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河川局

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第20回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年9月26日


2.議事
常願寺水系及び吉野川水系の
河川整備基本方針の策定について

(委員長) 本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきましてまことにありがとうございます。
 それでは議事に入ります。前回は常願寺川等2水系の特徴と課題につきまして審議いただきました。今回は、前回の審議を踏まえて常願寺川等2水系の河川整備基本方針の本文案についてご審議いただきたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の○○でございます。
 お手元のA3判横長の資料1−1をごらんいただきたいと思います。常願寺川につきまして、前回の委員会でお話が出た点について若干補足の資料を用意してございます。
 1ページを開いていただきますと、「堤防と護岸の整備状況」でございます。前回、特に有名な急流河川でございますので、単なる堤防の整備だけで整備状況という話はおかしいのではないか、堤防とか河岸の侵食、特に水位なき破堤ということで水位が上までいかなくても周りが侵食されて堤防が壊れ、富山市内などにあふれるということで、それをどう考えているのかというお尋ねでございました。
 資料を入れましたものをごらんいただきたいと思うのですが、どういう川かというので、前回もお話し申し上げまして、真ん中に絵が描いてありますが、水の流れる筋は、急流河川でございますので右へいった左へいったりいろいろ変わります。これが固定されている状況ではございません。断面は、上の123で幾つの断面を入れてございますが、どちらかというと、大きな川ですと河川敷といいますか、高水敷があって、真ん中に日ごろ流れている水路があるのですが、この川は広く下のほうといいますか、河床の部分が広がっておりまして、この中の水の流れる場所は年々変わる状況です。堤防の下の、あまり立派な高水敷が存在していない部分がたくさんございます。そういうところで、この断面で赤い絵が描いてありますが、こういうところに護岸が入っているわけでありまして、この辺がしっかりしていませんと、横へ崩れていき、全体の氾濫を起こすものでございます。
 左下に整備状況として、堤防の話と今の護岸等の数字を載せてございますが、堤防のほうは通常の川と同じで、堤防の整備延長がどのぐらいか。これは左岸、右岸を別々に足し算しました。ですから往復の延長になりますが、このうち41キロぐらいはできていて、全体は93%ぐらいできているということですが、侵食で横がやられていくことに対する護岸につきましては、要整備延長が36.6キロに対して7.1キロで、この状況でいくと19.4%という状況になります。護岸の整備状況は、ほかでもそうかもしれません、この川特有の問題があります。12と書いてありますが、護岸の一番下の河床のほうまで入っている深さが、侵食の深さとの比較をしておりまして、侵食している1よりも深くなれば大丈夫だろうけれども、侵食深のほうが深ければ、これが横へずれてしまうということでございます。この対策で、右下のもの、これも前回ご紹介いたしましたものです。
 お尋ねの本論は次のページでございますが、この川については複合的に安全性を評価してございます。洗掘という1つの問題は、護岸の根の部分といいますか、一番深い部分が急流で洗われて、下が抜けて護岸が浮いた形で、ここから破壊が起こるものでございますが、もう一つは2のように、削れていった側方といいますか、横へ削れて壊れていく。左側につきましても、a、b、cと分けてございます。先ほどのような洗掘深との関係で十分高いところがa、ある程度予測されるが、護岸そのもののアップダウンといいますか、周りの地形に合わせて上がったり下がり、それでも大丈夫なものがb、cはそれ以下のものでございます。2は側方侵食で、高水敷はあまりないのではございますが、少し削れても大丈夫な部分という考え方がありますが、aは高水敷の幅と削れていくかもしれない予測幅との比較で高水敷の幅が大きいもの、bはそれは満足できない、しかしある一定の割合のもの、cはそれが相当程度本体のほうまで食い込むものという分類です。これを右の3のように、こういう複合型がいいかどうかわかりませんが、それぞれa、b、cと分けましたものを、両方満足しないものがD、両方満足したものがAAという形で分類してございます。
 これをどう使うかは、まずDから、早く対策をしなければいけないというか、しっかりした対策を、かつスピーディにやらなければいけないもの。C、B、A、AAに従ってその度合いが変わるものにしております。ちなみに、総合的な評価を左下にその整備状況で書いている表がございます。これで見ますと、Bクラスに46.6%、Cが23.8%、Dが2.8%。こういう状況を日々把握することによって対策を講じてきております。右下は、1つ目の「○」は今申し上げたようなことですが、二つ目の「○」は、その中でも対策としては、前回ご紹介いたしましたが、前腹付け工ということで、この常願寺川の流量そのものは十分流れる河道がございますので、河岸の内側に前腹付け。絵のほうは前回の資料を利用しておりませんが、そういうものを中心にやる。これは洗掘にも十分対応できるだろうということで、これを中心に進めることにしてございます。そういうモニタリングその他をしっかりやっていきたいということがあります。
 これを踏まえまして、資料2−1と資料3−1で常願寺川の河川整備基本方針につきましてお話しさせていただきたいと思います。
 前回お配りして見ていただいているかと思いますが、主要な流れにつきまして、資料2−1で全体像についてお話しさせていただきたいと思いますのと、前回お配りしているものの変更点につきましてもお話しさせていただきたいと思います。資料2−1と資料3−1をあわせてごらんいただければと思います。
 最初に、本文の1ページからでございますが、流域の概要を書いてございます。全体の概要から始まりまして、流域の自然環境、常願寺川の歴史、1ページ、2ページもそういう内容になってございます。3ページの上から、土砂水害の歴史と治水事業の沿革を記述してございます。
 字句の修正で、前田利與公の「公」を削除してございます。
 4ページへまいりまして、その歴史が書かれておりますが、本文4ページの上半分ぐらいに、委員からもご指摘がございましたが、白岩砂防堰堤とか本宮砂防堰堤等は登録無形文化財になっております。過去のこういう砂防事業等の1つが文化財となっております。これがきちんと書いておくべきということで、つけ加えさせていただいております。
 その下の河川水の利用について、農業用水として云々とございます。発電用水の利用が書いてございますが、発電利用の場合、相当な反復利用で、実は単純に総量を書いておりましたが、反復利用等についての記述をしっかりしてあるべきだというので、それらを記述してございます。
 資料2−1の2ページにまいりますが、その他河川水の利用、河川の利用が、本文は4ページ下まで続きます。
 今後どうしていくかは、(2)の河川の総合的な保全と利用に関する基本方針でございまして、概要版は2ページ下、本文は5ページからでございます。最初に記述しておりますのは、治水・利水・環境がこの後続きますが、治水・利水・環境が総合的になされるべきであること、水源から河口までが一貫したものであること、段階的整備についても明確化、河川の有する多面的機能を十分発揮できるような維持管理をという、全体像にまたがったものが5ページの上でございます。
 その次に災害の発生の防止又は軽減で、これは本文5ページ下からでございます。これは先般来何度もお話をしておりますが、流出土砂が多い急流河川でございます。砂防事業による土砂流出の調節とあわせて堤防の整備や強化、河道掘削等により計画規模の洪水を安全に流下させることが主眼でございます。
 また、急流河川特有の土砂を含んだ流水の巨大なエネルギーによって引き起こされる洗掘、侵食から洪水、氾濫を防ぐため護岸の根継ぎや前腹付け等により堤防を強化する。また、この前提となる土砂の全体的な管理につきまして、今までも進めておりますが、さらに調査・研究に取り組むべきあるということ。それと、自然現象でございますので、計画を越えるもの、もしくは整備途上でまだ施設能力を越えるもの、そういう超過洪水に対する被害の軽減。前回ご紹介いたしましたが、霞堤がたくさん現存しております。こういうものをよい形で、うまく存置させていくということでございます。洪水や土砂崩壊等による被害を極力抑えるためのソフト的な、例えばハザードマップの作成等の支援、総合的な被害軽減方策についての連携を記述させていただいてございます。
 本文の6ページ下からは、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持でございます。広域的、合理的な水利用の促進、渇水時の情報提供等の体制の確立をしてまいりたいということです。特に、急流河川でございまして、瀬切れ等も発生しております。
 本文7ページのウでございます。ここからは河川環境の整備と保全でございますが、河川環境の整備と保全の基本的な考え方を最初に述べさせていただいておりまして、河床や植生の変動が非常に大きい急流河川としての特性を踏まえた河川環境の保全に努める。
 動植物の生息地・生育地の保全、暴れ川である常願寺川の原風景でございます石の河原、アキグミ等の特徴的な生物がございます。そういうものの生育環境の保全、アユの遡上環境の確保や礫底を好むカジカ、アジメドジョウ等の生育環境の保全。
 良好な景観の維持・形成といたしまして、暴れ川「常願寺川」との闘いの歴史遺産であるく各種治水施設等と調和のとれた河川景観の保全。
 人と河川との豊かなふれあいの確保は、治水・利水の歴史・文化の変遷を実際に観察でき、自然とのふれあい、環境学習ができる場として活用し、整備・保全を図っていくものでございます。
 水質につきましては、本文は8ページへまいりますが、関係機関との連携調整、地域住民と連携を図りながら、現状の良好な水質を保全していく。富山の水道のほとんどになっております常願寺川でございます。
 河川敷地の占用及び工作物の設置、管理につきましては、治水、利水、河川環境との調和を図って行っていく。
 モニタリングについてしっかり行っていこうというもの。
 河川に関する情報は、地域住民との共有、防災学習、河川利用に関する安全教育、環境教育等の充実を図るとともに、住民参加による河川清掃、河川愛護活動等を推進していくということを記述してございます。
 本文の9ページからでございますが、「河川整備の基本となるべき事項」で、1つは基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項になりますが、前回お話し申し上げましたように、基本的に現在ある工事実施基本計画の内容を踏襲してございます。4,600m3/sの基本高水のピーク流量で、調節施設はございません。
 10ページは、それを流量配分図に直してございます。
 11ページは計画高水、計画横断形に関する事項でございます。地点数が減っておりますが、これは前も申し上げたかとは思いますが、石狩川で記述の仕方についてこの委員会でご議論いただいたものに沿って全国的に横並びで書いているもので、特段の意図はございません。
 12ページは流水の正常な機能を維持するために必要な流量に関する事項でございます。現在の工事実施基本計画には、この点につきましては現在の状況だけを示しておりましたが、河川整備基本方針では、12ページの下にございますように、河口から常願寺橋の区間においておおむね4m3/s程度を必要な流量として設定してございます。前も申し上げましたが、これから上は伏流といいますか、水の状況がつかみどころがないといいますか、すぐ潜ってしまってまたあらわれるものですが、下流について動植物その他から可能な限り設定できるものは設定しようとして書いたものでございます。
 常願寺川につきましては以上でございます。
