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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


1.はじめに

 我が国の河川水の利用の歴史は、沖積平野における水田を中心とした農業開発に始まり、上流から下流に向けての河川水の反復的利用による慣行的農業水利システムが地域ごとに確立されてきた。

 そして、明治時代以降の経済の発展と都市化の進展に伴い、都市用水、発電用水等の新しい河川水利用が登場、増大し、これらの新規需要に対応するため、河川法に基づく水利使用許可が行われるようになった。この結果、水利用が大幅に増大する一方で、流域の水循環系を大きく変化させることにもなった。さらに、戦後の食糧増産のため農業の近代化が図られるに伴い、農業水利も変貌し、水の循環利用のシステムも大きく変化していった。

 これらの水利使用に伴う水循環系の変化は、第二次大戦後の急速な都市化という外的要因により一層進行し、河川流量の減少、水質の悪化等河川環境への影響をもたらすとともに、地下水利用の増加に伴う地盤沈下等地域の環境にも影響をもたらすこととなった。また、戦後の目覚しい経済復興と人口の増加に対応した新規水需要の増加に加え、河川環境の改善のための新たな水需要も加わって、水資源の一層の開発が求められるようになった。それぞれの水系により河川の流況は異なるが、河川水の理論的な最大利用可能量(河川の全流量から蒸発や浸透、洪水等の利用不可能な流量を差し引いたもの)と現に発生している水需要量等との関係を見ると、前者に対する後者の割合が大きい水系では、河川水の利用度が限界に近い状況になってきている。

 一方、社会経済の変化に伴い未利用の水利使用が発生したり、渇水時の安定的取水や地域の環境用水などの新たな水需要への対応が必要となったりするように、河川の実態や水利使用のニーズなど、水利使用を取り巻く状況は水系によって異なっている。

 そこで、このような状況下において、いずれの水系においても、水系全体の観点から、必要な水質の確保や河川環境との調和を前提とした適正な水利使用を実現することが必要であり、そのための低水管理のシステムの構築が急務とされるに至っている。

 ここでいう低水とは、洪水などを除く通常時の河川の流況を意味する。低水時においては、良好な水環境が確保されるとともに、水利使用その他河川の利用が円滑に行われることが重要であり、低水管理システムはその実現を目指して構築されなければならない。つまり、低水管理は、河川管理者による河川維持流量の確保ばかりではなく、利水者による河川水の利用のあり方等も対象とするものであり、河川管理者と利水者等が共通の認識を持って取り組まなければ、システムを良好に機能させることはできない。

 このような認識の下、本審議会の水利調整部会では、低水管理の中で極めて重要な位置を占める水利使用に関連して、早急に取り組むべき当面の方策について検討してきた。その成果が「今後の水利行政のあり方について」としてとりまとめられたので、これを本審議会より、建設大臣に対し、提言する。

 その視点は、河川管理者と利水者が河川情報及び利水情報等を共有化するとともに、共通の判断ルールである水利使用許可基準の明確化や手続の迅速化等を図ること、また、利水者等の理解を深めるため、水系全体の状況を把握できる環境を、河川管理者が先導的役割を果たして創りあげていくことにある。

 本提言に示した施策を実施することにより、国民共通の財産である河川の良好な保全と利用のための低水管理を実現するシステムが各水系において整備されることを期待する。





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