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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第3回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成14年10月17日


2.議事
河川整備基本方針について
(天塩川水系、富士川水系、大淀川水系)

(委員長) 委員長を仰せつかっております○○でございます。本日は委員の皆様には御多用中のところを御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 それでは議事次第に沿いまして天塩川水系、富士川水系、大淀川水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。
 まず最初に天塩川水系等3水系の河川整備基本方針の概要につきまして事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 河川計画課長の○○でございます。まず天塩川水系等3水系の河川の概要をパワーポイントで御説明申し上げまして、その後、各河川の特徴と課題につきまして御説明いたしたいと思います。
 これらに入ります前に、河川整備基本方針がどれだけできているかということでございます。現在まで、北海道の留萌川から九州の白川まで、全体で13水系の河川整備基本方針ができ上がっております。
 今回御審議いただきますのは北海道の天塩川水系、それから山梨、静岡を流れます富士川水系、それから九州の宮崎を流れます大淀川水系の3水系でございます。
 これら河川の流域面積と幹川流路延長の諸元等をあらわしたものでございますが、流域面積で申しますと天塩川が109 水系のうちの10番目、富士川が15番目、大淀川が28番目ということで、109 水系の中では今回の3河川は大きな部類に入る川でございます。
 まず天塩川でございますが、日本の109 水系の中の一番北の水系でございます。旭川市の北の方から士別市、名寄市等を通じ、天塩町で日本海に注ぐという川でございます。
 これが流域の航空写真ですが、こちらに名寄市、士別市といった大きな都市がございます。このあたりが盆地になっており、途中、狭窄部を流れていきまして、河口部付近でずっと北西の方に流れていたのが南に向きを変え、ちょうどUターンするような形で天塩町地先で日本海に注いでいるという川でございます。それと、この河川の特徴ですが、名寄市の北、美深町あたりより北は夏の積算温度が稲の生育に達しませんので稲作が行われておりません。主に牧草等が行われているということでございます。そういうこともありまして河口から約160 km間、本川から水を取水する堰がないという日本の中では珍しい形の川になっております。
 これが天塩川の水源でございます。天塩岳ですが、写真で見ていただきますと、右が天塩岳、左が前天塩岳ですが、この真ん中のあたりが天塩川の水源となっております。
 これが中流部の名寄市の市街地でございます。こちらから流れてくるのが天塩川の本川でございます。左から流れてくるのが支川の名寄川で、本川と支川に囲まれたようなところに名寄市が立地しております。
 ここから下流に下っていきますとだんだん狭窄部に入ってくるわけですが、このあたりにところどころ、天塩川の名前の由来になりました「テッシ」というのが河床から出てきております。テッシオ川、「オ」というのは多いという意味だそうでございますが、テッシが多い川というので「天塩川」という名前がついたそうでございます。
 さらに下流に下っていきますと一番の狭窄部がございます。こちらにある市街地が音威子府村でございます。そこから、山の間を抜けますが、左岸側に国道40号線が走っておりますし、右岸側にはJRの宗谷本線が走っております。このあたりがネックとなって、音威子府村あたりまで堰上げの影響が及ぶということでございます。
 次に、天塩川が北西に流れていって南に向きを変えるところのさらに北側ですが、天塩川の支川でサロベツ川というのが流れ込んでおります。サロベツ川の上流部がサロベツ湿原となっております。約2万haの湿原となっておりまして、昭和49年から国立公園にも指定されております。後ほど述べますが、従来の工事実施基本計画ではサロベツ川の治水対策として日本海に直接抜く放水路も含めて治水対策を検討することになっておりましたが、今回、河川整備基本方針の検討に当たりまして検討した結果、放水路以外の対策でできる見込みができましたので、今回の河川整備基本方針では「放水路」というのを抜いております。後ほど御説明申し上げます。
 次に天塩川の洪水の状況でございますが、昭和48年、50年、56年と3回にわたり大きな洪水を受けております。ちょっと見にくうございますが、こちらの地図に当時の浸水のエリアが色分けして記載してあります。こちらが56年8月の浸水状況ですが、約1万6,000 haが浸水しております。
 次に天塩川の水利用の状況でございます。大きくはかんがい用水。稲作の北限より南のところでは稲作、特にモチ米等の耕作が非常に盛んでございます。それとともに発電に大きく利用されております。大きなダムとしては岩尾内ダム。洪水調節とかんがいと水道用水と発電を目的としたダムでございますが、昭和45年に完成しております。総貯水容量が1億770 万m3のダムでございます。天塩川の本川の上流の方にございます。
 最後に天塩川の環境の概要でございますが、冒頭申しましたように稲作に適さないということで、それほど水が要らないということで、河口から約160 kmの間堰がございません。また、テッシというものがところどころにあって、そこをカヌーで下るのが非常におもしろいということで全国からカヌーの愛好家が集まっておりまして、このような形でカヌーの大会等がなされたり、あるいは個別にツーリングがなされているといったのが天塩川の環境の特徴でございます。
 次に関東の富士川水系の概要に入らせていただきます。富士川水系でございますが、関東地方の西、山梨県から静岡県を流れ駿河湾に注いでいる一級水系でございます。
 流域の概要でございますが、この白く出ているところが甲府市等がある甲府盆地でございます。そこから狭窄部に入りまして、ずっと狭窄部を蛇行するように流れ、静岡県の富士市で駿河湾に注ぐという川でございます。この川のちょうど西側には糸魚川・静岡構造線、だいだい色の点々でかいた線でございますが、富士川の支川の早川沿い、あるいは富士川の本川の上流部の釜無川沿いに走っておりまして、非常に地質的にも脆弱な、土砂生産の多い川でございます。流域内の人口が約110 万人でございます。
 富士川の水源でございますが、本川が最初は北に流れまして、そこから北東に流れていくと。これもUターンしているような格好になるわけですが、長野県と山梨県の県境にございます鋸岳、標高2,685 mでございますが、こちらを水源としておりまして、本川を釜無川と言っておりますが、それを流れてこちらの甲府市の南で甲武信岳から流れてくる笛吹川を合流して富士川と呼ばれるようになっております。
 先ほどフォッサマグナが通っていると申しましたが、そのせいもありまして土砂生産が多いということで、富士川の上流、それから支川の早川では直轄事業で砂防事業が行われております。
 土砂生産が多いとともに、急流河川でございますので土砂移動も激しゅうございまして、これはちょうど長野県と山梨県境付近ですが、昭和57年の大洪水で河床が大きく洗掘され、約7万m3の土砂が流れ、このような渓谷になりまして、通称ミニ・グランドキャニオンと呼ばれておりますが、大きな土砂の流出、河床の洗掘があったということでございます。
 このような急流河川でございますので、古くからいろいろな治水対策がなされております。これはその1つの例の信玄堤でございます。こちら側に甲府市がございます。従来、支川の御勅使川という川が信玄堤に直角に合流するような形で流れておりましたが、こちらの川も急流で土砂生産が激しいということで、これが直角に信玄堤に合流いたしますと信玄堤が破堤して甲府市街が浸水するということで、こちらの高岩、高台があるわけですが、そちらにぶつかるような形で御勅使川の流路をつけかえ、こちらで合流させると。ここに対する水当たりを弱くするような形で御勅使川のつけかえと信玄堤が行われたとか、支川の笛吹川では万力林といったような霞堤、下流部の富士市では雁堤といったように、古くからいろいろな形で治水対策が行われているところでございます。
 甲府盆地から狭窄部に入るあたりでございます。禹之瀬地区と呼ばれているところですが、写真で見てわかりますようにこちらの左岸側、昭和57年の洪水でかなり上の方の内水浸水等が大きかったものですから、こちらを開削いたしまして洪水の疎通能力を上げております。
 最後に駿河湾に注ぐわけですが、土砂生産が激しいとともに土砂の移動もなかなか複雑な川でございまして、次のスライドでお見せしますが、富士海岸については昭和22年の海岸線と比較いたしますと最大340 m海岸線が後退しているといった状況でございます。
