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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第26回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年11月25日


2.議事
鳴瀬川水系、九頭竜川水系及び高津川水系の河川整備基本方針の策定について

(委員長) 近藤でございます。本日は、委員の皆さまにはご多用中のところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿いまして、鳴瀬川等3水系の河川整備基本方針本について審議をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 河川計画課長の布村でございます。座って説明をさせていただきます。
 本日は鳴瀬川、九頭竜川、それから高津川、恐縮ですが全部通しでお話をさせていただきたいと思います。まず、最初に画像をちょっとご覧いただきまして、その後、資料のほうでお話をさせていただきたいと思います。
 まず、鳴瀬川でございます。宮城県の真ん中を流れている川でございます。流域面積1,130km2の川でございまして、ササニシキの産地といいますか、低平地は穀倉地帯でございます。船形山から始まりまして、途中、漆沢ダム、これは鳴瀬川と吉田川という2つの大きな川になっていますが、まず鳴瀬川の状況を見ていただいております。山あいからずっと低平地に続きまして、先ほどのような水田を中心とした平野が広がってございます。三本木町の三本木基準点が全体の基準点として管理をしてございます。
 途中、新江合川という、後でまたお話をさせていただきますが、北上川のほうとのつながりから洪水が流れてくる川がございます。途中途中にこういう取水堰が設けられてございます。右のほうは鹿島台町が見えていますが、これは昭和61年のときの氾濫が水色で塗ってあります。この鳴瀬川が途中、この絵の上のほうから流れてきます吉田川と合流をしている。途中で隔流といいまして、両方の川を分ける堤防がございます。
 これは、先ほど見ていただきました鹿島台町の真上から見た絵でございまして、昭和61年8月の豪雨で吉田川の左岸の堤防が切れましたが、そのときの浸水の状況でございます。吉田川のほうをご覧いただきたいと思いますが、これも先ほどのように途中からずっと低平地が広がりまして穀倉地帯となっています。途中、品井沼があって、これもちょっと絵ではご覧いただけませんが、立体構造の川になってございます。これが太平洋のほうへ流れていくという状況でございます。
 野蒜築港跡がございます。横に運搬のために、海沿いに貞山運河というのが有名ですが、走ってございます。それではライトをお願いします。
 それでは資料2−1で、流域の特徴と課題をお話しさせていただきたいと思います。A3判のカラーの大きな資料、右肩に資料2−1「鳴瀬川水系」と書いたものをご覧いただきたいと思います。
 今ムービーで見ていただきましたが、左上の地図で描いてありますように、北のほうから流れてくる鳴瀬川、それから流域としては鳴瀬川より小そうございますが、南半分のところが吉田川流域。それが下流部で両方が合わさって海へ流れていくという川でございます。
 真ん中に薄く白い線で鶴田川流域というのがございますが、非常に複雑な構造になっていまして、この鶴田川流域というところは、従前は一緒に流れていたのですが、サイフォンと書いてございますが、これをくぐって真っすぐ南のほうへ流れて別な流域を構成しているという非常に変わった水系の構成になっています。この鶴田川流域は別な水系ですので、今回ご審議いただきますのはそれを除いた鳴瀬川、吉田川の流域でございます。
 下のほうに円グラフがございますが、土地利用の4分の3ぐらいが山林、それから田んぼ、畑、宅地という順序になっています。この場所はササニシキの産地で、下にグラフがございますが、大体この鳴瀬川流域辺りだけで、都道府県の平均的な米の出荷量と匹敵するぐらいの量を産出してございます。
 右上のほうに河床縦断図がございます。山のほうは少し勾配が高うございますが、途中から非常に平坦な地形で、それが水田等に利用されている土地になっているというのもありますが、そういうところは非常に水害に遭いやすいという地形を構成してございます。
 次のページは、これまでの主な洪水と治水対策でございます。左側のほうに時系列で書いてございます。鳴瀬川で一番大きな洪水の量として出てきましたのは、一番上にございます明治43年8月の洪水であったろうと言われております。その後、昭和22年のカスリン台風、昭和23年のアイオン台風あたりで大きな被害を受けてございます。
 また吉田川のほうは、最近の観測資料から見まして一番大きなものは、昭和61年8月に、台風が温帯低気圧になりました後に大量の雨が降って、吉田川が氾濫を起こしました。先ほど画像で氾濫したところが水色で見えておりましたが、そういう水害が発生してございます。
 真ん中の上には、その著名な洪水の氾濫域を示してあります。赤い線が昭和22年で、大体全般にわたって水害が発生しています。昭和23年、それから昭和61年は先ほどの鹿島台町を中心としたところで水害が起きているというものであります。
 下には、昭和61年8月の浸水状況が出てございます。「水害に強いまちづくり」と書いていますが、非常に低平地で氾濫をして、全域が相当長い時間、最大12日間もどっぷりと水につかるというようなことがございました。「水害に強いまちづくり」というので、洪水がきても、例えば住宅のほうまでは行かないとか、市街地の中心部までは行かないということ等で、氾濫被害を限定できるような、「氾濫流の制御」と書いてございますが、そういったもの等を実施しているところでございます。
 右上は、先ほど鶴田川というちょっと変わった流域の構成がございましたが、もともと品井沼というものがあって、非常に低平地でございますので、いろいろ洪水被害が頻発をいたしました。元禄の時代、それから明治の時代に下の絵にございますように潜穴というのが2つございまして、そういうもので穴を掘りまして、真っすぐ南のほうへ川を抜いていきます。その後、大正のあたりで、サイフォンで鶴田川のほうが吉田川の下をくぐるという工事をして、全く別な水系として分離されているという川でございます。
 それから、ちょっと変わった水系の構成がございます。新江合川というものがあります。下に模式図が描いてございます。大正10年で見ていただきますと、吉田川と鳴瀬川が左下にあります。それに、もともとは右側に北上川というのがございますが、北上川が左上から来まして、旧北上川という川が真っすぐ石巻のほうへ流れておりましたものを、途中で、明治44年ごろですか、北上川のほうを1つ新しく太平洋のほうへどんと抜くと、右側に北上川の新しい川ができます。
 残ったほうが旧北上川でしたが、この間をもともと江合川というものが流れておりまして、これをいったん、鳴瀬川に真っすぐ下につなげまして、それから、右の昭和55年の北上川と旧北上川のところの絵を見ていただきますと、「ゼロ」という分配になってございます。洪水も全部、直接現在の北上本川のほうへ流れるというようなことがありましたので、この江合川から流れてくるものは、旧北上川のほうへ流そうと。ただ、そうするうちにまた洪水対策の必要性が出てまいりまして、もう一回、今度は新江合川というものを復活させまして、ここに800m3/sの洪水を分配するという、ちょっと複雑なシステムになってございます。
 今回、鳴瀬川水系は鳴瀬川と吉田川、それから新江合川から入ってくる800m3/sというところのご審議をお願いして、江合川の分はまた別の水系で検討させていただきたいと思っております。
 次のページでございます。現在の基本高水のピーク流量につきましては、左下のようになってございます。鳴瀬川の三本木地点で洪水調節を行わない場合の流量が4,100m3/s、調節を行って3,100m3/s。それから吉田川のほうは、落合で洪水調節を行わないときの流量が2,300m3/s、調節を行いました後の計画流量は1,600m3/s。全部合わせまして野蒜という石巻のほうへの流量が5,100m3/sという構図になってございます。
 それで左上のグラフをご覧いただきますと、これまでの雨量や流量がどうであったかというのを描いてございます。雨量のデータは昔からあるため、上と下のグラフが同じ年になっていなくいため、上が細かくて下があらいのですが、ブルーで描きましたところが現在の工事実施基本計画が作成されたまでのデータ、それから緑で描きましたのがその後のデータでございます。先ほど、昭和61年などの出水もございましたが、計画のところまではいっていなかったというようなことがございますので、特段大きく変更しないといけないという事象は起きていないのではないかと思われます。
 それから右下でございますが、今までの基本高水のピーク流量が、最近の水文データまで入れましたときにどうだろうかという検討をしてございます。流量確率手法でやりますと、鳴瀬川の三本木では大体2,700m3/sから4,300m3/sというぐらいです。基本高水のピーク流量は4,100m3/sでございますから、このレンジの中に入っていると思われます。
