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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第30回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年12月19日


2.議事
利根川水系の河川整備基本方針の策定について

(委員長) 近藤でございます。本日は委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 前回は利根川水系の河川整備基本方針に記載すべき事項につきまして審議いただきました。本日は前回の審議を踏まえて、利根川水系河川整備基本方針の本文案について審議をいただきたいと思います。
 なお、首都圏のダム問題を考える市民と議員の会との連名で利根川水系河川整備基本方針の策定に関する再意見書が事務局に届いております。私は先ほど見たわけでございますが、事務局からこの件については説明をお願いしたいと思います。
 私の見たところ、洪水調節施設の整備は八ツ場ダムが最後であると事務局が説明したという件。それから、これは烏川、利根川に合流する高水流量を従前の計画と同様毎秒8,800m3/sにすること。計画高水流量が従前の値よりも小さくなるはずではない、同じ計画高水流量が踏襲されていくことはそれがさほどの治水機能を持たないことを単にめくらましのために決めているのではないかという、これは下久保ダムの治水機能の状況や烏川の河道内調整池の問題についてであります。
 3点目は、従前から過大な基本高水流量を再検証すべきである。これはもう前回議論は済んでいると思いますが、つけ加えることがあったらお願いします。
 それから、中川の洪水流量が毎秒500m3/sが江戸川の洪水ピーク流量に加算されていない。これも前回既に説明を十分お聞きしております。小貝川については毎秒1,300m3/sの洪水が利根川に合流したにもかかわらず、利根川への影響がゼロとなっているという問題について、これも前回議論がありましたが、整理して説明をお願いします。
 これらも踏まえまして、前回出ました議論と合わせて事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) 河川計画課長の布村でございます。座って説明をさせていただきます。
 まず、資料1というA3の横長の資料がございますので、前回ご指摘があったお話を用意してございますので、お話をさせていただきます。1枚めくっていただきまして、これは今の委員長のご紹介にもありましたが、もともと委員の方からもご指摘ございました点でございます。利根川の流入支川、特に小貝川につきまして取扱いといいますか、特に表記の方法の議論かなと思っておりますが、説明をさせていただきます。
 表記の方法と申し上げました一番上にございますように、治水計画の考え方というところは、昭和55年の工事実施基本計画が左の方に書いてあります。それから、今回の案が右でございますが、渡良瀬川、常陸利根川、霞ヶ浦でございますが、これは両方とも遊水池、それから常陸利根川の方は霞ヶ浦という池がございますので、ここからの合流は本川のところに、本川のピークのときには合流を考えないという対応でございます。これは今回のものも同じでございます。
 それから、鬼怒川でございますが、上流のダム群で洪水調節を行います。それを調節後のものにつきましては本川の方へ少し入って行きますが、本川の洪水が一番ピークになりましたときも鬼怒川からは入ってくるわけでございますが、この部分については田中、菅生、稲戸井という3つの調節池などで調節をいたしまして、本川の計画高水流量をこの鬼怒川の分だけ増加するというようなことはないようにしようと、これは前の思想でございますし、今回も同じです。
 小貝川につきましては、これは11月9日のこの委員会の場でご説明を申し上げたことではございますけれども、従前は小貝川につきましては上流の遊水地で調節をいたしますが、残りの洪水量がございます。小貝川そのものとしては大きな洪水の量があるんですが、本川のピークのときはそれよりも時間の差がありますので小さくなりますが、それでもその分は500m3/sあると。これは左下に、小さい一番下に絵が書いてございます。これがこれまでの工事実施基本計画の流量の配分図でございます。今ごらんいただきました渡良瀬遊水地は(0)となっております。それから、常陸利根川は(0)となっています。それから、鬼怒川につきましては5,000m3/sと書いてございますが、括弧書きはございません。小貝川が、今申し上げていたのが、小貝川そのものとしては一番大きいときは1,300m3/s、この上に遊水池がございますので、もしくは今後整備するものも含めまして1,300m3/sに落とすわけですけれども、本川のピークのときと小貝川のピークとは時間的にずれてございますから、本川のピークのときは小貝川が500m3/s入ってくるだろうとしております。これを右上のところをちょっとお戻りいただきまして、今回の基本方針の案の中では上流の遊水池の調節は同じようでございますが、その後のデータその他評価をいたしまして、本川のピーク流量時における本川の方が流量がピークのときにおけます小貝川の合流量は、例えばというのでその下に合流量の資産というのがございますが。赤字で小貝川の250と書いてあるのがこの分に当たるわけでございますけれども。利根川本川が一番洪水が多く流れているときは、大体、この昭和22年のケースですと250m3/sぐらいであるということで。この分を先ほどの鬼怒川と同じように田中、稲戸井、菅生などの調節池で調節をいたしまして、鬼怒川と同じように利根川の本川の洪水量を増加させないというか、負荷を与えないというふうにしようというものでございます。従前は500m3/sがそのまま下流の方へも流れていくわけでありますが、調節池でためまして負荷をふやさないことにしようというのが今回の小貝川の変更点です。
 これは下の真ん中の絵を見ていただきますと、各川の上の黒字で書きましたものが各川のピーク流量です。鬼怒川ですと、例えば鬼怒川単独では5,000m3/s、小貝川単独では1,300m3/sということでありますが。それから、利根川本川のは10,500m3/s、10,500m3/s、10,500m3/sというのが3つ並んでございますように、余りこういうところの流量を増加させないようにということでございますけれども。鬼怒川、小貝川の赤字で書いてあるのが利根川本川の方がピークになりましたときの鬼怒川とか小貝川から入ってきます洪水の量です。この分を菅生、稲戸井、田中調節池で調節することによりまして、今の10,500m3/s、10,500m3/s、10,500m3/sというのを変えない。細かい数字はこの22年のパターンですと10,390m3/sとか10,110m3/sとか10,350m3/sでありますが、こういうようなふうにしようということであります。
 この辺のご説明は11月9日に申し上げているわけですが、これを今度どういうふうに記載しようかというのが右下の図でございます。全国的な並びもございまして、今こういう合流量で括弧書きをしているものをしてございませんので、(0)とか、渡良瀬遊水地のところ、常陸利根川のところは書いておりましたものを消してございます。それから、小貝川とかの括弧書きのものも記述をしない。
 ただ、下の本文の記述とございますように、これはまた本文をごらんいただければわかるんですが、先ほど来あります支川から入ってきますやつを渡良瀬川と常陸利根川につきましては全量そこでカットするといいますか、本川には負荷を与えない。それから、鬼怒川、小貝川につきましては幾分入ってきますが、回りの菅生、稲戸井、田中などの調節池で結果的には負荷を増加させないということをするということを文章の中でしっかりと書くというようなふうにしてどうかということでございます。
 文章そのものは一番右下でございますが、計画高水流量は八斗島において16,500m3/sとし、それより下流の広瀬川等の支川合流量を合わせ、また渡良瀬川の合流量は渡良瀬遊水地の調節により、本川の計画高水流量に影響を与えないものとして栗橋において17,500m3/sとすると。その下流ですが、関宿においては江戸川に7,000m3/s分派し10,500m3/sとし、また鬼怒川及び小貝川の合流量は田中調節地等の調節により本川の計画高水流量に影響を与えないものとして、取手、布川において10,500m3/sとする。
