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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第18回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年9月16日


2.議事
常願寺川水系及び吉野川水系の
河川整備基本方針の策定について

(委員長) ○○でございます。本日は、委員の皆様には、ご多用中のところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、前回の委員会でご指摘のあった点について事務局から説明を受け、その後、常願寺川等2水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の○○でございます。前回の委員会でご指摘のございました点についてご説明いたします。座って説明します。
 資料は、資料7−1、中ほどぐらいにあろうかと思いますけれども、A3の資料「流水の正常な機能を維持するために必要な流量に関する補足説明資料」というものを用いて説明させていただきたいと思います。
 ご指摘のあった内容は、正常流量の設定はどうしているのかという説明でございました。簡単にご説明させていただきたいと思いますけれども、2ページ左側、「正常流量の設定方法」とございます。正常流量は、皆さん、ご存じのように、動植物の保護とか、漁業とか、景観とか、流水の清潔の保持などを考慮しながら、水を使う流量も合わせて確保するための必要な流量ということで、低水管理上の目標として定める流量でございます。
 設定の方法でございますけれども、左側がまず河川環境の把握ということで、これは当然、基礎水量を把握しながら項目別の必要流量の検討ということで、「動植物の生息地又は」というところから9項目ぐらいございますけれども、それ以外にも、河川の実情に応じて考慮が必要となる項目がある場合には、その項目も含めて、項目別の必要流量を検討しております。
 それから、右の上のほうにまいりまして維持流量の設定ということで、各河川をいろいろな河川の特性とか、大きな支川が入って流量が増えたりとか、非常に取水量があるとかといったところを考えながら、河川を縦断的に複数の区間に分割しております。この中で、特に動植物については季節ごと、そういった区間ごとに必要な流量を満足する流量として維持流量を設定しながら、流量の管理とか監視が行いやすい過去の水文資料が整っているようなところを基準点と決めて、その地点での正常流量を設定するというような手順で進めております。
 それでは、簡単に幾つか項目別にご説明したいと思いますが、右側に「動植物の生息地又は生育地の状況」とございますが、これは特に動植物ではございますけれども、河川の場合、水理的な生育条件の定量的な知見が蓄積されておるということで、現在のところ、魚類を対象に設定しております。左側に「代表魚種の選定」とございますけれども、その河川の中で漁業の対象の魚種も含めて、日本の在来種から、その川で産卵したり生息したりするような魚を主に対象魚種として選んでおります。その右側に「評価基準の設定」ということで必要な水理条件でございますけれども、これは平成11年ごろにさまざまな文献を調査しながら、学識経験者の意見も踏まえて、魚種ごとにこういった産卵場の水深がどれぐらい必要なのか、あるいは流速がどれぐらい必要なのかというようなものを参考的に整理しております。これらは当然、適宜見直されるものと考えておりまして、実際は、この数字を見ながら、各河川における調査結果もございますので、さらに学識経験者の意見を踏まえて各河川ごとに設定しております。それで、下のように、期別ごとにアユ、サクラマス、ウグイとございますが、産卵・遡上等に必要な時期がございまして、その下に必要水深、必要流速とございますけれども、こういった時期において、これぐらいの流量、水深、流速が必要だということを考えて、それを全部流量に直しまして、一番大きな流量をこの魚類のために必要な流量ということで設定しております。
 次のページの左が「景観」でございますけれども、景観の場合、過去のいろいろなデータによりますと、水面幅が川幅のどれぐらいあれば満足するかというのを調べた結果がございます。川幅の大体2割以上に水面がなると不満がほぼなくなるというデータもございますが、現在のところは、こういったフォトモンタージュを用いてアンケート調査を行っております。左のような4種類の写真を多くの方に見ていただいて、半分以上の方がこれならいいというようなところを選んで、それを必要な流量ということに設定しております。
 それから、3番目「流水の清潔の保持」ということでございますけれども、これは流域から流れてまいります汚濁源を下流の利水の評価基準点のところまで持ってきまして、当然、河川の中で浄化される場合もあるのですけれども、それを環境基準値の2倍まで薄めるのに必要な流量ということで、流水の清潔の保持に必要な流量というのを設定しておりまして、この説明のところの文章の場合、一番下にもございますけれども、一番下流の基準点に550kg/日の汚濁負荷量が流出してくるということで、評価基準は、例えばここがA類型でありますと、2mg/lでございますので、その2倍ということで、4にするためには毎秒1.6m3/sの流量が必要であるということでこういった量を設定しております。
 最後のページをご覧いただきたいと思いますが、こういった検討したものを、左の上でございますけれども、先ほど言いました区間ごとに流量を、例えば動植物等であれば赤丸で書いてございます。それで並べて、区間ごとの最大値のところに緑の横線を引っ張っております。これがその区間の維持流量として必要な流量ということで考えております。今度は右側に河川からの取水量とか流入量などもございます。還元量もございます。そういったものを把握して設定すると、下の正常流量の設定の上の青い線のようになりますけれども、当然、上流からの流れが増えますと、これが上下に平行移動するということでございます。これを上下に平行移動させて、先ほどの緑の維持流量のところに接した、この図がちょうど左の区間Bのところで接していると思いますけれども、それが正常流量と考えておりまして、基準地点、赤い丸のところでございますけれども、ここで6m3/sあれば、この区間AからEまでの維持流量、利水流量とか、そういったものも確保しながら確保できるということで正常流量を設定しておるところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、説明を終わらせていただきます。
(事務局) それでは、続きまして、事務局の○○でございますが、本日ご審議をお願いしております常願寺川、もう1つ吉野川につきまして、全体の進行の関係もあると思いますので両方一緒にご説明させていただきます。座って説明させていただきます。

(画像で説明)

(事務局) 最初に、常願寺川の概要を措置からご覧いただければと思います。富山県の東部、北アルプスから流れている川でございます。有名な立山などを控えている流域でございます。流域面積は368km2ということで、全国では109水系のうち98位という比較的小さめの流域でございます。ただ、この北アルプスの急峻な地形から流れてくる急勾配の河川でございまして、河川の勾配は上流のほうが30分の1、下のほうが100分の1ぐらいです。立山カルデラと今見えましたところが、鳶山の崩壊というので過去、大崩落がございまして、これが全体のこの流域の相当な量の土砂を流しておりまして、これが災害のもとになったり、いろいろ川の様相を変えたりしてございます。これは山間部を流れていきます。
 もと本宮砂防堰堤とか、その上のほうにあります白岩砂防堰堤とか、全国でも日本一の非常に大きな砂防堰堤とか土砂の堆積する場所がございます。ここが扇状地の一番上でございまして、富山平野が広がってございます。今見ていただきましたが、非常に土砂を含んだ急流でございますので、川の水があふれるというか、土砂が周りの堤防を削って氾濫するということでございまして、幾つか過去の堤防の破堤箇所が見えます。それから、霞堤と申しますが、堤防が斜めに入ってございます。洪水のときは、そこからじわっと上流のほうへあふれるのですけれども、また洪水が引けば、そこからうまく下流のほうへ流れるという、急流河川に適合した手法が過去からとられています。
 これは大正3年の洪水の状況でございます。
 ずっと富山平野を下りまして、日本海のほうへ注ぎ込みます。
 ここは富山湾でございます。
 お手元の資料2−1をご覧いただいて、ご説明させていただきたいと思います。右肩のほうに資料2−1と書いておりますA3判の資料、「特徴と課題(常願寺川流域の特徴)」というものでございます。
 今、さっき見ていただいただけでわかりにくかったかもしれませんが、非常に急流河川でございます。左上のほうにございますように、日本の各川と比較をしておりますが、一番急なほうの川になってございます。これが故に、左下には、例えば安政5年にこの地域で飛越地震で鳶山一帯が崩壊してございます。先ほど立山カルデラという、有名な立山へいきます室堂とか、1つ南側の沢の奥のほうでございますけれども、そこの全体が崩壊をいたしまして、それが下のような当時の河道に一回土砂がたまりまして、それがドンと決壊して全体へあふれていくというのが赤で示されたものでございます。真ん中に常願寺川の流域の絵が書いてございますが、非常に特異な川でございまして、内輪のような形といいますか、先ほどの山間部から扇状地へいきますところで大きく様相が変わってございます。瓶岩というのが真ん中ぐらいにございますが、ここが基準地点になってございますけれども、これから上は山間部の流域を集めてきております。このうちの右のほうのところから茶色で枝線が引っ張ってありますように、下に写真がございますが、先ほど来申し上げています鳶崩れ、これが立山カルデラを形成してございまして、ここから非常にたくさんの土砂が下流へ流れていっている。それが、先ほど来の被害などにつながっているという川でございます。
 途中の赤い四角で書きました瓶岩という基準点から下流は、緑の線がこの川に入ってきます水が入ってきますエリア、流域でございます。非常に細いのが特徴でございます。ですから、ここから下流部は周りから常願寺川に入ってくるごく限られたエリアでありますが、一方、薄い水色で富山市と書いてありますところまで引っ張っておりますのが、洪水があふれましたときの氾濫域でございます。流域は非常に狭いのでございますが、あふれた場合には、ここから下が扇状地の形状をしておりますので、全体に広がって流れるという特徴を持ってございます。
