我が国では、高度経済成長期において都市及び産業が急速な発展を遂げたことにより、都市水害の頻発、土砂災害の急増等、河川をめぐる様々な問題が発生してきた。
例えば、都市化の進展等により災害が短時間に発生するようになり、また、一度災害が発生した際の被害はより深刻なものとなる傾向がある。このため、都市化の進展等に伴う被害ポテンシャルの増大に対応すべく、治水施設の整備と併せ、被害を最小化するため水災害・土砂災害に関する正確な情報の提供、平常時からの十分かつ適切な情報提供が求められている。
一方、日常生活における地域と河川との関係が希薄になってきており、河川情報を発信することにより、住民の河川に関する理解を深め、住民が河川とふれあう機会を増やす等、人と河川との関わりの再構築を進める必要がある。
さらに、我が国の国土保全にも大きな役割を果たしている河川に対する国民のニーズに的確に応え、河川の特性や地域の風土・文化等の実状に応じた河川整備を推進するため、国民に向けて国の施策の内容を十分に説明することが強く求められてきている。より積極的な情報提供と地域の意見の反映を主眼の一つとして、平成9年に河川法が改正されたところである。
このような状況を踏まえて、本委員会では、河川における今後の情報化のあり方について、「被害の最小化に向けた情報提供」と「地域と河川の関係を再構築するための情報提供」の観点から検討する。