 また、その下流において、放水路により1,000m3/sを分派して佐原において9,500m3/sとし、常陸利根川の合流量は常陸川水門の操作により本川の計画高水流量に影響を与えないものとして、河口の銚子において9,500m3/sとするというようにしてはどうかというのでございます。
 次、もう1枚おめくりいただきまして、委員からのご質問で、別な話題でございますが、正常流量と実績流況との関係についてご指摘、ご質問ございました。利根川大堰の上流と栗橋地点の値でございます。ちょっとこれだけ見るとわかりにくいんですが、前回の資料ではこのかんがい期、非かんがい期を分けない、下の平均低水流量と平均渇水流量につきましては年間を通じたものを書いてございました。正常流量については、かんがい期、非かんがい期を分けて設定をするようなお話をさせていただきました。お尋ねは、それぞれかんがい期、非かんがい期と見たときの平均低水流量ですとか平均渇水流量に、これは相当するものということになりますけれども、どのくらいかということでございます。
 利根大堰上流地点でごらんいただきますと、正常流量としていっておりますのが、かんがい期115m3/s、これに対して平均低水流量は、通年ですと103.5m3/sなんですが、かんがい期だけ見ますと136m3/sと。渇水流量におきましては通年だと79m3/sなんですけれども、かんがい期では91.7m3/s。非かんがい期の方も同様でございますが。正常流量45m3/sに対しまして、ここの期間だけ見ましたときの低水流量は87m3/s、それから渇水流量で76m3/sということでございます。というので、このパターンだけ見ますとかんがい期の渇水流量のところに穴が空いているといいますか、そこの部分が存在しているということでございます。
 同様に、栗橋地点につきましてもかんがい期、非かんがい期を分けて低水流量や渇水流量を書いてみております。通年ですと低水流量108m3/sですが、かんがい期だけ見ますと133m3/s、非かんがい期で見ると94m3/s。渇水流量にいたしますと通年ですと77.3m3/sですが、かんがい期だけ見ますと77.9m3/s、非かんがい期で見ますと83.1m3/sということでございます。
 下に注書きがございますように、実際の渇水とか低水は365日のうち何日とかということですので、それに相当するぐらいのものとしてはこのぐらいのものになってございます。
 それから、もう1枚おめくりいただきまして、水質事故等の関係につきまして後で環境課長の方からお話をさせていただきますので、私のを先に続けさせていただきますが。今、委員長からもお話がございました意見書に関連してでございます。八ツ場ダムがまず最後というお話がございました。これは前々回ですか、委員からのご質問もあって説明をさせていただきましたが、参考資料8というのがございます。A3版の横長のものでございます。参考資料8の9ページでございますが。利根川の八斗島という地点より上流の治水対策というのがどういうふうなことかという資料でございます。ここにもございますように、ちょっといろいろな言葉があって誤解があるのかもしれませんが、後で河川整備基本方針なり現在の工事実施基本計画も利根川の八斗島上流は2つに大きく区分されていまして、1つは利根川本川の方、もう1つは烏川です。別途に記述をしております。利根川本川の部分につきましては、ちょうど八ツ場ダムが事業中でございます。それから、右上のグラフ、右側の図でございますけれども、図にございますように、烏川の下久保ダムなどと相互運用といいますか、再編をしようというダムがこの奥利根流域のダムの中にあります。
 これは左下のように、これは絵で書いてございますけれども、ダム容量再編・嵩上げということで下久保ダムの現行の図がありますが、右側の再編後というように下久保ダムの方は治水容量をふやそうと。それから、振替のものが新設というのがございますが、これが右上のグラフのように赤と青の矢印で行って来いになっておりますが、こういう奥利根流域にこの振替ダムの新設の分はこの資料のとおり必要なわけでございます。この振替ダムの新設の分と八ツ場ダムとを考えれば、先ほど申し上げました烏川以外の利根川本川のところのダムは大体充足するのではないだろうかというご説明を申し上げましたし、委員の方からもこのページについてはご質問がありましたのでそういうお答えを、新設があるのかというのでありますというような話を申し上げておりました。
 それから、烏川の2点目の点でございますが、烏川のお話は、これはちょっと後でさっと全体の本文をごらんいただこうと思いますが、本文を今ちょっと、恐縮ですが資料3の本文の方にちょっと見ていただきたいと思います。29ページですね。ちょっと28ページもごらんいただければと思いますが。28ページは利根川本川の全体の系を書いてございます。このうち29ページから少し大きな支川とかについて個別に書いているわけでございますが。八斗島の上流には本川と烏川と両方入ってきます。この烏川のお話が29ページに出てきます。これは今利根川の合流量のところが8,800m3/sとなってございます。これは数字が変わらないじゃないかというお話がありますが、もともと烏川の計画高水流量につきましては下久保ダムだけでは到底足りないというようなことで幾つかのダムの想定をしておりましたところ、これも前ご説明申し上げましたが、烏川の遊水地みたいなものがそれなりの河道の特性から検討できますので、そういうものを考えようというお話をしております。
 8,800m3/sが変わらないからおかしいじゃないかというのは、何もそのダムでつくろうとしておりますものを遊水地でするというので、同じ洪水調節効果を別な施設でやろうというだけですので、治水計画上は何ら変わることはないのは当たり前でございます。
 それから、先ほどのお話を申し上げました以外では、ご指摘の部分は以上でございます。先ほどちょっと委員からのご質問の資料も含めて、以上でございます。
(事務局) すみません、もう1つだけございます。資料1の補足説明資料の3ページでございます。前回水質事故のときの連絡系統についてのご質問ございました。左の上をごらんいただきたいと思いますけれども。利根川の水質汚濁対策に係る連絡協議会の構成は左上のとおりでございまして、関東では8水系で1つの協議会を構成しておりまして、下に幾つかの水系ごとに部会を設けております。
 主な役割は、各部会ごとに水質事故時の連絡及び連絡通報体制の整備、それから水質調査や解析に関する情報交換のほか、水質事故の現地対策訓練の実施などを行っております。
 右上の図が連絡体制でございまして、ちょっと簡略化してはございますが、実際のものは電話番号等も含めて関連する機関について河川ごとに細かく決められております。ちなみに、青っぽく塗られた色は連絡協議会のメンバーでございます。
 それから、左の下に水質事故の経年変化ございますけれども、赤い色が利根川でございますけれども、利根川水系だけでも年間200件の水質事故が報告されております。これは水質事故がふえたことも考えられますけれども、連絡体制が整備されて発生した水質事故が漏れなく報告されていることもあるかもしれません。
 それから、右の下でございますが、水質事故の主な原因物質でございまして、青い色の油の流出が3分の2を占めておるということでございます。
 参考でございますが、全国の一級水系、109水系につきましては平成3年までにすべての協議会が設立されております。
 以上でございます。
(委員長) ご苦労さまでした。
 それでは、ただいまの事務局の補足説明についてご意見を賜りたいと思います。この資料の1ページは○○委員の質問に由来する説明だったと思いますが、いかがですか。
(委員) 説明ありがとうございました。私もそういう理解をしていたんですが、図が少しわかりにくかったということで、今度の新しい1ページの右下の図ですと非常にわかりやすくなった。唯一、多くの人がこういう河川の専門家でないので、例えば小貝川1,300m3/sであってそれが利根川のピークに対してはゼロなんだけれども、小貝川独自としてはピーク流量はこういうものでつくらなきゃならないと、計画上こういうような河道にしなきゃならないということをわかってもらうことが多分必要なんだろうなと思いつつ聞いていました。