 昭和57年の8月洪水での土砂移動の状況ですが、先ほど上流部でミニ・グランドキャニオンのスライドをお見せしましたが、こちらは支川の早川でございます。ちょうどフォッサマグナが通っている地点ですが、河道内に大量の土砂、約650 万m3の土砂が流出いたしまして、これは橋でございますが、橋がほとんど埋まってしまったと。非常に大きな土砂の堆積があったかと思うと、その下流の本川のJR東海道線でございます。ニュースでも報道されたので御存じの方もあるかと思いますが、こちらは河床の洗掘で橋梁が流失したということで、土砂流出も激しいかわりに洗掘も大きいといった、土砂移動上非常に難しい川だというふうに認識しております。
 富士川の水利用の状況でございますが、かんがい用水と急勾配の落差を利用した発電が大きく利用しております。特に中流部、狭窄部から最大毎秒75m3の発電取水を行うわけですが、取水された水は富士川に帰ってこずに直接駿河湾に出ていくといったような大きな発電のバイパスがされております。この写真で見ますと塩之沢堰から下流に水がありますが、これについてはかんがい期毎秒5m3、非かんがい期毎秒3m3を放流する、あるいはそれを超える分についてしか発電取水をしてはだめだということにしておりまして、発電取水量からすると小さい量ではございますが、河道への流量も流しているところでございます。
 富士川の土砂の関係でございます。本川の上流部、釜無川のところですが、写真でごらんのような砂礫河川になっております。この写真では川にずっと水が連続しておりますが、渇水時には川の途中で水がなくなる、いわゆる瀬切れという現象が起きる場合もある川でございます。逆に、このような天井川になっておりますので、甲府盆地の地下水の涵養源になっている部分もございます。
 次は大淀川でございます。九州の南、一部鹿児島県を含み、宮崎県第2の都市、都城市、それから宮崎県第1の都市、宮崎市を流れて日向灘に注ぐ河川でございます。
 こちらの方に都城盆地がございます。その後、狭窄部を流れてきまして宮崎市で日向灘に注ぐということでございます。流域内人口が約59万人でございます。都城のあたりは主に土壌的にはシラスの土壌となっております。
 大淀川の水源ですが、都城市の上流、中岳、標高452 mの非常になだらかな山でございます。
 上流部、都城市の付近でございます。こちらが都城市の市街地ですが、そこを大淀川、さらに支川の沖水川等を合流点させて、ここから狭窄部に入っていくというようなところでございます。
 こちらが狭窄部の状況でございます。途中途中で発電ダムとかがありまして、そういうのを流下しながら宮崎市の方に流れていきます。
 狭窄部を抜けますと宮崎市。これが宮崎市で、宮崎空港もございますが、宮崎市の真ん中を貫流するような形で日向灘に注ぐという河川でございます。
 大淀川の洪水の氾濫状況ですが、昭和57年、平成5年、平成9年と、大淀川の工事実施基本計画の基本高水のピーク流量が毎秒7,500m3でございますが、毎秒7,500m3を上回る洪水を3回受けている。かつ、このような形で特に都城市、宮崎市周辺の内水湛水が多い河川でございます。平成9年9月の洪水では浸水家屋数が約700 戸、浸水面積が約1,500 haの被害を受けております。
 大淀川の水利用の状況ですが、こちらもかんがい用水と発電用水が多うございます。先ほどの狭窄部にはこのような形で高岡ダム等、流域内で12カ所発電がございまして、最大出力24万キロワットを行っております。
 下流部、宮崎市街地の中でございます。こちらが宮崎市のホテル街でございます。大淀川河畔が橘公園になっておりまして、昭和23年に開設されております。観光宮崎の発祥の地でもございます。川端康成がこちらのホテルに泊まって「たまゆら」を書いたということで、「たまゆらの碑」なんかも河川沿いにあるところでございます。
 大淀川の水質でございますが、上流部で畜産が盛んであるということで、平成3年に九州地方の一級水系の中で水質が最も悪いということから、それを契機に流域内16市町村が一体となり大淀川をきれいにするということで、大淀川清流ルネッサンスU協議会といったものが設立され、積極的に水質改善に取り組んでいるところでございます。
 スライドでの説明は以上で終わらせていただきまして、次に個別河川ごとの特徴と課題について御説明したいと思います。
 まず資料3−1で天塩川水系の特徴と課題について御説明いたします。資料3−1、1枚めくっていただきますと治水対策上の現状、特徴及び課題がまとめてございます。天塩川、左の絵で見ていただきましてもわかりますように細長い河川で、河川沿いに市街地、主要交通路が存在するということですが、歴史的に見ますと天塩川は昔は全くの自然河川で、あちこち蛇行を繰り返していたわけですが、流域を開発するという目的で蛇行をショートカットしつつ堤防をつくって守ったところに市街地、交通路ができたという形になっております。先ほども申しましたように昭和48年、50年、56年と3回大きな洪水を受けております。
 ではどういう治水対策を行うかということですが、堤防の整備状況としてはほとんど堤防ができ上がっております。ダムによる洪水調節については、右下に書いてございますが、昭和46年に本川の上流に岩尾内ダムが完成しております。それから支川の名寄川に平成5年からサンルダムという多目的ダムを建設中でございます。ほぼこの2ダムで洪水調節を行い、あとは先ほどのテッシだとか、こちらはサケ、マスの遡上、産卵等がございますので大規模な掘削、浚渫は難しいわけですが、それらに影響を与えない範囲での掘削で流量を処理しようと考えております。
 3枚目を見ていただきますと天塩川の河川の利用等の関係でございます。スライドでも御説明いたしましたように河口から160 kmの間、堰等の横断工作物がないということで、カヌー等の利用が非常に盛んでございます。延長も長うございますので、1日で下らずに途中途中でカヌーを引き上げて泊まりながら下っていくと、そのようなこともされておるところでございます。河口部の方に参りますとサケの一括捕獲がされております。真ん中の写真でございます。さらに河口部では、天塩町はヤマトシジミの産地となっております。それとともに中流部、もともと蛇行していたところをショートカットして堤防をつくったわけですが、旧川が残っております。一番下は美深町のところですが、こちらではチョウザメを養殖しております。もともと天塩川にはチョウザメがいたそうですが、今はいないということで、こちらでチョウザメを増殖しております。ただしそれを本川に出しますとある意味で外来種的になりますので、三日月湖の中だけで繁殖をさせているといった状況でございます。
 4枚目は環境等の状況でございます。左上の方にテッシが写っております。河床に露岩しているということで、昔はアイヌの方々がここでサケを捕獲していたということでございます。今はその右の写真にあるような格好で、カヌーで下るときに1つのポイントになっているといったところでございます。中流部を上空から見ますと、2段目の写真にございますようにずっと連続して河畔林がございます。鳥類等も非常にたくさんいるところでございます。
 水質上は、BODで0.7mg/lということで、全国的に見ても清流でございますが、ショートカットした三日月湖については流入河川の汚濁等で富栄養化が進んでいるというようなこともございます。一番下の左の写真がサロベツ原野ですが、先ほど御説明したように、従来の工事実施基本計画ではここから直接日本海に放水路を設けることも検討するという記述がございましたが、サロベツ川と天塩川の合流点に逆流防止水門をつくることによってサロベツ川の治水対策ができそうだということで、今回の河川整備基本方針では放水路は記述から外しております。
 次にちょっとかたい話で、一番最後のページで基本高水のピーク流量と計画高水流量でございます。天塩川の従来の工事実施基本計画については、誉平が本川の中流部でございます。名寄大橋が本川の上流部、真勲別が名寄川でございますが、この3つの基準点で安全度100 分の1でこのような基本高水のピーク流量を計画しておりました。この流量について妥当かどうかを検証しているのが中ほどの検証の@、Aでございます。従来は雨量から流出計算を行い上段のようなピーク流量を設定しておりましたが、流量データもかなり集まってきたということで流量確率で評価してみますと、確率の適用式によりかなり幅があるわけですが、誉平で毎秒4,900 〜6,500m3ということで、現在の基本高水の毎秒6,400m3を包含している。名寄大橋、真勲別も同様でありますとともに、既往洪水の実績から、既往洪水の氾濫していたのを氾濫しない、あるいは前期降雨があって流域が湿潤状態にあったということで既往洪水を計算し直しますと誉平で毎秒6,400m3と、現在の基本高水のピーク流量と同じだということで、今回の河川整備基本方針の基本高水については前回の工事実施基本計画の値をそのまま用いたいと考えております。
 計画高水流量については、先ほど申し上げました岩尾内ダムとサンルダムの2ダムをもちまして本川で毎秒700m3、本川の名寄大橋で毎秒500m3、名寄川の真勲別で毎秒400 m3を調節いたしまして、ここに書いてございますような5,700m3/s、2,800m3/s、1,400m3/sにしたいと考えております。
 正常流量については、美深橋で毎秒20m3を考えております。以上が天塩川の特徴と課題でございます。
