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3.健全な水循環系の構築にあたっての基本的考え方

 理想的な水循環系とは、水循環系を構成している全ての場における一連の水の流れにおいて、環境面やエネルギー面の負荷が総計として少なく、安全で快適な生活と持続可能な発展を実現する水循環のシステムといえよう。こうした考えに立って、今までの流域や社会構造の変化によって生じた弊害を克服し、水循環を健全化していかなければならない。このためには、以下に述べる三つの基本的考え方を徹底すべきと考える。

 なお、安全な生活という面では、地球規模での気候変動にともなう集中豪雨の多発化や小雨化の傾向も指摘されており、これらに対しても万全の対策をとる必要がある。

(1)国土マネージメントに水循環の概念を取り入れることが重要

     健全な水循環系を実現していく上で重要な点は、国土マネージメントの視点に水循環の概念を取り入れることであり、具体的には、以下のような視座を持つことが重要である。

     ○
    水循環の連続性を重視し、水循環系を基本とした圏域での取り組みが極めて重要である。個々の圏域においては、保全と利用のバランスを考慮して、水の有効利用や汚濁物質の排出削減等、水循環へ与える負荷が低い地域づくりと水循環系の再編を考えるべきである。

     ○
    河川・水路等は、洪水処理や導水機能だけでなく、多面的な機能を有するものであり、それを活かす必要がある。特に過密都市では、従来は認識されていなかった危機管理の観点からの防災機能を積極的に取り入れていくべきである。

     ○
    人と自然との関わりを取り戻すとともに、生物の持続的な生息・生育の場を確保するために、自然の多様性を備えた水と緑豊かな空間や動線を積極的に回復していくべきである。

(2)河川・流域・社会が一体となって取り組むことが重要

     健全な水循環を実現していくためには、人々が水循環を大切にするという意識を持ち、社会全体として取り組んでいく必要がある。そのためには、関係者が一体となった組織を作り、河川で取り組むべき対策や流域全体で取り組むべき施策を総合化し、行政関係機関の連携・協調を強化することはもとより住民・事業者とのパートナーシップを大切にして社会全体で取り組んでいくという共同、協力の体制を整えていくことが必要不可欠である。このため、行政として必要な制度等を充実させるとともに、地域として協調して取り組んでいく施策等について責任分担を明確にして推進する必要がある。

     また、健全な水循環を形成するためには、次のようなキーワードを共有化し目指すべき方向性を明確化することも重要である。

     ○
    洪水被害の軽減、普段の水量の確保、地盤沈下の防止のために、雨をしみこませるためるゆっくり流すようなまちづくりとする。

     ○
    良好で安全な水質を確保するため、汚濁物質を減らす化学物質を賢く使う有害物質を流さない取水の場所排水の場所をもう一度見直す

     ○
    身近な水を確保し、災害に強いまちづくり、水辺・緑の確保による人間性回復の機会充実のため、水面、水路が見えるさわれる活かせるようにする。

     ○
    水の有効利用を進めるため、水使用の無駄をなくす水をもう一度使う

     ○
    生物の持続的な生息・生育の場を保全するため、水辺、緑の連続性を確保する。川が本来持つ自然の変動や復元力を尊重する

(3)水循環を共有する圏域毎の課題を踏まえた取り組みが重要

     水循環系を健全化するために、沿岸域や水系単位の大流域を見据えた視点が大切であるが、洪水対策、水利用、環境、防災面等における問題が共通化している中小流域をベースに、水循環系を共有する圏域単位で積み重ねて改善していくことが効果的である。

     また、個々の圏域においては、総合的な検討により、関係者の行動計画を明らかにするとともに、課題の重要度をランク分けして、行動計画の中の施策のプライオリティを明確にすべきである。






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