 私としては、前回のゼロと書いたり何も書いてなかったりするのに比べたら、今度は書いてないのはもうそこで完全に貯留してしまおう、それから書いてあるのは独自の川のピーク流量で、利根川本川の方は本川の中に書いてある数字で流量配分が行われるということで、非常にわかりやすくなったし、ご説明は十分理解いたしました。
 以上です。
(委員長) 2ページ目は○○委員の意見に対する資料だと思いますが、本文の方はまた後ほどということにして、資料は資料として。
(委員) ありがとうございました。
(委員長) 3ページ目は、○○委員のご意見に対してですが、実情はこういうことですけれども、ご趣旨は河川整備基本方針に書いてはどうかということでした。私としては、まあ、管理的なものなので整備方針に書くよりも今後管理基準みたいなものに則して明記してはどうかというのが私の意見でしたが。今回のアウトプットはどうなっていますか。
(事務局) 書いてございません。ただ、ちょっと法的な議論をしますと、管理方針とか管理計画は、河川整備基本方針とか河川整備計画の中で法改正することなく書けばよろしいようでございます。今後の議論にさせていただきたいと思います。
(委員長) その辺は長期的に議論を深めたらいいと思います。
 それから、再意見書について先ほどご説明した、ちょっと長くなるとだんだんわかりにくくなるので、明快にはっきり。洪水調節施設の整備は八ツ場ダムが最後であるといったことに対して、はっきり答えていただきたい。
 それから、烏川、神流川については本文案の説明のときにこれ出していただくという整理でいいですか。
(事務局) すみません、八ツ場ダムについてもお答えをして烏川についてもお答えをしたつもりではございますが、八ツ場ダムにつきましては今申し上げたような構図でございますので、再編でつくる新設のダムは上流側に1つか2つかわかりません、検討しなければいけないというのがあると思います。その全部と八ツ場ダムが終わればその上流側にはございませんというご説明を前回申し上げたので、このいただいた文章は部分的なものを見たら誤解があるというものかと思います。八ツ場ダムが最後というのはそういう意味ではないと思います。
(委員長) それから、従前から過大な基本高水の再検討を云々というのは前回皆さんのご意見を集約しております。
 それから、中川の洪水ピーク流量と小貝川の問題についてはただいま説明があったということで、補足説明についてはよろしゅうございますか。
 それでは、引き続きまして、利根川水系河川整備基本方針の本文案について、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) それでは、続けてご説明をさせていただきます。資料2、それから資料3をごらんいただきたいと思います。資料3の方は左側が工事実施基本計画、現在のものです。それから、右側に河川整備基本方針の案を併記させていただいてございます。資料2の方はこの河川整備基本方針(案)の骨子をとりまとめたものでございます。ちょっと長い文章でございますので、最初の、特に全体像、概要につきましての部分は骨子の方でお話をさせていただきたいと思いますが。大体両方ごらんいただければと思います。
 本文の方は1枚めくっていただきましたところに目次がございます。もう1枚めくっていただいたところに下に1ページとなっているものがございます。最初に河川の総合的な保全と利用に関する基本方針、流域及び河川の概要ということでございます。ちょっとこの部分からは骨子の方を見ていただければと思いますが。基本的には水源から河口までの概要をそれぞれの場所の話を踏まえて書かせていただいています。幹川流路延長、流域面積、流域の土地利用など。それから、利根川が古くから日本一の大河という意味を込めて「板東太郎」と呼ばれ親しまれてきたこと。それから、首都圏、さらには日本の政治、経済、文化を支える重要な川であること。それから、流域の地形、地質、年間降水量等について記述をさせていただいております。
 流域の自然環境につきましては、利根川の源流部から渋川市に至る区間、風光明媚な渓谷の景観を呈しております。イワナ、ヤマメ等の渓流の魚が生息をしている。渋川から熊谷に至る区間、蛇行河川が形成され、礫河床の瀬はアユなどの産卵や生息の場になっている。それから、熊谷から取手までに至る区間につきましては広大な河川空間が形成され、オギ・ヨシ群落にはオオヨシキリ、セッカ等の鳥類が生息していること。それから、印西から利根川河口堰に至る区間は,ヨシ・カサスゲ群落が広がる。また、高水敷は我が国有数のオオセッカの繁殖地を形成している。それから、汽水域のヨシ原は重要種のヒヌマイトトンボ等の生息地であること。それから、渡良瀬川は礫河原が形成され、瀬と淵が連続していること。それから、渡良瀬遊水地には我が国最大規模の約1,500haに及ぶヨシ原等の湿地が広がり、多様な動植物が生育、生息しているけれども、近年乾燥化が進行し、良好な湿地環境が消失しつつあること。それから、鬼怒川は礫河原固有のカワラノギクなどが見られますが、近年高水敷や中州の樹林化等により礫河原が消失しつつあること。それから、小貝川は下妻市付近では河道内にクヌギ等の雑木林とワンド等の湿地環境があって、オオムラサキなどが生息していること。霞ヶ浦の湖岸には湿性・抽水植物群落が広く見られるが、近年波浪により侵食等により減少しつつあること。それから、江戸川河口部の汽水域の干潟には日本の北限とされるトビハゼが生息していること。利根運河は現在緑豊かな水辺の回廊として市民の憩いの場になっていること等を記述してございます。
 その次に、水害の歴史と治水事業の沿革でございますが。近世以前の利根川は東京湾に注いでおりましたが、江戸時代の初期約60年間において数次にわたって付替え工事が行われ、太平洋に注ぐ格好になっていること。この一連の工事、「利根川の東遷」と言われておりますが、これによって現在の利根川の骨格は形成していること。
 あと、利根川本川でございますが、明治33年から改修工事、明治43年の出水によって計画を改定し、5年に竣工、昭和14年には利根川増補計画で渡良瀬遊水地を洪水調節機能を持たせて、また下流部には利根川放水路が位置づけられたこと。昭和22年のカスリーン台風での大水害を受け、昭和24年に上流部のダムを初めとします洪水調節施設なを入れました利根川改訂計画というのができている。それから、昭和40年の新河川法施行に伴いまして利根川改修改訂計画を引き継いで工事実施基本計画ができたことから、流域の経済、社会の発展にかんがみまして、昭和55年に現在の基本計画の方に改定がされていること。
 それから、藤原、相俣、薗原、矢木沢、奈良俣の5ダム及び酸害の防止のための品木ダムが完成、八ツ場ダムが建設中。利根川中流部(八斗島〜取手)の部分につきましては大規模な引堤のほか、渡良瀬遊水地、田中調節地、菅生調節地が慨成し、稲戸井調整池を現在整備中であること。それから、利根川下流部(取手〜河口)、北千葉導水路、利根川河口堰を建設したこと。それから、超過洪水対策として昭和62年に高規格堤防整備に着手。
 あと、烏川が昭和8年から改修工事で下久保ダムをここで整備したこと。それから、渡良瀬川は明治43年から改修に着手し、草木ダム完成し、思川上流では南摩ダムが建設中。鬼怒川、昭和元年から改修に着手して、五十里、川俣、川治などのダムが完成し、湯西川ダムを建設中。小貝川が昭和8年から着手いたしまして、昭和61年8月には大きな洪水がございまして、昭和62年に計画改訂して、母子島遊水地が完成していること。常陸利根川につきましては昭和23年から改修に着手、昭和45年からは霞ヶ浦の開発事業として始まって、霞ヶ浦等の水質浄化、都市用水開発を目的としました流況調整河川の霞ヶ浦導水も事業中であるということ。江戸川が明治44年から利根川改修、改訂計画に位置づけられ、関宿水閘門、江戸川水閘門、行徳可動堰が完成、超過洪水対策として昭和62年に高規格堤防の整備に着手。中川は大正5年から改修。綾瀬川放水路などの放水路、それから大規模地下放水路であります首都圏外郭放水路が整備中。流域の保水・遊水機能の維持など、総合治水対策を昭和55年から実施していること。あと、砂防事業としまして、明治15年3月に榛名山東南麓で行ったものが最初の直轄事業、それから鬼怒川、渡良瀬川の砂防事業の実施。
 それから、河川水の利用としまして、31万haに及びます広大な農地のかんがい用水、あと1都5県の8割に当たる2,750万人の水道、工業用水として利用されていること。各用水が幾つかのネットワークとして、利根川、荒川、利根川、江戸川などをネットワークとして利用されていること。それと、水力発電がいろいろ上流の方その他であることです。
