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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


2−3. 異常渇水時の円滑な水利調整のための措置


 近年の少雨化傾向や、ダム等の水資源開発施設の整備の遅れ等により、水利使用の渇水に対する安全度(利水安全度)が低下している。このため、各地で渇水が発生して市民生活に大きな影響を与えており、その対策の必要性が強く叫ばれている。特に、平成6年には、異常渇水が全国各地で発生し、その影響の大きさから改めて対応方策を緊急に確立する必要性が認識された。
 渇水に強い社会を構築するためには、水の再利用の推進や節水型の社会資本等の整備などにより水資源を最大限効率的に活用するシステムを構築し、併せて国民の節水意識の高揚を図るとともに、渇水の発生に備えて水資源開発を行い、利水安全度の向上を図ることが有効、かつ、根本的な対応手段である。そして、こうした水供給面からの対策については、長期的な視点に立って、水需給のひっ迫状況や水資源開発の可能性が地域により異なることに配慮しつつ、広域的な水融通、水の循環的利用、ダム運用の効率化等を含め、様々な手法を適切に選択して計画的に推進することが重要である。
 しかし、近年渇水が頻発する中でこれに緊急的に対応していくためには、上記のことを踏まえつつ、当面の対策として、異常渇水が発生した場合にもその被害を最小限に止めるための方策である利水者間の水利使用の調整(渇水調整)の円滑化が、現在、最も重要な 課題となっている。
 異常渇水時には、古くから利水者の互譲の精神に基づく渇水調整が行われ、社会経済への影響の緩和に貢献してきたところであり、河川法第53条にも規定されているこうした互譲の精神は、円滑な渇水調整のために今後も維持されるべきである。しかし、社会経済の発展による水需要の増加は利水者の増加や水利使用の広域化、複雑化を招き、利水者間の渇水調整を次第に困難にしつつある。また一方では、社会経済が高度化した現在、特に都市化が著しい地域では異常渇水が社会に与える影響は極めて深刻であり、こうした事態に対応するための措置を講じることが強く求められている。このような危機管理的な観点からも、円滑な渇水調整のあり方について早急に検討すべきことが緊急的な課題となっている。
 このため、2−4.「河川情報の提供の推進」と併せて、次のような施策を講じるべきである。


(1)  「渇水調整協議会」の位置付けとその役割の明確化

 現行河川法の制定時に比べて、水資源開発により利水者が増加するとともに水利使用の広域化、複雑化が進み、時代背景が大きく変化する中で、円滑な渇水調整を図るためには、水系内の多くの利水者が河川管理者が提供する河川情報を共有し、利水者の参加と協力 を得つつ協議を行うことが不可欠になっている。こうした協議を行う場として、通達に基づき設けられている「渇水調整協議会」が果たす役割の有効性が利水者にも理解され、その定着が図られつつあるが、一方で「渇水調整協議会」の中で河川管理者が行うあっせん、調停の根拠が不明確であるという指摘がある。特に平成6年の異常渇水の際にその機能が十分に発揮されない状況があったり、渇水が発生して初めて「渇水調整協議会」が設立 された水系があったことを踏まえれば、「渇水調整協議会」の活用をなお一層推進するため、関係利水者が参加する「渇水調整協議会」の位置付けやその役割を河川法上明らかにする必要がある。
 なお、この場合、「渇水調整協議会」でも調整が整わない危機的状況への対応方法や、これにより特別の損失を被る利水者への損失補償のあり方についても、併せて検討する必 要がある。


(2) 異常渇水時における一時的な水融通のための特例措置の創設

 異常渇水時における水利調整のための一時的な水融通の中には、河川法上、水利使用許可の変更のための河川管理者による審査手続等が必要となるものもある。しかし、現行河川法上の厳密な審査手続は、このような緊急、かつ、応急的な事態を想定したものとなっていないため、異常渇水時にはこれを履行することが困難であることが多い。こうした現状を踏まえれば、異常渇水時における一時的な水融通について、河川管理者による水利使用許可の変更の審査手続の簡素化等、所要の特例措置を設けるべきである。





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