 続いて吉野川へ移らせていただきたいと思います。まず資料1−2を見ていただきたいと思います。「吉野川に関する補足説明資料」というA3判の横長の大きなものでございます。
 前回、委員会が終わりました後に○○委員からご指摘がございましたが、第十堰についてお話をしてくださいということでございますので、そのお話をさせていただきたいと思います。
 第十堰はご案内の方もいるかと思いますが、生い立ちと変遷で書きました。1672年頃、吉野川が旧吉野川を本流といたしまして、これは現在の吉野川の少し北のほうに流れておりますが、そこから南北に流れ、本来別の川であった別宮川がございます。ここを水路でつなげてございます。最初は水の利用のほうからだと思いますが、この開削に当たりまして、別宮川に水が流れ川幅に急速に拡大しております。
 1752年でございますが、吉野川下流の水量が激減いたします。塩水化による被害も発生したということがありまして、農業用水の確保・塩水化防止のために分派点に、赤い線のような形で第十堰を設けております。
 明治11年でございますが、第十堰上流の河道が東西方向へ変遷し、吉野川(現旧吉野川)へ水が流れにくくなったため上堰を、上流に斜めの堰をもう一つ設けておりまして、現在の2段堰となっております。
 大正12年でございますが、上堰を設置したが堆砂傾向はおさまらず、第1期改修工事で別宮川本川とし、分派点を上流に移し、第十樋門を設置いたしました。別宮川が現在の吉野川の本川になっております。
 右側に、第十堰の治水上の課題として今までも申し上げているものですが、1つは、川に固定堰があるという一般的なほかのところでも同じではございますが、迂回流の発生がございます。昭和36年と昭和49年の写真を載せてございます。
 異常な深掘れで、昭和51年のことを少し書かせていただいております。
 老朽化でございますが、クラック、空洞化及び漏水が見られ、支障を与えるおそれがございます。
 せき上げは、河床の固定物でございますので、当然のこと、せき上げがするというものでございます。
 次のページは、そういうことで吉野川の第十堰の改築という話が昔から出ておりましたが、若干の経緯を載せてございます。
 昭和41年7月には、早明浦ダム建設の基本計画が出されてございますが、当時、特定目的ダムでございまして、これが基本計画にあわせた知事の意見が県議会の議決を経て出されてきますが、この中に第十堰の改修等の早期実施についての要望がなされてございます。
 平成3年4月には、もう少し前から調査は始まっておりますが、建設に着手してございます。平成7年から10年ぐらいは、吉野川第十堰建設事業審議委員会で事業評価関係の委員会を開いてございます。結果的には妥当というご評価をいただいておりますが、平成8年から12年は、時間は若干ダブりますが、徳島県議会及び流域内市町村議会の促進決議がなされてございます。平成12年1月には、徳島市が住民投票を実施しております。結果としては、投票数のうちかなりの方が反対を言っておられます。平成12年8月少し膠着状態になっておりましたので、与党三党がこれについて勧告をしております。これは吉野川第十堰だけではありませんが、「現堰の改築の必要性については、ほとんどの人が認めるところであるが、膠着したこの現状を打破するためには、政府の現行計画を白紙に戻し、新河川法の趣旨にのっとり地元住民の意見を反映しつつ、洪水防止、水利用の観点から新たな計画を策定する」という勧告がなされております。
 また、平成12年から16年の間、こういうものも受けまして検討の場づくり、代替案の検討・調整等がなされてございますが、結果的に平成16年3月に徳島県知事から、上・中・下流の方々のご意見を伺って知事がこたえるという形で、知事が要望を出されております。1つは、吉野川の河川整備計画につきまして、吉野川流域における治水・利水・環境の諸課題が解決できるよう、早期に河川整備計画を策定する。とにかく早くつくるべきだというお話でございます。2つ目は、諸課題を検討する場は、計画的に実施すべき無堤地区の解消や治水対策を検討する場、もう一つは2のように、抜本的な第十堰のあり方を検討する場、この両方を別々にといいますか、並行して設置すべきである。それぞれの検討の場での議論の進捗度合いを踏まえつつ、柔軟な計画策定について配慮すること。
 2でございますが、特に吉野川第十堰につきましては、緊急的、応急的な対策として、早期に維持補修を実施すること。抜本的な第十堰のあり方を検討する場では、まずは可動堰以外のあらゆる方法から検討すること、地域と連携しながら第十堰を核とした地域づくりができるよう配慮することという要望をいただいております。
 これに対しまして4月に、四国地方整備局は知事からの要望を踏まえ、『よりよい吉野川づくりに向けて』を発表してございます。1は、よりより吉野川づくりに向けた具体的な計画を、これは県のほうでも言われたことでありますが、「吉野川の河川整備」、第十堰以外の部分です。2は「抜本的な第十堰の対策のあり方」、この2つに分けて検討し、おのおのの検討内容・進捗状況を勘案して、河川整備計画を早期に策定する。
 2は、吉野川の河川整備については、早急に水系全体の治水・利水・環境の幅広い観点から調査を行い、整理し、徹底した情報公開と住民参加のもとで必要な検討を進める。
 3が、第十堰については、抜本的な対策とは別に必要な補修を適宜行うとともに、「抜本的な第十堰の対策のあり方」については、吉野川水系を現状より少しでもよくするため、可動堰にこだわらずに、これまで検討していない可動堰以外の方法について検討を進め、あらゆる選択肢について評価を行って結論を得たいというお話を発表してございます。
 これらを踏まえ、今回の河川整備基本方針、今後の河川整備計画の流れでございますが、河川整備基本方針の策定後に、吉野川の河川整備の第十堰以外のことを、例えば内水であるとかその他と、もう一つ抜本的な第十堰の対策のあり方と2つに分けてそれぞれ検討する。その検討の内容・進捗状況を勘案し、河川整備計画を段階的な目標を定め、概ね20〜30年の整備内容として決定する手順に移るものでございます。
 河川整備基本方針での記述でございますが、第十堰だけではないのですが、第十堰以外もみな含めまして、「治水上支障となる既設固定堰については、必要な対策を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる」と書いてはどうかと案をお示ししてございます。
 基本的な第十堰そのものをどうするということではなく、若干トートロジーの部分があるかもしれませんが、支障となる部分については必要な対策を大なり小なりきちんと行って、我々が目指すべき計画規模の洪水の安全を流下させることはきちんと確保すべきであるというのが方針上の記述として妥当ではないかと思っております。
 次のページでございますが、これも前回、その後に委員からいただいたお話も含めまして、前回にも洪水の計画のほうをお話してございますが、もう少し丁寧なというお話がございましたので用意しております。
 「工事実施基本計画における基本高水のピーク流量」は左上に書きましたようなものでございまして、2日雨量で440ミリにつきまして算定し、基本高水のピーク流量はいわゆるダム等で調節いたします前の岩津地点での流量として24,000m3/sを推定しております。このときの基本高水の対象ハイドロは右のようなものでございまして、基本高水のピーク流量としましては、昭和49年9月型の洪水をモデルにしてございます。
 これについて幾つかの検証をしてございます。これはほかでも類似かとは思いますが、1つは、流量確率手法からの検討をしてございます。最近のデータまで含めまして、流量確率で示したものがグラフに載ってございますが、これもここだけの話ではなく、一般的にやっているものですから、たくさんの手法の中で特別変なものだけを除いてみますと22,300m3/sから24,300m3/sぐらいの値が出ております。大体24,000m3/sというレンジはこの中に入っているものではないかと思われます。
 3は既往洪水からの検証で、次のページに詳しく載せております。お開きいただきますと、大正元年9月の洪水についての推定をしております。前回はさわりだけお話ししました。2つしておりますが、1つは、洪水の痕跡が残っていたり、文献で示されていますので、そういうものを調べて、左下にそのときの氾濫状況を一度おとしまして、これをもとに数ケースの再現計算をしてございます。そのときは実績の痕跡水位とか、痕跡水位も痕跡調査とか文献調査と幾つかございますが、これと推定したものとの適合状況が下のグラフでございます。上のほうが岩津地点28,300m3/s、これが一番適合しているような感じでございますが、そのところに22,500m3/sのものが、もう少しばらけますがございます。
 この資料の右上は、大正元年9月洪水の2日雨量が大体わかっておりますので、これをもとに、ただ細かいいろいろな分布が昔のものでわからないこともございます。最近の類似の台風ということで青い中に書いてございますが、経路ですとか降雨の地域分布、南方・上流集中型でしたり時間分布等の類似から昭和36年9月、もう少しほかのものもしてございますが、想定してみますと、これで420ミリの大正元年の台風のほうからの再現をしてみると、岩津地点で23,400m3/sぐらいになると見込まれております。
 こういう状況で、1ページ前に戻っていただきまして、これが3でございます。
 右上の1は、前回さらっとお話ししましたが、既定の計画から、最近は雨が多くなっているので直す必要があるのかどうかということでございましたが、流量で見ますと、それう大きく超えるものが出ておりませんので、そういう修正は要らないのではないか。雨量は何回か超えておりますが、昭和51年のものは3つの山があるだらだらしたものらしく、流量のほうではあまり出ていない特異な波形であるというので問題ないだろう。平成16年は前回もお話ししましたが、台風10号と23号でしょうか、というので雨が多いときと流量が出ているときが少しクロスしておりまして、大きな雨のときは流量があまり出てこなかったので、そういう意味でさらに大きな計画にする必要はないというものです。
 4は、近年の洪水による確認でございますが、平成16年10月は洪水が大きかったので、これでも同じような手法で伸ばしてみますと、23,016m3/sが出ております。大体似たような状況が再現できるのではないかというものです。
 右下は、基本高水のピーク流量が現在24,000m3/sで、計画は6,000m3/sを上流のダムで調節いたしまして、岩津地点18,000m3/sという計画になっております。現在見ますと、6,000m3/sの調節のうち、現在5ダムございますが、大体半分ぐらい。波形など細かいところでパターンが違うかもしれませんが、半分ぐらいの調節が達成できているものと見込まれております。
 残り3,000m3/sについてどうするかということですが、既設ダムの操作ルールの見直しで何百m3/sか、利水容量ですとか、委員からも先般ご指摘がございました堆砂容量を逆に治水容量に活用するなどをフル回転いたしますと、かなりの部分がこれで可能かと思いますので、不足する分につきまして洪水調節施設の整備が必要という中身かと思います。
 2枚飛ばしていただきまして、5ページでございます。流域の状況でもございましたのでお話しさせていただきたいと思いますが、吉野川流域の森林の状況は左側の真ん中でございまして、ここしばらく人工林、天然林、広葉樹等の状況はあまり変わっていないのが現状です。
 真ん中上は、いろいろなご意見の中にも、流出形態が変わっているかどうかというお話がありますので、平成16年のものにつきましても、昔からのモデルについてそのままシンプルに流してみますと相当適合度が高い状況ですので、モデルとしてはあまり変わっていないというか、それでいいのかなと思われます。
 真ん中下でございますが、最近の洪水も含めまして総雨量と総流出量の差を書いてございます。これはどう読むかというと、下のほうは雨量が全体でこれだけ増えました。結果川のほうへ出てくるのは左側のものでございます。真ん中の110ミリ台に縦線がございますが、斜めに細い線がいっているのが、これは45度しかないですが、理屈上は縦横が違うので45度ではないのですが、1:1の45度の線でございます。これより下がっていますので、この部分は森林その他で貯留されているものかと思います。そのうち飽和いたしますので、その後はきれいにほとんど45度の線にぴったり合うがごとく伸びている状況でございますので、こういう状況かなと思います。