 それから、水質につきまして、本川、中下流部の環境基準を若干上回っています。それから、中川と都市域の河川、霞ヶ浦との閉鎖性水域の湖沼における水質汚濁が著しいこと。
 それから、綾瀬川では清流ルネッサンスを策定し、水質改善に努め、江戸川では坂川の水を浄化、浄水場、下流にバイパスさせる流水保全水路などが整備してきていること。
 あと、河川の利用につきましては、上流部の渓谷でのラフティングでありますとか、中流部の高水敷を利用したスポーツだとか、下流部の水郷地帯の舟運、その他についてご紹介をしております。それから、霞ヶ浦での帆曳船が観光船として運航、江戸川は都区内の広大なオープンスペースとして多くの人々が利用していること等を書いてございます。
 ちょっと個別の文章は省略させていただきましたが、今のようなことを14ページの真ん中ぐらいまで、概要として書かせていただいております。
 それから、本文の14ページでございますが、真ん中ぐらいの(2)から河川の総合的な保全と利用に関する基本方針ということで、こういう状況を踏まえてどういうふうな整備等をしていくかということでございます。ここは本文の方をごらんいただければと思いますが。ちょっと読まさせていただきます。
 利根川は我が国の社会経済活動の中枢を担う首都圏を抱える関東平野を貫流する国土管理上極めて重要な河川である。そのため、洪水から貴重な生命、財産を守り、地域住民が安心して暮らせるよう、これまでの河川整備の経緯、沿川の社会的状況や河川の状況の変化等も踏まえて、水系全体のバランスのとれた治水安全度をより早期に、かつ、確実に向上させる。また、広大な関東平野の農業用水や首都圏の社会経済活動を支える都市用水を広域ネットワークの構築により安定的に供給する。さらに、渓谷、礫河原、湿地、湖沼、汽水域等様々な形態の河川環境が存在しており、良好な景観及び多様な動植物が生息する豊かな河川環境を整備・保全するとともに、都市内及び近郊の身近なオープンスペース、自然とふれあえる場として多くの人々に利用されていることから、自然共生型の整備を図る。
 そのため、関係機関や地域住民と共通の認識を持ち、連携を強化しながら、治水・利水・環境に関わる施策を総合的に展開する。あわせて、災害発生の防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持及び河川環境の整備・保全の観点から、河川の有する多面的機能を十分に発揮できるよう、河川の維持管理を適切に実施し、治水・利水・環境を含めた水システムを維持向上させながら次代に継承する。
 このような考え方のもとに、河川整備の現状、森林等の流域の状況、砂防や治山工事の実施状況、水害の発生状況、河川の利用の現状(水産資源の保護及び漁業を含む。)、流域の歴史、文化並びに河川環境の保全等を考慮し、また、関連地域の社会経済情勢の発展に即応するよう首都圏整備計画、環境基本計画等との調整を図り、かつ、土地改良事業、下水道事業等の関連事業及び既存の水利施設等の機能の維持に十分配慮し、治水・利水・環境、土砂管理等は相互に影響し合うものであることを踏まえて、水源から河口まで一貫した計画のもとに河川の総合的な保全と利用を図る。
 なお、河川整備は長期間を要するものであることから、整備途上の各段階でもできるだけ便益を提供できるよう効果的かつ効率的に整備を進めるため、各段階での目標を明確にして段階的な整備を実施する。
 治水・利水・環境にわたる健全な水循環系の構築を図るため、流域の水利用の合理化、下水道整備等について、関係機関や地域住民と連携しながら流域一体となって取り組む。
 河川、治水・利水・環境の総合的な進め方の基本についてでございます。
 次、アから、今度は治水ということで災害の発生の防止又は軽減ということでございます。
 災害の発生の防止又は軽減に関しては、利根川は流域面積が大きく支川も多いため防御すべき地域も多いことから、それぞれの地域で特性にあった治水対策を講じることにより水系全体としてバランスよく治水安全度を向上させることが利根川水系の治水の基本であるとの考え方のもと、現況の河川の安定状況も踏まえ、洪水をできるだけ河道で分担して処理するものとする。また、河道で処理できない流量については、上下流や本支川のバランスに配慮しながら、河道が有する遊水機能を一層増強し洪水を貯留するとともに、既設洪水地位・節施設の徹底した有効活用を図った上で、洪水調節施設を新たに整備する。
 渡良瀬川、鬼怒川、小貝川等の大支川は本川に負荷を与えないよう洪水調節施設による洪水調節等を行う。
 利根川から江戸川への分派については、利根川の取手地点及び江戸川の松戸地点における計画高水流量を維持する。
 流域が低平地で内水被害が生じやすい地域では、本川等に負荷を与えない範囲で内水排除及び流域外への排水を実施する。
 堤防の新設・拡築・河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大、放水路の整備、護岸・水制等の整備を実施し、計画規模の洪水を安全に流下させる。なお、河道掘削等による河積の確保にあたっては、河道の維持、河岸等の良好な河川環境等に配慮する。そのため、河口部、狭窄部、支派川の分合流部、深掘れ箇所等において洪水の安全な流下、河床の安定を図るため、洪水時の水位の縦断変化、河床の土砂動態等について継続的な調査観測を実施し、その結果を反映した河川整備や適切な維持管理を実施する。
 人口資産が稠密な首都圏を氾濫域に抱えており、氾濫した場合の壊滅的な被害が予想される区間について、計画高水位を上回る洪水流量による浸透・越水等に対して高い安全性を有する高規格堤防を整備する。
 ここから個別の場所になります。
 利根川の取手から上流においては、利水容量と治水容量の振り替えを含むダム群の再編と嵩上げ、気象予測や情報技術の進展等を踏まえたより効果的な操作ルールの採用などによる既設洪水調節施設の治水機能の向上を図るとともに、洪水調節施設を整備する。また、ダム群の再編にあたっては関係機関と連携・調整を図るものとする。堤防の新設、拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。烏川においては、広い高水敷等を活用して河道の有する遊水機能を増強する。また、破堤した場合の被害が甚大となる江戸川分派点から上流右岸の高規格堤防整備区間について、高規格堤防の整備にもつながる緩傾斜堤防による堤防強化を実施する。
 利根川の取手から下流においては、堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。なお、河道掘削にあたっては、河口付近の河床の安定性に留意する。また、印旛沼を調節地として活用した放水路を整備する。なお、整備にあたっては、関係機関と連携・調整を行い、印旛沼の水質改善対策や周辺の内水対策にも配慮する。
 渡良瀬川においては、既設洪水調節施設の嵩上げや掘削、効果的な操作ルールの採用による治水機能の向上を図るとともに、支川の思川に洪水調節施設を整備する。堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。また、急流河川である上流部は、高速流による侵食、洗掘に対応して堤防強化を実施するとともに、河床勾配が緩やかで洪水時に利根川の背水位の影響を受けて高い水位が長時間続く下流部については、浸透に対する堤防強化を実施する。
 鬼怒川においては、既設洪水調節施設の掘削及び効果的な操作ルールの採用による治水機能の向上を図るとともに、洪水調節施設を整備する。堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。また、田川合流点付近から上流の広い河道と霞堤等を活用した遊水機能を確保できるよう、河道を適切に維持管理する。
 小貝川においては、洪水調節施設を整備する。堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。また、河床勾配が緩やかで洪水時に利根川の背水位の影響を受けて高い水位が長時間続く下流部においては、浸透に対応した堤防強化を実施する。