 右上の絵は、今の真ん中の絵のAからA'で書きました線で切ったものでございまして、特徴的なのは、右の絵で見ていただきますと、川がちょうど斜面を横にいっているような感じでございまして、川の左岸側、下流へ向かって左でございますが、そちらのほうが低くなって、右岸側、この絵でいいますと東側でございますけれども、そちらのほうが高くなっている。ですから、常願寺川があふれると、その西側の富山市内のところまで洪水がいくというものでございます。右下のように、この場合、これはあふれた洪水の流速で書いてございます。よく水深でこういう氾濫したときの絵を書いたりするのですけれども、こういう急流河川でございまして、あふれました地形自身も勾配を持っておりますために速い流速で流れていく。それから、今のような土砂を含んでおりますので、真ん中下にございますが、水が流れます澪筋も余り安定しないといいますか、たびたび状況が変わるというようなことが見てとれます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。これまでどういう災害が起きたり、治水対策がなされてきたかということでございますが、左側のほうに、先ほど来申し上げています安政5年の飛越地震で大カルデラができたのから書いてございます。たびたび水害を受けてございますけれども、ざっと見ますと、台風もあるのですが、かなりの部分は前線性だったり集中豪雨というようなものでございます。明治24年には、そういう災害対策のために、当時、オランダのほうから日本へ来ておりましたデ・レーケもここの川の改修計画を立てたりしております。定かではありませんが、そのときに言った言葉の中に「これは川ではない。滝である」と言ったというのはこの川だとされております。土砂で大変苦労しております川ですので砂防事業が入ってございます。その後ずっときまして、河川改修としては、昭和11年に国による改修に着手しまして、それから、この川全体の改修計画としては、昭和24年のところに「橋本規明急流河川対策」と書いてございますが、ちょうど橋本規明さんがおられますときに、近代急流河川の対策の礎のようなものをこの常願寺川で展開をしていっております。今日もそれがベースになっております。
 その後も幾つか洪水があったりしてございまして、現在の工事実施基本計画は昭和50年のときに、先ほどの瓶岩地点で基本高水が4,600m3/sということで決定をしてございます。それから、今出ましたヨハネス・デ・レーケの改修は右のほうに少し載せてございますが、時間の関係もございますので、またご覧いただければと思いますが、霞堤をつくりましたり、幾つかのことをしてきてございます。それから、下のほうには橋本規明さんの改修計画、これは先ほど申し上げました近代急流河川対策の礎といいますか、そういう幾つかの例が出てございます。左下のように、水制工とか根固工、つくればすぐ壊れてしまうようなもので、従前、木とか石でなっておりましたものを、コンクリートとか部材だけ書いておりますが、ピストル型水制とか、エネルギーに対してきちんと抵抗して耐え得るようなものをこの時期に開発したり、やったりしております。
 また、真ん中でございますけれども、天井川は当然こういうたくさんの土砂が流れてきますので河床が上がっていきます。それを解消するために、一番たまっておりますところを掘っておりますが、真ん中の絵が3段ぐらいになっています。これは、よく河床を下げるといいますと全線上から下まで同じように掘るというのも考えられるのですけれども、先ほど申し上げた、少したくさんたまったところを取れば、2段目の絵のように、それにつられて上のほうから流れてきて、それから上流が下がっていく。また、2段目の絵のところの左側といいますか、下流側で少し出っ張りみたいなところが全部上流から流されて、結果、全体が下がるというような手法をとってきてございます。
 右のほうには、その結果として昭和42年と13年のものが書いておりますが、ちょっとわかりづらいので、次のページをご覧いただきたいと思いますが、左上が先ほどの天井川の状況でございます。一番上の赤い線が計画の洪水の水位です。H.W.Lと書いてございますが、洪水になればここまでくるというふうにご覧いただければと思います。
 それから、茶色で塗りつぶしましたものが堤防の外といいますか、堤防の外のことを堤内地といいますが、堤内地側の地盤、市街地側の地盤の高さでございます。これに対して、河底が例えば昭和22年は緑の線でございますから、茶色のベタ塗りのところよりも緑の線が上がっているところは、河底のほうが周りの土地よりも高い。そういうほとんどギリギリのところへ洪水の水位がきているという状況だったわけでございまして、ひとたびあふれると、また先ほどのように富山のほうまで全体的に非常に大きな被害を及ぼすというような状況でございました。それをずっと掘り下げてきておりました結果、平成13年度が青い線で書いてございますけれども、ここまで下がってございますので、先ほど茶色で塗りつぶしました市街地の高さとほぼ同じぐらいといいますか、かなりの部分はそれより当然下がっておりますし、残された部分もほぼ同じぐらいになってきている状況で、計画の洪水を処理しているところであります。
 ただ、そういうことを進めました副作用というか、その結果、左側の写真でございますけれども、今まで河岸を守っていました護岸の下の部分が壊れていきまして、護岸全体が浮き上がってしまうというようなことが出てきております。
 それから、右のほうでございますが、洪水のエネルギーが極めて大きく、中小の洪水でも局所洗掘、側方侵食が発生ということでございます。「越水なき破堤」という言い方などもしてございますが、左の写真は洪水が堤防の上までいきまして、あふれて堤防が壊れるのではなくて、その前に削られてしまって堤防が壊れた写真でございます。そのときのグラフが真ん中ぐらいにございますけれども、赤い線が計画の水位でございます。堤防の天端は薄く点々と書いてございます。それから、青い点々が10個ぐらい書いてありますけれども、これが痕跡でございまして、実際、洪水がそこぐらいまでいったと。ですから、計画の水位、もちろん堤防の天端よりもかなり低いところにしかいっておりませんが、そこで破堤をする。それで、削られていく。右の写真は、今のは4,000m3/sというかなり大きな洪水ですが、1,700m3/sぐらいの小さな洪水でもこのぐらいいくという特徴を持ってございます。下のような絵も、先ほどの護岸がやられていくメカニズムなどを書いてございますし、その右の破堤に至る時間というのも、この結果、非常にゆったりと流れる緩流河川と比べまして、持ちこたえる時間が非常に短いというので、こういう特徴を持ったことに対して備えないといけないというような川でございます。
 下のほうにはそのための対策として、今やっておりますのが左側のように、先ほどのように護岸の下がやられるというようなことがありますから、そこの対策をしてきているのでありますが、最近は右のように前腹付け工ということで、右に堤防の絵があって川の絵がかいてございますけれども、その川側のほうへ、かなりの砂礫だったりいたしますが、そういうものを積み上げておく。普通ですと、日本全体から言うと、川の断面といいますか、河積とか流下断面とも言いますけれども、それが狭くなることに対して治水対策上はマイナスかなという考えもあるのですが、ここは流量でというよりは、削られて壊れていくということでございますので、ある種削り代と言うとあれですけれども、削られ始めても、持ちこたえる部分をきちんと確保しておこうというようなものをしているという状況であります。
 それから、次のページでございますが、今申し上げましたような川の水害対策のベースにかなり大きく関わっているというか、一体不可分の土砂の状況でございます。左上は2つグラフがございますが、真ん中の掘削土量というところを見ていただきますと、オレンジで大規模掘削、灰色で砂利採取というのが各年で書いてございます。先ほどの天井川改修のために大規模掘削を行い、全体としての計画がきちんと整合がとれる格好で砂利採取で河底を下げてきておりまして、左のグラフのようにだんだん下がってきておりますけれども、機能としては大体このぐらいの河道でいいのではないかというところまできておりますので、平成元年のところぐらいから、今の砂利採取とか、そういうものを止めておりますと、土砂の量としては左のグラフのように横一線になってございますし、非常に安定的になってございます。
 海岸のほうはと見ますと、この結果、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、海岸線を横一線に書いている上から見た地図のように見ていただければと思います。下が海で上が陸でございまして、常願寺川がこの辺で流れている。青く食い込んでいるところは海岸の侵食で、例えば昭和40年から平成8年ぐらいまでにそこまで侵食したと。逆に、薄茶色のところはたまって海岸が伸びたというものでございます。昭和40年から平成8年のところの大きな幅と、その後のところから見ますと、常願寺川は特別な部分でございますけれども、一部安定的になってきているのが見てとれます。
 砂防事業も、そういうことで日本一の砂防事業みたいなことをずっとしてきてございますが、まだ整備対象土砂量の約半分ぐらいをだんだんやってきている状況でございます。土砂動態の状況もいろいろチェックをしてございますが、これまでの洪水をもう一回流してみて、数十年分を流してみて計算したものが真ん中の下でございますが、一部たまったところを取ったりとか、そういうことは当然必要でありますけれども、大体今の土砂の上流での蓄積とか、下流の維持管理で大体安定的にやっていけるのかなということが確認をしてございます。