 それから吉田川の落合地点につきましては、最近のデータまで入れたものが1,600m3/sから2,400m3/sまでのゾーンに入っていれば妥当ではないか。実際、基本高水のピーク流量は2,300m3/sでございますので、この中に入っているという状況でございます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。今は最近までのデータを入れた流量の確率で評価をしてございますが、実際に起きたもので、こういう流量が発生し得るものかどうかを確認してございます。昔のものになりますとデータがそれだけないのですが、洪水痕跡などから調べますと、例えば円通院ではどこまで水が来たかというようなものから、そのようなところに水が来るにはどれだけの洪水が来るとそうなるのだろうかという逆算をしてございます。
 ただ、左下のところに「類似降雨の」と書いてございますが、全く昔の細かいデータがあるわけではございません。最近のいろんなタイプの台風などをいろいろ調べますと、昭和33年9月の台風の進路や雨の降り方の分布が非常に似通ってございますので、波形はそれを使って検証しております。これをやりますと、右のほうにありますが、鳴瀬川で大体4,100m3/sぐらいが発生していたのではないかと推定されます。
 それから吉田川のほうにつきましては、今のような痕跡データということではなくて、実際に発生しましたものを「氾濫戻し」と書いてございますが、あちこちで氾濫しておりますが氾濫しなかったらということでやりました流量が2,280m3/sでございます。ですから、実際のものとしてもこういうものが起きていたのではないかと思われます。
 結果、右下のようなハイドログラフで整理をしてございますが、現在の計画で示しております基本高水のピーク流量は、鳴瀬川の三本木で4,100m3/s、吉田川の落合で2,300m3/sというのは、最近のデータや昔のことと比べても妥当なのではないかと思われます。
 続きまして、5ページでございます。では治水対策として、どのようにこの流量に対応しようかということでございます。真ん中左側に絵がございますが、グラフみたいなものがございます。まず鳴瀬川につきましては、洪水で出てくる流量は、今の基本高水のピーク流量4,100m3/sに対して、現況の流下能力といいますか、現在流せますのは2,700m3/s。
 それからちょっと上のほうにございますが、詳細な現地の検討、それから全国の事例も含めて、周りのほうに悪さをしない程度まで現状の川底に合わせて掘削をいたしますと、600m3/sぐらいは川の中を増やすことができるのではないかと思われます。残り800m3/sが、赤で書きました上流のダムなどで調節をするというものでございます。ダムはこの絵に描いていますのが、完成したもの、それから事業中のものでございまして、この全部が出来上がれば、調節能力は一応確保されるという見込みでございます。
 それから吉田川のほうは、同じように2,300m3/sという基本高水のピーク流量に対しまして、現況の河道が大体1,200m3/sでございます。同様の検討をして、ぎりぎり周りに悪さをしない程度までの掘削をしますと、400m3/sぐらいまで増えます。そうすると、既設ダムを含む上流の洪水調節施設で700m3/sを調節しないといけないということになります。このうち現在既設のものでは300m3/sぐらいの調節をしてございますので、残り400m3/sを上流で処理をしないといけないという関係かと思います。
 このようなことをもとにしまして、右側の「河川整備基本方針流量配分図(案)」と書いてあるものになってございます。現在の工事実施基本計画と比べまして、先ほども申し上げましたように、河道の流量を鳴瀬川で200m3/s、を増やした格好で全体のシステムの設計をできればと思ってございます。
 その次のページをお願いいたします。今度は自然環境などの点でございます。まず、上に3つ写真がありますが、上流はほぼ全域が船形連峰県立自然公園でございます。そこに書いてございますような山あいの渓流にヤマメやイワナなどがおります。ブナ林がある自然の状況が現在もございます。
 中流域が真ん中のところでございまして、瀬と淵が交互に現れるような場所でございます。アユなどの産卵場になってございます。また河岸にはヤナギ類、その他ヨシ群落がございます。
 下流部は、高水敷はヨシ原や牧草地が広がり、一般的な日本の河川の状況でございます。堤内地の田園がございまして、中州にはハクチョウやガン、カモの越冬地等がございます。
 それから先ほど来、昔の方々も苦労されてここまで川の対策をしてきてございますものが、歴史的構造物として下に幾つか写真を載せてございます。先ほどお話し申し上げましたサイフォンや潜穴などがございます。それから右のほうには、ご案内の方も多いと思いますが、藩政時代に米の運搬などのために海からちょっと入りました内陸に運河をつくってきております。貞山運河がございます。この一部が北上運河や東名運河で、この辺りにございます。鳴瀬川の河口には、野蒜築港というものがございます。
 次のページは、川の利用です。この写真にあるような、地域の方に非常に親しまれる川でございまして、このようにいろいろな活動がなされてございます。それから、右側のほうに水利用の状況が書いてございます。円グラフにありますように、農業用水が非常に多うございます。先ほどの水田の稲作を支えるものです。
 それから右下、水質はほぼ達成しております。A類型とB類型で、場所がそれぞれ上流、下流とございますが、そんな状況でございます。
 次のページは、流水の正常な機能を維持するための流量でございます。
 河川法施行令にあります。一般項目の9項目が左側の表でございます。それぞれの各地点でいろいろ検討しておりまして、その結果が右上のグラフです。このグラフは、左側が一番下流部で、右側が上流でございます。赤い丸や青い丸は左側の検討項目の色と合わせてございます。
 クリティカルといいますか、一番何がきつい条件かというのは、鳴瀬川のところを見ますと1の赤丸がございます。この地点が動植物の必要流量が一番効いてきます。これをうまくやれば、上流、下流のほかの項目はみんな満足している。ここの基準地点というのが中流堰下流地点で、ここで観測その他水の管理がしやすいということがございまして、ここで見ますと、毎秒1.8m3/s、水利権量が0.1m3/sぐらいございます。合わせておおむね2m3/sをこの川では確保する。
 これが非かんがい期ではどうかというのは右のほうでございます。同じような作法をいたします。ちょっと場所が変わって、赤の1が右側のほうに出ています。これが一番クリティカルになって、同じように中流堰下流地点の正常流量は2.8m3/sに対して、水利権量が1.5m3/s、流入・還元量をプラスマイナスしますと大体4m3/sということで、こういう流量を正常流量として設定すべきではないかと思われます。
 もう一つの吉田川は次のページでございます。同じようなやり方で、右上のグラフでございます。赤の1にあります落合地点下流部の動植物、要するに赤の1のところが一番キーでございまして、これを満足するために落合地点でかんがい期1.5m3/s、非かんがい期1m3/sというのが必要かと思われます。
 それから最後のページでございます。土砂の状況です。吉田川、鳴瀬川両方とも全川にわたって河床変動があまりなく、安定しているのではないかということです。一部は吹き出しで書いてございますように、増えたり減ったりする部分がございますが、それなりの原因があるというか、例えばそこの開削の掘削の事業をやって減っているといった影響が出ているというものでございます。右側に縦断図で書いてございますが、大きな変化はないのではないか思われています。
 河口部も特段問題ではないと思われます。ちょっと右下に汀線といいますか、海浜の状況がちょっと移動したようなグラフがありますが、移動しているのは河口部のところが少し出たり入ったりしているような状況で、洪水時にはフラッシュされるぐらいのものかと思われますので、特段問題はないかと思われております。
 次は、恐縮ですが九頭竜川のほうに移らせていただきたいと思います。また簡単な画像をご覧いただきたいと思います。
 福井県の北半分は越前になりますが、そのほとんどを占めますのが九頭竜川の流域です。岐阜県との境から源を発しまして、今見ていただいているのは九頭竜ダムで、電源開発と治水対策のためにつくられたものでございます。この山地部を流れまして、今見えております大野盆地に大野市が広がってございます。山あいをずっと抜けていきまして、今の大野市内のほうへ入っていきます。
 この絵で左側のほうから真名川という川が合流します。昔、奥越豪雨というのがございました。上流に真名川ダムというのがございますが、そこの西谷村という村は水害のために廃村になりました。それから、こういうところには、アラレガコなども多うございます。
 大野から少し下がりまして、勝山の盆地がございまして、勝山市が広がっております。左側には曹洞宗の総本山の永平寺がございます。このように少し開けたところではございますが、山間部を流れて、これからちょっと扇状地になります。この上には鳴鹿大堰という、福井平野の水のコントロールポイントといいますか、そこから水が大きく流れてくるような堰がございます。下は福井平野でございまして、福井市街地が広がっています。