 次に富士川についてでございますが、資料3−2をごらんください。1枚めくっていただきまして、2ページ目が治水についての現状、特徴及び課題でございます。流域の全体の概要としては、冒頭申し上げましたように甲府市の盆地と下流部、河口の富士市と、大きく資産が2つに分かれておりまして、その途中が狭窄部でつながっているということでございます。それとともに川全体が急流河川で、局所洗掘等で被害を受けているということで、上の方の写真に昭和57年の堤防侵食、あるいはその右でJRの富士川鉄橋の流失等を書いてございます。このような中で昔から治水対策が行われてきておりまして、右上の写真が御説明申し上げました御勅使川のつけかえと信玄堤でございますし、このほかにも水制として聖牛(ひじりうし・せいぎゅう)といった急流河川独特の工法がなされているところでございます。
 それとともに、真ん中の左の絵でございます。富士川A−A’断面と書いてございますが、釜無川と笛吹川に挟まれた低地に甲府盆地があるということで、両河川とも天井川になっているということと、後ほど述べますが、これらの河川から涵養された水が地下水となって水道用水等に利用されているといった状況でございます。中流部については、左下に写真がございますが、山間狭窄部で堤防をつくってしまうと守るべき資産自体が移転しなければならないということですが、このような形で浸水被害も発生しておりますので、宅地のかさ上げ等による治水対策を現在行っているところでございます。
 3枚目は土砂の関係でございます。これも最初のスライドで御説明いたしましたが、フォッサマグナが通っているということで釜無川の上流部の支川、それから早川では直轄の砂防事業がなされております。また土砂移動についても、真ん中ほどにございます、昭和57年に上流部では約7万m3の洗掘が起こると。支川の早川では650 万m3の土砂流出が起こると。下流の海岸侵食が昭和22年と比べて340 m後退しているということで、土砂管理上非常に課題が多い川だと認識しております。
 次の4枚目は環境面でございます。景観的に見ましても南アルプス、甲斐駒ヶ岳とか、甲武信岳とかいうことで非常に景観もようございますし、川の水質自体もようございます。富士川の環境概念図と書いてありますが、主に砂礫河川でございますので、普通の状態は一番上にある石河原のような状況ですが、余り洪水が起きませんと石河原にだんだん植物が繁茂してきて、さらには樹木が繁茂していると。今の富士川はこのような状況になっているわけですが、洪水を受けるともとの石河原に戻って、このサイクルを繰り返していくと、そのような河川になっております。
 それとともに、下の絵でございますが、富士川はアユ、カジカ、カワヨシノボリ等が産卵あるいは生息しているわけですが、横断工作物がたくさんございます。16カ所の横断工作物がありまして、魚道がついていない箇所もあるということで、魚類の遡上降下の連続性の確保も課題になっているところでございます。
 次をお願いします。水利用の状況でございます。甲府盆地の水利用の状況が左上に書いてございますが、工業用水、水道用水とも地下水の利用が多うございます。この水源は主に釜無川筋からの伏流水ではないかと考えられておりますが、平成6年8月には流量が少なくて釜無川自体が水がなくなってしまったということでございます。地下水の流動状況、慣行水利権も多うございましていまだに未解明の部分もございますので、扇状地河川の伏没現象と水利用実態の調査、解明が課題となっております。
 それとともに、下の絵が発電による水利用の状況でございます。スライドでも申し上げましたように塩之沢堰から取水して、途中、十島堰からも取水して、最大毎秒75m3が富士川第2発電所から直接駿河湾に流されているということで、富士川本川の流量をいかにすべきかということが課題になっている河川でございます。
 最後のページでございますが、富士川の洪水関係の資料でございます。富士川の洪水の基準点としては北松野、ちょうど静岡県に入ったあたり、下流部で毎秒1万6,600m3、清水端、釜無川と富士川が合流して狭窄部に入る前ですが、こちらで毎秒8,800m3という基本高水のピーク流量を従来の工事実施基本計画では設定しております。北松野については年超過確率150 分の1、清水端については年超過確率100 分の1の安全度でございます。これについて先ほどの天塩川と同様に流量確率、既往洪水の実績からチェックをかけましたところ、いずれも現在の基本高水のピーク流量が流量確率評価、既往洪水実績の範囲内に入っているということで、現計画の基本高水のピーク流量を踏襲したいと考えております。
 富士川の計画高水流量でございますが、土砂移動が激しいということと、流域の地質自体がフォッサマグナの関係もあって悪いということで、ダムの適地がございませんので、基本高水のピーク流量をそのまま計画高水流量としたいと考えております。
 正常流量でございますが、先ほどの地下水の利用実態、伏没の実態、それから発電バイパスの回復をどうするかということも含め、今後調査して決定したいと考えております。以上が富士川の特徴と課題でございます。
 続きまして大淀川水系でございます。資料3−3で御説明申し上げます。1枚めくっいていただきまして大淀川の治水でございます。近年の年最大流量を一番上の棒グラフで書いております。こちらについては既に洪水調節をするダムがございますので、洪水調節した分をしなかったというふうに仮定してピーク流量を出しておりますが、現在の工事実施基本計画の基本高水のピーク流量、毎秒7、500m3、だいだい色の点々で書いてございますが、これを上回る洪水が、昭和57年毎秒8,040m3、平成5年毎秒7,640m3、平成9年毎秒7,970m3と3回生じております。また、それに近い洪水、例えば平成元年の毎秒7,120 m3というような洪水も生じているということでございます。平成元年7月には、左下の写真でございますが、宮崎市の高洲地区、ちょうどホテル街があるすぐ下流あたりですが、堤防ひたひたまで水位が上がってきているという状況でございます。
 この大淀川流域ですが、宮崎県内では宮崎市が人口第1位、都城市が第2位ということで、宮崎県内で最も人口、資産を抱えている川でございます。それとともに、人口、資産が宮崎市、都城あたりに集積してきております。その状況が右下の土地利用の変遷に書いてございますが、県全体としては過疎化の傾向にあるわけですが、県内の主要都市に人口、資産が集中してきているといった状況でございます。
 それで、大淀川については先ほどの天塩川と富士川とは異なり、洪水の計画を変更したいと考えております。次のページをお開きください。現在の大淀川の工事実施基本計画は昭和40年に策定され、安全度、計画規模が70分の1、基本高水のピーク流量が毎秒7,500 m3、計画高水流量が毎秒7,000m3でございますが、昭和57年、平成5年、平成9年と既定計画の基本高水のピーク流量を超える洪水を経験しております。
 それとともに、大淀川の現在の安全度、70分の1という値でございますが、今回御審議いただいております富士川が安全度150 分の1で、想定氾濫区域内人口が約48万人、想定氾濫区域内資産が約6兆3,000 億でございます。大淀川については想定氾濫区域内人口が約21万人、想定氾濫区域内資産が約2兆円でございます。既に御承認いただいた13水系について見ますと、九州の白川は安全度150 分の1ですが、想定氾濫区域内人口約22万人、想定氾濫区域内資産2兆6,000 億円、また前回御承認いただきました中国の斐伊川ですが、想定氾濫区域内人口約23万人、想定氾濫区域内資産2兆7,000 億円といったような状況で、全国的なバランスあるいは類似河川の状況等を見まして、大淀川の治水安全度を富士川、白川、斐伊川等と同様に150 分の1に変更したいと考えております。
 それから基準点の変更。これは小さな話でございますが、従来宮崎の市街地の中で宮崎という地点が洪水の基準点になっていたわけですが、こちらは潮の影響を受けるということと、宮崎市の真ん中であるということで、潮の影響を受けない、かつ宮崎市の市街地に入る上流部あたりの柏田というところに基準点を設けたいということでございます。
 これをもちまして、150 分の1にするということで、流域の大きさから雨の継続時間を48時間として過去の降雨資料を統計処理いたしますと、計画降雨量が48時間で573 mmとなります。この雨量を降雨パターンで流出計算を行うわけですが、1次選定、2次選定ということで、まず1次選定としては代表的な15洪水の降雨パターンを抽出して、それを計画降雨量まで引き伸ばしたときに時間分布、地域分布が極端に偏っているものを除外いたしまして、4降雨の降雨パターンで流出計算をいたしました。その最大値が毎秒9,700 m3になるということで、今回はそれを基本高水としたいと考えております。この基本高水毎秒9,700m3の妥当性については従来からやっている方法と同様に流量確率でも評価しておりまして、流量確率で柏田地点150 分の1を求めますと毎秒9,400m3から1万1,000m3ということで、雨からの計算をカバーするということで妥当性も確認できておりますので、毎秒9,700m3を新しい基本高水のピーク流量としたいと考えております。
 計画高水流量でございますが、こちらも堤防自体はほぼ概成しております。それとともに観光の名所になっているということもございますので、河道の掘削と、既にこちらでは岩瀬ダム、綾北ダム、綾南ダム、3つのダムがございますので、それらの運用方法の変更等により毎秒1,000m3を調節いたしまして、河道毎秒8,700m3は部分的な高水敷の切り下げ等で河道で対応したいと考えております。以上が洪水関係の考え方でございます。