 そのようなことを、右のほうで土砂管理計画というので下流から書いてございますけれども、堤防があるような部分は大体、現在の河床を維持するのに、毎年2万m3ぐらいの砂利採取量になっておりますけれども、それで平衡ぐらいになっているのかなと。それで、出てきましたものは、先ほどの川の中の堤防を防護する前腹付けにも使う。それから、山付け部というか、扇状地と山のほうとの境目でございますけれども、あの辺に少したまる部分がございますので、ここの必要な分を掘削して、河口部・海岸のところを見ますと一部たまったりしているのですけれども、細かいものでございまして、それもそんなに全体をふさぐということはございませんので、一応、洪水のときフラッシュするといいますか、全部流されるというので特段問題ないという確認をしてございます。モニタリング等を含めて、今後もそういうことをしていく必要がある川だというふうに思っております。
 それから、次の5ページでございますが、水利用はどうかというと、非常にたくさんの水利用がございますが、真ん中に常願寺川の取ったり出したりしている系統図がございます。これをパッと見ていただいても、非常にたくさんの発電が利用してございます。それが特徴でございます。
 それから、扇状地から出ましたところに合口取水ということで、その他農業用水、水道用水、工業用水を取ってございます。左上に書いてございますように、水道に当たっては、95%をこの常願寺川から取ってございます。神通川とか、ほかの川もあるのでございますが、神通川は高山のほうから長くゆったりと流れてきますのと、常願寺川のようにストレートに短い距離で流れていきまして非常に水質がいいということもございますので、そちらの水が水道を支えている状況でございます。
 それから、発電がこれだけございますので、減水区間、川に水が流れていない区間がいろいろ出てございます。これは大きな問題だということで、富山の川だけではございませんが、全体的にガイドラインをつくりまして、関係する機関ともご相談をして、順次川に水を戻すことをしてございます。下の絵のように、色塗りを幾つかしてございますが、これは年代別のステップでございまして、平成21年までには主流は全部水が戻る。一部地点では残っているというような状況ではございますが、ここまではいけるのではないかと思ってございます。
 水質は、今申し上げたように、右のように非常にきれいな水でございます。
 それから、先ほど流水の正常な機能の維持のための流量のお話がございました。この川につきましては、河口から常願寺橋のところでアユやサケの産卵・遡上による水深ということで、これは後のほうに先ほど説明がありましたものを現実に当てはめたものを入れておりますので、そこで申し上げたいと思いますが、そういう検討をしてございます。
 それから、次の6ページでございますが、河川環境はどうかということでございます。暴れ川でございますので、ある種の量的なものといいますか、自然環境の量的なものは少ないほうというか、そういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、川でございますけれども、この川特有のといいますか、砂れき河川でございますので、アキグミといって、痩せ地でも育つ。逆に、痩せ地ではこの種がほかよりも勝っているという、礫の河原でも育つというものが出てきておりましたり、また、礫を好んでおりますようなアジメドジョウとか、カジカとか、そういう特徴的なものの状況でございます。
 それから、下のほうには代表断面で書いてございますけれども、それぞれの砂れきがたまったような場所、それから堤防近くの少し乾いたほうの川の場所と、河底の流量がどんどん変わっているようなところで、それぞれ特徴的なといいますか、それに合ったような生物がおります。
 それから、文化施設とか観光とございます。言うまでもなく、立山・黒部などの一連のルートになったり、たくさんの方が訪れる場所でございます。また、今の災害対応の過去のいろいろな苦労もございましたので、昔の方の、例えば富山藩主佐々成政さんのものであるとか、前田さんのものであるとか、それも1つの皆さんに見ていただくものとして保存がされてございます。
 その次のページでございますが、流水の正常な機能の維持というか、正常流量について、先ほど事務局のほうからご説明申し上げましたものを常願寺川に当てはめたものがこの紙でございます。幾つかの項目、これは法律の政令に書かれました項目が左側に1から8までございます。それぞれ右側のグラフのところはちょっと見づらいかもしれませんが、距離ごとに番号が丸の中に書いてございます。この番号が左側の表と合ってございまして、例えば1というところは動植物の生息等のものでございます。アユの産卵とか、サケの産卵、ウグイの産卵に必要な流量というので3.83m3/sというものをしてございます。実例として左側のところに川の断面図が書いてございますけれども、平均水深30cmの水位だとここだと。それから、流れの速さが60cm以上にはここまでが要ると。これのいずれか大きいほうとか、そういうのを全体で調べまして、先ほどの例えば常願寺橋のところではこれだけだというようなことを出しているわけでございます。
 それからもう1つ、流水の清潔の保持というのも似たように、例えば、今川橋のところでどうだというものを書いたりしてございます。
 時間の関係でちょっとはしょらせていただきます。
 それから、資料5−1でございますが、洪水の流量に関してでございます。資料5−1「常願寺川水系河川整備基本方針 基本高水等に関する資料(案)」の5ページをご覧いただきたいと思います。新しい体制になったところもございまして、若干のご説明をさせていただきますが、この常願寺川は従前ございました河川法の工事実施基本計画というものの洪水の流量と、今回の検討の中では何も変えておりません。それは、毎年の洪水とか雨の量で確率計算すると少し変わるかもしれませんけれども、やはり改修計画とか全体の計画から言うと、大きく捉えて、しばらくそれでずっとやっていって、それを根本的に改正しないといけないときに計画流量を直すということをしております。今申し上げていますのは、5ページからは基本高水という洪水の流量を、そういうふうに従前のものを変えるような事象が出ていない川につきましては、今までありましたもののほかの方法でもやって、妥当ではないかというようなチェックをしているという手法をとっておりますので、一から全部やり直すというようなやり方ではございません。5ページからは、そういう意味で、これまでの工事実施基本計画の中にあります既定計画の中での規模、計画降雨量は497.5mmですが、そういうものを含めて、次のページのように流出計算モデルでやりますとどうだと。
 それから、次の7ページ、4でございますけれども、それを当てはめて個別の各年の洪水のパターンで、計画の降雨量を入れるとどうかというものを出してございます。
 結論的に言うと、8ページにそういうものを計算いたしまして、一番大きいものというか、一番上の表4−1でございますけれども、瓶岩地点で4,600m3/sというものを出してございまして、これが妥当なデータの範囲といいますか、検討の中での一番大きなものということで、ここの計画の基本高水のピーク流量という名前になっておりますが、これを4,600m3/sとしております。これは現在の工事実施基本計画になっているわけでございます。
 9ページからが新しく、では、今あるその後のデータ等も含めて吟味しようというものでございまして、9ページで見てみますと、先ほどのグラフの真ん中ぐらいに工事実施基本計画というのがございまして、もとの計画をこの年ぐらいにつくってございますが、これから後、それを大きく見直さないといけないようなものが、これを超えるようなもの、今、上のほうの点線で流量4,600m3/sと書いてあるものに匹敵するようなものが出てきているわけではございませんので、それを大きく直す必要はないのではないかと。下のほうは今度は雨の観点からも見てみますと、計画を変更するような大きな雨も観測されていないのではないかというもので、このままバックグラウンドとしてはそれでいいのではないかと。
 10ページでございますが、これはほかの水系でもこういうやり方をしてございますので、ちょっと丁寧な法の説明をさせていただいておりますけれども、先ほどは降雨の確率から出してございますが、流量の確率の検証というのを加えております。流量の確率の手法として、下の4−2のところに幾つかのモデルがございますが、いろいろな確率のモデルがあり得るのですけれども、適応性が悪いものは除きまして、その中でいろいろ出してみると、下のほうも上のグラフもでございますが、上のグラフで幾つかのもので微妙にズレるのではございますが、大体こういうところは妥当な幅だろうというのを見てございます。このグラフで見ると、150分の1のものを見ますと4,000〜4,700m3/sぐらいのところにあるだろうと。そうすると、現在の基本高水4,600m3/sというのは、そういう意味では妥当なレンジに入っているのではないだろうかということで、流量的にも確率でその後のデータを入れましても妥当ではないかというような検討をしているわけでございます。
 それからもう1つは、右側のように、既往洪水からの検証というので、ここは幾つかの方法があるのでございますが、ここでは流域が実際ありました洪水でも、山が乾いているときと湿っているときとで同じ雨量が降りましても洪水の量が相当変わってございます。実際ありました雨と、実際ありました湿った状況とを厳しいものを二つ重ねたといいますか、そういうところは十分あり得るわけでございますので、そうしますと、例えばRsaという、ご専門の方はわかるかと思いますが、計画では10mmというのをとっておりますけれども、一番大きかった57ぐらいのものがございますので、57mmで例えば昭和34年の洪水ではどうかというのを出しますと4,700m3/sぐらいになるというので、そういうものは十分あり得るという確認もこういう方法等でもしてございます。
 あと、過去のデータがある川につきましては、後でお話し申し上げます吉野川などは、氾濫の古文書とか、いろいろなものがあったりしますので、そういうものから再現計算をしたりして妥当性を確認しているわけでございます。
 以上、常願寺川につきましてでございます。
 時間の関係もございますので、恐縮でございますが、次の吉野川も続けさせていただきたいと思います。
 吉野川も空から見たものをご覧いただきたいと思います。吉野川は四国4県にまたがりまして、下流は徳島でございますけれども、徳島全体の中で一番大きな流域を持った川でございます。昔から「四国三郎」と言われたりもしております。流域は3,750km2ございます。上流のほうは四国山地を流れてございます。流域内の人口が約64万人ぐらいです。上流は土砂の対策がかなり必要な地域でございますけれども、途中に早明浦ダムがございます。多目的のダムでございますが、洪水も調節し、この前も渇水で、このダムがいろいろなところへ持っていっておりまして、ちょっとだけ空っぽになったという状況でございます。そういう水資源の対応もしております。