 基準点は、福井市の中角というところです。支川に日野川、さらにその支川に足羽川がございます。水色で塗っていますのは、昨年非常に大きな豪雨があり、赤い×印のところで堤防からあちこちあふれまして、一部堤防が切れまして、福井市内が水害に遭ってございます。
 九頭竜川の左側から日野川が入ってくる地点が深谷というところで、そこが基準点でございます。九頭竜川は真っすぐ下りますと、そのまま福井平野を下って、日本海の三国港のほうへ流れていきます。今見ていただいている一番突端の付近は、東尋坊という景勝地がある場所でございます。
 それでは電気をお願いします。また、この大きな資料2−2でご覧いただきたいと思います。
 九頭竜川の流域は、今申し上げましたように、福井の北のほうのほとんどを占めております。左側に縄文時代の絵がありますが、ほとんどが海であったようでございます。これが左下のように、全体が平野になっていっているわけです。お隣に富山がございますが、山から出ました扇状地が福井のほうではあまり顕著ではなく、どちらかというとお盆のように土地が平坦に広がった地形でございますので、昔から非常に水害に遭いやすい場所になっております。
 真ん中に地形の絵がありますが、真ん中に少し小高い山地があり、左側といいますか西側に武生盆地、福井平野、右側には大野盆地があるというような構造になってございます。
 土地利用は右に書いてあるようなところでございまして、平野部に宅地がございます。大きな流域全体としては、九頭竜川と足羽川にはさまれたこの福井市街に7割ぐらいの資産が存在しておりますが、この辺りは非常に平坦でございますし、先ほど申し上げましたように、昔から水害に苦しめられてきた場所でございます。
 1枚おめくりいただきますと、地形の特性などが書いてございます。河床の勾配が左上にございます。平野部につきましては、非常に平坦になっております。それから左下に「降雨特性」として、九頭竜川型、日野川型、足羽川型と書いてございます。過去に、それぞれの流域に非常に特徴的に集中する雨の降り方をしておりまして、真ん中に「主な洪水被害」とありますが、例えば上流のほうでどっと降った奥越豪雨というのがあったり、去年は福井平野の上流、足羽川の上流でどっと降るとか、いろんなタイプが出ております。
 右のほうには、「主な洪水と治水計画の変遷」がございます。一番右にあります昭和40年9月の奥越豪雨が、九頭竜川本川。中角というところが九頭竜川、深谷というところが日野川、前波というところが足羽川でございます。中角では、赤字で書きました6,200m3/sが近年の一番大きな洪水でございます。
 それから右下の昭和54年4月の工事実施基本計画が、現在の計画としてございます。その下に昨年7月の福井豪雨というのがありますが、日野川と足羽川では、この赤字で書きました3,400m3/s、2,400m3/sが最近では一番大きな洪水でございます。
 1枚おめくりいただきたいと思います。昨年の福井豪雨につきまして、いろいろ記憶に新しいところですが、ちょっと1枚入れてございます。最近の気候変動等の影響もあると言われておりますが、左上の図のように、細いところに集中してずっと長く降る傾向があります。同じ傾向は、新潟のほうでも昨年、洪水がありました刈谷田川、滋賀も同じものでございますが、相当な集中雨がずっと長く続く。その時間の雨が真ん中上のグラフでございます。
 過去の分をずっと並べてみますと、足羽川もしばらくなかったものがどんと来るという感じでございます。これは全国的に最近の気候変動もあって心配されることでありますが、日ごろ起きていたのとは違うものがどんと来るという現れ方でございます。左下は、そのときに福井の堤防が切れて浸水したエリアなどがブルーで描かれております。
 それから右側は、足羽川の上流部では土砂を含みます災害が非常に多うございましたので、その写真を載せてございます。
 1枚おめくりいただきまして、計画の流量でございます。現在の計画は真ん中の上のような流量の配分でございまして、河口部で9,200m3/sありますが、先ほど来申し上げています九頭竜川本川の中角で基本高水のピーク流量、上流のほうで洪水調節をしない場合に8,600m3/s、それからダムなどで調整をしました後で5,500m3/s。それから支川である日野川の深谷で4,800m3/s、さらに支川という形になりますが、福井市内の真ん中を流れます足羽川が前波で1,800m3/sという流量でございます。
 先ほど示したように、昭和61年に洪水などありましたが、全部並べてみますと左下のように、近年そういうものを超えるものもございませんので、基本的には直さなければいけないような大きな洪水は発生していないのではないかというように思われます。
 ちょっと説明が前後になりましたが、中角、深谷、天神というのがこの後、別々に書いております。何を申し上げたいかといいますと、普通は、水系全部で1つの計画流量を考えて出しております。基本方針のピーク流量などは、全部一括で本川の基準点で代表して検討しておりますが、先ほどの三者三様的な洪水の出方だとか、それぞれ九頭竜川は流域が大きいとか、足羽川はむしろ地元の人はこれが本川ではないかと認識するぐらいの福井市内のど真ん中を流れる川であるとか、そういうのもありまして、九頭竜川、足羽川、日野川それぞれ別々に洪水のピーク流量の計算、検討をしてございます。
 現在の工事実施基本計画では、一応九頭竜川の中角だけが基本高水のピーク流量と位置付けられておりますが、計算自体はそれで全部を出しているのではなくて、日野川は日野川で検討し、足羽川は足羽川で検討するというのが、現在の計画です。ということで、今見ていただいているこのページは、九頭竜川のデータの部分だけでございまして、後で足羽川と日野川のデータが出ます。
 今の流量を見ますと、流量確率で最近のデータまで入れますと、真ん中の下にありますが、6,600m3/sから9,500m3/sぐらいが妥当ではないかと。現在の計画では8,600m3/sでございますので、このレンジに入っているものと思われます。
 右側は「既往洪水による検証」でございますが、過去、福井市内の出水データは明治28年のものを使いました。大体9,500m3/sから1万1,000m3/sぐらいのところで計算するものと大体過去の実績と合うような感じでございますので、この程度の流量が発生していたのではないかと思われております。ちょっと8,600m3/sは大きゅうございますが、この数字が単なる計算のものではなくて、実際に存在し得るものかなという検証としてはそういうことかと思います。
 次の5ページは、先ほども申し上げましたように日野川、それから足羽川の洪水流量の検討でございます。足羽川は、昨年非常に大きな流量が出ておりますが、それでも、もともと計画で考えましたものよりはちょっとだけ下でございますので、この計画を直さないといけないほど大きいものではないと思われます。
 それぞれにつきまして近年の流量で比較いたしますと、日野川、足羽川とも現在の確率のレンジの中に入っていると言えますので、現在の流量でよろしいのではないかというふうに思われます。
 次のページは、治水対策の中身でございます。右上の図をご覧いただきますと、九頭竜川本川では、中角で例えば計画高水流量が5,500m3/s、これに対して現況どれだけ流れるかが4,700m3/sでございますので、800m3/sぐらいまだないと。それをずっと縦断的に見ると、それよりも下流部を中心にといいますか、計画水位とそれを超えるところが、赤いハッチになっていまして、その部分が「河積の確保が必要」と書いてあるところでございますが、そういったところでまだ整備が行き届いていないというのが現況でございます。
 それからその下にございますように、一部まだ河積の確保が必要なところではその確保をするということがございます。それから上流のダムにつきましては、現在、真名川ダム、九頭竜ダム、それから県でつくっております笹生川ダムがございます。まだ残りの分につきましては、絵が描いてございますが、既設ダムの有効活用なども含めて、容量の再配分みたいなもの、それから既存のダムを少し嵩上げして、効果的に使おうというようなことを駆使して整備をしていこうというふうにしてございます。
 その次のページは、日野川、足羽川で同じようにご覧いただきますと、上のほうのグラフのように、赤いハッチで書きましたところが不足分でございます。日野川は、全体的に河積の確保が必要になってございます。それから足羽川も昨年の水害を含めてでございますが、掘削を実施しておりますし、掘削がそういうふうに必要になってございます。
 それから足羽川の上流には、足羽川ダムというのを今計画中でございまして、これができれば、全体の流量が満足されるというような川でございます。
 ちょっと時間もないのであまりご説明できませんが、足羽川の河川で「足羽川河川激甚災害対策特別緊急事業」というものを、今、昨年の水害を踏まえて実施してございます。右の絵のように、河床の掘削を全体的にする。それから堤防の強化。課題があるのは、右下の写真のように足羽川の桜堤です。堤防の両脇にずっと桜が咲いていて、堤防にとっては非常に心配されるものでありますが、桜の名所としては非常に有名な場所でございます。ここの桜自身の更新時期にも当たったりしますのと、今の堤防の強化と併せて、今検討中でございます。