 霞ヶ浦においては、合流する利根川の水位の影響を受ける等により、高い水位が長時間続き、かつ、地形特性により高波浪等が発生するため、洪水位の低下を図るための対策を行うとともに、浸透、波浪、越波に対応した堤防強化を実施する。
 江戸川においては、堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。また、破堤した場合の被害が甚大となる三郷市付近から上流右岸について、高規格堤防の整備にもつながる緩傾斜堤防による堤防強化を実施する。河口部については、高潮対策を実施する。
 中川においては、流域が低平地で内水被害の発生しやすい地域であることから、流域内に洪水調節施設を整備するとともに、洪水の一部を流域外へ排水するための放水路等を整備する。堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる橋梁等の改築による河積の増大、護岸等の整備により計画規模の洪水を安全に流下させる。また、著しい都市化の進展に対処するため、開発に伴う流出抑制対策の実施等、流域の保水・遊水機能を適切に確保するなどの総合治水対策を推進する。
 内水被害の著しい地域においては、関係機関と連携・調整を図りつつ、必要に応じて内水被害の軽減対策を実施する。
 施設整備には時間がかかるため、整備途上で施設能力以上の洪水が発生したり、また、計画規模まで整備が進んでもそれを超える自然の外力が発生し洪水氾濫した場合においても被害の最小化を図るため、既存施設の有効活用を含め、地域ごとに必要に応じた対策を実施する。
 首都圏の壊滅的な被害を防止するため、利根川の小山川合流点から河口までの区間及び江戸川等においては計画高水位を上回る洪水流量に対して高い安全性を有する高規格堤防を整備する。
 堤防、洪水調節施設、排水機場、樋管等の河川管理施設の機能を確保するため、巡視、点検、維持補修、機能改善などを計画的に行うことにより、常に良好な状態を保持しつつ、施設管理の高度化、効率化を図る。また、内水排除や流域外への排水のための施設については、排水先の河川の出水状況を把握し、適切な運用を実施する。
 河道内の樹木については、河川環境の保全を配慮しつつ、洪水の安全な流下を図るため、計画的な伐採等適正な管理を実施する。
 本川及び支川の整備にあたっては、早期にかつ着実に水系全体のバラスンのとれた治水安全度の向上が図られるよう、段階的な目標を明確にして河川整備を展開する。特に、江戸川分派点の整備や本川上中流部の掘削等については、上流の洪水調節施設及び本川下流部の整備状況を十分踏まえて行うなど、本支川及び上下流バランスを考慮して河川整備を実施する。
 洪水等による被害を極力抑えるため、ハザードマップの作成の支援、地域住民も参加した防災訓練等により、災害時のみならず平常時からの防災意識の向上を図るとともに、既往洪水の実績等も踏まえ、洪水予報及び水防警報の充実、水防活動との連携、河川情報の収集、伝達体制、警戒避難体制の充実、土地利用計画や都市計画との調整等、総合的な被害軽減対策を関係機関や地域住民等と連携して推進する。また、防災基本計画に則して、復旧資機材の備蓄、情報の収集し伝達、復旧活動の拠点等を目的とする地域防災活動拠点及び輸送のための施設整備を行う。
 それから、次のページですが、利根川及び江戸川等は「南関東直下の地震により著しい被害を生じるおそれのある地域」に指定されており、堤防、水門等の施設の耐震対策を実施する。
 次、イが河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持でございます。
 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しては、渇水時における地盤沈下の防止、河川環境の保全、近年の少雨化傾向にも対応した利水安全度の確保のため、流水の正常な機能の維持のための必要な流量を計画的に確保する。
 このため、既存施設の有効利用を含む種々の手法による水資源開発施設の整備とともに、関係機関と調整しながら広域的かつ合理的な水利用の促進を図るなど、都市用水及び農業用水等の安定供給や流水の正常な機能を維持するため必要な流量の確保に努める。また、広範囲な水需要地域への供給、渇水時における被害の最小化を図るため、上流から下流までの地形特性を踏まえた水資源開発施設の整備により流域内及び他地域との広域水融通ネットワークを構築し、水資源の有効活用による効率的な水運用を実施する。
 利根川は流域が大きく云々ですが、河川流量を縦断的かつ時期的に的確に確保し管理するよう、流水の正常な機能を維持するため必要な流量を定める地点の他、利根大堰上流、利根大堰下流、布川等の多地点での低水管理を実施する。
 また、渇水や水質事故時における被害の最小化を図るため、情報提供・情報伝達体制を整備し、関係機関等々でございます。
 それから、次に23ページは河川環境の整備と保全です。
 河川環境の整備と保全に関しては、我が国最大の流域面積を有する利根川は、渓谷、高水敷、遊水池、湿地、礫河原、湖沼、干潟、ヨシ原等良好な景観を有し多様な動植物が生息・生育する豊かな自然環境があり、一方、都市内及び近郊に位置するため多くの人々がスポーツ、観光、自然観察に訪れるなど人とのかかわり合いが極めて高いことを踏まえ、現在の豊かな河川環境を保全する。
 このため、流域の自然的、社会的状況を踏まえ、河川環境の整備と保全が適切に行われるよう河川空間の利用については自然共生型のものへの転換や、関係機関との調整を図りながら河川の流況に応じたきめ細かい流量管理により良好な流域水環境の保全に努めるなど、空間管理等の目標を定め、地域住民や関係機関と連携しながら地域づくりにも資する川づくりを推進する。
 動植物の生息地・生育地の保全については、長大かつ広大な河道において多様な生態系を育む良好な河川空間の保全・形成及び生息・生育環境の上流から海域までの縦断的な連続性の確保に努める。また、流域に残る旧川、湿地、緑地等の良好な自然環境を水系の骨格としてつなぐネットワーク化及び多様な動植物が生息する湿地や汽水域、河川固有の動植物が生育・生息する礫河原等の保全・再生に努める。
 アユ等魚類の産卵・生息環境を保全・形成するため、瀬・淵の保全に努める。
 次ですが、良好な景観の維持・形成については、上流部の水上峡、諏訪峡などの山間渓谷美に富んだ渓谷や中流部の礫河原と田園風景、下流に広がる雄大な水郷地帯と調和した河川景観の保全に努める。市街地における貴重な空間としての水辺景観の維持・形成に努める。
 人と河川との豊かなふれあいの確保については、生活の基盤や歴史、文化、風土を形成してきた利根川の恵みを生かしつつ、自然とのふれあい、釣りやスポーツなどの河川利用、環境学習の場等を整備・保全を図る。その際、高齢者を初めとして誰もが安心して親しめるようユニバーサルデザインに配慮するとともに、沿川の自治体が立案する地域計画等との連携・調整を図り、河川利用に関する多様なニーズを十分反映した河川整備を推進する。
 水質については、生活雑排水や工場排水等により水質が悪化した綾瀬川、中川などの河川及び閉鎖性水域である霞ヶ浦、手賀沼、印旛沼などの湖沼等において、関係機関や地域住民等と連携を図りながら、流入汚濁負荷量の削減対策、河川・湖沼等の浄化対策などの水質改善に努める。
 河川敷地の占用及び許可工作物の設置・管理については、環境とか治水・利水等に配慮してということでございます。
 次のページでございますが、また、環境や景観に関する情報収集やモニタリングを適切に行い、整備や維持管理に反映させる。
 地域の魅力と活力を引き出す積極的な河川管理を推進する、そのため、河川に関する情報を地域住民と幅広く共有し、防災学習、河川利用に関する安全教育、環境教育等の充実を図るとともに、住民参加による河川清掃、河川愛護活動等を推進する。
 本川上流、中流、下流を分けておりますが、風光明媚な景観を形成する山地渓谷の保全。アユの産卵・生息場となっている瀬の保全。ヒヌマイトトンボが生息する汽水域のヨシ群落及び我が国有数のオオセッカの繁殖地となっているヨシ・カサスゲ群落等の保全。
 江戸川ではトビハゼ等の汽水生物が生息する河口部の干潟の保全。利根運河では、緑豊かな水辺の回廊としての人と水辺空間のふれあいの場としての河川環境の整備・保全。
 鬼怒川では、礫河原固有のカワラノギク等の生息環境の保全・再生のための礫河原の保全・再生に努める。
 渡良瀬遊水地では、多様な動植物が生息・生育できるよう治水機能との調和を図りながらヨシ群落等の湿地の保全・再生に努める。