 大歩危・小歩危という名勝を下りまして、銅山川という西側から流れている川と合流いたしまして、徳島県の池田のところへ流れていきます。ここから下は中央構造線がこの画像で見ます左側、地図でいいますと北側ですが、ずっと走ってございまして、その南側を流れてございます。ここからは非常に直線的に下流に細長い平野が広がっておりまして、その中を吉野川が東側に向けて流れていきます。
 今見えてございますのは、昨年の台風で水が浸かりましたところでございます。こういう中流部はまだ堤防がない場所がたくさんございましたり、また本川の水位が上がって周りの水がはけない、内水と言っておりますが、内水の被害などが去年も顕著に出ております。岩津というところが全体の吉野川の基準点でございまして、ここで洪水の流量全体を把握したり、検討したりしている場所でございます。
 善入寺島というのが見えますが、これは日本で一番大きな中洲でございます。優良な耕作地として使われているところでございます。あちこちにたくさんの取水があって、だんだん下流の市街地のほうが上がってございます。これは、水色と赤のところが昨年水害が発生したところでございます。それから、昔から水害に遭われた地域でございますので、そういうものも残ってございます。
 これは、今見ましたところから吉野川2つに分かれておりまして、これは吉野川の本川でございます。徳島のまちの中を抜けて海のほうへ出てございます。
 ここのところで、昔、こちらの左側のほうが吉野川のほうへ流れておりましたのが、最初は取水の対応から、そのうち洪水の対応から、本川のほうは右側のほうへいって、旧吉野川ということで、高水としてはここだけできちんと別の取水対策を考えることになっておりまして、基準点等もここで別に設けてございます。これも徳島の市街地を流れて、海のほうへ流れております。
 徳島全体は、ほかの小さい川も含めて非常に水の豊かな、それをうまく利用されたり、まちづくりも含めて生かしたりされている地域でございます。
 とりあえずムービーのほうは終わらせていただきまして、吉野川も常願寺川と同じようにA3のものが資料2−2でございます。この資料2−2の「特徴の課題」というものをご覧いただきたいと思いますが、地形の特性では、中央構造線に沿って流れてきている川でございますが、途中から中央構造線沿いにほぼ直線の感じでございます。先ほど見ていただいたような地形が右のほうに地図としても出てございますが、大きな支川としては、北のほうに銅山川と合流して、池田のほうから東のほうへ流れております。
 下のほうは雨の特性でございますが、非常に多うございます。2,500〜3,000mm以上、全国平均の大体1.6倍ということで、昨年のグラフも挙げておりますが、その中でも昨年は6,000mmを超える非常に大きな量の雨が降ってございます。
 右下のほうは河口部、徳島の低平地のところでございますから、洪水がきまして、もし堤防が切れたり、あふれると全体に水がいくという、日本の低平地と同じような特徴的な構造を示しております。
 次のページでございますが、「過去からの洪水と治水の経緯」というので、「寅の水(1866年)」、それから「大正元年9月洪水」などは非常に大きなものとして有名でございます。まだそういう当時の痕跡とか名残といいますか、いろいろなものが残されてございます。ちなみに、「寅の水」はなかなか再現はできなかったのですけれども、「大正元年の洪水」は、幾つかのこういう痕跡から、逆に洪水はどのぐらいきただろうということを調べてみますと、毎秒22,500m3/s〜28,300m3/sぐらいの洪水がきていたと思われます。その後も、昭和49年9月、それから昨年10月の洪水等の被害を受けている地域でございます。
 右のほうに若干洪水と対策の流れが書いてございます。昔からそういう対策がされてきてございますけれども、大きくは明治40年から昭和2年までの第一期改修工事というところで、先ほどの旧吉野川から現在の吉野川のほうを大きく開きまして、これは昔、別宮川という川であったわけですが、この川幅を拡大して放水路にして全体の治水をやる、根幹的な治水をやるというような方法がとられてきた時代でございます。その後も洪水があって、昭和40年には工事実施基本計画ということで、17,500m3/sのピークで、それをダムなどで調節して岩津で15,000m3/sの計画高水量です。昭和40年に早明浦ダムに着手をしてございまして、早明浦ダムが毎秒2,000m3/sぐらいの洪水をため込んでいるわけでございまして、これが昭和40年から昭和50年3月までかかって早明浦ダムができ上がります。
 その後も幾つかの洪水などがございまして、現在の工事実施基本計画は昭和57年の基本高水のピーク流量24,000m3/s、計画高水流量18,000m3/sというものできてございます。
 それから、次のページでございますが、特徴的な課題といいますか、どういうものかということで書かせていただいております。左上は、非常に流域が大きうございますので、下のほうまで流れていきますと、長時間高い水位が続くという川でございます。昨年の洪水でも、岩津付近のものが、ちょっと見づらいかもしれませんが、高い水位で18時間とか、そのぐらいずっと続いているという状況でございます。その結果ですが、右上のように堤防から水が漏れて漏水というのが非常に多うございまして、これが1つ、きちんと対応しておかないといけないものになってございます。真ん中上のように、昔の川の跡というのがそういうものに弱い場所になってございますので、そういう昔からの川が蛇行したり氾濫したりしたところの対応も含めて、漏水の対策が重要になってございます。
 それから、真ん中に堤防の整備状況と書いてございますが、下流部は97%ぐらいなってございますが、中流部などが少のうございます。64%で、まだ少し堤防がないところがあって、昨年も水があふれている。それから、旧吉野川というのは途中から分かれた川ですが、これは洪水の流量といいますか、洪水時、本川とは違ってそんなに大きうございませんので、堤防整備区間が30%とは書いてございますけれども、上ほどの影響はないかと思います。
 それから、下のほうに、繰り返しになりますが、中流部は堤防未整備区間の氾濫対策をしないといけない。それから、次の2番目のところは、内水が非常に顕著でございまして、内水排除というのが1つの課題になっている。それから、3番目にせき上げ等を起こす既設の固定堰というものがございますけれども、これが幾つかございますが、これもちゃんと安全な洪水の流下ということがなされるようにしないといけない。それから、早明浦ダムその他、上流でダムによる調節が必要な部分は、そういうことで全体の水位を下げる。これは、今年の台風のものでもそういう効果があったものが書いてございました。
 それから、次のページでございますが、水利用のほうはどうかということですが、これは大変苦労してきた地域でございます。北半分というか、瀬戸内に面しております。それから、大きな流域の川はやはりこの川しかないといいますか、そういうこともありまして、左上のように、ここの吉野川にすべての県が頼っているというところでございます。いろいろなところから流域で分水をして水を使ってございますので、分水が3県あって、下流が徳島県ですから、4県全部、吉野川にかなりの依存をしているわけであります。その依存の状況は、左側がどのぐらいかというので、今、グラフで徳島県がどのぐらいとか、塗りつぶしたほうが水道とか、工業用水とか、よくわれわれが都市用水と言っている分ですね。それから、編み目になりましたのが農業用水で、そんな状況でございます。
 真ん中のように、エリアにすると半分以下に見えますが、人口の約6割の自治体、四国全体の6割ぐらいが吉野川に何らか頼っている。右のほうは、昨年も含め、渇水の状況が書いてございます。平成6年が非常に大きうございまして、取水制限も100%制限をかなりの長い状況でやってございましたが、あと、今年1回、ギリギリになったことがあるという状況でございます。
 その状況で、5ページ、くどくどご説明申し上げませんが、左上のように水位が書いてございます。やや太い青い線が今年でございまして、8月の終わり、9月の初めぐらいに底をつくような状況でございましたが、先般の台風14号で一気に水がたまってございました。この分、逆に洪水を調節して、前のページの写真のように効果を見せているところでございます。
 時間の関係もございますので、そのぐらいにさせていただきまして、その次のページをご覧いただきたいと思います。河川環境の状況ですが、上流は渓谷部、大歩危・小歩危に代表されますが、そういう場所でございます。途中からだんだん瀬や淵が形成されるような砂れきの河川になってきまして、アユなどの生息域とか、こういうものの保全が重要になります。また、有名な淵などもございます。それから、一番右の上でございますが、下流のほうへいきますと河原に外来種などが大分はびこってきておりまして、こういうものをどうするのかというのが1つの課題になってございます。写真のとおりで今度はまた上流へいってしまっておりますが、一番下のほうは源流の部分の状況。それから、真ん中下の途中には河道内の樹木が非常に多うございますので、ある面、非常に大事にしたい部分もありますが、全体の適正管理みたいなものをきちんとしていくということが1つの課題かと思っております。
 あと、一番右下が河口の干潟が形成されてございますので、チドリ、シギのたぐいが生息している状況にございます。
 次のページでございますが、空間の利用とか、水の利用でございます。河川空間の利用、高水敷の7割が耕作地でございます。先ほど出ました善入寺島という非常に大きな日本一の中洲もございます。それから、下流部の徳島市内のところでは、イベントといいますか、吉野川フェスティバルとか、川をうまく活用したフェスティバルとか、そういったものが行われたりしております。また、マラソンが行われたり、途中の水害防備林の活用とか、それから徳島市内はいろいろな川がございますが、例えば新町川とか、そういった水路網のようになっておりますけれども、川とまちづくりをやった先駆的ないろいろな活動が、空間づくりもそうですし、人々の関わりもそんなふうになされてございます。