 それから次のページは、水利用でございます。上流域は、大体発電としての活用が過去たくさんなされてございます。それから下流は、穀倉地帯でございますので、農業利用が多うございます。真ん中の上の絵では、発電所、大きな赤いのは取水堰を示しています。取水堰はほかにもあるかと思いますが、全体をコントロールするぐらいの取水堰が大きな赤い形のものでございます。
 水力発電の利用の中で、減水区間といいますか、発電で水が抜かれて、その分また下流で減水して川に水がないところを、下に写真もありますけれども、赤い線で書きました。その部分は、全国的なガイドラインに沿って川に水を戻そうということをしてございます。平成17年3月現在、ガイドラインに基づき、一応すべての区間の減水は、つまり赤で書きましたところは全部回復をしています。あと紫で書いてあるのは、それほど減水はしていないけれどもまだ減水しているという部分でございますので、そのままでございます。
 それから次のページは、流水の正常な機能を維持するために必要な流量でございます。先ほど申し上げました鳴瀬川等々と似たような話でございまして、はしょった説明をさせていただきます。右上のグラフで見ていただきますと、まず幾つかたくさん検討しているわけです。赤とか緑とか青というのは、左側の検討項目の色と合わせてございます。
 一番クリティカルというか、厳しくなっているのが真ん中にありますが、1と書いて四角い吹き出しのようになってございます。ここが24m3/sぐらい鳴鹿大堰の下流でございます。ここが動植物の関係で一番コントロールポイントになっていますので、実際の基準点は中角でございますが、中角でどれだけあればいいかということを検討いたしますと、25〜26m3/sというふうに見て取れます。
 それから次のページは、日野川でございます。日野川につきましては、同様に右上のグラフをご覧いただきたいと思います。真ん中ぐらいに1と書いてあるところが丹南橋の上流のところでございまして、ここで7.77m3/s、あとその他の流量を踏まえて基準点の三尾野で7.79m3/s、おおむね8m3/sぐらいの流量がここで確保されれば、上流、下流ずっと川の水の出入りがございますけれども、それぞれのところで必要な水量が確保されるのではないかということでございます。
 その次のページは、河川環境でございます。九頭竜川上流域のほうには、ニホンカモシカ、イヌワシ、イワナうんぬんで、山中にそのような動植物がございます。ただ「課題」と書きましたところですが、真名川ダムの上流域では山林の荒廃が進んでいると見てとらえております。そういうこともありまして、洪水後の放流水の濁水が長期化しているとなっております。
 真ん中上に、年間の濁度のグラフがございます。出水があった8月初めぐらいからずっと冬までこれがこの間続く。途中途中で出水があったりして一回水が少しきれいになるけれどもまた濁る、また濁るという状況でございます。これに対しては、関係機関とどうするかということを今、検討しているところでございます。
 九頭竜川中流域は、砂礫地にコアジサシ等が生息しております。あと瀬や淵はアユやカマキリ(アラレガコ)の生息地になってございます。そういう川でございますが、河道改修や砂利採取で、これは部分的でございますが、深掘れとか何とかありまして、少し冠水頻度が変わってございます。結果的には、河原の樹林化が結構進んでございます。左下に昭和22年と平成14年の写真がございますが、昭和22年のは白っぽくなっています。これは礫の河原なのですが、平成14年のは少し黒っぽくなっていて、全部緑になってございます。これは生物上も、本来昔からいる生物が住みにくくなっているということでございます。また、河川改修上もよろしくない部分がありますので、それをきちんと整備をし、掘削などをする必要があるという状況にございます。今後、そのようにしていこうということでございます。
 右下は九頭竜川の下流部でございますが、一番下のほうは汽水性の海域の魚類が生息してございます。そこにありますようなオオヒシクイ等の渡り鳥の生息の場等がございます。それから下の絵は、河岸の水際部の保全ということで、少しそういう水際部のところは残して、下のところを緩く掘削をするというような手法をこれまでもとってきて、それなりの効果を挙げているところでございます。
 次のページは、日野川と足羽川の環境であります。それぞれ先ほどの九頭竜川とあまり変わらないのですが、山のほうは九頭竜川のほうが深いと思われます。ちょっと特徴的なものが、そこの左側にありますが、日野川では旧川跡みたいなものがございます。こういうある種のビオトープ的なところがございまして、そういったものをうまく生かしながら保全をしていこうと。
 足羽川につきましては、川の横断工作物がたくさんございます。これは取水堰もございますが、その他床固工とかそういうものがたくさんございます。赤と緑の線で書いてございますのは、赤いほうは魚道がございません。緑のほうはある。これで、魚道がないところについてちゃんとして、全体で魚が行き来できるようなものにしていかないといけないと考えているところであります。
 河川の利用としては、先ほどの足羽川の桜もございますが、ほかにも桜の話がございます。また、レジャー用ボートの関係の整備もしていっているところでございますし、そういう課題がございます。
 水質は、どれも現在の環境基準としては満足しております。
 最後のページでございます。土砂の関係は、先ほど河床が下がっていたりして、逆にドライになっているところもあるという話をしましたが、河床の平均的なものといいますか、全体的なものから見ると、あまり変化はございません。安定した河道でございます。
 それから右上は、既設の真名川ダムと九頭竜ダムの堆砂の状況です。青い実線が九頭竜ダムの実績、点線が計画です。真名川ダムがオレンジ色でして、実線が実績、点線が計画ということで、普通の状況かと思います。河口部等も大きな問題はないと思われます。
 以上、九頭竜川でございます。ちょっと時間の関係で、さらにはしょらせていただかないといけないのですが、最後のもう一つの川、高津川でございます。
 島根県を流れる川でございます。中国山地から流れて下ります。後で申し上げますが、ちょっと変わっていまして、もともと高津川の流域でありましたところが別な川の浸食で別の流域になるというような、河川の争奪等も見られる場所でございます。山間部をずっと下ってきます。そんなに大きな高い山はございません。全体的に平坦な地形で、山もございますが、先ほどの九頭竜川や鳴瀬川などの山に比べれば非常になだらかな山でございまして、地形全体もそういうものです。
 川沿いに少し広がったところが農地として利用されている川でございます。全体的に非常に水がきれいで、ほとんどがAA類型の川で、それが満足されています。
 途中、左側から津和野川が合流します。山陰の小京都ということで有名な川で、町並みに水路が流れ、その中にコイが泳いでいたりするものがごく身近にある町づくりをしてございます。取水堰も非常に少のうございまして、後からたくさん出てきますが、非常にアユで有名な川です。日本で一番有名な川とも言われております。
 今、このブルーで見えるところは、昭和47年の浸水です。ほとんど山の端まで水がつかるというような土地でして、これがこの河川の治水対策としてどうしていったらいいかという大きな問題でもございます。良好な水田等も広がります。一部、昔はそういった全体が水がつかるような場所でして、霞堤が幾つがございました。少し少なくはなってございますが、今もそういうものがございます。
 途中で派川として分かれ、また途中で合流しているような川の旧川みたいなものがございます。非常に水がきれいで、かつ海のところまで結構な勾配で流れてきてすっと海に入る関係で、礫河床がずっと河口まで続いております。そういったこともあってと思いますが、非常に良好なアユが生息しております。
 下は益田市街地でございます。では、電気をお願いします。
 最後でございます。資料2−3のA3のカラー版を説明させていただきます。お時間の関係で、ちょっとはしょらせていただきます。
 真ん中の流域図で見ていただきますと、丸っこい流域であります。先ほど申し上げました河川の争奪というものは赤丸で書きましたが、右上に写真がございます。ちょっと分かりづらいかもしれませんが、真ん中の赤い矢印で書いてあるところは少し深い谷になっていまして、そこに木が生えているのです。そこは、盛り上がっているのではなくて逆に低いのです。もともとの川は、右側から左側へ高津川が流れておりましたが、山口のほうへ流れております錦川という川がどんどんどんどんこの赤線のように浸食していってここで分断して、ここから右側の流域は、今度全部錦川の流域になっているというものです。
 写真の下の図で、非常になだらかな地形の勾配がご覧いただけると思います。また左下には、過去いろいろ水害等の話、それから水田等の利用の話から川の付け替えが行われてございます。一番河口部は、別なものです。益田川と高津川は一緒の川だったのですが、点線で書いてあるところを今、益田の駅の左側ぐらいからオレンジの点々がありますが、ずっと海側へどんと川を抜いて、別な川にしてございます。これが現在の高津川です。