 霞ヶ浦、手賀沼、印旛沼等の湖沼では、多様な動植物が生息できるよう、また湖岸景観を形成する湖岸植生帯の保全・再生に努める。
 次、26ページから2河川の整備の基本となるべき事項ということで、基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項でございます。利根川につきましては、それから渡良瀬川、鬼怒川、小貝川と書いてございますが、27ページの表−1をごらんいただきまして、それぞれ利根川、渡良瀬川、鬼怒川、小貝川、各計画基準点におきまして基本高水のピーク流量が22,000m3/sに対して洪水調節施設による調節量が5,500m3/s、河道への配分が16,500m3/sというので500m3/s、現在の工事実施基本計画から変更がございます。
 渡良瀬川、鬼怒川がありますが、鬼怒川につきましては下流の取手に対して調節をいたしますためのダムの効用をうまく運用いたしますとその分同じ施設も3,400m3/s調節できるということで、河道への配分量が5,400m3/sというふうに修正しておりますが、中身は変わりません。
 それから、小貝川につきましては、先ほどの1,300m3/s、上流の遊水池等で650m3/sでございます。
 (2)は主要な地点における計画高水流量に関する事項ということでございます。これはその次のページ、28ページに先ほどご説明させていただきましたような流量配分図がございます。まず、28ページは利根川の本川の全体でございます。
 それから、29ページは烏川でございます。これも先ほどの8,800m3/s、調節の関係で少し支川の数字が変わってございます。あと、主要地点は玉村の地点の方に修正しておりますが、特段のことはございません。記述については全国横並びの記述にしてございます。
 それから、30ページは渡良瀬川でございます。渡良瀬川につきましても基本的には変わってございません。少し石狩川等でご検討いただきましたようなことで細かに書いてあるところを少し主要な点に、流量の点は絞っておりますが、内容においては変わりございません。
 今度は鬼怒川、31ページは鬼怒川でございます。基本的には変わってございませんが。先ほどちょっと申し上げましたような上流のダムの調節の部分をより効率的に働かせるということで、石井のところが5,400m3/sというふうになっておりますが、水海道、実際の合流のところでは同じでございます。
 それから、32ページは小貝川でございます。これも内容的には変わってございませんが、先ほど申し上げました、利根川本川の中で負荷を与えないための池の方での調節をしてございます。
 33ページは江戸川でございます。江戸川につきましては、前々回ですか、お話申し上げましたように、利根運河からの分派ではなくて、関宿のところからそのまま流量が入って行きます。6,000m3/sが7,000m3/sになりますが、回りの支川の方といいますか、隣にある綾瀬川、中川の方から入ってきますのに時間的な差がございまして負荷を与えないと。その分500m3/sをうまく利用できるということで、500m3/sと利根運河の500m3/sで1,000m3/sふえてございますが、結果松戸の7,000m3/sというのは変わりございません。それから、下流部の旧江戸川のところには旧江戸川の方に1,000m3/s、それからすぐ下流の方の行徳河道堰の方にはその分7,000m3/sを6,000m3/sというふうに変更しているものでございます。
 34ページは基本的に変わりません。中川、綾瀬川等でございます。
 35ページからは今のものを含めました計画高水位でございます。計画高水位については変化はございません。若干個別の地点の変更があるかと思いますが、基本的には同じでございます。
 それから、37ページへいきまして、主要な地点における流水の正常な機能を維持するために必要な流量に関する事項でございます。上の方は利根川水系における流水の正常な機能を維持するため必要な流量は、流入支川の状況等々で、場所を書いてございますが、利根川本川によっては栗橋、利根川河口堰下流、江戸川については野田、旧江戸川については江戸川水閘門、それから鬼怒川においては佐貫、渡良瀬川においては大間々で設定する。これは次に出てきます。
 それから、各基準点の既得水利が表−3、それから平均低水流量、平均渇水流量は表−4のとおりです。
 それから、これを踏まえまして、別表に出てきますが、それ以外の話として、流量としては下の方にございますように、江戸川本川の方は栗橋地点で本川下流部及び江戸川の維持流量を見込み、かんがい期に概ね120m3/s、それから非かんがい期は概ね80m3/s、野田地点においては、これは江戸川でございますが、このうち野田地点においてはかんがい期に概ね35m3/s、非かんがい期に概ね30m3/s。それから、佐貫地点においてはかんがい期に概ね45、非かんがい期に概ね7m3/s。大間々地点においてはかんがい期に概ね25m3/s、非かんがい期に7m3/s。その他の地点については表−5のとおりということでございます。
 次のページに表−3といたしまして、今申し上げましたような地点の既得水利量が書いてございます。
 それから、39ページは流況といたしまして平均低水流量、平均渇水流量でございます。流水の正常な機能を維持するための流量としましては、40ページに利根川におきましては栗橋地点、それから利根川河口堰下流でそれぞれかんがい期、非かんがい期で120m3/s、80m3/s。それから、利根川河口で30m3/s、30m3/s。江戸川本川の方は野田で35m3/s、非かんがい期30m3/s。旧江戸川が9m3/s、9m3/s。鬼怒川が45m3/s、7m3/s。渡良瀬川が25m3/s、7m3/sというものでございます。若干ご説明しますと、前の方に、前にお示ししましたものにはもう少したくさんの地点が書いてございましたが、先ほどずっと読みあげさせていただいたものにございますように、多点管理につきましてはこれ以外に利根川の大堰の上下流ですとか、布川とかそういうものも含めまして的確なきちんとした管理をやっていこうということを本文の方に書いてございます。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、また先ほどの補足の部分も含めましてご質問、ご意見がございましたらご発言をお願いいたします。
 まず、いつもながら申しわけないんですが地元事情に詳しい○○委員からご意見を賜りたいと思います。
(委員) それでは、少しお話をさせていただきたいと思いますが。いつもお話をしておりますことと重複してしまいますけれども、具体的な案が出てまいりましたので、少し地元の話も含めてお話をさせていただきたいなと思っております。
 実を言いますと、私自身埼玉で昭和22年のカスリーン台風の被災者でございます。まだ生まれたばっかりだったものですから私は余り記憶してないんですけれども、両親をはじめ高齢者の話をよく聞きますと、その人たちは栗橋の堤防が切れたと聞いて、それから大変だということでいろいろなことをやったということを言っております。ちょうど野田の対岸のところに住んでおったんですけれども、戦後の食料難の時代ですから、サツマイモ堀りに一生懸命行ったと。そうしたら、向こうから水の段波が来て、あっと言う間にその水が胸まで浸かってしまって、慌ててリヤカー放っぽり投げて帰って来たとか。それから、お前の五月人形はそのときに四斗樽の上に乗っけておいたら流れて行ってなくなっちゃったとか、そんな話も聞かされているわけです。
 いろいろな高齢者の方から聞いているんですけれども、私に記憶がないくらいですから、私よりも若い人たちというのは、まあ、そんなことはまさかないだろうと、こんな感じで危機感を持たない人、こんな人たちが多くなりつつあるんですが。過去の経験を持っている人からいうと、先日もちょっと申し上げましたが、今の雨の降り方はちょっと異常だから、万が一のとき心配だよね、こんな話をする人が非常に多いということがあります。
 そんな中で、確かにカスリーン台風以来そんなに大きい水は出てないんじゃないのという話も反論として出てくるわけですけれども、たかだか60年の話。河川改修をとってみれば100年、200年のオーダーでやっている話でございますから、この60年の経験だけでものを言うのはちょっと乱暴かなと思うわけです。
