2−4. 河川情報の提供の推進
河川に対する国民の関心を高め、以上のような施策を効果的に推進するとともに、危機
管理対策等の推進を図るため、リアルタイムで地域住民等に対して河川に関する各種情報
を提供していくことが必要である。
治水面では、雨量、河川の水位、流量等の河川情報は、洪水、高潮等の緊急時における
水防活動や地域住民の避難・救助活動等に不可欠なものである。
また、利水面では、雨量、河川の水位、流量、ダムの貯水量、放流量等の河川情報は、
異常渇水時における円滑な渇水調整、地域住民の節水の促進、漁業者や舟運関係者等の安
全な航行・操業等にとって重要なものである。
特に渇水調整の円滑化を図るためには、河川管理者が、異常渇水時はもとより平常時か
ら積極的に河川情報を提供することにより、利水者同士が互いに相手の立場への理解を深
め、渇水に当たっての状況認識を共通化し、利水者間の互譲の精神を醸成することが極め
て重要である。また、一般市民に対してもわかりやすい情報提供を行って渇水調整の経緯
等を明らかにし、渇水対応への理解と節水の促進等の協力を得る必要がある。
さらに、環境面では、流水の水質情報は、水質事故等の際に、流水を利用する水道、工
業、農業等や河川の一般利用者の安全を確保する上でも欠かせないものである。
以上のようなことから、河川管理者としては、従来より、河川情報の提供に係る体制の
整備に努めているところであるが、実際には、
- 河川法上、情報の提供が河川管理者の責務として明確に位置付けられていないこと、
- また、このため、財政上の事情等もあり、河川管理者によっては、情報提供基盤の整
備が後回しとされがちであること、
などから、情報提供体制の未だ不十分な河川が数多くあるのが現状である。
したがって、河川管理者による河川情報の提供をなお一層促進するため、河川法上、河
川管理者による適時適切な情報提供の責務を明らかにする必要がある。