 あと、右のほうは水質ですが、水質は全体的には良好でございます。ちょっと右上の図がわかりづらいのですが、実は大川橋と高瀬橋というところまでが吉野川の本川でございまして、そこから右側の市場橋、大津橋というのは旧吉野川のほうでございます。ここは実は旧吉野川に分かれている川下の吉野川本川のほうは汽水域といいますか、海の水が入ってくるゾーンでございますのでこういう書き方をしてございます。各類型と実績がありますが、一応基準は達成している。それから、右下のほうは少し濁水の問題がございますのと、このために山腹の砂防その他の対策、それから最近、河川法も改正して樹林帯などを設けたりしてございますけれども、植樹をしたりして対応してございます。
 それから,その次のページでございますが、土砂の状況でございます。時間の関係もありますが、最近、安定をしてございます。砂利採取が盛んでございました時期は低下をしておりましたのが左下のグラフの一番上みたいなことでございましたが、そういうのを規制をしました後は大きな問題はないという状況でございます。
 それから、ダムの堆砂が少し多めになっているところがございますが、これに対しても、堆砂の除去とか、上流砂防事業等と合わせて進めているところでございます。
 最後のページでございますが、正常流量の考え方のお話を先ほどさせていただきましたので、吉野川についてもその具体的なものを入れてございます。各項目につきまして検討して、それを右のグラフのようなところで入れてございます。吉野川につきましては、一番クリティカルといいますか、ポイントになっておりますのが、1つは一番上の動植物、ウグイの産卵などに必要な流量というのが1で真ん中の左下ですね。それから、流水の清潔の保持が3でございまして、先ほど来ございました旧吉野川との分派のところが1つのコントロールポイントになってございますが、これが3で全体としては一番大きく効いているところでございます。こういうものを足し算しまして、先ほど河川環境課長のほうからお話がございましたけれども、右上の図で見ますと、20Kmぐらいのところがきちんと満足するためには、でこぼこになりました左側の階段状のグラフは、いろいろな水が取水されたり流れ込んだりしているものの階段でございますので、それを全部コントロールいたしますと、上流の池田地点では46.3m3/sが要るというようなことがちょっと書いてございます。その結果、概ね47m3/sというものを吉野川としては池田で確保しようということで進めてきている状況にございます。
 ちょっとはしょった説明で済みません。流量につきましては、資料5−2をご覧いただきたいと思いますが、10ページから洪水の流量の検討がございます。10ページは、吉野川につきましては、先ほどの常願寺川と同じように、昨年も非常に大きな洪水が出ておりますが、一応想定内ということかと思いますので、前計画の踏襲型になってございます。10ページから過去の洪水の検討のことを述べさせていただいておりまして、12ページにそれの結果のようなものが出てございます。幾つかの洪水のパターンを入れて検討して、例えば上の表の7番のような昭和49年9月の洪水が一番大きく、それを24,000m3/sということにしているわけでございます。左下に結論的に書いておりますが、岩津地点で150分の1の確率。150年に1回ぐらいの正規確率を維持しております。それから、計画降雨量が2日雨量で440mm。基本高水のピーク流量が24,000m3/sというものを計画の基本に置いているわけでございます。
 これも13ページから新たな検討として妥当性のチェックをしてございまして、2つのグラフがありますが、上が流量、下が雨でございます。いずれにしましても、横線の点線が書いてありますものと、それを大きく超えるものはまずないということで変えなくてもいいのではないかと。ちょっと誤解がありますのは、下のグラフの平成16年のところだけ、実は雨量だけ見ますと飛び出ているのですが、これは昨年、台風10号がこの雨量になってございます。この雨量は実は流量にしますと9,600m3/sぐらいでございまして、上のグラフは2万m3/s近くいっているじゃないかとご覧になられるかもしれませんが、これは台風23号で、また別なものです。たまたま別な台風がそれぞれの代表値を示しておりまして、台風23号のときは、逆に雨量は366mmということで、かなり低いということであります。その辺も含めますと、特段さらに計画を大きくしたりする必要はないのではないかと思ってございます。
 14ぺージは、先ほどと同じように流量の確率での検討をしてございます。前の降雨確率の検討に加えて流量確率の検討をしますと、14ページ上の3行目にございますように22,300m3/sから24,300m3/sぐらいになってございますので、現在の降雨確率から出しました24,000m3/sもこの中に入ってきますから、一応妥当なレンジの中に入っているのではないかと思います。
 それから、15ページは、既往洪水から出しておりますが、これは先ほどのA3判の資料でもちょっと書かせていただいておりますが、幾つかの痕跡がございましたので、その流量といいますか、そういう判断をするためにはどのぐらいの洪水が流れていると。過去、大正元年の洪水のときの台風と進路などが似たりしておりますものとか幾つか検討しまして再現をしてみますと、再現でございますので幅がございますが、22,500m3/s〜28,300m3/sが多分この洪水では発生しているというのが見てとれますので、現在の24,000m3/sという、150年に1回とか、そういう確率でなくても、実際この地域としてきちんと備えるべきものではないかというふうに見てとれます。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。それでは、常願寺川等2水系の特徴、課題等のご紹介がございましたので、これに基づきまして、ご意見、ご質問などございましたら、ご発言をお願いいたします。
 地元に詳しい委員としてご出席いただいております○○委員に、常願寺川についてご説明がありましたらお願いします。
(委員) 今ほどご紹介のありました常願寺川の地元でございます立山町長の○○でございます。
 今ほど事務局から常願寺川についての細かな説明をいただいて、改めて本省においても、このようなことが確実に検討され進めていただいているのだということを再認識いたしまして、改めて感謝を申し上げるわけでございます。
 常願寺川につきましては、ご紹介のとおりでございますけれども、安政5年に大きな飛越大地震がありまして、そして鳶山が崩壊して自然ダムができて一気に流れてまいりまして、大きな洪水になりました。しかしながら、まだ立山カルデラ内には2億m3の大きな崩壊する可能性のある土砂が堆積しておりまして、まだまだ油断がならないというような状況でございまして、これからもぜひこういうこともしっかりとお願いをしたいというふうに思っているわけでございます。
 今まで大きな取組みとしましても、明治24年にオランダ人の技師のヨハネス・デ・レーケさんが河口部を抜本的に白岩川と分離するということができまして、そして築堤、霞堤とか、いろいろなことをしていただきました。そして、取水でも合口ということもなされまして、かなりの成果を上げていただいているわけでございます。そしてまた、河床におきましても、天井川でございましたけれども、昭和24年から42年にかけましては、タワーエクスカベーターというものを入れまして河床の掘削等もやっていまして、かなりのいい形になっているというふうに思うわけでございますけれども、引き続き、いろいろな急流河川対策というものをしっかりやっていただいて、安全・安心な地域のためにこれからもご尽力をいただきたいというふうに思います。
 実は、私も生まれが、私の先祖は富山市にありまして、今現在は立山町に住んでおりますけれども、安政5年の大地震でそこが流されまして、加賀藩のほうから引っ越しということで立山町へ移ってきた先祖でございまして、小さいときからこういうことにつきましては非常に敏感でございます。特に大日橋が河口から10kmのところにあるわけですけれども、そこを通るたびに、遠足時はバスのガイドさん、そしてまた学校でも、ここが決壊すると富山市の大シンボルである大和富山店よりも上のところに水位がいくということで、常々この堤防が決壊したら大変だということも小さいときから教育を受けているわけでございまして、そういう点から言いますと、昨年の新潟県とか、また福井県の大豪雨災害、そして今年も九州のほうで起きた水害等を見ますと、あのようなものが富山のわれわれのところにも降ったならば大変なことになってしまうということで、改めて地球の温暖化はじめ、いろいろ気象の状況が変わってくるのに対しては、まだまだ警戒をしなければならないというふうに思っているわけです。
 そういうことで、これからも安全・安心な地域のためにぜひひとつしっかりと基本方針をつくっていただいて、着実に予算の確保、そしてまた、いろいろな意味でのご支援を賜りたいというふうに思うわけでございます。
 利水につきましては、今、横江頭首工あたりからいろいろ水が分かれておりまして、工業用水とか、水道上水道、そしてまた、いろいろな意味での水の利用が盛んになっておりますけれども、何せ適正な流量といいますと、われわれの常願寺川は昔は立山山麓のほうまで船が上がっていたということを聞いたときに、今はとてもじゃないけれども魚が秋の渇水期になりますと全然流れない時期がございます。そして、昔からサクラマスとか、アユあたりが上がってきたというのを、小さいときでも、われわれはそこへ行って一生懸命魚を捕っていたわけでございますが、それはもちろんできないような状況でございます。しかしながら、今、全国から常願寺川へアユ釣りに来られている。これは養殖のアユを全然放流していないということで、全く天然のアユが河口部から上がってくるということで非常に人気を集めているわけです。そういうことがありますと、千寿ケ原一帯までいろいろなダムが、魚道が整備していただいております。ですから、適正な流量ということについても、ぜひこれからもお願いをしたいというふうに思っておりますし、また、そこは水が流れても潜んでいくといいますか、滲みていくといいますか、そういうことでは伏流水のような形になってまいりますので、それが大きな要因かとも思いますけれども、また調査をひとつよろしくお願いをしたいというふうに思っています。