 山林の崩壊が平成16年のときも、根こそぎ土壌そのものが流れていきますので、そういう状況がたくさん見られております。幾つかの写真を載せてございます。流域の状況としては、昨年の洪水も受けるとこういう状況ではないかと見てございます。
 最後のページもご指摘がございました。早明浦ダムの渇水が世の中でかなり話題になりましたが、どういう状況か。特に自己水源等の関係もございます。全体をもう少し丁寧に用意したものでございます。
 左上のグラフは、各年度、吉野川関係、銅山川関係、鏡川関係。これは県の名前が書いてございますように、分水先が違っております。徳島県だけでは分水というよりは下流に流れていくものでございますが、それぞれそういう状況になっております。香川県へ持っていっている分が一番ひどい状況ではございますが、近年はそういう状況になっております。銅山川につきましては、平成13年から富郷ダムができております分だけ少し緩和されているようでございます。
 左下でございますが、平成6年と平成17年の渇水で、ある種、平成17年でパンクになっているのに被害があるのかないのかというお話がございましたが、左のグラフは早明浦ダム(香川用水)と自己水源の割合で、香川県内の市町村の左側が平成6年、右側が平成15年。データは平成15年の進捗状況ですか、このうち濃い部分が早明浦ダムから持っていき、薄い部分が自分の身の回り、といっても近くのダムとかため池などいろいろなものでおやりになっているものです。これが自己水源の貯水量にございますように、平成6年と平成17年の違いは、自己水源の部分を見ますと、全体では少し増加しておりますのと、濃い青がそのときの貯水率で、前は自己水源もこれは県内の小さなダムでございますが、21%ぐらいでしたのが、今回は65%たまっていたということであまり大きなものにならなかったものであります。
 右上は、年降水量の経年変化でございますが、左は全国の平均です。四国4地点の平均を見ますと、全国・四国は似たような感じでございますが、全体の平均はだんだん下がってきております。年間の降水量は下がっていますが、洪水と渇水の幅は緩やかに広がっている状況にございます。
 少し心配しておりますのは、右下のように、昔つくりましたものから、気候変動は地球規模のものかもしれませんが、現在の実力はというと、「1/5」と書きましたものが計画に対する実力かと思いますが、90%台になっています。参考までに全国的に10分の1という安全度を言っておりますので、参考にさせていただいております。
 右下は河川整備基本方針での話でございますが、「都市用水、農業用水等の安定供給や流水の正常な機能を維持するため、既存施設の有効利用を含む種々の手法による水資源開発を新たに行うとともに、関係機関と調整しながら広域的な水利用の促進を図る」というので、これにつきましても徹底した既存施設の有効利用をまず検討していきたいとしてございます。
 資料2−2と資料3−2で本文をごらんいただきたいと思います。
 時間の関係ではしょった説明になるかもしれませんが、まず本文のほう、先ほどの常願寺川と同じで、全体の概要が1と書くことに法律上なってございますが、流域及び河川の概要を書かせていただいております。それから流域の自然環境へいくのですが、前回お配りしている資料から変更した部分だけ書いてございます。前回も委員から指摘がございましたが、下から4割ぐらいのところに、「岩津〜河口は、広大な徳島平野が広がっており、かつては吉野川の氾濫により形成された肥沃な土地を利用した藍の大生産地であり」云々という記述が抜けておりましたので、それをつけ加えてございます。
 その次のページでございますが、自然環境の話が途中から入ってきます。本文2ページ下のほうには、前回の資料から加えましたところ、下から4行目、一方、シナダレスズメガヤ等の外来種の問題が結構大きな問題になってきつつございます。それが在来種を駆逐する問題が生じているということについてご指摘がございましたので、書いてございます。
 3ページでございますが、真ん中ぐらいから上のところに、吉野川河口部に広大な干潟が広がり、汽水域特有の環境が形成されている。水際にはヨシ群落等が分布し、重要種であルイスハンミョウ等の陸上昆虫、ハクセンシオマネキ等の底生動物等が生息し、また、河口干潟は、シロチドリ等々と、下の部分は書いてございませんが、この辺につきまして特徴的に書かせていただいてございます。
 同じ3ページの真ん中ぐらいから下は、災害の歴史と治水事業の沿革でございます。次のページにわたって記述させていただいております。
 水質についてが5ページの下ぐらいから、それまでは治水、災害の歴史について記述してございます。
 5ページ下から水質がありまして、6ページから河川水の利用、河川の利用の現状について記述させていただいておりますが、前回お配りしたものと変更点はございません。
 (2)は河川の総合的な保全と利用に関する基本方針でございます。常願寺川と同じように、最初に治水、利水、環境の全体を見た総合的な方針ということで、治水、利水、環境にかかわる政策を総合的に展開すること、水源から河口まで水系一貫した基本方針に基づくものであること、段階的な整備を進めるにあたり目標を明確にして実施すること、健全な水循環系の構築を図るため流域一体で取り組むこと、河川の有する多面的機能を十分発揮できるよう維持管理を適切に行うこと、総合的な土、管理の観点から、安定した河道の維持に努めること等につきまして、記述させていただいております。
 本文の8ページから上が、治水対策といいますか、災害の発生の防止又は軽減でございます。この辺につきましては、ご意見も踏まえて本文を直してございますので、本文のほうをごらんいただきたいと思います。災害の発生の防止又は軽減に関しては、沿川流域を洪水から防御するため、既存施設を含む流域内の洪水調節施設により洪水調節を行う。その際、関係機関と調整しながら利水容量や堆砂容量等の治水容量への活用をはじめとする既存施設の有効活用を図るということでございます。2行ぐらい下りまして、さらに治水上支障となる既設固定堰については必要な対策を行い、計画規模の洪水を安全に流下させること等でございます。
 同じ8ページの下、水害防備林が出てございます。前回も水害防備林等の保全・活用等についてのお話がございましたので、少しつけ加えてございます。「河道内の樹木については」とだけ書いてございましたが、水害防備林などの樹林帯や河道内の樹木については、河川環境の保全に配慮しつつ、洪水の安全な流下を図るため、計画的な整備・保全や伐採等の適正な管理を行う。前は伐採だけ書いてございましたが、そういうことにしてございます。
 9ページの上のほうは、ソフト的なハザードマップとか河川管理施設の管理について書いてございます。
 その下、真ん中ぐらいから河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持で、流水の安定供給を行うため、既存施設の有効利用を含む種々の手法により水資源開発を新たに行うことで広域的かつ合理的な利用促進を図る。渇水時の被害を軽減するための情報体制、利水者間の水融通な円滑化から安定した取水を可能にするとともに、河川管理施設の管理を適正に実施することについて記述させていただいております。
 10ページは、ウの河川環境の整備と保全でございます。河川環境の整備と保全の全体的な方針につきまして、良好な自然環境は動植物の生育・生息環境の保全・創出に努めること。河川利用と河川環境との調和の取れた環境整備に努めること。河川環境の整備と保全が適切に行われるよう、空間管理等の目標を定め、地域と連携しながら川づくりを推進すること。
 動植物の生息地、生育地の保全は、渡り鳥の中継地として重要な河口干潟の保全。アユをはじめとする数多くの魚類や水中昆虫の生息の場の保全。
 良好な景観の維持、形成といたしまして、河口の干潟、広い礫の河原、川沿いの水害防備林など、吉野川らしい雄大な河川景観等を保全していく。
 人と河川との豊かなふれあいの確保として、水上スポーツ、レクリエーション等の河川利用や環境教育の場として、自然環境との調和を図りつつ、適正な河川の利用に努めること等につきまして、少し字句を修正しつつ書かせていただいてございます。
 水質の話が11ページから。許可工作物以下モニタリングまで、前回お配りしているものと変更はございません。
 本文の12ページからは河川の整備の基本となるべき事項で、吉野川と旧吉野川のそれぞれについての基本高水のピーク流量、洪水調節の配分流量、河道配分流量でございます。現在の工事実施基本計画を踏襲する形になっております。
 13ページは、それを流量配分図として記述してございますが、記述の仕方が若干変わっております。これは石狩川のときに少しご議論いただいた全国的な書き方の統一に合わせたものでございまして、内容においての変更は特段あるものではございません。その後の計算で一部数字が変わっているものがございます。
 14ページは、過去たくさんの地点が書いてありましたものを少し減らしたようにも見えますけれども、これも統一的なもので、どのぐらいの点であれば書くということで書いているもので、基本的なコントロールポイントをしっかり書くということで、あとは河川整備計画のほうで中身を整理するという役割分担の中での話でございます。
 15ページは流水の正常な機能の維持のための流量でございます。前回、こういうふうに検討してこういう流量をとお話し申し上げましたので、数字が少し変わってございます。結果として15ページ右下の段にございますように、池田地点でかんがい期が47m3/s、非かんがい期が29m3/s、旧吉野川の16m3/sになっております。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。
 前回の審議を踏まえた河川整備基本方針の本文案、あるいは前回の審議漏れ追加説明がございました。これらについてご質問、またご意見がございましたら、ご発言をお願いいたします。
 なお、吉野川流域ビジョン21委員会の方から、ぜひ委員の皆さんに読んでほしいと、吉野川可動堰計画にかわる第十堰保全事業案と森林整備事業案の研究成果報告書提出の希望がございました。私の判断で委員の皆様にはご配付をお願いいたしました。それぞれ専門とする方にはその部分については読んでいただいたと思います。それらを踏まえまして、この基本方針本文案の審議をお願いいたします。
 まず最初に、地元にお詳しい委員として、常願寺川関係からご出席の○○委員、ご発言をお願いいたします。
(委員) 前回と今回の委員会に出させていただきまして、富山平野ですけれども、常願寺川も安全度はかなり増していることをいろいろなデータからもわからせていただきました。その中で、まだ立山カルデラ内においては2億m3の大量の土砂がありますし、また、ひとたび雨が降ったり地震等がございましたら、富山平野には大きな被害が及ぶことが予想されますので、そういうことがありますと、今回の方針につきましては、前回に比べましてもかなり踏み込んで、計画的にもすばらしいものだと思っております。そういうことで治水の安全度は上がりましたけれども、これからもより一層計画的に事業を進めていただきたいと考えておりますときに、そういう方針がしっかりと明示されていると私は感じたわけでございます。
 そういうことからしますと、治水の保全につきましても、護岸整備等についても、まだまだDプラス、いろいろな意見のところもあるわけでございまして、そういうところの着実な整備をよろしくお願いしたいと思います。また近年、環境問題はたくさんの親水空間とかいろいろなことで整備を願っているわけでございますけれども、日本一の暴れ川、そしてこの川は滝の裏という中で、暴れ川からのマイナスの発想からぜひプラスの発想になるような、魚類の遡上ができるように、また小動物がすめるような環境の整備も盛り込まれているわけでございます。そういうことからいたしましても、この方針については私は大賛成でございますので、より一層のお力添えをお願いしたいと思っています。よろしくお願いしたいと思います。