 続きまして次のページでございますが、大淀川の河川空間、自然環境でございます。大淀川流域、下流部は宮崎市、中流部が照葉樹林帯ということで非常に有名になっておりますが、綾北川等の照葉樹林帯、上流部は都城市ということで、観光的にたくさん利用されております。宮崎市内の観光客の入り込み数を見ても年間約700 万人の利用者がございます。環境的にも、宮崎市内で見ましても河口部左岸側がアカウミガメの産卵地になっております。それから河口部に丸島という、洲といいますか、小さな島があるわけですが、こちらがミサゴ等の繁殖地になっておりますし、河口部付近ではアカメという、四万十川にいる目が赤い魚でございますが、こういう魚が生息しているといったような、多様な動植物の宝庫でございます。
 次のページを見ていただきますと水質関係でございます。スライドでも御説明いたしましたように、平成3年に下流部の環境基準BOD2 mg/lのところが三点幾つと、九州の中で一番水質が悪い川であったということで、汚濁負荷の原因を見ますと家庭排水が約4割、畜産排水が約4割といった形になっております。これで流域の16市町村で大淀川をきれいにする統一条例を策定いたしまして、汚水処理施設の推進、河川浄化等を行っているところでございます。宮崎市の水道については大淀川本川から取っているといった状況でございます。
 以上が各河川の特徴と課題でございます。あと、河川整備基本方針案とか、基本高水等に関する資料、正常流量に関する資料等もございますが、時間もございませんので御質問にお答えする形で説明させていただきたいと思います。以上でございます。 (委員長) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等がございましたら御発言をお願いいたします。
(委員) 2点お聞きしたいんですが、富士川水系、非常に土砂の流れが多いということだったんですが、海岸線が後退していますよね。静岡海岸も随分後退しているというのは前から有名なんですが、土砂供給が多いのに海岸線が後退している理由がもし明確であったら教えてほしいということが1点。
 それから、大淀川で今までの基本高水に到達するような洪水が頻繁に起こっているということで、確率が今までが低かったということもあるんですが、隣の球磨川と流域が接しているんですが、最近は余り球磨川では大きな出水がないですね。山を1つ越えれば雨の降り方は随分違うというのはあるんですが、大淀川で頻発する理由というのがわかっていたら教えてください。
(事務局) 1点目の富士川でございますが、過去において砂利採取が盛んであったこともありまして、最近はそういったことを考慮して限られた場所での採取にとどめておりますが、そういった影響があるかと思います。
 2点目の大淀川の件でございますが、九州の東海岸、例えば五ヶ瀬川であるとか番匠川であるとか、東海岸については大淀川と一緒に平成5年、平成元年、平成9年もそうでしたが、大出水が出ております。五ヶ瀬川はたしか北川においても激甚災害がありまして、当時よく似た気象状況と申しますか、九州の東海岸の方に雨がよく降るような現象が続きまして、球磨川は西海岸の方でございますので、大淀川だけではないんですが、九州の東海岸に洪水がこの10年に集中しているような気象現象が多発しております。
(委員長) 球磨川は最近起こってないんですか。私の記憶では、私も大水害の後に球磨川の中に入ったことがあって、そういう感覚が定着しているのかとびっくりするんですけど。
(事務局) 委員長がおっしゃったのは昭和40年代の、41年とかの連年災がのことかと思います。昭和57年に大きな洪水が出まして、しかしながら昭和40年代の洪水にかんがみた河川改修も進め、ダムの治水容量等の話もありまして、ある一定の安全な河川になったものでございます。
(委員) 今の点ですけれども、宮崎県側で出水が多いというのは、台風が東シナ海を北上すると南東風が吹きつけるんですね。ですから九州では宮崎県のあたりが一番、今年もそうでしたけれども、そういう気象状態が影響を与えていると私は見ています。
(委員長) そのほかございましたら。
(委員) 2点お聞きしたいと思います。○○委員の質問は富士川河口の海岸線の後退の原因だったんですが、それに対する対策というものがあったらお聞きしたいというのが1点です。
 もう1点は天塩川に関してですが、工事実施基本計画を河川整備基本方針の方でドラスチックに変えるというのは非常に僕は高く評価できると思う。特にサロベツ原野の放水路をやめて従来の道でいけるようにするというのは評価できると思うんですが、もう少し詳しく、どうしてそういうことが可能になったのかを御説明いただきたい。2点お願いいたします。
(事務局) 1点目の対策でございますが、富士川については土砂の生産から、川の中を伝って河口に至るまで、土砂自体がどういう挙動をしてということを調査、あるいは研究して解明していくことから始めております。解明に努めて、それに従って必要な対応ということで、具体的にはこれから考えていきたいと考えておりますので、いろいろ勉強していきたいと思っております。
 それから天塩川の支川でありますサロベツ川の治水対策でございますが、1つには放水路による海域への影響であるとか、先ほど説明しましたように天塩川の水門と河川改修等による代替案を比較した結果、そういった影響もかんがみ、天塩川については水門プラス支川の方の対応で治水対策ができると判断したところでございます。
(委員長) 今の点ですけど、せっかくですから、富士川については砂防事業もやっておられるわけだし、流域全体として土砂計画をどうしているか、もうちょっと具体的な資料を追加していただいたらどうかなと思うんですけどね。勉強中というのはちょっと……。当然持っておられるんでしょうから、砂防ではこういう計画をとっていて、河川ではこう考えているという全体の土砂管理計画というんですか、それをお願いしたいと思います。
(事務局) では次回にでも説明いたします。きょうお示しできる資料では、富士川の概要の3ページの左上、既に委員の方々は御存じでしょうけれども、従来の砂防ダムというのは土砂をすべてためるという形でございましたが、新しい形の砂防ダムということでスリットのような形で、大きな、害を与えるような粒径はためるけれども、通常の土砂については流下させていくという形の砂防事業を今やっているところでございます。土砂全体の挙動の現在までの調査結果等につきましては次回御説明したいと思います。
(委員長) この問題については本文にまで反映させる必要があると思うんです。 それから、サロベツの水門の話は、図面でもありましたら、サロベツ原野がこうあって、逆流防止とかいろいろ説明がありましたけど、もうちょっと具体的に説明していただくなり、あるいは追加資料をいただくなりした方がいいんじゃないかと思いますけど。
(事務局) はい。次回に代替案を比較したところを御説明したいと思います。
(委員) 今のサロベツ原野の補足でございます。サロベツ原野の横を流れますサロベツ川がございます。天塩川のシジミと書いておりますが、サロベツ川の中でもシジミ漁が行われております。ミドリシジミといいまして、すごく大きな粒のシジミでございます。しかしながら近年、不漁になって、シジミの育成も悪いという部分もございます。
 そして、天塩川の4ページをごらんいただきたいんですが、左下にサロベツ湿原がございます。ここでは「サロベツ原野」と書いてありますが、サロベツ湿原でございます。この中にはペンケ、パンケと2つの沼がございます。そのうちのペンケ沼ははや乾原化しており、沼の様子はもうございません。近年どんどん乾いているという状況がございますので、その辺も踏まえ水門の件について検討していただきたいと思います。以上でございます。
(委員長) 追加で質問ですけど、逆流水門というのは本川がサロベツ川を逆流してサロベツ原野に入るのを防ぐということですか。
(事務局) そうです。水のはけが悪く、本川の水位が上がるために必要です。
(委員長) 上がってサロベツ川を逆流するのを防ぐと、そういう意味ですか。
(事務局) はい。そういうことです。
(委員長) ○○さん、どうぞ。
(委員) 冒頭の説明に、13水系が既にできて、今回3水系という話ですが、全体から見ると数が少ないような感じがするんですけど、今後どう消化されていかれるのか。例えば環境というのが入ってきたわけですから、そういうものを重点的にやりたいとか、治水安全度を高めないといけないとか、策定が古いものもあるかもしれませんが、何か基準を持って河川を選ばれているのか、お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
(事務局) 事務局として今後河川整備基本方針を一生懸命つくっていかんといかんということは当然のことでございます。おっしゃったように109 水系ございまして、109 水系については既に工事実施基本計画がありまして、河川整備基本方針の順次策定を進めているところでございまして、1点目は、それぞれの河川で新たに大きなプロジェクトを実施していくとか、そういった段階において河川整備基本方針、河川整備計画に位置づけていこうということで考えているところでございます。今後とも事務局としても努力していこうというのが実態でございまして、今後とも、委員会をたくさん開くことになるんですが、努力していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