 環境につきましては、暴れ川の特徴であるアキグミとか、そういうものは結構やっておりますし、常願寺川の治水とか利水の施設を活用した親水空間というものも整備をしていただいております。また、今までは暴れ川ということでマイナスイメージの川だったと思いますけれども、これからは交流の場としてもわれわれも期待をしているところでございます。特に今日、久しぶりで○○課長の顔を見まして、富山の工事所長のときに、常願寺川にぜひ河口から32kmの千寿ケ原まで桜並木をつくろうということで、先ほど言いました河川からの土砂を利用した常願寺川公園と、そしてまた、今、岩倉の桜堤、そして横江頭首工の合口のいろいろなところにもありますし、水辺の学校の空間、そして千寿ケ原と、5カ所を桜の拠点にしていくとして今一生懸命整備をしておりまして、将来的にはそれを1本の桜で並木にしようというのが当時所長の考え方でございました。
 そういうこととか、所長のときに、雄山高校というのが地域の清掃とか、いろいろなことをやりました。国土交通省、そして立山町、住民のいろいろなボランティアのもとでボランティアサポート事業との提携もさせていただいたわけでございます。いろいろなことから言いますと、ぜひひとつ環境についてもこれからもお願いをしたいというふうに思っています。われわれも今年の4月から「デ・レーケの道を行く」というウォーキング大会も始まりましたし、そういう点では、デ・レーケさんがつくられた功績をこれから残しながら、一生懸命これからのものを次世代に残していきたいというふうに思っているわけでございます。いずれにしましても、環境の問題につきましても、交流の場として、いろいろな意味で地域が一丸となってこのような事業もサポート申し上げ、そしてまた、一緒に取り組むことによって、常願寺川は日本一安全で、また交流の場として、これから治水、利水、そしてまた環境面においても、すばらしい川になるようにご支援をいただきたいというふうに思います。
 改めて、特に治水事業におきましては、急流河川のいろいろな対策について一段のご努力をいただきますことをお願い申し上げまして、私のほうからご意見とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
(委員長) ○○委員も多少地元に縁があるようですけれども、もしご意見がございましたらお願いします。
(委員) では、共通認識を持つために、上流部で何が起きたかということだけご説明をしておこうと思いますが、立体模型の真ん中辺に立山砂防事務所というのがございますけれども、この隣に立山カルデラ砂防博物館というのがございまして、私、そこの名誉館長をしておりますので、その関係でちょっとご説明させていただきます。
 1858年、新暦でいいますと4月8日の未明に大地震がおきまして、飛越地震というふうに呼んでおります。多分、マグニチュードは7.1か7.2ぐらいだろうと思いますが、この地震は跡津川断層という活断層が動いて起こした地震と考えられております。このときには、もちろん現在の富山市あたりも大きな災害になったのですけれども、上流部では、ここの立体模型で申しますと、立山カルデラと書いてありますね。この字が書いてあるところは阿弥陀ケ原のところで、字が書いてある右側、東側のところがへこんでおります。「カルデラ」というのはボルトガル語で「鍋」という意味ですので、鍋のような地形をしている。実はこれは火山のカルデラではなくて、長い間の侵食によって生じた鍋のような地形です。ここで地震の揺れによりまして大崩壊が起きました。資料2−1の下に写真がありますけれども、下の写真に鳶崩れと書いてございます。この右側の茶色い部分が逆三角形になっていますが、ここが大鳶と呼ばれるところで、これをはじめとして、この周辺で大崩壊が起きました。その崩壊した土砂が大体4億m3というふうに推定されています。これは本当にそうかどうかわからないのですが、その崩壊した土砂が湯川という川の本流、支流をせき止めましてたくさんの河道の閉塞をつくりました。これは不安定土砂ですから、いつか決壊するということで下流域でも警戒を強めていたのですが、地震の2週間後と2カ月後に2度にわたって決壊をします。最初の決壊は多分、大町のあたりであった地震のショックで崩れたと言われますが、2度にわたって大決壊をしまして、そして大規模土石流が流下をいたしまして大きな災害になりました。特に2度目の決壊のほうが大きくて、富山平野一帯が大洪水に見舞われるということでありまして、この立体模型の下に大きな岩石がありまして安政の大転石とも言いますが、これが今、富山平野の中に点々と残っております。
 こういう事件を境にいたしまして、常願寺川というのはすっかり暴れ川に変わってしまったのです。実は、その地震が起きる前は、この模型で言いますと、扇状地の尖頂のところを上滝と呼びますが、そのあたりまでは海のほうから舟運があったというふうに伝えられております。ところが、この地震を境にいたしましてすっかり暴れ川に変わってしまう。そして、たびたび大雨が降るために、大洪水、あるいは土石流を発生させるということになりましたので、明治39年(1906年)に富山県が砂防事業に着手をしました。白岩堰堤のようなものがつくられたのですけれども、その後、大正年間に2度にわたって大雨が降りまして、その堰堤が壊れるというようなことが起きたので、1926年(大正15年)に国の直轄事業として砂防の事業がスタートするわけであります。
 そういうことでありますので、何とか上流で土砂を抑えない限りは、下流の富山平野を守ることができないということで、砂防事業が延々と続けられているということであります。4億m3のうち流れ出したのが大体2億m3ですから、まだ半分がこのカルデラの底に残っているということで、これからも延々と砂防事業を続けていかなければならないという状況になっているということであります。
 簡単ですが、これでご説明を終わります。
(委員長) それでは、吉野川の地元に非常にお詳しい○○委員、ご発言をお願いします。
(委員) 私、私立四国大学の文化史・博物館学等を担当しております○○と申します。
 実は、この委員の話があったときに、とんでもない畑違いだという感じを持ったわけですけれども、どうしてそういうふうになったということをちょっと考えてみますと、徳島では例の第十堰問題が非常に大きな政治問題にもなっておりましたときに、私たち文化史等を専攻しておる者も地元の吉野川について傍観しておるわけにはいかないと。だから、われわれの立場でものを考えてみようということで、吉野川資料研究会というのをつくりました。その吉野川資料研究会というのは、大学の先生等7〜8人でつくったわけでございます。現在の鳴門教育大の学長の先生などもメンバーに入っておりまして、いろいろな点で吉野川を考えてみようということでございます。
 皆さん方、よくご存じだと思いますけれども、徳島と申しますと、現在は阿波踊りだけ踊っているというふうに思われるかもしれませんけれども、これは日本一の藍の産地でございまして、江戸時代は日本中の商業藍の原料を生産しておりました。徳島藩は24万7,000石ですけれども、藍による収入がほぼ同額の25万石ぐらいあっただろうというふうに考えられております。したがいまして、徳島は25万石の国が2つあるような経済力を持っておりました。明治35年ぐらいまでは日本有数の経済県で、実は私立の銀行の2番目、クジメ銀行というのがつくられたのも徳島だったわけです。
 そういうことで、非常な経済力を持っていたのは、徳島県は10郡ある中で7郡がこの吉野川河口に面しておりまして、その7郡で藍をつくる。藍は非常に連作を嫌うわけです。藩主蜂須賀が最後まで連作によって藍の生産が減ることを恐れまして堤防をつくらせなかった。江戸時代を通じて霞堤で吉野川が運んでくる土砂によって豊かな藍をつくってきた、こういう傾向があるわけです。そこで、私たち吉野川資料研究会は、江戸時代から明治にかけての古文書を現代語訳して読んでもらう。あるいは、先ほどもたびたび出てきましたデ・レーケの吉野川調査の資料を現代語訳して徳島の人に読んでもらう。そして、感情的になったり、あるいは政治的になったりしておる第十堰を根本から科学的に考え直してみよう、そういう資料をつくっていこうではないかということで、私たちはまず科学的な資料ということを普及してまいりました。そういうことでこの委員に選出されたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 また、先ほどもお話があったように、早明浦ダムの貯水率が0%になって、2〜3日で100%を超えるという状況の中で、100年に一度の今までなかったような洪水というものも予想しながら、科学的に防災、あるいは利水、そういうことを考えていかなければいけないのではないかということで、私もこれを機会に勉強して、少しでもお役に立つような活動をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。よろしくお願いします。
(委員長) ありがとうございました。また引き続きいろいろな場面でご意見を賜りたいと思います。 河川工学の立場から、○○委員にお願いします。
(委員) 愛媛大学の○○でございます。私は、吉野川流域ではなくて松山のほうに住んでいるのですけれども、吉野川というのは、先ほど事務局さんのほうから非常に要領よくご説明がありましたように、四国4県に水を供給しているということで、治水とともには利水が非常に重要な河川ではないかと私は思っているのです。先ほどご説明がありましたように、北四国の瀬戸内側は雨が年間1,500mm以下で、高松など1,000mmぐらいのところもあるわけですけれども、逆に南四国は3,000mm以上ということで、四国全体から見れば水は非常に豊かにあるわけです。それが、流域の水の空間分布が南に非常に偏っていて、北四国に水がないということで、基本的に南四国は洪水で非常に悩まされていて、北四国はむしろ渇水で困っているということでありますから、基本的には四国の水環境といいますと、南四国の治水をどうするかということと北四国の渇水をどうするかということになります。吉野川は河口は瀬戸内に近いのですけれども、流域がほとんど南四国に入っていますので、南四国の河川で治水が問題となりますが、北四国の水資源開発の水資源開発の役割を担っています。いわゆる中国で行われている南水を北で調達する「南水北調」というのが基本だろうと思います。