(委員長) 続いて○○委員はご意見はいかがでしょうか。
(委員) ございません。
(委員長) それでは、ご自由なご発言をお願いいたします。
 ○○委員からお願いいたします。
(委員) 私、北陸の河川は見る対象になっておりますので、前回来られませんでしたけれども、資料を見せていただいて、2つのポイントできちんと基本方針が立てられたと思います。2つの点の1つは、前に手取川がございましたが、急流河川としての治水の肝心なところ、すなわち堤防の強化が少し説明されたことと、もう一つは、急流河川、扇状地河川では前から正常流量の決め方が非常に難しいということで保留されているのが多かったけれども、4m3/s程度という形で今回記載されたこと。この辺が今までの経験を積まれた中で少し進展したのかなと思いました。
 ただ、基本方針から整備計画へ話が進んでいく中で、整備計画のほうへおろしてほしいこととして、堤防強化の話の中で、aとaとの組み合わせ、あるいはその複合でABCD評価がされました。従来の通常の堤防の安全度はそのどのぐらいのレベルに当たるのか。すなわち、ほかの堤防でほかの急流でない川で堤防が完成しているという判断は、急流河川のこのABCDランクの側方侵食、洗掘による危険性が存在する場合、どのぐらいのところまでやったら通常のレベルと見るのかというところが課題かと思いますので、その辺を検討いただきたい。あるいはどのように考えられているのかということです。
 例えば、ハザードマップ云々の話。すなわち浸水想定等をするときも、通常の堤防では計画高水位を超えるところで破堤が生じるとして浸水想定をしてハザードマップを考えるのですが、こういう堤防の安全度という基準を急流河川に持ち込まれたときに、それをどの辺のレベルで議論されるかは、基本方針としては整備計画のほうへ何らかの意思を伝えておく必要があるのじゃないかという気がいたしました。
 もう一つの正常流量について4m3/s程度というのは、扇状地とのやりとりの話でまあまあ妥当な値だと、私も手取川でその後検討しまして、あそこで5〜6m3/s程度かなという気持ちもありましたので、オーダー的にそんなものだと思うんですが、どういう根拠があるのか。もう一つは、それは扇状地と河道とのやりとりですので、整備計画なりあるいは流域で議論されるときに、河道の水の使い方と、もう一つは扇状地地下水の使い方について十分注意されるような方針が基本方針の中に書かれていると、もう少しよかったのではないかという気がいたしました。
(委員長) ただいまの問題は、今まで手取川、富士川、安倍川等で、いろいろ試行錯誤でやっていますが、まだ急流河川としては大変難しい課題であります。今後、整備計画の段階でも相当真剣に検討していただきたいと思います。急流河川の安全度は、我が国でも特別な地域の課題で、基本的にはまだ大きな研究課題だと私は思うのですが、事務局でつけ加えることがありましたらお願いします。
(事務局) この前のABCDのすべていいのかどうかも含めてよく検討したいと思います。
 正常流量の話は、前回の資料もお持ちしておりますが、基本的には9項目ぐらいありましたのを、動植物のもので、例えば水深が30センチぐらいのときはどうか、平均流水が60センチ、これは魚種によって変わるわけですが、それぞれを組み合わせたものが一番クリティカルになっていてそれが根拠になっているというのは、前の資料にもつけておりますが、そういうベースできてございます。
(委員) それはわかるのですけれども、通常の川ならそうなのだけれど、扇状地のような川では、5トンを流しても河道の肝心な場所に行くまでに伏没してしまう。すなわち河道内流れと扇状地の中の地下水がやりとりしているということをうまく踏み込んでいないとできなかった。それが扇状地で今までやっていなかった理由なので、そのところを書いておいたほうがよろしいかと思いました。
(事務局) わかりました。
(委員長) それではほかに、どうぞご発言。
(委員) 急流河川の河川整備基本方針を今後着実に進めていくに当たって、きちんと計画にうたったらやらなければならないことという意味で、2点申し上げたいと思います。
 まず、1点目ですがこの常願寺川は土砂の生産が非常に多いということで、先ほども本文中にありますように、上流域の土砂生産と下流域の河床変動、災害につながるような現象を起こさないように関係機関と調整し連携してやると書いてあるわけです。
 2点目は、正常流量のようなものを2.5キロから河口までは考えた。それより上流で伏没してしまうので設定できないという点です。これはこれで、私は実情を見ていますからそれなりにわかるつもりですけれども、一方においては、最初の上流の土砂流出と下流の河道との連携した計画作成については、常願寺川で相当本格的にやらなければならないと思います。
 雨からの高水計画では、上流域150分の1の雨で下流の流量を安全に流下させるということをやるのですが、土砂生産、流出のほうは一体どう考えているのでしょうか。すなわち150分の1の規模の雨が流域に降ったときには、どのように考えて両方を連結させようとするのかということが大事で、必ずしも150分の1にこだわらなくてもいいのですけれども、そういうつながりが下流河道の安全性とリンクしているので、そこのところをしっかりとつないでいただきたい。
 2点目につきまして、常願寺川では水が伏没しますというのはそうなのですが、一方においては、たくさんの水が農業用水等として水路を流れている現状の中で、川の中に水がないという状況が実は上流域、中流域にあるということですね。こういうものをどうするのかということは、急流河川の現状を考えると伏没するとかいろいろあるということ、それから利用形態もそういうものだというのは十分承知しているのですが、望ましい川のあり方として、ここには調整するとか書いてありますが、ぜひそこは大胆に切り込んで、将来どういう川にしたいのかということを十分に考えていただきたい。
 最後になりますが、ハザードマップについてです。私は神通川、常願寺川のハザードマップづくりにかかわっています。この中と洪水と土砂の崩壊を考慮してというようなことを書いてありますが、具体的に洪水氾濫が起こったときに、土砂崩壊だけではなくて大量の土砂が住宅地に流れ込んでくる。黒部川の氾濫のときには大変な土砂が氾濫域に流出していたという実情がありますので、急流河川のハザードマップは土砂の崩壊と氾濫を別々に考えるのではなくて、基本方針の中ではこれは一緒に考えるのだと明確に打ち出していただきたいという希望です。
(委員長) これは両方の河川を同時に審議しておりますので、それぞれご意見のある部分からお願いします。
(委員) ○○先生のお話を聞いていて、常願寺川の基本方針の参考図には集水域が点線で入っているのですが、この基本方針の洪水のこと、つまり氾濫域あるいは利水域は常願寺川では集水域と全く違うところなわけで、それはあらわせるなら図にあらわしていただければと思います。水文学的な集水域、水を集めるところだけ、もちろんこれは流量の計算には必要だけれど、氾濫がどの範囲にいくかとか、あるいは利水がどの範囲にいっているかはこういう川では非常に重要なので、すべての川でそれがうまくかけるかどうかはわかりませんが、できるだけ単なる集水域だけではなくて、いわゆる流域圏と言われる洪水が氾濫するところ、それから利水の恩恵を受ける区域は基本的な事項なので参考図には出していただければと思います。常願寺川でない話は後にしましょうか。
(委員長) いや、どうぞ。
(委員) 吉野川で、先ほど基本高水の決め方についての議論がございました。これを送っていただきまして、この中にも第十堰と並んで洪水流量の決め方について、吉野川だけでなくてこのグループはいろいろなところで議論しているのですが、昔とは、森林が生育したのでそれを基本高水の算定に反映させるべきだという主張があります。これは私自身、こういうことを専門にしている立場から言うと、異常な現象、つまり100年に1回起こるような洪水の現象と、中小的な洪水、つまりここでは2日雨量440ミリを対象にしているわけですが、ただそういう雨は滅多に降らないわけで、100ミリとか200ミリという雨に対する観測値をもとにモデルをつくって、その延長線上で森林の効果を判定している。これは基本的には誤った方法だと私は思います。
 つまり、雨が降って洪水になる現象は、雨の量によって流域の反応の仕方は違ってくるんですね。連続的な現象ではないし線形な現象ではないんです。先ほど説明にもありましたように、異常洪水が起これば土壌層も飽和になって土砂が崩れるような現象になります。これに対して観測値はほとんどないんです。
 そういう意味で言うと、そういうものをちゃんと観測しようという努力は始まっていますが、もともと非常に難しい。私がかかわっている研究グループも森林水文の人ですが、昨年度からいろいろなところで樹種が違う森林に土壌の水文をはかるとか地下の水文を測るとか、いろいろなことをやりながらやったのですが、去年の大雨を受けた地域では観測施設が全部やられて測れない。現実的に非常に難しいところがあるわけです。
 そうは言っても、そういうものを本当に評価するというか、観測をする努力は必要だと思います。観測ができなかったらどうするかというのですが、もし観測をやるのだったら河川関係、異常な洪水を対象にしている部局と、林野で通常の平常観測をするところが共同でやるということ。難しいけれども、観測データをとることがひとつ基本だと思います。観測データをとれるまで待っていてもしようがありませんから、今は森林の樹木がどういう効果を持つか、土壌中でどういう水の流れをするか、あるいは地下水にどう水が流れるか、洪水が表面にどう流れるかという水の循環の部分的なプロセスは物理的にかなり明らかになっています。そういうものをシミュレーションするようなモデルもできています。モデルはあるけれど、境界条件というか場の条件がわからないといけないから観測は重要だと言っているのですが、観測だけやって評価しようと思っても無理なわけですから、いわゆる分布型モデルを使えるようにするデータをとる。それも平常時を対象にしている林野関係の人たちと異常洪水を対象にしている我々がそういうプロジェクトを一緒にやることによって、今のような誤解が解けるのだと思います。ここに書かれていることは、まさに中小洪水の延長線上で物を見ているということで、これはこういう異常現象とは違うものを評価しているように私は考えています。
 皆さん、こういうあたりを感情的な議論をしてもしようがないので、異常現象を対象とするところとふだんの森林の効果を対象にしている人たちが一緒にやるような努力を、研究グループはやりますけれども、省庁間でもそういうことができたらと思っています。
(委員長) わかりました。どうぞ。
(委員) 吉野川の話に移っていますので、四国におります者として、吉野川の重要性について述べさせていただきたいと思います。流域面積が四国全体の20%を占めておりますので、吉野川の河川整備は四国全体に大きな影響を及ぼすわけです。吉野川はちょうど上流の流域が日本でも豪雨地帯で年間3,000mm以上、それに対して北側は1,000mm以下のところもありますし、瀬戸内川は渇水であります。そこで吉野川は治水の面からも利水の面からも四国にとって非常に重要な河川です。特に基本高水のピーク流量が24,000m3/sという日本では最大級のもので、治水が非常に困難です。また、早明浦ダムがこれだけで四国4県に水を配分しているわけで、早明浦ダムの効果も大きなものですけれども、基本方針ではこういう整備をするという抽象的な話がございます。ぜひ整備計画においてはより具体的に、例えば24,000m3/sという非常に高い、あるいは下流川の計画高水量18,000m3/sをどのように処理するかを今問題になっている第十堰と別に検討するということですが、こういう大きな治水が困難な河川においていろいろな工夫が要るのだろうと思います。