 上流のほうも、これはどちらかというと農業利用のためだったようですが、川を山際のほうへもっていって、周りの平野全体が田んぼとして少しかんがいができるというような格好のものをつくっていた歴史がございます。真ん中ぐらいには農業としての利用が多い、水田やアムスメロンの産地でもございます。雨は、右下の図のように1,700mmを上回り2,000mmぐらいのものが降るような土地でございます。
 次のページは、今までの水害や治水対策でございます。左側に時間的な流れがございます。昭和43年の「工事実施基本計画の策定」と青い文字で書かれていますが、これが現在の計画でございます。計画の流量としては4,200m3/sですが、昭和47年の赤字で書きましたものが、最近の最大の流量でございます。あちこち氾濫せずに、全部川に入るとしますと5,200m3/sでございます。ですから1,000m3/sぐらいが、もうこの時点でオーバーしている。
 ただ、これについてどのようにすべきかという難しい問題があって、現在は川のほうを4,200m3/sではどうしようもないので、もう少し流れるような工夫をしつつ、いろんな検討がなされていたままになっている川でございます。
 真ん中には洪水の氾濫の絵が描いてありますが、47年のものが赤い部分です。中下流といいますか、途中の農地のところが、ほとんど水につかったり流れたりしております。また上流は平坦な山でございますので、ダムをつくりやすい場所もございません。そうしますと、川でどのぐらい対策できるかというところに限度があり、また遊水池でためるといっても、実際あふれているものをためるというようなものですので、ある程度の効果はあると思いますが、限度があるかなというところです。
 右側は、堤防の整備状況です。堤防整備は9割ぐらいできてございますが、先ほど申し上げましたところで、現在の流量として実際発生したものを流せている状況ではございません。それからちょっと書いてございますように、昔の河床材料を使ったものもありまして、漏水がたくさん発生しています。これの質的整備みたいなものが1つの課題になってございます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。先ほど申し上げましたようなことで、今の基本高水のピーク流量の計画量は4,200m3/sですが、実際発生しているのはそれよりも1,000m3/sも多い流量でございますので、これに沿ってきちんと見直しておくべきかと思われます。
 流量と雨量は下に書いてございます。真ん中の上に2「基本高水のピーク流量の見直し」というのがございます。通常やるのと全く同じ方法ですが、周辺の状況を勘案して100分の1ぐらいの規模、それから2)で計画降雨継続時間を2日と設定しています。計画降雨量としまして、過去の100年のデータ等を整理いたしまして、各種確率分布モデルがございますが、特異値を除きまして、それの平均値353mmというものを採用してございます。
 右側にそれを含めて、各過去の降雨に合わせた洪水の流量を算出してございます。代表的な降雨パターンといいますか、洪水の年が昭和40年、47年、55年、56年、60年、60年というように続いています。出た結果としてピーク流量が書いてございますが、昭和47年の5,200m3/sは、引伸ばし率1.008というのを見ていただくと分かりますように、ほぼ実績そのものでございます。
 それから、流量確率による評価も併せてしてございます。大体4,600m3/sから6,700m3/sぐらいの流量の確率が100分の1かなと。ピーク流量は5,200m3/sですから、その真ん中に入ってくるものであります。計算で出しているだけに過ぎないということにならないようにということで、実績洪水との検証をしておりますが、ここは実績流量そのものが5,200m3/sですので、そういうので妥当ではないかと思われます。
 それから次のページです。今の流況は左上のようなものです。線が幾つかございますが、少し足りない部分、実際の河道の能力とそれから洪水の今の5,200m3/s流れたときというのを見ますと、赤い線でずっと書きましたところが少しオーバーしてございます。
 大体一番下流部が基準点で4,300m3/sぐらいかと思います。左下、川の状況からしますと、先ほど画像で見ていただきましたように、下流部の益田市街地はこれ以上拡幅等ができるような場所ではございません。ですから掘削も右上のようなところ、現況の箇所を維持した格好で、かつアユの産卵床自身は何もいじらない格好でやりますが、大体4,900m3/sの流量まではいけるのではないか。
 これは、先ほども申し上げました計画流量が4,200m3/sぐらいのところに5,200m3/sの洪水が来た後、4,900m3/sぐらいの河道まではなんとかできるのかなというふうにこれまでも進めてきているものもございますので、こういう形で十分できるのかなと思われます。
 それらを含めますと、残り300m3/sがございます。これについては、恐らく周辺の農地などで遊水利用をたくさんしておりますので、その分、300m3/sぐらいをためるものを考えようというようなことで、おおよそのめどが付けられるのではないかと思われます。そういうことで300m3/sの調節を行うことを考えてございます。
 次のページでございます。自然環境は、何回もアユの話ばかりでございますが、天然アユの占める割合が非常に高うございます。天然アユが漁獲高の6割。「自然環境」のところで「天然アユの漁獲量」というのも変なのですが、要は、実際のアユの中でも放流ではなく天然物が多いということであります。
 先ほども出ましたが、礫河原、それから水質の関係、全体的に安定した流況等がその大きな原因になっていると思われます。当然そういったものは、しっかりと保全をしていかないといけないと思われます。幾つかその瀬の状況等を載せてございます。
 それからその他、先ほども言いましたが河川部は少しビオトープになっている部分がございます。また中流部には、アユカケ(カマキリ)がいます。少し特徴的なものでは、支川にイシドジョウがいます。右下のところに学名が書いてございますが、学名そのものにも「takatsu」という文字が入っているように、ここが最初の発見地でございます。そういう場所でございます。
 その次のページは、河川の利用でございます。非常に文化的な利用といいますか、益田水郷祭などいろいろな利用がされてございます。また先ほどのアユが非常に有名でございまして、真ん中のグラフにありますように、島根県からの釣客が多うございます。年間の遊漁券販売枚数としては、島根県内が図抜けて大きい川でございます。
 右側には「地域振興の模索」とありますが、いかだ流しや観光舟運の実証実験などを行っております。また地域で一体となりまして、住民の草の根参加という形で「水辺EN組プログラム」の中の住民の方々による花壇づくり、流域の首長さん方等が集まられて行う「高津川活性化サクセス会議」など、自然豊かな川を生かそうという動きがいろいろなされています。
 また「水利用」ということで、左下には津和野の話があります。流況で見ますと、上流のほうで発電用水がございまして、あとは農業用水です。それから水質のほうは、ほとんど全川にわたってAA類型を満足している状況でございます。
 次のページは、流水の正常な機能の維持についてでございます。また右上のグラフに飛んでしまって恐縮ですが、この川で見ますと、あちこち検討いたしまして、1の二俣川と合流するぐらいの場所のところに線が引いてあります。この辺りが動植物の本川からの水流量として一番のコントロールポイントです。またちょっと下流部でもそういうポイントがございます。何カ所かございますが、その流量を確保するのには、真ん中の神田地点というところが基準点です。ここで、維持流量としては3.1m3/s、また取水も入れますと3.5m3/s、おおむね4m3/sが確保されていれば、この水域全体としてはいいのではないかということでございます。
 最後のページでございます。土砂の状況は、結論を言いますと大きな変動があったりして問題が生ずるとしているものはあまりございません。また横断工作物も少のうございます。それから上流部のところでは、今は山も荒れていないというようなお話を聞いてございます。河口部も、一部変形はございますが、特段大きな問題はないという状況でございます。以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明にそれぞれご意見等賜りたいと思いますが、ちょっと要約しますと、基本高水のピーク流量及び計画高水流量については、鳴瀬川は工事実施基本計画と変更なしと。それから九頭竜川も変更なし。高津川が増量したと考えていいですか。
(事務局) 鳴瀬川水系のほうは、基本高水のピーク流量は変わりませんが、計画高水流量は少し増える形で、上流で調節する分が少し減るというものでございます。
(委員長) 変わったところを言ってくれますか。
(事務局) 資料2−1の3ページの左の絵と5ページの右側の絵を比較いただきますと、鳴瀬川水系は三本木基準地点では、かっこ書きが基本高水のピーク流量でして4,100m3/s、計画高水流量が3,100m3/sだったものが3,300m3/sという、そこだけでございます。下流はそれに連動して数字が変わっているということでございます。
(委員長) というと、川の流量が200m3/s増えたということですか。
(事務局) そうでございます。
(委員長) はい。それから?