 我々としては治水面を強化してもらいたいという願いは強いです。しかし、多くの人の財産等、生命等を考えて事業をやりますと、今度は地元事情から申し上げますと、必ず一部の方の生活には影響を及ぼしてくるということになります。特に住居を移転してくれよという話の方が出てくるということがあります。川筋を見ていただきますと、大体土手沿いに人家が連担しています。その皆さん方がどういう経過でそこに住んでいるかというと、もともとそこに並べてあったわけじゃなくて、堤防ができるというときに川の中、もしくは今堤防のあるところから移転させられた人たちなどです。これが明治以来多い人は2回、3回の人までは私聞いたことないんですけれども、そんな経験を持っておるということがあって、その人たちの迷惑の中で成り立っていることもたしかだと思います。これは上流のダムについても同じことが言えるんだろうなというふうに思います。
 ですから、引堤をしないで、現在の河道の中で容量を確保していただけるということは、大変有難い。また、今回の考え方を見たときに、災害の発生の防止というのを全体を見回してそれぞれの地域特性に合った治水対策を講じることでバランスよく治水安全度を増していくことだということ、これが書かれております。このことは結構なことだと思います。特にバランスよく実施していくということで、21ページの利根川の江戸川の分岐点、この分流点についての記述も明確に書いていただいております。私どもとしてはここが非常に気になる場所でありました。21ページですね。江戸川分派点の整備、これが上流の施設と下流の整備状況を十分に踏まえながら行う、この点を明確に書いていただいている、そんなことでありがたいというふうに思います。
くりかえしになりますが、できるだけ既存の河道で対応するということ、それから既存の洪水調節施設の徹底した有効活用を図るということ。これが地域住民にできるだけ迷惑をかけないという意味においては我々としてもありがたい話かなと、こんなふうにも思うわけでございますし、限られた予算で急いでやらなくちゃいかんというときのためには非常に結構な話かなというふうに思っております。
 それから、もう1つ私ども非常に心配していた話が、実は25ページの利根運河の話でございます。利根運河については、かつて今から130年前に民間の会社が今でいうPFIでつくった運河でございまして、その後河川として位置づけられて500m3/sの分派という形になっておったわけでございますが。今回これがゼロになるという話になったときに、実は非常に乱暴な言い方をする方が地元にもおられます。あれだけの空間なんだから埋めちゃってうまく使えないかという話がありますので、これは河川として位置づけられないと大変なことになってしまうと非常に心配しておりました。
 実は私どもの方でそのすぐそばに70haほど、これから田んぼと斜面林を保存していこうという場所があります。何かといいますと、オオタカとサシバが田んぼをはさんで両側の斜面林に巣をつくって子育てしている。オオタカも貴重ですけれどもそれ以上にサシバが重要だと認識しております。関東地方でサシバの繁殖例が少なくなり、しかも狭いエリアでオオタカと共生しているたいへん珍しい場所です。それと同時にトウキョウダルマガエルというカエルなんですけれども、これが今絶滅危惧種がまだ残っているということで、この70haを我々何としてもこれから残していきたいと思っています。そんな意味でここに緑豊かな水辺の回廊としてということで河川として位置づけていただいたというのは非常にありがたいと、そんなふうに思っておりますので、私としては非常に結構な話だというふうに思っております。
 最後に一言。いつも言っていますが、河道の掘削に当たりまして、既存水利の取水施設に十分ご配慮いただきたいということが1点と。それから、市民のための貴重なオープンスペースということでいろいろなことで利用させていただいています。この点についてもご配慮いただければありがたい。
 ちょっと長々としゃべりましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。
(委員長) それでは、河川工学の立場から、○○委員、ご意見ございましたら。
(委員) まさに首都圏を抱える川だというので、特に治水については洪水は再度起こさないというような熱がこもったことで非常に記述が詳細にわたっていると思うんですけれども。今までの基本方針ではメニューは出すけれども、優先順位はつけないということだったと思うんですね。普通の川では。基本方針というのはマスタープランだからというのがその背景で説明にあったように思うんですが。いわゆる都市計画マスタープランのようなものでは空間計画では恐らく全体計画を示してできることからやっていけばいいという考え方あろうかと思いますが、むしろ河川の、特に治水についてはやはりこれはもともと優先順位があるものだというふうに思います。今までの川ではそれが示されてなかったのですが、ここではかなりそういう記述があるということ。これは非常に大切なことだというふうに思います。
 それで、その河道の流下能力をふやすにはと最初に考えて、それから既存の施設の有効活用とか、あるいは高規格堤防、それへ向けての緩傾斜堤防、それに放水路というようなことがあって。先ほど市長さんも指摘された21ページで、流域としてバランスのとれたということを考えるのが非常に重要で、それも段階ごとに目標を定めということが書いてあるんですが、それをいかに実現するかというのがやはり多少気になります。
 というのは、利根川というのはご存じのとおり、この地図にもあるように、上、中、下流部あり、各支川があるわけですね。整備計画を立てるときに、では、どういうぐあいにやるのかなというのが私ちょっと気になっていまして、利根川一括の恐らく優先順位を決めた当面の整備計画というのがやはりもう少し優先順位をブレークダウンしたものがあって、それでまた地域ごとの整備計画があるんだろうと思うんですが。そういう仕組みがうまくできるのかなというようなことを多少危惧しております。その辺について何かお考えがあればということを伺いたいんですが。
 つまり、全体の中で、いろいろな上流の問題とか中下流の問題があってそれぞれ優先順位をつけることが非常に重要だと思うんです。一方、整備計画もっと小さな流域で立てるというような局面もあると。その全体と地域整備計画の整合性をどうとるかというようなことで、ほかの川では余りそういうことは今まで議論されておらないんですけれども、利根川は特別なのでそういう問題があろうかと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
(委員長) では、これはまたまとめた段階でお聞きしましょう。
(委員) はい。それから、すみません、もう1つ細かいことでいうと、16ページの、先ほど課長の説明のときにちょっと詰まったようなところがあって、中ほどのパラグラフの下から2番目、「江戸川から利根川への分派については、利根川の取水地点及び江戸川の松戸地点における計画高水流量を維持する」というのはちょっと意味がとりにくいと思うので、ここはもうちょっとはっきりわかるように書いていただきたいと思うんです。ちょっとこれだけの表現では何を言おうとしているのか非常にわかりにくい感じがしました。
(委員長) これはちょっと修正の必要がありますね。要は両方の流量を維持するという前提で分派を考えるという趣旨だと思いますが、ちょっと日本語的に整理しましょう。
 では、○○委員、どうぞ。
(委員) 私は意見はないんですが、文章になるので少し文章を後で、ほんのわずかなことですが、文章を事務局直した方がいいのではないかという言葉を言わせていただきたいと思います。例えばわからない言葉が結構あって。利根川の……。
(委員長) 何ページですか。
(委員) 何ページだかちょっと忘れちゃったんですけれども。利根川の平野は「すくも層」と呼ばれる田んぼに非常にいい層がある、こんな言葉私は聞いたことないものですから。そんなこととか、ちょっと細かい言葉を後で事務局の方に申し上げたいと思います。そのことについては取扱いはどうしろというわけではない、気がついた点を申し上げたいと、そんなことです。
(委員長) では、○○委員、どうぞ。
(委員) この前のいただいた前回の資料を見て来ました。今回直っているのも含めまして幾つか気のついたことについて修正をお願いしたいと思います。