 吉野川の治水につきましては、先ほど基本高水のピーク流量が24,000m3/sということで、これは利根川の22,000m3/s以上で日本一ということで、大変な暴れ川ということがわかろうかと思います。だから、治水については早明浦ダムができてかなり改善はされておりますけれども、基本高水のピーク流量が24,000m3/sということは飛び抜けて治水が難しい川であるということで、治水が非常に重要であるということは言を待ちません。
 先ほど言いました南四国の水をいかに北四国の渇水に役立てるかということで、ご承知のように、昭和50年に先ほどの早明浦ダムができましたので、高松に分水されています。あるいは、支流の銅山川から、四国中央市には日本で有数の製紙工場があるのですけれども、水が非常に要る製紙工場が水のないところにあるわけですが、これは支流の銅山川からまさに吉野川の水を持ってきている。いわゆる愛媛分水ということでこういうことになっているわけであります。吉野川の水を北四国に持ってくることによって四国全体の経済的地盤低下を防いでいるかということになってございまして、四国の命、あるいは四国の水瓶となっています早明浦ダムが非常に重要であります。今後とも北四国の渇水を根本的に解決することと、南四国の他の河川を含めて、吉野川の治水の、2つを同時に解決するということが非常に重要だろうというふうに考えております。
 それに向けて着々と国土交通省のほうでいろいろな施策をとっていただいているということで、四国の住民としては非常に感謝しているところでございます。今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。
(委員長) 各県の知事さんの代理の方においでいただいております。最終的にはまたご意見を伺うことがありますが、現時点で何かご発言があれば、それぞれお伺いしたいと思います。富山県知事の代理でおいでの方にお願いいたします。
(委員代理) 富山県から参りました。知事の県政の基本も、安全・安心ということがキーワードになっているわけでございます。富山県は、明治の時代に石川県から分権独立をしたわけですけれども、それは実は河川事業に多大な予算がかかるということで、それが原因だったと言われておりまして、特にこの流域一帯のレリーフマップを見てみますと、まことにダイナミックな地形でございまして、その代表がこの常願寺川であるというふうなことでございます。これを見ていただきますと、25mコンター、500mコンター100mコンターというのが薄い点線で入っておりまして、富山市と書いてあるところが二重丸で県庁と富山市がございます。楕円のほうが県庁ですけれども、二重丸の富山市役所の屋上に展望台がございます。そこから大山町と書いてあるあたり、あるいは赤の点が3つ打ってあるあたり、大転石のあたりをながめますと、ものすごく高い位置に堤防があるということでございまして、実感として富山市に向けて常に匕首を突きつけられているというか、そういう川であるということで、富山県民の間では大変恐い川であるということは十分承知されているわけですけれども、これまで営々とやっていただいております治水につきまして大変感謝申し上げたいと思いますけれども、引き続き何とぞよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それから、富山防災センターのすぐ隣に常願寺川公園というのがございます。30haぐらいの公園ですけれども、これは県のほうで整備をしているものですが、こういうところにたくさんの人たちがやって来るというふうな状況にございますので、できれば、そういうところの周辺にたくさん治水に関するいろいろな歴史的なものでありますとか、先ほどからお話に出ておりますアキグミの、これは恐らく日本有数のクラスだというふうに地元の植生の先生は言っておりますが、そういったものをうまく生かして、治水の歴史、そしてまた環境というものを十分活用した、いわゆる一般の方々に対するアピールといいますか、オープンミュージアムといいますか、野外博物館としての価値というのは非常に大きいものがあると思いますし、これまでもいろいろなことが行われているかと思いますけれども、そういう一般の方々に対する治水の大切さ、そしてまた環境というものを活用してのいろいろな活動につなげていくといいますか、そういう面をさらにまた引き続きお願いをしたいというふうに思っております。
 簡単ですけれども、以上です。
(委員長) それでは、徳島県知事の代理の方にお願いします。
(委員代理) 吉野川の下流部を占めます徳島県でございますが、先ほど○○先生、○○先生からお話がございましたように、ここ数年間、第十堰問題で河川局にもご迷惑をおかけしながらやっておったわけですが、政治問題化したためにデッドロック状態でございました。去年、○○知事に代わりましてから、第十堰と本川の整備計画を切り離して、先ほども河川局からご説明があったように、まだ64%しか堤防がないような地区が相当ございますので、まず、そこら辺の治水を早くやるために、何とか第十堰問題を切り離して河川整備基本方針・河川整備計画をぜひつくっていただきたいということをご提案させていただいたところであります。それを受けて、河川局のほうでも鋭意検討されて、1カ月後にはある方向を出していただいて、今日、こうやって吉野川の河川整備基本方針がテーブルに乗ったということで非常に感謝を申し上げているところでございます。
 去年の台風16号、23号で、先ほどご説明があったように、吉野川も非常に大水害がございまして、しばらくぶりにあったものですから、各市町村長さんも避難勧告、避難指示を結果的には出したのですが、なかなか踏ん切れない状態が実はあったりしていました。今年は、先ほどの14号では避難勧告が逆にいうと非常にスピードアップして出るような状態になっているところでありますけれども、いずれにしても、まだ堤防がないとか、あるいは内水排除のポンプが整備されていない箇所が相当数ございますので、そこら辺の整備が早く進められるように、河川整備基本方針・河川整備計画をぜひ早くつくっていただいて、私どもも支流を含めて整備を急いでいきたいというふうに考えてございますので、よろしくお願いいたします。
(委員長) それでは、香川県知事代理の方にお願いします。
(委員代理) 特にございません。よろしくご審議のほどお願いいたします。
(委員長) では、愛媛県知事の代理の方。
(委員代理) 先ほど○○先生からおっしゃっていただいたので特にはございませんが、愛媛県は、先ほどもありましたように、四国中央市の上はいつも渇水で悩んでおりますけれども、今、ダムが柳瀬、新宮、富郷と3つございますが、特に柳瀬ダムがかなり老朽化しているというのもありますし、この3つのダムを上手に整備していただくというか、維持もしていただいて、愛媛分水がずっと続いていけるようにしていただいたらというふうに思います。
(委員長) では、高知県知事の代理の方。
(委員代理) 吉野川といいますと、高知県では早明浦ダムということに当然つながってまいります。先ほど○○委員さん、○○委員さんからもお話がございましたように、治水と利水、この2つのことになると思いますけれども、台風14号まではまさしく渇水で、本省からも0%になったというお話がございましたけれども、それが台風14号のせいで、たった1日で満杯になった。一言で言いますと、水の扱いというのは非常に難しいものだというのが私どもの実感でございます。昨年の災害では、大川村というところが嶺北地方で大災害がございました。小学生が孤立したということで全国的なニュースでも報道されました。実は、台風14号でも大川嶺北地方でまた大変な災害が発生してございます。お天気はやはり穏やかが一番というふうに考えてございますので、どうか本省の皆様方にもよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。地元に関係の深い委員からそれぞれご意見を承りましたが、その他のことについて各委員から、自由にご議論をお願いいたします。
 私から質問ですけれども、吉野川で内水ポンプが現にありますし、計画もあるようですけれども、それらは今回の案の基本高水のピーク流量の中にはどういうふうに参入されておりますか。
(事務局) 流出計算のモデル上は、内水域については、都市地域については比流量5m3/s/km2ということでモデルの中に組み込んで考慮しております。
(委員長) 一応、5m3/s/km2程度までは今後計画が変わっても受ける用意があると。
(事務局) そういうことで整理しております。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 常願寺川についてですが、資料2−1で、まさに急流河川であるということで「越水なき破堤」、本当に流れが堤防を直撃するような流れになるような特殊な急流河川なわけですが、こういう川では、堤防の高さではなくて、むしろここの下に対策が書いてあるような護岸とか、前腹付けということが非常に重要だと思うのです。つまり堤防整備率というのは、恐らく高さで整備されていると思うのですが、こういう急流河川で堤防整備率ということを言うなら、どれだけこういう対策がとられているかという目で見るべきではないかというふうに思うのです。
 ここの写真にあるような前腹付けのような強化、これは計画的に進められているのですか。あるいは、災害復旧のときにこういうことをやるとか・・・。つまり、堤防整備率というような目で堤防強化を計画的にやっていくことがこういう川では重要だと思うのですけれども、現状と今後の考え方みたいなことを教えていただければと思います。
(事務局) まず、お話のお考えはまさにそのとおりだと思いますので、同じ尺度で便宜的にやっているかもしれませんが、堤防整備率についてはそういうふうにしたいと思います。それから、先ほど申し上げましたように、前腹付けのほうは今やり始めたところでありますが、一応、計画をつくって、その復旧でということではなくて、きちんと今入ったことろでございます。
(委員長) 何かご意見ございますでしょうか。
(委員) 両河川は非常に急流ですので、暴れ川ということで治水の遺産といいますか、洪水の遺産といいますか、今日いただいた資料の中にもずいぶん記述がございましたけれども、ぜひそういうのを大事にされて、地元の郷土の教育のみならず、全国の中での河川事業の大切さということを伝えるために非常に重要な歴史的な箇所だと思いますので、ぜひこういうのを大事にされるといいかなと思います。