(事務局) 九頭竜川水系は、そのままでございます。高津川につきましては、基本高水のピーク流量から全体的に直すというものでございます。
(委員長) 調節も含めて増量したということですね。それから正常流量は、新旧比較すると、それぞれどうなっていますか。
(事務局) 正常流量につきましては、鳴瀬川の流量は定めていたのですが、吉田川の分についてありませんでしたものを、今回セットしております。
 資料3−1の12ページに、現在の「鳴瀬川水系工事実施基本計画」が左側、右側が今回の「鳴瀬川水系河川整備基本方針(案)」でございます。左側のほうをご覧いただきますと、一番最後のフレーズに「流水の正常な機能を維持するために必要な流量については」とあって、野田橋でおおむね7m3/s、吉田川については検討するとしていました。それを右側の今回の基本方針におきましては、最後から2つ目の段落でございます。場所の名称が少し変わっていますが、「鳴瀬川中流堰下流地点において、9月から4月はおおむね4m3/s、5月から8月はおおむね2m3/sとする。また、吉田川落合地点において、9月から3月はおおむね2m3/s、4月から8月はおおむね1.5m3/s」というようなものでございます。
 それから九頭竜川につきましては、同じく資料3−2の14ページでございます。左側が現在の工事実施基本計画ですが、一番下のほうに、九頭竜川の「江上地点において、かんがい期におおむね26m3/sとするが、さらに調査検討の上決定するものとする」としてございます。それが今度の基本方針(案)では、右側の下から2つ目のフレーズ、「三尾野地点における流水の正常な機能を維持するために必要な流量は」となっておりまして、3月から11月はおおむね8m3/s、12月から2月はおおむね6m3/sというものでございます。
 上のフレーズに「中角地点における」というのがありまして、九頭竜川本川のほうが、4月から8月はおおむね15m3/s、9月から11月はおおむね26m3/s、12月から3月はおおむね17m3/sです。今申し上げました三尾野は、日野川のほうでございます。
 最後、高津川でございますが、資料3−3、13ページでございます。左側が現在の工事実施基本計画ですが、これは調査検討の上というふうにこれまでなっておりまして、具体的な数値の定めをしておりません。これが右側の基本方針(案)は、下から2段目のところにありますが、神田地点でおおむね4m3/sというものでございます。以上です。
(委員長) 以上の前提で、基本的な説明をいただきましたので、随時これから皆さまのご意見を賜りたいと思います。大変審議時間が短くなっておりますので、地元からおいでになりました鳴瀬川の地元事情に詳しい○○委員からまずお話を伺いたいと思います。
(委員) ○○でございます。ただ一人、直接鳴瀬川に関係ある者として申し上げたいと思います。今、鳴瀬川としては、緊急対策特定区間として、鳴瀬川中流部改修事業、江合川、鳴瀬川の安全度向上という事業に取り掛かっていただいております。
 鳴瀬川の安全度を高めようということになるのかもしれませんが、私たちにしてみれば、これは江合川対策だなと、そんな思いがしてなりません。今日の説明は、鳴瀬川と吉田川の関連でお話がございましたが、私たちにしてみれば、江合川と鳴瀬川の関連というのが非常に関心が高うございます。今、3,100m3/sの鳴瀬川に800m3/sの水を江合川から引き入れようとなさっておるようでございますが、それに見合った掘削をなさるわけでございますけれども、果たしてその計画どおりでこれから推移するだろうかという懸念を持つものでございます。
 この中流部の事業開始区間より上流に位置するところは、ほとんどまだ暫定堤でございますから、合流によって、その上流部に圧力といいますか、そのことが非常に心配です。中流部の掘削を進めると同時に、その上流部の堤防の補強、改良を進めていただかなければならないという思いがいたしております。
 鳴瀬川は、私が見る限り非常に直線的な川ですし、この改修事業が始まったころから比較しますと周辺の開発が非常に進みましたから、ほとんど鉄砲水の出水でございます。周辺が開発され、都市化が進み、あるいは農地はほとんど区画整理が進みまして、雨が降れば強制排水でございますから、ほとんど本流がもたない状態になってきているなと、そんな心配をいたしております。
 さらに最近の台風の発生状況やあの豪雨の状況を見ますと、今までの我々の予測をはるかに超える状況がこれから起きてくるのではないかというような心配、仮に30年に1度を想定した治水対策であっても、その30年に1度の予想が、毎年のように発生する心配を持つものでございますから、この掘削区間だけではなく、全体の補強を進めていただかなければならないなと、そんな思いでございます。
 そういう関係で、鉄砲水としてほとんど水路状態で水が流れ落ちるものですから、正常流量の確保もまた心配でございます。ほとんど空堀になってしまう。水が引いた後は、間もなく空堀の状態になってしまうという状況が毎年見られるわけでございますから、このことも自然のダムを待つということにはまいりませんので、どうしても人工的にその調節をしなければならない。計画されているダムが未着手で3つありますから、そのいずれかを早く促進していただかなければならないのではないかなと、そんなふうに思っているところです。
(委員長) ありがとうございました。それでは、河川工学の専門の立場から、○○委員、お願いします。
(委員) 鳴瀬川につきましては、私も地元の川なのでよく見ております。ただ今のご説明にありましたように、ここは江合川から新江合川を通じて洪水が入ってくる。あるいは明治潜穴、元禄潜穴等で鶴田川と立体交差している川というように、非常に洪水対策にも文化があるような場所でございます。逆にいうと、それだけ洪水被害を被ってきた場所でございます。そういう意味で、地元の洪水対策に対する意識も非常に強いし、また今、三本木町長さんから話がありましたように、今度は洪水がないときは水不足が非常に深刻になっております。
 そのような意味で、今回の基本方針に出ている数字についてはおおむね妥当だろうと考えています。ぜひそれを早急に実現するような方向で動いていっていただきたいと考えております。以上でございます。
(委員長) それでは次に九頭竜川の専門委員としてご出席の○○委員からお願いします。
(委員) まずお手元の資料、九頭竜川水系を見ていただきたいのですが、九頭竜川の特徴といいますのは、地方の河川でありますけれども、非常に自然の豊かな川、それから1ページ目の右下を見てください。福井市街の写真がそこに写っているわけですが、このように九頭竜川、日野川、足羽川に囲まれております。特に福井市内におきましては、足羽川が福井市を二分しているという形で、都市河川の問題等も含んでおります。先ほど事務局の説明もございましたように、何といってもこの九頭竜川は、今言いました九頭竜、日野、足羽の3川がほぼ合流しているような形でして、非常に管理上も難しいところであります。
 計画流量的なものにつきましては、先ほど説明がありましたように、九頭竜川、あるいは日野川、足羽川型のそれぞれの特長を生かした形での危険性から基本高水等を設定しており、これはおおむね妥当ではないかと思います。
 ただ、右側の下の福井市街の形ですが、実はこの写真には写っておりませんが、たくさんの小河川、内水がございます。これが非常に頻度高く、昨年度、ある地域におきましては、年4回ぐらい冠水しているところがあります。したがいまして、内水をはいてやろうと思いましても足羽川や日野川に十分はけなかったということもありまして、できるだけ早くこういった河川改修を進めていただければ、内水の氾濫の軽減にも即役に立つということが考えられます。
 それから、昨年度の福井豪雨の特徴を少しだけ説明させていただきます。3ページ目、左上を見てください。気象の絵が出ております。赤いのは非常に降雨が高いところですが、実はこれがずっと続きまして、規模的には非常に小さかったのです。といいますのは、皆さん、ご存じと思いますが、この約1週間前に同じような災害が新潟で起きました。その場合には集中豪雨は割とスケールが大きかったのですが、福井の場合におきましては、集中豪雨は本当に限られた地域で起こりまして、現在、これを予測するというか、気象的に再現することがまだなかなか難しいといった降雨でございました。ですからこういった集中的な豪雨というものが今後問題になってくると思われます。
 その特徴は、2ページ目を見てください。2ページ目の左下に「降雨特性」がございます。平成16年7月の福井豪雨を見ていただきますと、先ほどの気象の降雨の特性から言えるのですが、足羽川の上流からほぼ下流まで、その赤い線が運悪く覆ってしまったという状況でして、福井豪雨の場合には、上流側では法面の崩壊、土砂崩壊、それから流木等がたくさん出てまいりました。こういった問題が恐らく今から全国的にも広がっていくのではないかという懸念がなされます。このように、福井というのは非常に難しい問題を、上流から下流まで抱えているというところでございます。
 それからあともう1つは、ここではちょっと触れられないのですが、こういった豪雨があったという形で、福井の場合におきましては、災害が起きた後のボランティア活動も非常に重要視されて、うまく機能していると思います。またハザードマップを福井市で近々に作りまして、そういったものをいかに市民の方に広めて自主防災を考えていくのかというところが、今九頭竜水系で行われている特徴ということになります。以上でございます。
(委員長) それでは次に、高津側水系でご出席の○○委員にお願いします。
(委員) 高津川水系ということでまいりました益田市の○○と申します。私は、高津川周辺に住まいをいたしております。高津川全長81キロメートルの河口が益田市というところでございまして、人口が5万5,000人ぐらいですが、約60%の住民が高津川にかかわりながら暮らしをしているというような地域でございます。
 その中で、私は河口から4kmのところで、ここにもございますアムスメロンの主産地になっております飯田という地区に生まれております。今73歳でございますが、昭和18年、19年、20年、47年と4回水害に遭いまして、私個人といたしましても、3度家を造り直したということでございます。