(事務局) 平成9年に河川法が改正されまして、従来の工事実施基本計画にかわって河川整備基本方針と河川整備計画といったものをつくることになったわけでございます。もう平成14年ですから、109 水系全部できていなければおかしいじゃないかという御意見も時々いただいているわけで、我々反省しているところでございますが、新しい河川法では河川整備基本方針は社会資本整備審議会の意見を聞いて大臣が一級水系の場合は定めると。具体的な河川整備計画については各地域の意見を聞いて定めるという2本立てになっているわけでございます。法律的にいいますと、地元の意見を無視して河川整備基本方針だけ109 水系全部決めちゃえばいいじゃないかという御意見もございますが、実現性があるような計画でないと、計画だけつくって持っていてもしょうがないものですから、我々としては地元の話し合いの状況も見きわめ、河川整備計画がこういう形でできそうだというものについて河川整備基本方針をつくっていっているというのが実態でございます。
(委員長) ほかに何かありますか。
(委員) 大淀川では内水という言葉がはっきり出てきておりますが、天塩川、富士川では必ずしも明確に出てきていない。少なくとも天塩川の私の認識では、近年、いわゆる洪水といわれるものの相当数が内水被害である部分が多いのではないかと思います。過去の洪水の資料が極めて限られているのは承知しておりますが、内水によるものなのか、外水によるものなのか、その区別すらされていないのが現状なのかなと。その辺、おわかりになる範囲で区別していただくと議論がしやすいんじゃないだろうかと。
 それから、きょう御説明いただいていませんが、本文の中にそういうものに対する対策が余り書き込まれていないという印象を持って読ませていただきましたので、その辺も今後御配慮いただければいいかなという気がいたします。以上でございます。
(委員) 次回に富士川水系の砂防の資料を出してくださるそうだけれども、富士山の大沢崩れですね。これは非常に大きな問題なので、その資料もぜひお願いしたい。支川としては、あれは潤井川になるのかな。ちょっと記憶が浅いんですが、水系としては富士川の水系になるわけですね。お願いしたいと思います。
(委員) 細かいことで恐縮なんですが、大淀川の特徴と課題の5ページを見ると、BODの75%値が上流で高くて下流で低くなっていると。これは多分、都城の方の畜産の影響で、流れ込んで上流で悪いと思うんですが、下流で低くなってきている理由なんですが、支川からどんどん流れ込んで流量が増大したことによる希釈なのか、それとも河川を流れる間に自然浄化効果でこうなふうになったのか、その辺、もしわかれば教えていただきたいんですけど。
(事務局) 多分希釈されたんだと考えますが、そこら辺については次回までにきちんと調べてまいります。
(委員) 1点質問です。天塩川についてでございますが、河川の利用、河川環境の両方で旧河川の扱いがかなり重視されていまして、それについてちょっと伺いたいんですが、参考資料1−1の37ページに旧川の所在と河道の有無ということで図面がございまして、旧河川は今でも河川管理者が管理していると理解してよろしいでしょうか。旧河川、蛇行している部分が大変重要だというのはだれでもそうだと思うんですが、それによってかなり計画上の取り扱いが違うと思うんですね。そこら辺はどんなふうになっていますでしょうか。37ページに図面がありますが。
(事務局) すべてが法河川ではなくて、数字が幾つというのは今はないんですが、半分強が法河川として残っております。
(委員) それについては明確にしておいた方がいいのかなという感じがしますと同時に、河川でない部分についての取り扱いというのは何か考えられているのかどうか、いかがでしょうか。
(事務局) いわゆる法河川でないところは市町村等で管理しているかと思いますが、実態も含めて調べてまいります。
(委員長) ○○委員、いかがでしょうか。
(委員) 3つの川で気になっていることで、教えていただけたらと思います。まず天塩川ですが、先ほど御説明もあったように堤防が連続してきまして、それは大変いいんですが、人口が少ないところなもんですから、1人当たり、堤防を見回るのに日本で一番距離が長いんですよ。そういうところで、河川管理という概念を入れないとこの計画が成り立つかなという心配を常々しているんですけど、その辺について何かございましたら触れていただければと。
 そういう意味でいうと、ピークの流量あるいは計画流量だけじゃなくて、できるだけ速く流すということが河川管理上必要になってくるんだろう。これはほかの川と違う、あるいは世論と違うかもしれません。長いほど不安感がすごくてどうにもならんというところが天塩の大きな特徴だと思うので、その辺、何かありましたら教えてください。
 それから、富士川については大変エネルギーの大きい川なので、管理する場合に不安定要素が高くなるんですが、2点、こんなことが欲しいなと思うのがありまして、1つは狭窄部の中で、富士川というのはさまざまな伝統工法の宝庫ですので、何か試す場所が欲しいなと。たまって削れる場所として、先ほどありましたが、甲府盆地の中の水制だけの紹介ではなくて、思い切って何かをやってみてテストをする場所というところができないものだろうかと。
 もう1つ、基本計画の中にないので、これはぜひ入れてもらった方がいいんじゃないかと思うんですが、上流の霞堤にしろ伝統工法にしろ、これは次善の策でして、最後の砦だよというのは雁堤なんで、これを基本計画の中でなくしていっちゃうのと。筑後川の千栗堤が近年なくなっちゃいましたよね。あんなことでいいのかなと、その辺が不安に思っております。
 それから大淀川については、大淀川の一番の問題点は宮崎市の内水問題をどうするかということでずっとやってきたんで、内水問題はこの説明だけではどういうふうにするのかよくわからない。ポンプでだけなんですか。流量を上げるということだけではなくて、ここはある段階の流量を決めて、既設ダムのリニューアルということでもう少し河川管理ができないかなと。ふだん気になっていることなんで、質問かたがた申し上げました。
(事務局) 天塩川の管理でございますが、これは天塩川だけじゃないんですが、御存じのように光ファイバー等による情報伝達ということもやっておりますが、それを河川管理に資していこうと考えております。
 それから雁堤の話ですが、なくすとおっしゃったんですが、基本的には雁堤については河川管理として残していきたいと考えております。
 それから宮崎市の内水問題ですが、確かに平成5年、9年と内水被害が多かったわけでございます。内水排除については、河川管理者の方で対応する話もございますが、一方で下水道の方での対応もございます。もう1つは宮崎市自体がかなり市街化が進んでおりまして、現在では例えば市街化に伴う調節池等の設置なんかも対応しているように聞いております。内水という問題だけではないんでしょうけれども、市街地との関係というのも一体となったことを今後進めていきたいというように聞いております。
(委員) 今の点、誤解を受けるので繰り返しますが、天塩川の場合、光ファイバーをやろうとやるまいと、あんな長い堤防をあんなに少ない人口の中で管理するのは大変だよと。光ファイバーが切れたらどうするんですか。怖くて堤防を見回りに行けないという川なんですよ。消防団の人に聞いてみてください。
 それから雁堤は基本計画にあるかないかということを言っているんじゃなくて、言葉として出てこないとなくなっちゃいますよということです。千栗堤を実際になくしちゃったじゃないかという寂しさから言っています。
 それから宮崎市の内水問題については、大淀川の主目的はこれだったわけですね。市街地になろうとなるまいと、ずっと水につかっていたところです。市街化したから内水問題が出てきたんじゃなくて、これは地形的にそうなんで、大淀川の河川改修、近年になってからスーパー堤防に近いものもできましたよね。これはいいんだけれども、内水問題という古典的な問題が基本計画の中になくていいのかどうか。これは下水の問題だよと言われればそうかもしれないけど、それで解決しますかということです。
(事務局) 決して下水の問題と考えているわけではございませんで、大淀川の河川整備基本方針の案の5ページでございますが、そこの中段に近年多発している内水被害については関係機関と連携をとりながら対策を進めていきたいということで、今回の治水計画の中では内水の安全度をおおむね30分の1ぐらいと見込んで河川の外水とのバランスを考慮した計画にはしております。
 確かに1行しかないわけですが、「近年多発している」ということで内水対策については記述しているわけですが、記述ぶりについてはもうちょっと考えていきたいと考えております。
(事務局) 先ほど150 分の1のときの流量で基本高水を毎秒9,700m3/sと計画高水流量を毎秒8,700m3/sと申しましたが、その中に内水地域の安全度を30分の1にするための排水量を、基本高水、計画高水流量に含んだ形で今回の河川整備基本方針をつくっております。実際、宮崎市内でも新小松川から途中でバイパスして大淀川本川に既に排水機場ができておりますし、ほかにもいろいろ計画されているので、大淀川の排水量を見込む形で計画しています。