 ですから、ぜひ水資源開発という面から早明浦ダムの効果で治水もかなり下流側になっていますけれども、堤防整備あるいは水害防備林の問題とかいろいろな課題が吉野川にございまして、整備計画の中ではより具体的にこれをあらわしていただければとお願いしたい。基本方針自体は立派なもので、このままでいいと思うのですが、整備計画の中でどのようにあらわされるのか期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 もう1点は、先ほどありましたように、四国は水資源、早明浦ダムができてから四国の水不足はかなり解消されたのですが、今も毎年のように水が足りないということで、当然余っている吉野川流域の水をさらに新たな水資源開発ができるのか、あるいは今までの開発したのももう少し工夫をして、もっと有効に北四国の水不足の解消に、いろいろなことが提案されていますけれども、新たな水資源開発の可能性はどうなのか、こういうことも含めて考えていただければと思います。
 もう1点、流域の整備ですね。保水力の問題等は先ほどございましたが、大洪水のときにはあまり効かない可能性がある、あるいは中小のときには効くとかいろいろな議論があるわけですが、早明浦ダムの場合、濁水の長期化の問題とか土砂崩れ等の問題がありますので、森林保全は保水力の議論とは別に、土砂が出てこないような森林保全の立場からも具体的な話が整備計画の中でされることを期待しております。
(委員長) そのほかにご意見ございますか。
(委員) 吉野川について申し上げます。委員長から、この意見も踏まえてコメントをということでしたが、基本高水の決め方とかそういうことはおっしゃったので、私が関係します生物のほうからチェックしますと、ここでは河口域が重要であるということを言っておられます。そのことについては基本方針の中にうまく盛り込まれていると思いますので、私はこれで結構だと思うのですが、あそこへ2〜3度行って河口域を見せていただいて私自身がちょっと気になっているのは、今はどうか知りませんが、大阪方面から大きな船で来て、砂を大々的に、干潟の形が変わるほど堂々と持っていってしまうという話を聞いたのですが、今はどうなっているのでしょうか。ちょっと気になりますので、おわかりになったらそのこともご説明いただきたいと思います。
(委員長) これは事務局にお尋ねしましょうか。
(委員) つかんでおられなければ結構ですけれども。
(事務局) 川の中はないようですが、外のほうではそういうことがあるかもしれません。
(委員) 船を持ってまいりまして、川の中から持っていくと。
(委員長) 盗掘となるとなかなか・・・・・・、日常監視していないので。
(委員) もう「盗」とは言えない、隠れているのじゃないという状態でしたけれども。
(委員長) これらについては厳重に監視していくことが大事だと思います。
(委員) 一度お調べください。
(委員長) それでは○○委員、どうぞ。
(委員) 常願寺川のほうで、この資料には挙げられていないのですが、常願寺川、神通川のあの辺は恐らくサクラマスが非常に重要な魚種としてピックアップされるべきだと思うのですが、それを教えていただきたいのが1つです。
 サクラマスを対象魚種に考えますと、生物の生息を保障するための流量がもう少し大きな値にならざるを得ないんですね、サクラマスの遡上を考えますと。今回の基本計画そのものはいいのですが、将来的な整備の中にはそういうこともご配慮いただきたいというのが私の希望でございます。
(委員長) ○○委員。
(委員) 資料1−2に基づいて、吉野川について質問したいことがございます。今回の河川整備基本方針の策定そのものと、これまで課題になっていました吉野川第十堰の問題がどういう関係にあるのかということで、今日のご説明によりますと、平成10年8月の与党三党の政府への勧告と、平成16年3月の徳島県知事の要望、平成16年4月の四国地方整備局の発表という3つの流れがあり、これを踏まえているということを伺いました。そこで今回、河川整備基本方針を策定後に、下の絵でいきますと今回の平成16年3月と4月の徳島県と地方整備局のやりとりに基づいて、2つに分けて検討を行うというご説明ですが、一方では、国の本省の審議会としての立場ということになりますと、つまりこういう流れがあるということを前提として議論しているのか、あるいはこれはもう国の責任においてこういうことを検討するのは既に確定済みである、したがって河川整備基本方針を策定後直ちにこういう形に入りたいということなのか。つまり、この小委員会なり河川分科会なりでこのように2つに分けて今後検討してはどうですかということ自体を、何らかオーソライズというと変なのですが、了承するというか、説明を聞いているということにしておく必要があるのか。これは既に決まっている方針なのでご承知おきくださいということなのか。これは質問でございます。
 もう1点は、この下に説明が1行出ておりまして、「治水上支障となる既設固定堰については」という文章がございますが、こういう流れの中で出てくる文章ということで理解しましたので、この既設固定堰は吉野川流域にそもそもどういうものがあって、治水上支障となるという判断を個々にされてきたのか、あるいは今後するのかどうか。
 この2点の質問でございます。
(委員長) これは事務局からお願いします。
(事務局) 1点目のお話は、前は工事実施基本計画で、今回は河川整備基本方針と整備計画という仕組みに変わっているのですが、工事実施基本の中では主要な事業とか工作物等は個別に書こうとしておりました。これを整備方針と整備計画に分けて、基本方針の役割としては、どちらかというとやっていくべき方向というので、個別の施設について触れるものではない。これは吉野川だけではなくて全体的にそういう格好になっておりますので、そういう意味で基本方針の、吉野川特有の話ではなくて一般論として、第十堰をどうかという個別施設を書く性格のものではないということが1つでございます。
 その中で1つは、整備基本方針として書くべきことは、吉野川もそうたくさんの固定堰があるわけではないのですが、吉野川第十堰だけしかないわけでもないので、これは一般的な話として紀の川などもそうでございますが、既設の固定堰について支障となるものについては支障とならないものにしておかなければいけない。支障とならないような方法論としては、従前に建設省、国土交通省が提案していたような可動堰もあれば、別の方法もあればというので、それは先ほどありましたように、そういうものに一切こだわらずに云々というところでやっていこうと。方法論は整備計画をつくるまでの前の2つに分けたもので考えようということになっていますので、基本方針としては、機能として支障となるものがあれば必要な対策を行って、求めるものは計画規模の洪水を安全に流下させるということでよろしいのでしょうかという、この文章での審議会に対してのお尋ねでございます。
 ただ、そういうものを受けて2つに分けた話は、徳島県知事のほうも第十堰の問題に足を引っ張られてと言うと変ですけれども、その他幾つかを書いておられましたが、そういうことで、いろいろな対策がおくれてしまうということがないようにという意味で2つに分けているとおっしゃっていますので、そこはここへお諮りしていることではございませんが、今後の整備基本方針を受けた作業の中で私どももそういう手法をとっていきたいということでございます。
 2番目にお尋ねのお話は・・・・・・。
(委員) 2番目は、ここに1行書かれていて、既設固定堰についていかなるものがあって判断をされているのかということですね。
 今のことは、最初の回答でまとめに入っているのでよろしいですか。
(事務局) そうでございます。
(委員) それでは補足で、そうするとわかりましたのは、今後、河川整備基本方針策定後に2つの手順に分けて行うというのは、つまり方法論であって、それをどうするかは、河川分科会の小委員会ではそれを議論しているわけではないということですね。
 個別の堰についての議論はしていないということですので、そういうことはわかりました。ただ、過去に地元でこのことが大変大きな課題になっていたということで、こういうレポート自体も大変興味深く拝見したのですが、そこで、これは私の1つの修正意見です。
 そういうことですと、1行の記述でございますが、「治水上支障となる既設固定堰」は治水上支障となるという判断を既に加えているかのように受けとる方もあるかもしれませんので、こういう趣旨を踏まえて、修正案として「既設固定堰については治水上必要な対策」、あるいは「必要な検討対策を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる」とか、そのぐらいに記述にしておいたほうがよいのではないか。これは一委員としての修正の意見といいますか要望ですので、後でご検討いただければ。
 つまり、そのほうが皆さんの今のご説明にとっても趣旨としては合っているのではないかと、私は一委員として思います。
(委員長) もう一度正確におっしゃっていただけますか。
(委員) 「治水上支障となる」という形容詞がついておりますと、既に判断をしているということになります。そういうことで治水上支障とならない固定堰もあるのですかという議論になりますので、そうではなくて、既設の固定堰についてはきちんと検討したいということをおっしゃりたいだけであれば、素直にそういうことをうたったほうがよろしいのじゃないかと私は思います。
(委員長) その件についてはまた後ほど。
(委員) はい、これは意見ですので。
(委員長) それでは○○委員。
(委員) 吉野川について要望といいますか、私も40年来、主に水道に携わってまいりまして、早明浦ダムができたということで香川県に大変大きな利益をもたらした、昭和48年の大渇水等では高松市等は大変なことになりましたけれども、おかげさまでこういう形で四国4県の水をうまく潤していただいているということでございますが、この機会にお願いしておきたいのは、渇水時にどうしても香川県の水が少しカットされるという事態がございまして、水資源機構では新たに大きな貯水池を途中につくってはおるのではございますが、「四国は一つ」とは言われていて、せっかくそういう碑をつくったにもかかわらず、今その碑は池田ダムの隅っこに置いてあるような状態でございますので、今回基本方針をおつくりなるにあたって、この大四国を反映させる意味で平等に4つの県が水をバランスよくいけるような形を、より一層進めていただければありがたいということでございます。基本方針にどう書くという話ではないと思いますが、渇水のときの調整をひとつ国土交通省さんはよろしくお願いしたいと思います。
(委員長) 案文については特段・・・・・・。
(委員) 案文については何も申し上げません。この前、香川県の○○知事から特にご発言はございませんでしたが、恐らくご遠慮されて何も申し上げられなかったのではないかと思いますので、私、国におりました者といたしまして、○○知事も高知県に植林などをなされていましてご苦労なさっておりますので、その辺の意をくんでいただければありがたいと思います。
(委員長) そのほかにご意見ありましたら。
(委員) 私は、常願寺川の資料3−1の6ページで治水に関して、ちょうど中段でございますが、計画規模を上回る洪水及び云々ということで、「現存する霞堤を存置する」という表現がございます。これは治水を考えたときにこういうことが恐らく必要なのだろう、あるいは地元の委員から特にご発言がないので恐らく問題はないのだろうと思いながら、一方で資料1−1の1ページに、現在の霞堤の状況などを拝見すると、私自身がこの記述を判断する上で前々からお願いしているのですが、なかなかうまく実現しないので、この際もう一度ぜひお願いしておきたいことを申し上げます。
 それは、例えばこういう管内図を拝見しましても、一向に土地利用がわからない中で河川の施設が描かれている。これは前々からお話ししているとおり、少なくとも土地利用規制であるとかDIDであるとか、情報の疎密はあるにしてもそういう図を必ずおつくりになるという前提に立っていただけないか。これはここでは前々から申し上げているのですが、一向にそういう図が出てこない。それなしに議論するのは非常にしづらい。恐らく地元では議論されているのでしょうが、河川としてもそういう図で議論するのだということを徹底していただきたいという気持ちがございます。