 昭和47年の災害のことを申し上げてみたいと思います。昭和47年は、7月9日ごろから雨が激しく降りまして、我々も当時、アムスメロンを作るということでハウスの施設をいたしておりましたので、大変心配いたしまして、11日の夜、増水の見回りをしておりました。地区を取り巻く堤防は河床材で築堤されておりました関係で、本川ではなく派川側の1ヶ所が10時30分ごろ、奇麗な水がだんだん茶褐色の水に変わってきて、これは何か起こるんだなということを感じて見ておりましたときに、一瞬で堤防が決壊いたしまして、150戸のうち60%程度が30分くらいで床上浸水などになったというような状況でございます。
 この飯田地区というところは110haございまして、50haが山、あと60haが畑地というような地帯でございます。戸数が150戸ばかりございますが、そのうちの50戸程度は、昭和の初めごろから玄関先の軒下に避難用の川舟をつって暮らしているような地域でございました。47年にもあわてて舟を下ろして、山側のお宮だとかお寺だとかの避難場所に皆、避難をいたしました。今では堤防も立派に改修されて良くなっているところでございますが、この高津川はアユの名産地でして、先ほどもございましたように60%程度天然ということで、山口県、広島県方面からもシーズンにはたくさんの方々がおいでになります。
 今後の改修計画につきましては先ほど説明がございましたが、我々の要望といたしましては、やはりほとんどの住民にとって暮らし、経済、文化、生命、財産のすべてが高津川とかかわり合いが多い地域でございますので、奇麗な川で、また自然を生かした川で住民が和めるような安全で、安心して暮らせるような河川改修計画の樹立を、ぜひ要望したいと思っているところでございます。
(委員長) ありがとうございました。○○委員のほうからご意見ございますか。
(委員) 特にありません。
(委員長) それではせっかくご出席の県知事代理の方にもお言葉をいただきたいと思います。宮城県知事の代理でご出席の方にお願いします。
(委員) 宮城県でございます。流量についてのご説明がありますが、宮城県としてもこれに基づいてしっかりやってまいりたいと思っておりますが、三本木の町長さんからも言われましたように、なかなか遅々として進まない面がございます。
 ただ、いろんな治水対策を講じていまして、昭和61年の水害でも鹿島台町が水害に遭いましたが、道路事業と河川事業を並行して「水害に強いまちづくり」ということで、輪中堤のようなものをつくったり、いろんな工夫をしながらやっております。我々もいろんな意味で折を見て、上流の治水対策を国と連携してしっかりやってまいりたいと思っています。
(委員長) では、福井県知事代理の方にお願いします。
(委員) 福井県土木部長の○○でございます。先ほどのご説明にありましたような基本方針に従いまして、直轄河川改修につきまして、あるいは支川の県管理河川の外水・内水被害に寄与するものと伺っておりまして、ぜひともこのような方針に基づきまして早期の整備をお願いしたいと考えております。また足羽川の桜の話も話題に出ましたが、景観にも配慮したような形の改修をお願いしたいということでございます。
 それからこれは基本方針そのもののことではないのですが、先ほど委員長から話が出ましたが、河川の正常流量のことでございます。足羽川中流部には、国土交通大臣が水利権を処分されました約2,000haの農地がありまして、それを賄うための治水施設であります足羽堰がございます。またその下流部には、人口約25万人の県都福井市を抱えておりまして、足羽川は福井市民の憩いの場となっております。足羽川の低水は日野川にも影響を与えることになりまして、足羽川の流水は、河川環境にとって重要な要素と私どもは考えております。
 こういうふうなことを考えているわけでございますが、今回の基本方針の中では、足羽川から海に至る間に、低水管理を行う基準点がなくなりました。従来の方針には、深谷という地点に基準管理点があったわけですが今度はなくなったということで、私ども福井県が足羽川の低水管理を行っていく上で、国土交通省とも緊密な連携を図ることがさらに重要と考えておりますので、この基準点のことにつきまして、もし何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。以上でございます。
(委員長) ただ今の件については、次回にいたしましょうか。前にあった基準点が今回はなくなったということですが、実質管理はどういうふうにしていくのか……。
(委員) これは、別に今日、説明をいただかなくても結構でございます。
(委員長) はい。次回でも、現状なり説明していただければといいと思います。それでは次に、島根県知事の代理の方にお願いいたします。
(委員) 高津川についてでございます。先ほどご説明いただきましたように、高津川は、ダムがないというちょっと珍しい川でございます。水質も非常に良好でございますし、水量にも恵まれているということで、アユの話も出ましたが、非常に流域の皆さんはこの川に親しんで、いかだ流し等の行事も行われています。問題は治水対策ということでございます。
 実はこの益田市に流れ込む川、水系は別ですけれどももう1つ2級河川の益田川がございます。これも過去、幾たびも大暴れをしておりまして、市街地を一のみにしております。この川が、今、改修がほぼ終わった段階にあるということで、問題はこの高津川ということでございます。治水安全度は今までずっと低かったということで、このたびの流量改定によりましてその安全度向上ということは、県としても大変願っているところであります。
 そういうことで高津川の現在の良好な自然環境を保全しつつ、また流域、周辺との土地利用等の調整といったこともありますが、この改修計画を一刻も早く樹立して、それに基づいて事業を行っていただきたい。県も全面的に協力していきたいという考えであります。よろしくお願いします。
(委員長) ありがとうございました。それぞれ地元に関係ある委員からはご発言いただきました。これ以降は、それぞれご自由にご発言をお願いしたいと思います。どなたからでも、どうぞお願いいたします。どうぞ、○○委員。
(委員) 九頭竜川の資料で、6時間雨量でいうと戦後最大という資料は大変重要なデータだと思います。いわゆる統計処理をするときに、どちらかというとどこもみんな2日雨量を使ってやっている。川の大きさに関係なく、関係なくというか幾つかの段階分けはありますけれども、それぞれの川の水の出方にあまり関係なく決めているような気がしますので、その川の水が出てくる様子に合わせて、統計処理の方法をもう少し慎重に考えられていくほうがいいのではないかという感想を持っております。
 というのは、例えばよくあるパターンですけれども、100年降雨では幾らにします、雨の降り方のパターンについてはもっと小さな洪水のときのパターンを使ってそれを引き延ばすというような、ちょっとあまり説明しにくいような計算の仕方がしばしば見られるので、どちらかというと川の出水特性に合わせた統計処理をして、そのパターンに対する出水計算みたいなものをやっていく必要が一般的にあるのではないかと思っております。以上でございます。
(委員長) ご意見ありますか。○○委員、いいですか。
(委員) 先ほど私もわざわざ6時間降雨を出しておられる意味をお伺いしようと思ったのですが、必ずしも足羽川の洪水到達時間が6時間だということではないんですよね。集中的な豪雨があったということを表すためにやったので。それでおっしゃるとおりで問題はあるのですが、2日雨量というのも前回とか前々回の議論でいうと、大きな川では流域の湿潤状態まで含めて考えるというので長い期間を取るということですね。そういう意味もあるのだそうです。僕は、そういう理解を初めてしたんだけど。
 ただ、24時間雨量を取っているところもあるし、そのときに湿潤状態はどうするかというような議論は必ずしも整理されていないので、問題は確かにあると思います。やはりその辺は、川の特性によって一律に2日というのではなくて、洪水の出水を考える場合に、もっと洪水到達時間が短いものについてはそういうものを考えるということもあり得ます。
 実際には、でも結果的にはそうした検討をやっているのかなという感じもするのですが、その辺は事務局のほうではいかがですか。2日雨量を計画で取っているけれども、実際の計算の中では、必ずしもそんな一律の考え方ではないような気もするのですが。
(委員長) これは、ちょっと実務家のほうから意見を申し上げておきますが、実際の観測資料は古い明治時代では日雨量しかなかったのです。時間雨量という資料がなくて、一番使えるのが日雨量で、しかも100年とかを議論する場合、明治の初めからあった観測所の資料をもとにすると、2日か3日しかなかったのです。1洪水では2日にまたいでしまうことがありますから、利根川クラスは3日、それ以外の流域は大体2日というようなパターンです。時間雨量の資料ができてから、それを使って日雨量と時間雨量の資料を組み合わせながら引き延ばすなど、加工してやってきた。3日雨量ぐらいになれば前期降雨まで入っているだろうということです。2日雨量になると、前期降雨まで後で補足しておかないといけない場合があると思います。
 いずれにしても、まだ100年の降雨資料というのは非常に少なくて、60〜70年の資料から100年や200年を議論するということになり外挿手法になります。事務当局もいろんな確率計算をもってきて検討しています。これだとこっちになりますよという形で、外挿ですから大変慎重にやっているのではないかなと思います。
 確率については、例えば電子工学などの世界では、私自身が大学で統計確率を勉強したときと比べるとものすごく確率論が発達しているのですが、残念ながら水文のほうは、ある意味で「エイヤ」と決めるところもあるものですから、確率論が精緻になっていないのです。本当はこの分野は学会でも大いに議論していただきたい。行政としてはいろいろ悩みながらやっています。一つ一つ聞かれると、それぞれの河川で解析手法の歴史を語っているのだと思います。ご意見ありましたらどうぞ。
(委員) 委員長のお話で、むしろデータの制約でそうなっているというのがよく分かりました。前にもここの委員会で言いましたが、確率論も世界的にはというか、気候変動がある、定常確率ではない、変化しているという最先端の研究が実はあるのです。国際水文科学会(International Association of Hydrological Sciences)の最近の論文集はそんなものばかりです。