(事務局) それから雁堤の記述でございますが、富士川の河川整備基本方針の案の8ページに、景観とかそういった場所に書いていることがどうかということはあるんですが、「信玄堤、万力林、雁堤等に代表される急流河川特有の伝統的治水施設を後世に継承するとともに」と記述しているところでございます。
 それから治水対策としては「伝統的治水工法の活用」ということで、6ページの下でございますが、具体的名称ということではございませんが、「保全を図る」ということで記述したところでございます。
(委員) 別にきょう議論しようということではないんですが、天塩川については管理上の問題、それからダムのリニューアルの問題もそこに入れられたらと。雁堤は、積極的に使うというよりも、これは最後の砦ですので、これを含めて富士川の中でどうするのか。これは万力林や信玄堤とは話が違うよと。それから宮崎については、僕はもっと大きなポンプ場を設置すべきだと思っていたんです。というのは、市街地の中を流れている川で一番排水門が多かった川ですよ。密度が。そこのところをやるんですから、しかも長大な堤防にしたんですから、おのずからそうならなければいけないという意味で、単純に内水の頻度を上げましたよという程度ではないだろうと思ったもんですから申し上げました。
(委員長) では、本文のときにその辺を反映させたいと思います。
 では○○委員、お願いします。
(委員) 今の御意見とも関係するんですが、今回、大淀川の計画を大きく見直すという話に見えるわけですが、1つは、前にも一度見せていただいたような気がするんですけど、これまでの13河川も含めて、どういう考え方でやっているのかというのを一覧にしていただけるといいなと思います。例えばそこにお住まいの人口、資産、さらには計画運用の考え方、どういう考え方でそれを処理しようとしているのか、ぱっと見れるようなものがあると非常にわかりやすいし、我々がどう考えて処理をしようとしているかというのが説明しやすいという気がいたします。
 それと、今の大淀川に関して言うならば、先ほど○○先生もおっしゃっていましたけど、内水の氾濫がなぜ起きているのかということをもう少しはっきり説明していただかないと、大淀川の処理できる流量を上げたから全部解決するかのように見えてしまうのもややおかしいのかなと思います。その辺は次回引き続き御説明をいただきたい。
 もう1点ですが、大淀川で従来はピークカットのダムが500m3/sだったのが今回1,000m3/sに変えられているのは、もうちょっと説明していただいた方がいいかなという気もするんですが、倍になるというのは何か理由がおありなんでしょうか。
(事務局) 人口、資産等の13水系については、次回お示しするようにしたいと思います。
 大淀川の内水の氾濫の形態は、一義的に河川の水位が上がっただけではなくて、当然、堤内地に降った雨の量にもかかわっております。先ほど九州の東海岸の、○○先生がおっしゃられた台風が東シナ海に行って東南からの雨が降ってということで、平成5年とか9年においてもかなりの強度を持った雨が宮崎市内に降っていることも1つの原因かとは思います。したがって内水の安全度、どうあるべきかということを考えていきますと、安全度を上げることによって内水対策自体を先ほど申しましたような計画の中に織り込んでいこうと考えているところでございます。
宮崎市内のほかにも、都城の方にも内水問題は生じております。そういったところにおいては、河川の水位を上げる雨と堤内地に降る雨というのは、都城は上流に近いこともありまして同じような現象で起こるところがございますが、それにしても内水被害の実態にかんがみた計画をつくっていくことが必要であろうとは思っております。
それからダムの考え方でございますが、従前の計画自体で河道と調節して配分について500m3/sというふうに考えておりましたが、今回考えるに当たりまして、河道の中で安全に流下できる量というものを、幾ら流せるか、あるいは環境上の配慮をしながら掘削できるのはどの辺までかということをまず考えたところでございます。それとともに、従前の計画でダムの操作と申しますか、ダムに入ってくる流入量に対してどういう操作をして下流に放流するという操作の考え方におきましても、工夫することによってピークに対して500 m3/sというものがより効果的にならないかということも検討しました。それからダムのほかにも中流部、上流部における遊水地なんかも可能ではないかと考えて、今現在ダムの効率的な運用ということを考えておりますが、そういった洪水調節施設によって、従前の500m3/sというのは既存のダムでございますが、それの効率的な運用も踏まえて1,000m3/sの調節施設は可能であろうというふうに考えているところでございます。
(委員) 最後のところだけですけど、500m3/sのダムのカットがよく考えたら1,000 m3/sできましたという説明は、ではほかのダムはどうなんですかという次の質問になっちゃうんですね。ですから、もうちょっと具体的に説明を次回していただいた方が、なぜ倍になったのかというのをわかりやすく説明していただいた方がいいかなという気がいたします。
(事務局) わかりました。
(委員長) 僕もそこを聞きたいんですけど、利水ダムを買って洪水調節ダムにしたとか何とかいうならわかるんですが、そこの説明が非常に漠としていて、あとは事務局に任せておいてくださいよと。こういう数字を決めるのにいかがという気がするので、もうちょっと踏み込んだ説明が必要じゃないかと思いますので、次にお願いしたいと思います。
(事務局) わかりました。カット方式の変更と、多目的ダムの容量配分の変更で、利水容量と申しますか、発電容量を治水容量に振りかえていくと、そのようなことでございますので、次回もう少し詳しく説明いたします。
(委員長) そこはかなり明確に言っていただかないと、どこかからうまく生み出されるという話に聞こえて、ちょっと審議会としては困るんで。お願いします。
 では○○委員、お願いします。
(委員) 大淀川の水質の問題で、先ほども質問がありましたが、その続きみたいになりますが、さっきは上流、下流の違いの話がありましたが、経年変化を見ますとワースト1になった平成3年以降かなり急速に改善されているわけですが、この原因というんでしょうか、どういう対策が効果があったのか知りたいので、わかる範囲でお答えいただきたいし、調べていただければと思います。
 それと、先ほど下流の方がきれいなのは希釈効果であろうという話もあったんですが、先ほどの説明で余り詳しくお話がなかったんですが、正常流量というのを今回おおむね26m3/sと定められるということですが、これは水質という観点からどういう水量として見たらいいのか、お考えがあれば聞かせていただきたいということです。
(事務局) 平成3年の水質悪化を受けて、先ほど大淀川サミットというものを立ち上げたと御説明したところでございますが、時点は何年ということはわからないんですが、上流の市町村において、例えば合併処理浄化槽であるとか、クリーンセンターごみ処理施設をつくっていったとか、下水道、農業集落排水事業を実施していったとか、大淀川サミットにおいて上流部の市町村で下水道、集排、合併、そのほか石けん製造機の購入とかいろいろな取り組みをやっているのが実態で、そういった取り組みの成果であろうと考えているところでございます。
 それから正常流量26m3/sの話でございますが、お手元の資料6−3、大淀川水系の流水の正常な機能を維持するため必要な流量についてということで、7ページに動植物であるとか、観光・景観であるとか、8つの項目ごとに検討内容と必要な量を記述しておりますが、動植物の保護、あるいは流水の清潔の保持、これがいわゆる水質の確保というところでございますが、こういった数字からおおむね26m3/sということで整理したところでございます。
(委員長) いかがですか。必要があったら追加資料をいただくことにしましょうか。
(委員) 以前にもお願いしたんですが、環境とか、河川の周辺の話に関しては非常に詳しく記述してあるんですが、川の例えば疎流能力とか、工事がどこまで行っているのか、こういう記述がほとんどないんですね。だから、一体この川に関してはどんなことが行われるのかなかなか読み取れない。そういうのは別の委員会でやられるというお話だったんですが、非常にアンバランスのような気がして仕方がありません。例えば北海道の方の川ですと堤防の延長が35%完工しているとか、よく読んでいくとところどころあるんですね。だけど今ぱっと、ダムがあるのかないのかも読み取れない。大淀川の方を見ると、よく読むとダムをつくらないらしいとか、基本計画なのに、あと何をやればこの川はちゃんとした川になるのかというのがどうも読み取れなくて、多分、プロの方は御存じですから、そういうことは当たり前だと思われていると思うんですね。というのが1つお願いでございます。
 それからもう1つ、先ほど治水の安全度で再現期間、生起年数について、それを改定するというお話がありました。実はそれがどこにも、公式書類には書いてないんです。河川の年鑑等を見れば書いてあるのかもしれませんが、どの川が何年というのは本文の方にもありませんし、参考資料の方にも見つけるのが非常に困難だということがあります。基本的な事項が、専門の方がおやりになればなるほど、当たり前だから、外から見るとわからなくなるということかと思いますので、よろしくお願いします。