 前回、常願寺川を見させていただいて、私も非常に勉強になりました。この第十堰も、実物を見ると、やはりこれはすごいなというのが実態ですが、恐らくまだ民地の中にこういう石が残っている場所も多分あるのかなというふうに想像しますので、そういうようなものの保全といいますか、記念碑をつくったりとか、そういうこともぜひ事務所の中でも少し考えられるといいのかなという感じがいたします。以上です。
(委員) 早明浦ダムですけれども、今回、大渇水で底をついていたのがいっぱいになったということですね。本来、ダムがなければどんなことになっていたのかということを大いに検証してPRしてもらいたい。というのは、ダムは要らないとか、そういう声が非常に大きい中で、今回のような大洪水のときに早明浦が果たした役割というものをひとつ検証されて、ためた水がまた使えるというような、こういうことを国土交通省のほうで大いに声を大きくしていただくと、それなりにまた認識も変わってくるのではないかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
(委員長) 関連してですけれども、たしか平成6年にも大渇水があって、当時、高松では19時間断水ということをお聞きしたのですが、それと今年と比べると深刻度はいかがでしょうか。
(事務局) 簡単なものだけお付けしておりますが、平成6年のほうが大変でございました。2つ書いてございますけれども、5ページの右下のところに、平成6年と平成17年のを両方書いてございます。平成6年は香川県ほぼ全域での減圧給水、高松市がそこに書いていますような日数の間、特に19時間ですから夜間断水だけではないような状況に陥っています。その他夜間断水とありますが、平成17年の1日9時間断水というのは夜間断水で、同じようなものことだと思いますが、ちょっと表現を変えています。このぐらい実生活としては強烈に平成6年のほうが大変だったということかと思います。
(委員) 早明浦ダムの土砂流出及び河道の現状という、資料の8ページになろうかと思いますが、左の上の表といいますか、ダム堆砂除去というところに、早明浦ダムの有効容量内の堆積土砂の除去というのがございます。右上の会社の経年変化でずっといきますと、計画堆砂量が1,700万m3になっておりますね。現在の堆砂量が900m3になっているのでしょうか、ということは、まだ計画堆砂容量内にトータルの土砂がおさまっているということだと思うのですが、そういった状況で、有効容量内の堆積土砂という意味がよくわからないのですけれども、これはどういうことでしょうか。
(事務局) 若干内部で整理している言葉をそのまま書いているかもしれませんが、ダムの容量の中で総貯水容量を有効貯水容量と下の堆砂容量と分けて書いてございますが、実際たまるのは水平にたまるわけではなくて、上流側からたまっていくのが一般的でございますから、そこの部分はなるべく除去したほうが水の使い方としても効率的というか、こういう部分にたまっている上流側のものはまずは取っていこうということを書いたつもりでございます。
(委員) これは有効貯水容量という意味ではなくて・・・。
(事務局) ええ。ちょっと言葉が簡単になっていて、誤解を生んで済みません。
(委員) 空間的にそういうふうなところで除去しているということですね。
(事務局) ええ。それは多分、土砂をやっている方法も、水位が低下しましたときに、掘削というか、オープンで採っておりますので、除去の対応上もそういう場所のほうが当然やりやすいというのがあると思います。
(委員) 今、堆砂が900万m3にも及んでいるという状況にあって、いざとなれば、こういったいわゆるデッドゾーン、計画堆砂量のところなどは、渇水などのときに緊急避難的にもひょっとしたら使える可能性があるわけですね。だから、何とかこの900万m3というものを、全部とは言いませんけれども、こういった空間のところを有効に利水などに反映させていくことが、新たな水源を設けるとか、そういうことよりも結構有効だなという意味で、堆砂・土砂の除去というのは非常に重要だと思うのですけれども、そういうことはお考えではないのでしょうか。ちょっと教えてください。
(事務局) 答えからいうと、考えていますということでございまして、例えば100年分の計画の堆砂を見込むのですけれども、それを今までは放っておいて100年たまる。ただ、たまる場所が都合が悪いからそこを採るとか、予想以上にたまるから採るというレベルだったのですけれども、いつも採っておくといいますか、10分の1ぐらいの容量にして、あとは適宜採っていくのだという戦略に変えれば、そういう管理に変えれば、逆に9割部分は使えるということができますので、そこは当然コストとか方法とか、ほかの問題があるのですけれども、今、それを検討しているところです。
(委員) 特にこれは渇水で問題になっているようなところは、そういうやり方もあるのかなというふうに思います。鋭意検討していただければと思います。
(委員) この2つの河川ではなく、先ほどの正常流量のところでちょっと・・・。この図では河道の正常流量の設定値、そういう形のものを見せていただいたのですが、年間においてという形のものは図示化するということはできるのですか。期別というのはかんがい期と非かんがい期ぐらいだけのものですか。最近、流量の変動と、何かコンスタントのようなイメージが結構あるものだから、そういう図も、最低こんな量でこれだけ変動をしているという、そういう形のものがもう少し見えるようにしてもらったほうがいいかなというふうに思ったものですから。それは当然できるということで理解すればよろしいですね。
(事務局) できます。吉野川の場合にも、かんがい期と非かんがい期と分けて正常流量を設定しておりまして、時間の関係ではしょらせていただきましたけれども、それぞれのところで必要であればかんがい期と非かんがい期に分けたりやって全部検討しております。
(委員) 期別というのは、かんがい期と非かんがい期ぐらいのものですか。
(事務局) いろいろあるのですけれども、今日の中では吉野川ではかんがい期と非かんがい期で、それ以外にも多いときと少ないときがございますから、そういったときに分けて検討しております。
(委員) 今の関連で事務局にお教えいただきたいのですが、今日のお話ですと、河川の水質基準の2倍以下になるように流量を設定するというお話がございました。その一方で、環境基準の判定そのものはBODの75%値になっていまして、そこの論理的な整合性が、今、○○先生からお話がありましたように、かんがい期・非かんがい期を分けていくときに、それぞれのケースのときに、正常流量になる発生確率と勘案してBODの75%のところがぴったり合うという論理的な整合性があるのかどうかということと、もう一方は、環境基準ですと、排水基準のほうは相手側の川が10倍希釈を期待しているところがありまして、そこの整合性はいかがなんでしょうか。
(事務局) まず最初でございますけれども、正常流量で検討しているのは渇水時における水質でございます。先生が言われた環境基準の75%というのは大体低水流量相当でございますので、渇水期にそこまで求めると非常に大きな数字が出てくるということで、これまでのところは正常流量を検討する場合には環境基準の2倍ということで今までは話させていただいておるところでございます。
(委員) 渇水の発生確率とそこは合うようになっているのでしょうか。低水と渇水の間のそれぞれの比率がありますよね。発生する可能性があって、それを換算すると75%に入るところが生きているんですよね。
(事務局) 概ね入るとは思っておりますが、また次回ご説明させていただきたいと思います。
(委員長) ○○委員、何かございますか。
(委員) 吉野川の資料2−2の6ページですけれども、河道内樹木を適正に管理、保全と書いてあるのですが、この考え方を教えていただきたいのですが。
(事務局) ここだけではないかとは思うのですけれども、従前、川の中にたくさん生えておりますと、それが阻害物になる場合については除去しないといけないとか、特に生物でございますからどんどんエリアが広がっていって、そのうち川の流れる空間がなくなってくるとか、その辺がございますから。かといって、地域の人たちにとっても、それから周りの生物にとっても、そこのところをきちんと考えた伐採とか何かをやりましょうということでございますけれども、その部分が「適正」という言葉で漠としておりますが、この後、実際の具体の河川整備計画の中でその辺を書かせていただくようなことになるかと思いますが、中身としてはそういう意味合いでやることかなと思っています。
(委員長) よろしゅうございますか。時間もまいりまして、まだ議論は足りないと思いますが、本日は一応この議論を締めさせていただきたいと思います。
 私からは、先ほどの常願寺川の堤防の整備率をどういうふうに規定するのかというのはテストケースでもありますし、この辺はしっかりと整理して説明して下さい。特にまた後続の急流河川の問題もあるでしょうし、通常の河川がどちらかといえば流量主義だったのが、ここは通用しない川ですねというのが皆さんの共通の理念だったと思いますし、今後も急流河川についてはどういう整備手法なのか、次の機会にお話を聞ければありがたいと思います。
 それから、期せずして第十堰の問題が関係委員から出ました。最高裁の判例は、河川工作物の設置については大変厳しい責任を河川管理者に負わせております。ですから、この問題は非常に政治的な課題だというお話もありまして、慎重に議論しなければなりませんが、そういうことを踏まえて今後も本文の取りまとめに対応していきたいと思います。
 本日は、資料として河川整備基本方針の本文案とその骨子などの資料が用意されていましたが、時間の都合でその紹介がありませんでした。次回は、本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくことになります。本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。事務局におかれては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて本文案に必要な修正を加え、次回改めて紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。  本日の議題は以上でございます。
(事務局) 委員長、ご審議、どうもありがとうございました。




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