 ですけれども、ここにもデータの問題があって……。我々の問題は異常値の話ですから、だからデータがちゃんとあるかどうかが決め手なので、そこが非常に悩ましいところです。ですからチェックのときにいろんな方法でやってみたというのも意味があって、それ以上のことが非常に言いにくいんだと思います。
(委員長) では、○○委員どうぞ。
(委員) 鳴瀬川の件で、61年の水害を契機に「水害に強いまちづくり」を進められていて、大変結構なことだと思います。ただ、これに関連して2つあるのですが、こういう流域対策といいますか、土地利用対策と河川整備の関係、バランスというようなことをどう考えるかということが第1点です。
 鹿島台町の町長さんも大変苦労されて、一番大変なのは水が抜けない問題、長期にわたって非常に冠水が続くこと。これは河川整備計画の話だろうと思うのですが、そういう長期に冠水するようなところの問題を、基本方針ではどう考えるのかという視点があまりないように思います。その2点について、お考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
(委員長) これは解けない謎です。実は「水害に強いまちづくり」については、私は昭和61年水害で本省担当課長をしていました。大水害に打ちしおれている町長の顔を見て「水害に強いまちづくりをやりましょう」というのであの構想を持ちかけたのですが、それから5年ぐらい全く動かなかったので、担当者が替わると哲学が変わるのかなと思います。
 これからは、河川を整備するということと流域対策を実施することをどう進めるのか、川を整備してから流域を整備するのか、川と流域を一緒に整備するのかというのは、結局地域の皆さんがどう受け止めるか。そのための効果が、どっちが早いのかということになるのかなと思います。
 今聞かれても、事務局も川ごとにとか、それぞれ出先で決めるとか言いようがないでしょう。吉田川沿川の広大な土地があのとき10日間ぐらい水浸しになって、大海原になっていました。あの地域としてはもう悲嘆に暮れただろうと思うんです。そういう現地を見てこれをやりましょうと提案しました。水害が終わった後になると、まず川をしっかり整備するほうが先だという哲学に戻ったりする。そのときそのとき、それに対応する地域との関係かなと思います。事務局に聞いても、ケースバイケースとしか言いようがないでしょう。
(委員) ある意味では、整備計画を地域で議論する段階で、そういう動きが出てくることを期待するということでしょうか。
(委員長) そういう意味では、先ほどの○○委員から、江合川の水を簡単にもってきてもらっては困るというのは説得力があって、非常に分かりやすいので、整備基本方針の中にも、整備計画を作るときの考え方を折り込んでいただきたいなと思います。少なくとも○○委員が困るような水はもってくるなよという意味のことは書いておいたらどうかなと思います。次の本文のときに議論させていただきたいと思います。
 時間が非常に少なくなりましたので、各委員に一言。
(委員) よろしいですか。九頭竜川の件でちょっとお聞きしたいのですが、日野川、足羽川、それから九頭竜川それぞれで検討するということでございますが、そういったことをしたときに、例えば合流点ですね、例えば計算でいきますと下流端条件ということになりますが、そういったものをどう考えるのかということを知りたいのです。
 というのは、下手をすると、この流域にも計画規模の雨が降る、こっち側の流域にも計画規模の雨が降る、そういう場での下流端条件を設定している可能性が出てくるのではないかと、そういう危惧を持つんです。その辺の、それぞれの川で基準点の流量、基本高水を決めるのはいいのですが、全体としてそういった合流点での洪水の評価の仕方というのはどのようにされているのか、ちょっと教えていただきたい。
(委員長) これについては、現在の九頭竜川に限って、もし説明できればお願いします。
(事務局) 全体は九頭竜川のやつをやって、ほかの川でも基準点を例えば上流に設けているように、日野川のところから上は日野川で計算をし、足羽川はそこから上を計算するという手法で……。
(委員) いや、それはいいんですけど、合流点、境界条件です。
(委員長) 今のご質問は、例えば九頭竜川本川がピーク流量のときに、日野川のピークをぶつけるのか、そうではなくてこっちはどんな水位にしているのか。何年でしたか、四十何年と何年をどうぶつけるのとかですね。
(委員) そう、そう。そういうことで悩むわけですね、下手すると。
(委員長) それをどう考えているのかという質問です。
(事務局) ちょっと詳しくもう一回調べますが……。
(委員長) 次の機会に整理していただいて……。
(事務局) さっきも申し上げたように、九頭竜川全体の中での差をどうするかという計算がベースになっていると思いますので、ちょっと調べて……。
(委員長) 整理してください。
(委員) それから間違いだと思うのですが、5ページの表で、日野川の「中角」というのは「深谷(フカヤ)」の間違いですね。深谷(フカタニ)ですか、何と読むんでしょうか。日野川には中角という基準点を設けているんですか。
(事務局) 下の表ですね。すみません。失礼いたしました。下の表で基準地点が「中角」になっていますが、「深谷」の間違いです。
(委員長) それから前は、足羽川で前波というところが基準点に載っていましたが、これは今回初めて天神橋に基準点を替えるということですか。
(事務局) ちょっと観測地点の関係で、ほぼ同じ、前波と同じでございます。
(委員長) それでは、○○委員、ご意見ありますか。
(委員) ありません。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 九頭竜川ですが、資料の2−2の11ページ、左の一番上ですが、課題、真名川ダム上流うんぬんとあって、「との指摘がある」というふうに書いてあるのですが、指摘だから答えにくいのかもしれませんが、「山林の荒廃が進み、洪水後の放流水の濁水が長期化している」とあるのですが、山林の荒廃というのは崩壊が多いという意味なんでしょうか。ちょっと教えていただきたい。
(事務局) そのようなことだと伺っています。
(委員長) ○○委員。
(委員) 特にございません。
(委員長) そうですか。○○委員。
(委員) 自然環境について一言申し上げます。3河川それぞれ非常にうまくまとめられているのですが、表記の仕方がちょっと違いまして、九頭竜川の場合には「特徴と課題」というのがきちんと分けて11ページに書かれているのですが、鳴瀬川とか高津川の場合には特徴だけが書かれていて、それの課題が絞り出されていません。本文を見せていただくときに非常に見づらいという点がありますので、次回に少なくとも書式については、河川で同じようにまとめていただけないかという要望です。
(委員長) そのほか、特にご意見がある方は。
(委員) 1点目は背割堤の安定性についてです。鳴瀬川と吉田川の合流点、背割堤の付近を掘削拡幅するということですが、あの付近は相当水深が大きいところです。背割堤は、その建設時に検討された断面を持っているはずです。そこの河床を1〜2m掘削することになっていますが、背割堤の安定性を十分検討されたのでしょうね。昭和61年に吉田川の堤防が切れたりしているものですから、ちょっとその辺が心配なので、教えていただきたい。
 2点目は、足羽川は破堤したという重い事実があります。足羽川について、これまで現地を見せていただいたり、ご説明を受けたりしたのですが、なお疑問を感じていますのは、破堤点付近が大変妙な水面形をとって流れている事実があります。破堤点付近の水面形が異常な形、すなわち、上に凸が下に凹に変わっていくような水面形が、ほぼ平らなところから急に折れ曲がるところの直上流側で起こっています。
 こういう水面形のところでは、多くの破堤が起こっている事実があります。従って、このような水面形を解消しない限り、流下能力のない場所ですので、今後どう解消するのか大変大きな問題だと思います。
 密集市街地ですから低水路幅を広げ、2m掘削するというぎりぎりの選択をしているのですが、整備計画の中でこの課題をしっかりと見極めながら、どのように水面形が改善されていくのかとか、水位がどう変わろうとしているのかといったことは、しっかりと見極め、判断していかないといけない場所だと私ははっきり言っておきたい。
 当然、県も国もそこについては十分検討しているとは伺っていますが、それでもなお申し上げておきたいと思います。1点目は、背割堤をどう考えているのかということについて質問したいと思いますが、今日、無理であれば次回で結構でございます。
(委員長) それでは、その背割堤の件については、次回、考え方はしっかりと示していただきたい。特に背割堤が重要な水系でもございますので、どんなふうに整備していくのかという考え方も反映させて、方針案を審議したいと存じます。
 まだいろいろとご意見があると思いますが、本日はこの辺で審議を閉じたいと思います。一応、これまでの審議で今日示されました基本高水のピーク流量、計画高水流量、あるいは正常流量の流量については、提案どおりでいいという皆さまのご判断だったと思いますが、よろしゅうございますか。それを基本に、次は、「河川整備基本方針本文(案)」を議論したいと思います。
 本日は資料として、河川整備基本方針の本文案とその骨子である資料が用意されていましたが、時間の都合でその紹介がありませんでした。次回は、本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくことになりますが、本日配付された資料も含め、お気付きの点がありましたら次回以降の議論にも反映できるようあらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 今日、私などが申し上げた点について、あるいは各委員から出た点について、また必要に応じて本文案に反映させていただきたいと思います。事務局におかれましては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて、本文案に必要な修正を加え、次回改めて紹介するようお願いします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課、及びインターネットにおいて、一般に公開することとします。本日の議題は以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。




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