 それからついでですが、先ほどから大淀川の内水問題が出ておりますが、私はそこの出身だもんですから。あんなところを何で市街化するんだという場所です。いわゆる浸水の危険地域といいますか、本来指定されるべき場所が市街地化したことによる内水問題だと、私はそう理解しております。ついでに水質を申しますと、大淀川は昔はでんぷん廃液、その次に畜産廃液で痛めつけられた。現況でも下水道とかそういうのは関係なくて、まだ畜産だと私は思っています。以上、余計なことですが。
(委員長) 今のお話の中の参考資料ですか、基本高水等に関する資料あたりには、必要とあらば書き込んでいただいたらどうでしょうかね。
(委員) 例えば河川管理施設なんかがあるところで、堤防の延長ができているのが34%とか、そういうのがところどころあるんです。ところが、今幾ら流れて、なら安全だという記述はどこにもありませんし。ということなんです。
(委員長) それを充実していただくということでいかがでしょうかね。
(委員) はい。
(委員長) いいですか、事務局。
 では○○委員、お願いします。
(委員) 富士川の防災を考えるときに、先ほど御説明があったように、もちろん急流河川にかかわるいろいろな課題はあるんですが、地震による影響というものをここは考えなければいけないところで、御存じのようにこの流域全体が東海地震の防災対策強化地域に入っておりますし、富士川の河口には、かなりシリアスなと言ってもいいと思うんですが、活断層帯があります。富士川河口断層帯と呼ばれているんですね。こういう地震が発生すると、山間部では必ずといっていいぐらい山崩れが起きて河川が閉塞されて、それが決壊して洪水を起こすということがあるわけです。それを今度の計画の中に書き入れることは難しいかもしれませんが、長期的な視野で川の防災ということを考えるときにはこれが1つのポイントなのかなと思います。
 それから、もう1つ地震にかかわって申し上げますと、地震が起きますと堤防は液状化を起こすところが多いんですね。地盤の液状化によって堤防に亀裂が入ったり、段差がついたりする。堤防がすっかり弱くなってしまうということになりますので、堤防の液状化対策というのを進めておかなければいけないということが1点です。
 それからもう1つ、特に東海地震が発生すると津波が起きます。津波というのは必ず川へ入ってきますので、例えば富士川の下流域の津波防災というものも視野の中に入れておかなければいけない。水というのは上から来るだけじゃなくて、下から来ることもあるということをお考えいただければということです。
(事務局) 富士川についての地震対策といたしまして、堤防の耐震対策についてはおっしゃるように講じていこうと考えているところでございまして、富士川の河口部においては高潮対策ということで、高潮に対する高さを確保した堤防も設置しております。津波対策でございますが、安政の東海地震等を念頭に置いて津波の計算をしたところでございますが、その高さと高潮堤防の高さを比較して、それから富士川が急流河川であるもんですから、遡上自体はそんなに行かないと。そういうようなことを考えまして、津波対策については今の高潮対策の範囲内でおさまるであろうと考えております。
(委員長) ○○委員、○○委員からこの川はどのぐらい流れるんだと全部尺度を示したらどうだというお話で、さて、富士川はどうしたらいいのかな。倍流れるか、半分も流れないか、これだけの土砂が出たり出なかったりすると難しいなと思いつつ、どう扱ったらいいかなと私自信悩むんですけど。
(委員) その辺は、難しいんだよと言った方がいいと思うんです。何でもデータがそろうよと言う必要はないんで、どのぐらい流れますよとそう簡単に決められることじゃないということを知ってもらってから、今の計画のレベルをこの辺に置きたいんだと、そういう説得の仕方をしなきゃいかんだろうと思うんですね。川の方でしばしば不幸なのは、だれがやっても同じような答えが出るみたいなイメージでの「科学的」と称するものが皆さんの中にあり過ぎるものですから、それで「客観性」というような言葉がやたらに出るんです。そうじゃないよということを基本計画のどこかでちゃんと言わないといけないんじゃないかと思うんです。例えば全国的レベルでどのぐらいで、今この川はどうであるという話をそう簡単に表現しちゃっていいかどうか、私は大変不満に思っているんですけどね。 すみません。答えになるかどうかわかりません。
(委員) 工事がどこまで進んだかはいいですね。
(委員) 関連ですが、要するに現状が素直にわかればいいんだと思うんですね。大淀川に関しては、例えば都城は御存じのとおり市街化区域、市街化調整区域の線引きを外したんですね。それが結果的にはどういうことをもたらすのか考えると、実際に内水がどこに氾濫しているのか、はっきり図に落としてみんなに見せないと、○○先生がおっしゃったようなことはコントロールできない。だから現状を市民にわかってもらうということにもう少し力を注いでもいいんじゃないかなという気がいたします。
(委員長) きょうは残念ながら宮崎の市長さんが御出席いただけなかったんですけど、次は綾委員と同時に、地元はどう考えているか……
(委員) 僕が気になったのは、橘公園をせっかくやって、ホテルの人たちが河川改修等をあんなに協力してやったわけじゃないですか。それが裏側が水が出るよではちょっと寂しいじゃないですか。
 長年の宿願なんですよ。先ほど市街化しちゃいかんという話がありましたが、それは今言ったってしょうがないんで、現実になっちゃっているんですから、そういうことでは解決しないわけですから。そういう話をするとすれば、例えば東海豪雨のときに長良で水につかった、破堤したところというのは、新幹線を通しているときの市街化区域なんです。それまで調整区域なんです。では都市計画でそうしたのは何と。そのときに川の方で「それは困るよ」という話は、局長通達は出ているんです。けども、そのことは一般には知られていない。何回も同じ轍を踏まないように、早いうちに都市側とわかり切った話をそれぞれされた方がいいんじゃないかなと、そんな思いで言いました。
(委員長) ○○委員、宮崎市みたいなところはどうなんでしょう。九州南部の主要都市として人口30万になっていますけど、私が知っていたのはまだ30万に届かなかった時代ですけど、宮崎市長さんの気持ちはどうなのかなと。やっぱり多少は河川に頑張ってもらって都市化したいという気持ちがあるのかどうかですね。今度市長さんに聞けばいいんでしょうけど。
(委員) 地方都市はみんな人口減少に悩んでおりますから、少なくとも今の人口を維持したいということについては大変強い願望をお持ちだし、もう1つは農業の維持が大変難しくなってきている。ですから都市がやや割っている理由はいろいろな意味で規制があるからじゃないかというお考えを持たれる方が大変多いわけです。自由にやらせてくれたらもっとうまくいくはずだとおっしゃる方も大変多い。土地利用コントロールについても、それは自分のリスクでやればいいじゃないかぐらいのことで、道路ができれば使わせろということになることが多々ございます。都城などもその1つの例だと思うんですが、人口が減っているのは土地利用コントロールが厳し過ぎるからだという意見が一方であったわけです。それを外して自由にしたところ、計画的な土地利用は実際にはできない。人口も大してふえてないんですけど、そういったことが地方都市では起こりがちなので、今回のような場合にはぜひ、はっきりと問題があるところは問題があるんだということをお示しになる方が私はよろしいんじゃないかという意味でございます。
(委員) 今のお話、私は都城と宮崎は同じ内水の話で土地利用はできないと思っているんですよ。都城は盆地の中の内水問題ですから。市街化区域にするか、調整区域にするかというのは、今お話のように地元の念願というのは相当違うわけですね。そのときに盆地特有の地役権の設定というような話を含めた治水計画というのはあり得るだろう。これは宮崎市では無理だろう。そういう面で同じ内水でも違うんです。宮崎が長年困ってきたというのはそういうことだよということを先ほど申し上げた。
(委員) ちょっとよろしいですか。地域計画、都市計画の話になっちゃいましたから。 私も初期のころのマスタープランは随分参画していたんですが、正直に言いまして、そのころのお絵かき、市街地とか色を塗るときに水サイドは歯が立たなかった。ここは田んぼだから洪水が出ますよと言っても、それに対してコストが幾らかかったら大丈夫ですかとか、そういうことを聞かれて、この程度ですよと言ったら、それぐらいなら大したことはありませんで押し切られてしまう。
 しかも、だれもそれが実現するなんて考えてなかったでしょう。マスタープランを書くときは、田んぼですから。それが実現しちゃった。その影響が現在出てきた。また色を塗りたい方がたくさんいる。そういう状況ですから、それでこういう問題が発生した。そういう話がずっときているわけです。だから、もうそれ以上市街地がふえないとしたらじゃんじゃん言っちゃっていいんじゃないかというのが私の感想なんです。ちょっと言い過ぎかな。
