と都道府県との役割分担である。国による河川管理は広域的観点や国家的見地からの対応が可能であるのに対し、都道府県による河川管理はまちづくりとの連携を図りやすいことなど、それぞれの特徴を踏まえ適切に役割分担を行う必要がある。

 さらに重要なことは、河川管理者(国又は都道府県)と河川管理者以外の者との役割分担である。例えば、水防活動や河川整備計画策定への意見反映等の連携や参画などに加えて、まちづくりとの一体的整備を進めるとともに、今後は河川利用や河川環境保全への地域の主体的参画等を進めることが望まれる。このような河川管理者以外の者との連携を深めることにより、地域に密着した個性豊かな地域づくりを進めるとと もに、効果的な河川管理を推進することが可能となる。





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