 それは先ほどの吉野川にも関わってくるわけでございまして、吉野川の参考資料1−2の3ページに、実際にどういうところで被害が出たかということが書いてございます。今回の治水計画では岩津地点で何m3/sかをカットするということで、それはダムで処理する、あるいはそれ以外の方法で処理すると書かれております。文章の上でも、洪水調節施設による洪水調節を行うという表現になっているのですが、中流部の狭いところで水がたまってしまう状況があって、これはこれで大変だろうとは思うのですが、前々から二線堤の議論等もございますし、いろいろな方法論がこれから整備計画の中では議論されるのだろうと思うのですが、そういうものを議論する上でも土地利用の状況がはっきり把握できている図を最低限ベースにした議論をやっていただきたい。これは両方に共通することですが、これからはそういう図をベースにした議論をぜひお願いしたいということでございます。
(委員長) 土地利用との関係は、できれば河川で全部整備して安全にしたいと言いつつも、安全を確保するにはやはり土地利用に出ていかざるを得ないという現状があって、実は都市計画側はあまり興味はないけれど、河川側では手は出せないという問題もあって、これは今後共同作業で埋めていかなければいけないのじゃないかと。
(委員) 都市計画をどうこうするということではなくて、管内図に最低そういう情報が入っていないまま出てくるのが、私はおかしいと。そういう図を使っていることがおかしい。そういうベースマップをぜひ管内、全国に徹底していただいて、土地利用を見ながら河川を考えるということを習慣づけていただきたいということでございます。
(委員長) これは事務局に要請ということで、事務局から意見をどうぞ。
(事務局) すみません、今日はつけていないだけで、日ごろの作業では使っているということですので。それと、去年の災害を受けて土地利用等、二線堤とか縦堤とか宅地をどうするかとか、土地利用とあわせた水害対策の方法を、法律的な制度も含めて検討していますので、道具としてそろっていない・・・・そろっていないでまた手法が変わってきますので、ご趣旨はそのとおりかと思いますので、しっかりやりたいと思います。
(委員長) それでは○○委員、お願いします。
(委員) 基本高水の設定のところで送っていただいた資料等も読ませていただいて、少し思っていることと確認ですが、流出計算で貯留関数モデルを用いられていて、K,pという定数はもちろんあれですけれども、飽和雨量が出ていなくて、同定したときにおいても飽和雨量も変えてなされている。引き伸ばしをしたときの基本高水のピーク流量を出すときには、そこの値が固定なのか、どういう設定値になって、平成16年度で再現したというのも、また飽和雨量が変わった形で入っているのかどうか。流量確率で出すときの過去のものについても、そのあたりがK,pは当然大きい形になっても変わらないと思うけれども、Rsa値がどういうレファレンスの時期で、既定計画のときに定めたものと最近もあまり変わっていないという形のときに、その値が既定計画のときの固定の形で全部走らせているのか否か。そのあたりを確認の意味も込めてお尋ねしたい。それによって数値が少し変動し得るかどうか否か。24,000m3/sが変わるという意味合いで言っているわけではないのですが、その設定をクリアにするためにそのあたりお尋ねして、先ほどのお話は土地利用はという形のレファレンスが置かれているのか否か。そのあたりをお尋ねしたいということで質問でございます。
(事務局) ○○委員からのご質問は、飽和雨量Rsaをどのように算定、あるいは計画の中に使っているかということだと思います。貯留関数法での幾つかのパラメーターの一つとして扱っていますRsaについては、過去の主要な洪水と計算値が一致するように定数の同定を行っています。したがって、それぞれの過去に生じた洪水ごとに、我々は逆算Rsaと呼称していますが、Rsaがそれぞれ算定されます。計画においては、過去の各洪水ごとに算出される逆算Rsaの平均値として一つの計画値を固定して使っております。
(委員) 平均値ですね。
(事務局) はい。吉野川について言いますと、工事実施基本計画を策定した昭和57年からRsaを150mmでやっています。先ほどの補足説明資料の治水計画の検討の4の近年の洪水による確認で、平成16年10月の台風23号のハイドロで引き伸ばしたときにどうかというのを使っていますが、このときもRsaは変えずに計画Rsa150mmを使って440mmに雨を引き伸ばしたときに、平成16年の台風23号のときに23,000m3/s強、24,000m3/s程度の流量が出るという計算をしております。ただ、計画値の一つ一つのRsaを変えているということはございません。
(委員) どうもありがとうございました。
(委員長) それでは○○委員。
(委員) 吉野川について背景として認識しておきたいのは、吉野川は中央構造線に沿って流れている一直線の川ですね。対岸の紀の川と一対をなすものですが、本文にもありますように、中央構造線に沿っては断層破砕帯が大変広く分布しているわけで、これは大雨でも、あるいは地震によっても崩れやすい。特に問題は、中央構造線自身が引き起こす地震です。もし発生するとマグニチュード8クラスになる可能性があります。ですから、内陸直下の巨大地震になると思うのですが、政府の地震委員会の評価によりますと、この中央構造線の四国東部で引き起こす地震の確率はやや高い部類に入っています。これは破砕帯ですから当然無数の地滑りや斜面崩壊が発生して、その結果、天然ダムが各地にできる。それが決壊すると大規模洪水が起こる。その可能性があるわけで、昨年10月の新潟県の中越地震はわずかマグニチュード6.8なのですが、あれだけの崩壊が起きて天然ダムが随分できました。ここは国の直轄事業として、主なものについては砂防工事が展開されているのですが、もし中央構造線が動いてマグニチュード8クラスを起こしますと、恐らくエネルギーは中越地震の30〜40倍になりますので、とても応急対策では手に負えない状況になると思うんですね。場合によっては、1858年の飛越地震のときの常願寺川と同じような事態になる可能性も捨てきれないということではないかと思います。
 こういう地震は、とにかくいつ起きるかわかりませんし、近々かもしれないし数十年先かもしれないのですが、考えようによっては、10年前の阪神の大地震を起こした六甲断層と同じような立場にあると見ておかなければいけないのじゃないかと思います。そういう意味でも、大地震による土砂災害の頻発、あるいは洪水の発生までも視野に入れた、例えば上流部での砂防施設の整備、あるいは下流域での洪水対策を計画の中に盛り込んでいく必要があるのではないかと思っております。
(委員長) 時間の関係で審議時間が短くなりましたので、常願寺川について特にご発言のある方は申し出ていただきたいと思います。
 それでは、この後の審議は吉野川に集中させていただきたいと思います。ご議論のある方はご発言をお願いします。
 なお、常願寺川としてご出席の○○委員、○○委員、この原案どおりでよろしゅうございますか。多少のご意見はまた修正するようでございますが。
 それではそういうことにさせていただきまして、もしご多忙であれば12時まで審議することになっていますが、この後はご自由にお願いします。
 それでは吉野川に意見を集中させていただきたいと思います。
 それでは○○委員。
(委員) 私は昨日送っていただいた吉野川流域ビジョン21委員会の資料を拝見させていただきました。それで、この資料を書いている方々は、治水の計画とはどういうものであるかということについてあまり深くお考えになっていないのではないかと私は感じました。というのは、私は第十堰の構造とか流れ方について多少のかかわりを持って数年間勉強する機会を持ってきて、第十堰が如何に洪水の疎通にとって障害となり、危険な構造物であるかを知ったからです。さて本委員会資料1−2の2頁に書かれている「治水上支障となる既設固定堰については、必要な対策を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる」は、なるほど今までの第十堰をめぐる議論の経緯を見ればこういう表現になるのかなと思いましたがこれに対して意見を申し上げます。第十堰は治水上大変問題のある堰である。すなわち、非常に古い堰に始まって、ここに書かれているようないろいろな欠陥を有しています。これを対策によって固めていき、壊れないようにして安全に流下させるという事務局原案による方法もあり得るかもしれません。しかし私が思いますのは、ここで議論している整備基本方針は長期の治水計画でありまして、現在をどうするかとか、短いタイムスパンでの話ではなくて、将来の吉野川の安全性も含めてどのように考えるのか、これがこの委員会で議論する命題だろうと思うんです。
 ところで、吉野川流域ビジョン21委員会がつくられたものを読みますと、第十堰をそのまま存置するのがよいと提案されています。提案されている方法もあるかもしれませんが本当に計画規模の大流量が出たときに、固定堰が将来にわたって確実にその機能を発揮して安全性をもって、十分な役割を果たすのかと考えると、既設固定堰を修理しながらやっていくのでは決してうまくいかないと私は思っています。
 石でつくった古い固定堰ですから、やがて今以上にいろいろな欠陥が出てくるでしょう。私の専門は河川工学で、土砂の移動とか洪水の流れ方を研究しています。専門家として第十堰について実験をやり、解析を行い検討してきました。本当に治水の計画として科学的で技術的に確かなものとして、長い時間スパンにわたって第十堰が安全だということを、観念的ではなく数量的、科学的にもあらわせて、洪水の流れと土砂の輸送と、それにかかわる構造物の安定性の問題の中で、このまま既設固定堰を対策で持たせていくようなことでよいのかということについて、私は疑問を呈したい。
 先ほど○○先生が言われた緑のダムの話も、治水計画の規模の話の中で根拠があるデータに基づいているのか、ここでは治水計画を検討していこうというわけですから、第十堰、緑のダムの治水計画上の工学的な意味づけに大変疑問を感じています。ここで示された「治水上支障となる既設固定堰については、必要な対策を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる」という文言についても、行政は何と弱気だろうかというのが私の感じているところです。もちろんいろいろな経緯・背景を考えてこういう表現をしたのだろうと思うのですが、そこは今後も十分議論してしっかり方向づけをすべきであるというのが私の考えているところです。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 吉野川の早明浦ダムをはじめとする利水施設ですが、気象の変化なのかもしれませんけれども、渇水の頻度が高過ぎるように思います。あの付近の産業の発展は、こう言っては怒られるかもしれませんが、どちらかというとあまり急速な発展は望めておりませんし、日本全国かもしれませんが、いずれにしても急速な発展はないものの、持続的には産業面でも続いていくのだろうと思っています。それがやや不安定であるということは、よその国へ逃げていく現象が多いのと同じようなことで、地元にとっても非常に不利であろうという気がいたしております。
 今後もいろいろな水資源開発施設をつくられるだろうと思うのですが、大規模なものはもう絶対につくれないということになりますと、既存設備のリハビリテーションしかないだろう。あるいは再開発ですね。ちょっと余計な話ですが、早明浦ダムを初めて見に行ったときに、ダムのそばに島がありまして、なぜ残しておいたのだろうというのが私の第一の感想でした。削ってしまえばいいじゃないか、そうしたら貯水量が用地買収なしに増えるはずであります。そういう堆砂量だけでなく地山まで掘削しているダムは中小ダムで非常に多い。そしてダムの貯水容量を増やしている。ああいうところでも、それなりのうまい手をやれば、用地買収なしに貯水容量を増やすことができるのではないかという気がしてしようがないんです。
 四国全体の利水のためにも一言余計なことを申しました。せっかく頑張って吉野川開発を行われましたので、もう少し頑張って安全性を高めていただきたいという要望でございます。
(委員長) ○○委員からどうぞ。
(委員) 報告書に対する感想を述べたいと思います。森林整備についての項目があるのですが、土壌A層のものを広げて利用して展開しているのですが、B層の効果はあまり安定していないのですが、それも含めてやるべきだったのではないかという気もします。ただ、これについては時間的な問題がありますので、10年タームとか100年タームということになりますので難しいと思いますけれども、そういうことでは間伐事業が、容量を増やすというような表現にあそこではなっているのですが、私はむしろ間伐をやらないと現在の想定流量が維持できないといいますか、そういうふうに理解して対応する必要があるのではないかと思います。