(事務局) 若干間接的なお答えになるかもしれませんが、河川サイドでも昭和50年代から浸水実績図というのを公表し出しまして、それから想定氾濫区域図の公表に移りまして、今はさらにそれにプラスして、浸水したらどこに逃げればいいんだというところまで入れたハザードマップという形を入れておりますが、それは実績と危険性を示すとともに、ここまで言うとちょっとおかしくなっちゃうんですが、もし土地利用をされるのであれば、もっと安全なところがあればそういうところは避けられた方がいいんじゃないですかという意味もちょこっと含めた形で、土地利用しちゃいけないとはなかなか言えないもんですから、そんな趣旨で今やっているところでございます。
 ○○委員が言われた施設の整備状況につきましては、堤防が何キロできているとか、それは従来から河川便覧がございますので、次回お出ししたいと思いますが、それで何分の1の洪水までオーケーなんだと言われると、従来から非常に難しい言い方で、それがはっきりしないから河川は言うことがわからんと御批判を受けているわけですが、なかなか示しがたいのも事実でございます。
(委員長) いろいろな尺度があると思うので、それなりの書き方もあるでしょうし、特に富士川みたいな川の書き方というのは大分違うんでしょうね。土砂も含めて考えないといかんと思います。その範囲で努力をしていただきたいと思います。
(委員) 今回、大淀川だけ基本高水をふやすわけですね。70分の1から150 分の1ということで、その理由が実績が結構大きいからということなんですが、最近のいろいろな大型公共事業の反対の議論を見ていると、川辺川ダムなんかでもそうなんですが、川辺川の場合は80分の1で、計画降雨があっても、「いや、こんなに流量は出ない」とか、「現状では幾ら流せると言っているけど実際はもっと流れるんだ」とか、そういう話になって、最後は「国土交通省が過大に設定して工事をしようとしているんだ」という話になってくるわけですね。ですから、安全度を上げるというのは非常に慎重にやらなければいけないのかなと思っています。
 私が地域住民だったら絶対安全な方がいいわけですから、大歓迎だと思うんですが、必ずしもそう思わない人もいるわけです。例えば80分の1、70分の1、「70年に1回ぐらいだったら甘んじて被害を受けてもいいか」という人もいるわけなんで、安全度を上げるというときに、実績があるからというのも1つの大きな理由なんですけど、相当理論武装というか、準備をしておいた方がいいのかなと感じています。
(委員長) 当然ながらそういうことで、さっきも申し上げましたけど、既設ダムをどうするかというのもしっかり資料は用意しておいていただきたいと思います。特に今の安全度の問題は、どちら側をとるか、平均値をとるのか、ある程度住民にとっては安全側をとるのか、要するに10回洪水が来て二、三回はやばくても、残りの六、七回救われればいいじゃないかという考えと、10回のうち9回までは、できれば10回まで何とか救ってくれと、この辺の議論は非常に住民には説明しにくいんですけど、○○先生、どう考えたらいいですかね。
(委員) 僕は、特にないんですが、今の社会的な風潮でいうと、国土交通省の努力が足りないような気がするんです。素人談義に任せ過ぎるという気がします。プロがやるべき話をしないで、やるなら皆さんで勝手に御議論くださいと言ってしまうのは余りいいことではないような気がする。例えばカバー率が60%なのか100 %なのかなんという議論は、ちまたでする議論じゃないような気がするんですけど、そうなっちゃうんですね。どうしてそういう方に行っちゃったのかという反省はきちっとした方がいいと思うし、理論武装というのは変な言い方ですけれども、川の考え方が変わったというが、そう変わっているわけではないので、きちっとした今までのトレースがなさ過ぎるから、どこに原点を求めたらいいのということがみんなわからないんだろうと思う。先ほどお話になったのはそういうことだろうと思うんですね。原点の部分をきっちりして、それから、どういうふうに進んでいるのということ、その辺がないんじゃないですかね。
 安全度は、今お話があったように70分の1でいいよとか50分の1でいいよと。本当に被害の可能性がある人たちに話したらそうなるかどうか、僕は非常に疑問に思っております。だれでも高い方がいいと思うんです。ただ、そのことに不信感があるというだけでしょう。不信感をなくすというのはプロとしての自負心が欠如している。こんなことを言っちゃうと大変申しわけないけど、そんなところがうつっているだけで、本当に不信感を持っているわけではないと思います。  勝手なことを言って申しわけありません。
(委員長) そういうことで(笑声)、事務局ではひとつ安全側から危険側からいろいろ考えて、どんな位置づけにあるのかということを、少なくともこの場ではわかっていただく努力が必要じゃないかと思います。よろしくお願いします。
(事務局) その点につきましては、○○委員からもございましたが、従来やった13水系の安全度と、人口、資産、雨量の考え方とかを整理して次回お出ししたいと思っております。
(委員長) ○○委員、御意見ございましたら。
(委員) この対比表を拝見していますと、河川環境の整備、保全についていろいろ書いていただいていることは大変いいと思うんですが、実態的に、例えば予算面も含めて河川環境の整備、保全についてどういうふうになっているのか、わかっているだけでいいですから教えていただきたいと思うんですが。
 昔に比べてうんとふえてきているとか、余り変わらないとか、その程度でいいと思うんですけど。
(事務局) 全国的な動向を申しますと、環境関係の予算、社会資本整備自体が最近は厳しいんですが、その中では伸び率を上げてきております。特に平成15年度、来年度の要求ですが、河川局全体で1.10のところを環境関係は1.15という要求でございます。公共投資自体を0.97に抑えるという話の中で、その1.2 倍まで要求していいよという中の要求でございます。現段階ではそんな状況でございます。
(委員長) そろそろ時間が近づきましたので、きょうの御議論の中で事務局から説明してもらった最初の1枚紙、それぞれの川の水系の特徴と課題、これが皆さんと大体同じ認識なのか、例えば富士川なんかで、流域と土砂との関係が大きな課題だという皆さんの認識だったと思いますし、大淀川では都市問題がかなり議論されたと思いますので、そんなものも少し充実させて、次は本文の議論に入ると思いますが、共通認識を、1枚紙に委員の皆様で御意見があれば御注文をつけていただいて、この問題意識で次の本文審査に入ったらいいんじゃないかと思いますが、それぞれ委員の皆様から事務局に意見を寄せていただいたらいいと思います。
(委員) ちょっと補足させていただきたいんですが、天塩川水系、きょうのお話の中でも治水という部分がすごく多かったんですが、私ども、ふだん利水とか環境の部分で河川にかかわっているものでございます。天塩川におきましては、ことし日本で一番大きなカヌーのイベントを行いました。この流れを踏みまして、次には世界大会もやっていきたいと考えております。そのような大会ができる河川であるという自負心がございまして、ますます有効活用していきたいと思っております。
 その中で、先ほど治水に関して不信感があろうかとか、いろいろなお話が出ましたけれども、河川に関していろいろな方が今かかわり出しています。治水の専門の方だけではなくて、一般市民、いろいろな問題意識をお持ちの方が河川にかかわってきています。時代は明らかに変わっております。そのような時代の流れというものも十分含めていただきまして、利水、環境という部分をますますいいものにしていきたいと思います。
 ちょっと現状で説明いたしますと本年、天塩川流域、各市町村の市町村長がカヌーに乗りながら、リレーをして海まで行きました。町村長みずから川に入って隣の町にたすきを渡したということが始まりました。そこに何があるのかと申しますと、天塩川のような北の外れの川でございますが、お米がとれない環境、日本じゃないんです。稲作文化のないような川がまさに日本にありまして、すごく異文化的な状況がございます。そのようなところを、治水という問題をベースにしながら、その上に環境とか、住民の皆さんが河川に入ってそれを有効に使って、観光産業にまでという考えが出てきているんだということを天塩川の現状として報告させていただきます。ありがとうございます。
(委員長) まだ議論は尽きないと思いますが、時間の関係もございますので、本日の審議はこの程度といたしまして、次回以降のスケジュールなどについて事務局から説明をお願いいたします。

その他

(事務局) 次回につきましては、11月15日の金曜日でございますが、1時30分から第2回の小委員会をお願いしたいと考えております。その席では、きょういただいた宿題の整理をいたしますとともに、河川整備基本方針の本文の御審議をお願いしたいと思います。さらに、その回でまとまらなかった場合は12月6日の金曜日、1時30分から第3回目、第2回目でまとまりましたら12月6日はなくなるわけですが、第2回でまとまらない場合は第3回として12月6日の1時30分からを予定したいと考えております。場所等は未定でございますので改めて御連絡したいと考えております。以上でございます。





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