(委員長) A層、B層というのはどういうことですか。
(委員) 森林土壌の上からA、B、Cとなっているのですが、A層以上ぐらいのところでやっているんですね。もう少し広げてやったほうがいいのではないか。ただ、これについては時間の問題と技術的な問題もありますから、非常に難しいのでとりあえずそこでやったのだろうと思いますが、それを拡大して議論を展開していく感じがいたします。
(委員) 関連でよろしいですか。先ほど、異常現象に対しては森林とか、ある種の土壌層の効果もきかないぐらい大変な現象が起こるということを申し上げたのですが、今おっしゃったとおり、特に人工林の管理は非常に大切なわけです。それから間伐をして下草を増やすのは別の意味で、それをやらなければむしろ洪水のときに倒れたものが出てきて流されてという洪水拡大要因になりますから、ここで主張されているように、それはぜひやるべきだと思います。
 そういうことで言うと、吉野川の7ページの河川の総合的な保全と利用に関する基本方針の中に、恐らくこのレポートに指摘されていることはかなり正しいと思うのですが、人工林が60%あって管理が行き届いていないということを河川側からもとらえて、人工林の管理、整備をどこかに入れたほうがいいのではないかという気がします。これは決して先ほどの基本高水を軽減させるという意味ではなくて、河川側から見ても今の森林の、ある意味の人工林の荒廃状況に対しては悪い影響があると考えられるわけですから、そういう人工林の管理保全か、どういう文言かは検討していただきたいのですが、どこかに(2)の2番目のパラグラフあたりにそういう文言が入らないかと思いますので、検討していただければと思います。
(委員長) それもまた修正を検討したいと思います。
 それでは○○委員、どうぞ。
(委員) 私も先ほどは常願寺川のところで発言しただけで、吉野川は平成7年に実は審議会の土木学会の委員として、特に第十堰の構造等について検討したことがありましたので、全く何もコメントしないわけにもいきませんが、そのとき述べたことと現在も変わっていません。第十堰の構造あるいは水理的な問題点はそのときに述べたとおりだと今も思っています。
 そのことについて特に基本方針のこの会で述べる必要はないと思いましたので、特に委員長からありましたような、送っていただいた資料に対してコメントするわけではないのですが、○○委員が言われて事務局が答えられました、例えば、例えば基本方針を決めているので個々の堰の個別の安全性を議論するのではないとか、あるいはダムといいますか、洪水調節が必要になる施設が書かれているわけですが、これについても中身については書かないというのが基本方針の方針だということは今まで理解してきました。
 ただ、吉野川の問題は非常に大きな社会的問題でもあるので、堰が治水上支障があれば何らかの対策をするし、洪水調節流量についても何らか考えるというのではなくて、基本方針は基本的な枠組みでの考えだけれども実行可能でなければいけないということは、事務局サイドとしてはどういうものが危なくて、その対策としてどういうものがあり得るのかということについてはしっかり考えておかないと、これを後回しにする、すなわち基本方針のもとで整備計画を立てるときには考えてくださいねというのではなくて、実行可能なものは何かということを何らかの形で伝える必要があるのではないかという気がします。例えば、ダムの調節容量が足りないから容量の再編でそれに対応できるし、あるいは遊水地計画でも対応できるということは、本当にフィージブルかどうか。あるいは第十堰、その上流の堰等が治水上支障があれば、その堰を可動堰化しないまま、あるいは撤去しないまま、河川工学上、河道設計上のどのような代替案があり得るのか。その辺も承知の上で河川整備計画におくっていくという責任があるのではないかという気がしています。
 というのは何かというと、基本方針はそれでいいけれど、特に問題のあるような河川のときには、何らかのコメント、あるいは審議会のコメントを同時につくることを今後考えられたら、今後もいろいろな河川が出てくるでしょうし、基本方針の考え方と、審議したときの審議会のコメントみたいなものをうまく連動させるような形が、私としてはよろしいのじゃないかなとご提案申し上げます。
(委員長) そのほかにご意見ございますか。どうぞ。
(委員) 特に吉野川ということではないのですが、吉野川の資料3−2の9ページの河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持のところです。
 「既存施設の有効利用を含む種々の手法による水資源開発」という言い方をされていて、若干ほかのところと違う言いぶりですけれども、種々の手法による水資源開発を具体的に何か具体的に想定されているのかということと、もう一つ、正常な機能を維持するために関係機関との調整機関が組織的に必要になろうかと思います。もう一つ、渇水時もあると思うのですが、これは正常な流量を流すための調整する機関と渇水時はおのずと違うような気がしますが、それも具体的にイメージがあるのかどうか。
 次の河川環境の整備と保全は特にあれですが、私が考えますのは、ここに川づくりを推進するということで河川環境の整備保全が新たに河川法に位置づけられて進められていることは、我々も期待しておりますし、いろいろな調整といいますか、利水者の立場も考えて進めていただきたいという感じを持っております。特に空間管理という「空間」という用語が使われていて、地域と連携しながらはまさにそのとおりですが、川づくりとなっておりますが、これを川づくりだけでなく、河川水を利用した地域づくりといいますか、国土空間をにらんだ環境への配慮というところまでぜひ触れていただきたい。これは要望といいますか意見でいいのですが、前の種々の手法による水資源開発が具体的にあれば教えていただきたいと思います。
(委員長) これは事務局からどうぞ。
(事務局) 先ほど○○先生のお話ですが、治水のほうも利水のほうも、容量的にためないといけないものがこの川にはあると思うのですが、それは手法としては先ほど説明させていただきましたような運用ルールの見直し等、あとは幾つかの利水容量の中で、利水の話であれば、先日も早明浦ダムが空っぽになったときに発電の容量について臨時の運用をさせていただいているわけですが、ああいうことが臨時でもできるのであれば、平時からいろいろ、それこそ関係者と調整が要るのですが、ルール化しておくようなことがあり得るだろう。これも先日の委員会のときにどなたかからお話がありましたが、堆砂容量の分もほうっておく話はないので、それをうまく除去して、逆にその堆砂容量分を治水容量なり利水容量に活用する。そういうことをフル回転してと思うところが、既存施設の有効利用を含む種々の方法と書かせていただいております。あとはほかの全体的なやり方はあるかと思います。
 関係機関が渇水時と平常時とあれですが、特別な組織形態を意識しているわけでもございませんが、今申し上げたような既存施設の利用等を含んだものであれば、例えば先ほど発電のお話を申し上げたように、その権利関係といいますか、その施設管理者なり権利を持っている方と調整が必要であったりすることでありますし、渇水時は渇水の調整協議会のメンバーであるというので、それぞれは違うかもしれませんが、そういうものを特定して言っているわけではございません。
 後半に言われましたことについては、私どももそうかと思いますので、後で委員長と整理させていただければと思います。
(委員長) 時間が超過して申しわけありませんが、いましばらくおつき合い願いたいと思います。もしお時間の都合で離席される方は私に合図を送っていただきたいと思います。
 常願寺川のほうは、先ほど取りまとめたつもりでございますが、富山県知事からご意見がありましたらお願いいたします。
(委員代理) 文例そのものにつきましては特に意見はございません。ただ、1点だけつけ加えさせていただきますと、これは県の意見というよりは、私のほうで知り合いの魚をやっている者に話を聞きますと、横の堰堤で取水をして、それ以降の下の水が非常に少ないというのが生態的に見ると一番の問題ということなので、これはもちろん農業用水の取水とかいろいろな難しい問題もございますし、文例の中でも今後改善に努めると書いていただいておりますが、先ほどサクラマスのお話もございまして、できるだけ水を増やすことができないだろうかということで、そういう意見があることはお伝えしたいと思います。
(委員長) 基本的にはこの案文で・・・・・・。
(委員代理) それは結構でございます。
(委員長) それでは、○○委員と○○委員は他にご用事があれば退席していただいて結構です。残った委員、申しわけないですが、なお吉野川についてご意見があればお願いいたします。
(委員) 対比表の資料3−2の8ページ、水害防備林について説明を加えたところ、下から6行目です。以前は河道内樹林郡が、洪水の疎通に対して大変な悪影響を与える場合があるので、その場合についてはきちんと管理するということでしたがそこに「水害防備林など」が加わってきたために、計画的な整備保全や伐採等といろいろ書き加わりました。
 私は、吉野川の水害防備林は大変大切だと思っております。これを河道内樹木と一緒にしてしまわないで、水害防備林を今後ともあの連続的な緑のゾーンとしてどう残していくのかが重要な課題です。もちろん洪水の流下能力との関係もありますけれども、同時に水害防備林が持っている大変重要な幾つかの役割がわかってきております。そういう意味で、この両者を一緒にまとめて書くのは問題です。吉野川の水害防備林については、いろいろな調査研究がされてきていますので、それをこれからの治水の問題にどう生かすかということについて、十分記述していただきたい。
 一方、河道内の樹木は、多くの川で問題を起こす生え方をして、これが疎通能力に非常に影響を与えるということがありまして、これについては以前のような書き方でまとめたほうがよろしいのではないかと私は思いますが、よろしくお願いします。
(委員長) これは大変有益なご発言で、確かに河道内の樹木で流水阻害するものと、水害を積極的に防備するものとは機能も違いますので、書き分けるのがいいのではないかと思います。この案については、私と○○委員でまた調整して、後日改めて皆様にご意見を伺いたいと思います。
 そのほかにございますか。
(委員) 吉野川は第十堰が気になってほかのところが飛ばされているような気がして、生物の関係で、例えば2ページから3ページにかけて、頻繁に「重要種として○○」という言い方が出ているのですが、重要種という言い方はかつても使っておりましたでしょうか。貴重種であるとか絶滅危惧種、注目種という言い方は生物学的にも一般的にするのですが。
(事務局) 中でもそれを直さなければいけないという話が出ておりましたので、後でしっかりやりたいと思います。
(委員) 挙げられている生物についても必ずしも適切でないものがございますので、また修正していただければと思います。
 先ほど○○先生が言われた委員会としてコメントを出すことに私は賛成ですが、例えば委員会で合議でコメントを出すことが時間的にできないようでしたら、最悪の場合は皆さんの意見を集約して委員長コメントという形で意見を付されてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(委員長) これはまた皆さんに諮ってもらうなりしたいと思います。
 ○○委員、どうぞ。
(委員) 細かい字句の修正です。吉野川の資料3−2の4ページの下から8行目、昭和29年9月の「ジューン台風」ではない「ジェーン台風」です。9月にジューンというのではだじゃれにもならないですよ。
(委員長) 生まれた世代の違いでしょうね、私はジェーン台風でわかりますけれども。
(事務局) ジェーン台風は昭和25年ですので、29年はたしかジューンでよかったと思いますが。このジューンは、当時台風の順番をJで出していたのでジューンということなので6月という意味ではないので、書き足しますが、四国でジェーン台風といっているのは昭和25年の台風でございます。昭和29年の洪水はジューン台風でございます。
(委員) じゃあ失礼しました。
(委員長) ほかにございますでしょうか。この際、特に。どうぞ。
(委員) 吉野川の9ページで、前回質問したところ、一番上の計画規模を上回るというのがあって、そこでブランクがあって「さらに」となっていますが、この前のお話では、この上の3行、必要な対策を実施すると。その具体的な内容が下に書いてあるというご説明だったと思いますが、そうすると「さらに」がつなぎとしておかしくて、「すなわち」とか「具体的には」とか。ここに空白があいているのもおかしくて、これ一体のものとしてこの前ご説明があったように思うのですが、その辺のつなぎ方もご検討いただければと思います。
(委員長) これはまた修正すべきかどうか検討させていただきたいと思います。
 そのほかにございますでしょうか。
 私は今日は司会ばかりやってまいりましたので、私なりの専門の立場から若干のコメントをさせていただきたいと思います。
 河川工学は人命・財産を守る非常に重要な工学でございますから、他の鉄道とか飛行機、原子力、化学プラント等の工学と並んで安全性、信頼性についてはきわめて慎重に議論すべき工学だと思います。いわゆる安全工学ですね。安全工学の視点が、正直言いまして、この力作を読ませていただきましたが、大変優秀な研究者が参加なさっているのでしょうけれども、欠けているのではないかと思いました。
 私も河川工学の安全性をそれなりに勉強してきました。安全工学の大家によりますと、日本には八百万の神があるけれど安全の神様はいない。地鎮祭などお祈りするのは、せめて工事期間中だけでも神様が暴れないようにということでやっているのであって、世の中に絶対に安全というものはない。また、逆に言うと絶対の危険もないのかもしれません。何%程度の安全性なのか、何%程度の信頼性があるのか。2回に1回だめになれば、安全性・信頼性は2分の1ということになりますが、このようなシステムは安全でないと皆様はお思いだと思います。10回のうち1回だったら、単なる計算屋にすればほぼ安全と言えるのでしょうけれども、ユーザーの皆さんから見ると大変危険なものです。吉野川の堤防が10回来たら1回は破堤するといったら大変なことになります。要は10の何乗分の1のときに安全性が高いと言えるのかのレベルの問題です。
 そういう意味で、私が拝見したところで、水位差がわずか30〜40センチでしか超えないからいいのではないかという議論がありますが、一方で漏水で非常に苦労しているということも書かれておられます。わずか30センチが洪水時にはどんな破壊力になるのか。他の工学であればこれを実物大実験、あるいは試運転をしてから供用開始となるわけです。あるいはいざとなれば運転中止ができるわけですが、残念ながら河川工学ではそういうことができません。したがって、1つの計算式だけで安全の結論を出すのは、これはまあ計算屋の分類ですが、安全工学を踏まえた学者としてはいかがかと読み取りました。
 第十堰は250年ももっているのではないかということですが、この報告書の中には大変なヒントが書かれております。昔の人は木杭と青石張りでやってきたということです。堤防と堰がけんかして、仮に堤防が99勝1敗で勝ったとしても、1敗の破堤に住民の生命財産を賭けるということは安全工学としては大変問題ではないかと思います。したがって、堰の補強を四国地方整備局は大分やってきたようですから、安全工学、フェイルセーフの設計思想を十分踏まえて取組んでいただきたい。堤防と堰とがけんかしたら、最終的には常に堰が負けるようでなければ住民の生命・財産を犠牲にすることになるのではないか。したがって、今後とも仮にこの問題の結論が出るまでの時間がかかるとしても、堤防と堰のけんかでいささかも堤防が負けることのないような補修方法を考えていく。極端なことを言ったら、中小洪水でも堰が壊れる程度にしておく。昔の木杭程度の安全にしておくことが必要なのではないかと思います。
 堰の存在については、最高裁の判例は極めて厳しいということです。大東水害では河川は安全性が確保されないままに供用開始するのだから、予算が十分にないという財政的制約、用地取得や住民の協力が簡単には得られないという社会的制約、あるいは下流から上流に向かって改修しなければならないという技術的な制約、そういうことを一応確保しながら進めるので、過渡的な安全について幅広く認めているわけでございますが、多摩川の堰の最高裁判例では、その認められる範囲は極めて厳しい。堰の存在で堤内災害に及ぶという具体的明白な知見が必要だという河川管理者の主張に対して、それは違法性があるとしています。つまり、堰があることにおいて堤内災害が発生するというメカニズムがわからなくても、簡単に言えば堰の存在がすなわちかなり危険なのだということを示唆しているのではないか。そのように思います。
 したがって、例えばたばこを吸うとがんになる具体的明白なメカニズムがわからなくても、たばこを吸ったらがんになりやすいという程度でも予見可能性があるとして、安全確保に入っているのではないかと思います。堰を残せと言っている住民と、堰の存在によって危険にさらされている住民は、必ずしも同じ住民ではないでしょう。それぞれ流域に住んでいてもそういう堰の存在によって危険にさらされているという住民も考える必要があると思います。
 先ほどの治水上支障があるという議論について、先ほどの堤内地側についても注目すべきです。災害によって危険にさらされる住民の意識も今後十分研究していただきたい。リスクというものにも、強制的に災害に遇って被害を受けるのは受身の不随意リスクだそうです。他方で例えば飛行機は落ちるけれど自分は乗るという人もいますし、山へ行ければ滑落して死ぬ可能性もあるけれどやはり山に登る人がいる。それなりのメリットというか生き甲斐というか、利益があるから山へ登る。危険率は高いがやはり登るという積極的な随意リスクもあろうと思います。
 そこで、これからは第十堰の歴史的価値に注目して、非常に熱心に運動されてきた皆さんの熱意も踏まえると、吉野川住民はそれでもこの社会が強制されて受ける災害のリスクを本来は個人が選択する随意リスクとして危険性は高いが買って出る。飛行機に乗るリスクぐらいは社会全体として選択するのだという社会的合意が得られるのか。先ほど治水上の安全について、今までのいわば受け身のリスクから、積極的に山に登ったり、飛行機に乗るリスクにまでこの堰に賭けるのか。これは社会科学的に非常におもしろい問題でもありますから、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
 ○○委員の発言と同意見で、河川工学の常識では第十堰は改築すべきだと思います。事務局からは何回もお尋ねし、私もどういう具体案があるのか、フィージビリティがあるのかと言ったけれど、とにかく2つに分けてじっくり研究するということなので、表現としてはやむを得ないと思いますが、いわゆる安全工学としては大変議論のあるところだと思います。
 森林について、針葉樹林を広葉樹林に変えて浸透機能を増加させる緑のダムの提言がございました。これは各委員からもございましたが、浸透能には限界がある。限界以上の大洪水の状態では流出抑制量を計画にまで盛り込むというのは大変疑問があると思います。また、今日は地元の高知県知事はおいでになっておりませんが、同じ論文の中に、山村は大変疲弊していて林業を継続するのは難しい状況ということで、それを補強して、制度として森林を広葉樹林に変えていく制度的な担保も記してございません。そういう状態でこれを基本量に取り入れるのはいかがかと思います。そういうことで森林については、バックアップシステムとしては大変期待するところでございますが、メインシステムに取り入れるのはいかがかというのが私の見解でございます。
 私としてはこの原案で、多少の修正はして、よしとして社会資本整備審議会に送りたいと思いますが、最後に、地元からご出席の徳島県知事からご意見を承りたいと思います。
(委員代理) 長時間、吉野川の基本方針をご議論いただきまして、私どもは吉野川の恩恵と洪水による被害と両方を受けながら何百年と県民が過ごしてきた中で、第十堰問題が吉野川全体の問題になってしまいまして、無堤地区が相当数ある中で、去年も今年もかなりの被害が出る実態も見ますと、住民の方々の思いを代弁しないと、知事としても吉野川周辺に住まわれている方々のこれからの安全・安心が確保できないということからかなり悩んで、県内ですが上流、中流、下流のそれぞれの県民の皆さんのご意見を十分お聞きした上で、最終的に今回のような、先ほどご紹介ありましたようなご提言をさせていただいたわけであります。その中でいろいろなご意見がございまして、私どももそれらを十分承知した上で何とか前に進むという決断をぜひ国のほうにもお願いしたいということで、去年の提言となったわけであります。その後1カ月余りで国も概ね私どもの提言に沿う形で、今後できるだけ早く整備計画が立てられるように努力するというお話をいただきましたので、非常に安心したところでございます。
 最近の雨量の異常な状態を見ますと、住んでいる方はとにかく早く何とかしろという声が非常に強うございますので、基本方針につきましては、概ね私どももこの方向で結構だと思いますので、早くおまとめいただいて、次の整備計画に移っていただければと思うところでございます。よろしくお願いいたします。
(委員長) 次に香川県知事、お願いします。
(委員代理) 本来ならば前回にお礼を申し上げるべきところでございましたが、遅くなって申しわけございません。本年の異常渇水に際しましては、国土交通省や徳島県、関係する皆様方に非常なご心配とご理解をちょうだいしまして、本当にありがとうございました。
 本文原案に関しましては意見は特にございません。よろしくご審議のほどお願いいたします。
(委員長) それでは愛媛県知事にお願いいたします。
(委員代理) 愛媛県は銅山川水系3ダムで利水面で非常にお世話になっております。3ダムにつきましても、わずかではございますが、治水面でも何らかのフォローができているという気はしております。第十堰等につきましては、徳島県内事情ですので特にあれなのですが、森林整備につきましては特に四国愛媛においても非常に集中的な雨が降っておりますので大事なことだと思います。
(委員長) 高知県知事は今日はご欠席でございますので、また高知県知事のご意見も確認していただきたいと思います。
 そのような議論であらかたの意見も出尽くしたと思われますが、よろしゅうございますか。
 それでは集約したいと思います。本日の議論を踏まえ、私と事務局において2水系の河川整備基本方針案を取りまとめ、各委員にご確認いただいた上で河川分科会に報告したいと思います。この件につきまして、私にご一任いただければ幸いと存じますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

(委員長) 先ほどの委員会メモというご発言があって、これも貴重な提案でございますが、委員会として全員のご理解をいただけるメモを作成するには多くの手続きが必要です。議事録については、皆様のお名前を伏せた上でホームページ等で公開しているようでございますので、議事録に反映されていることとして、○○委員もそのような取扱いでいかがでございますか。
 それでは、そのように本日の原案を一応基本といたしまして、細部については皆様のご議論の中で各委員にご確認させていただきたいと思います。
 各委員には本議題につきまして、短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また貴重なご意見をいただきまして,ありがとうございました。特に審議対象の常願寺川水系の関係委員としてご参加いただきました○○委員、○○委員、吉野川水系の関係委員としてご参加いただきました○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員の各委員におかれましては、今回をもって最後の委員会となります。地域の実情を踏まえた貴重なご助言などいただきありがとうございました。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。




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