 まず、10ページ、小貝川についての記述ですが、ここに書いてあることはこれでいいんですけれども、首都圏で小貝川というのは2回も破堤しているのですが、そういうことが触れられてないというのはまずいのではないかと思います。非常に近いところで起こっていますので。そういう事実をしっかりと記述していただきたいというのが私の希望です。1点目です。
 2点目は16ページです。先ほど来から議論出ているところですが、現況の河川の安定状況も踏まえ、洪水をできるだけ河道で分担して処理するものとするという表現についてです。河道で処理できない流量については、上下流や本支川のバランスを配慮しながら、対応するというのはダムがつくれない以上やむを得ないとは思っています。しかしその結果利根川河道は相当厳しい状況にあるということをもう少し痛みが出るというか、本当に大変なんだということが現れる表現が欲しいと思うんですよね。河道でやるというのは、先ほど○○委員が言われたように、よろしかろうと私も思っていますけれども、これは大変な量を流さなければならないということで、ただ単に河川の安定状況を踏まえなんてそんな甘いものじゃないなというのが私の感じです。
 3点目です。同じページで4行目、利根川の取手地点及び江戸川松戸地点はいいんですが、この松戸地点が28ページ、江戸川計画高水流量図には入っていますが、28ページ、利根川計画高水流量図に松戸が入っていないんです。今回は江戸川と利根川の計画高水流量をそこで変えずに維持するということを決めていますから非常に大事な点になるので、流量配分図の中には松戸を書いておく必要があります。ということで、大事な利根川の流量を江戸川と利根川下流へどのように分派するのかということで江戸川の基準になる地点松戸を入れていただきたい。
 それから、4点目です。19ページなんですが、常陸利根川の記述についてです。常陸利根川に関する記述が今回全部なくなりました。これは常陸利根川がもうこの段階で整備ができたためでしょうか。といいますのは、霞ヶ浦の洪水位を下げるということは非常に大事ことで、常陸川水門が霞ヶ浦の水位に関係するのではないのかなと私は思っています。この19ページ、常陸利根川、工事実施基本計画の方にはそれなりのことが書いてあるんですが、霞ヶ浦の関係がないのかということと、常陸利根川についてはもう記述しないでいいのか。それは計画高水流量の配分図も常陸利根川については出てきていないということも合わせて質問させていただきます。
 長くなって恐縮ですけれども、もう1点だけ。もう1点は書き方の問題なんですが、樹木についてはどの川についても樹木をよく管理していきますということが書いてあるんです。しかし、この利根川の場合はこれまで樹木の繁茂によって急激に水位が上昇してきた経緯があるんですね。ほかの川とは違うんです。すなわち大水の出方の頻度も高いし、大きな川ですので樹木繁茂の可能性とその影響度が非常に高くて、それをどう管理するかというのが大変重要です。これまでと同じように書いてあるんですが、私は利根川では樹木の粗度管理という言葉をきちっと入れてほしいなと思っています。すなわち、ただ単に樹木によって通水断面積を小さくするから流れなくなるんだというようにとれちゃって、それだけですと計画的に管理することになかなか結びつかない。ただ切ればいいというように読めてくるのです。計画と関連づけて今後は管理するということにしていただきたいということが希望です。これは希望です。
 以上で質問終わります。
(委員長) ○○委員、ご意見ございましたら。
(委員) 環境のところでお教えいただきたいんですが、23ページのところでございます。23ページの初めの方には河川環境のお話があり、第2のパラグラフのところで動植物はということでその生息についてうたわれています。この後半の部分のところで、河川の縦断的な連続性というのがうたわれているんですが、これはここの文章では空間だけのように読み取れないこともないんですが、水系、水の流れの方についてはここのところはどういうふうにお考えなのかもう少しお教えいただきたいと思います。
(委員長) それでは、○○委員、お願いします。
(委員) 前回ちょっと欠席もして、きょう新たに見せていただいた資料等、今までたびたび質問等でもお伺いしていたんですが、雨から流量に変換するところと流出モデルのところで貯留関数法をいろいろな川でも、既にもう合意されているというお話でもあるんですが。経験した実績の雨と流量等で合うようにパラメータ同定されて、そのパラメータがさらに大きい流量規模でもそれなりにいけるんだということを吉野川でも見せていただので、そうなのかなと思うんですが、そういったモデル定数が流域の特性値とか降雨の特性値に関係する、そういう定数だろうというふうに思っておりまして、学会等でもそういったものが鋭意なされておるわけでして。流量確率の算定、それから既往洪水、カスリーン台風のやつを見せていただいたので、こういう範囲に入っているからそういう形の定数であれば再現、ここでは10,000m3/sぐらいの流量規模で見せていただいたので、そういう降雨依存性というような形でパラメータなり定数がもう少し可変なのかどうか。そういう定数が同じような同定パラメータで、さらに大きな雨等に対してもそういう、ひょっとしたらもっと大きくなるのかもしれないなというようなことまで少し手がけるような内容があるんじゃないかなと思って、そのあたりについて利根川において22,000m3/sというカスリーン台風のときの既往洪水の形で再現されている、また22,000m3/sというものについては流量確定も含めてその範囲に入っているということでずっとうなずいてはいるんですけれども。変換部分についてのそのあたりについて、どちらかというと既往の貯留関数法をいろいろ見直しされておられると思うんですけれども、そういった定数は流域の特性と降雨の特性に定量的に関係がある、そういう形のものが学会レベル等ではどんどん言われておるものですので、そのあたりを踏まえたときに、基本高水がひょっとしたらかなり大きくなりはしないかなという、そういう視点も含めてちょっとご質問とご意見させていただきました。
(委員長) 研究者の立場で大変本格的な御意見をいただきました。私は実務家の立場ですから、やはり既往の資料から外挿する。ですから、雨がだんだん大きくなると、もっとその係数は小さ過ぎてもっと大きい数字になるのではないかというご懸念ですね、むしろこれは研究者の方でやっていただいて実務家の方に提案していただいた方がいいのではないか。いずれにしても観測技術が発達してから経験した洪水で過去の洪水を推測するわけですから、アンノンファクターがありますね。山に木を植えれば洪水が減るという議論も、中小洪水で計測した結果で結論されているのではないか。実態はそうではないのではないかという議論もあります中小洪水から大洪水を外挿して推算するので、同じご議論だと思います。研究者の中で最先端の研究していただいて実務者の方に反映していただきたい。今の22,000m3/sの計算がちょっと小さいのではないかというのならその成果を利根川だけではなくて、いろいろな全国の河川について学会で研究して提案していただいたらいいのではないかと思います。
 それから、最初にバランス論が出ています。これはきょうも各県知事さんが出てみんなキーワードはバランスなんだと思います。そのバランスはそれぞれのケースで大変難しくて、○○委員の質問にはすぐ答えはできない。恐らく1つ1つのプロジェクトごとに関係知事さんの合意の中でつくり上げていくのがバランスではないかなと思うんですが。
(委員) 整備計画でもそういうプロセスが必ずあると思いますね。
(委員長) ということを冒頭に申し上げて。今までちょっと実務的な質問についてはもし事務局で用意されたらお答え願いたいと思います。
(事務局) 最初のステップ論はちょっとまだ我々の中でいろいろな議論があるんですけれども。若干申し上げておきたいなと思うのは、前の工事実施基本計画というものから今の基本方針、ひいては整備計画もかもしれませんが、一応そういうステップ論というか、どういうふうにしていくかということをなるべく書いていこうというふうには思っています。ただ、現実、委員長がおっしゃったようなことも含めて実際の問題として考えないといけないんですが。
 それから、○○委員のおっしゃった大変河道が厳しい云々というのはぜひ工夫をして、私どもも筆が至っていない部分かと思いますので、ちょっと工夫させていただければと思います。
 それから、常陸利根川については、すみません、ちょっと若干正直うまく書けていなくてポッと落ちちゃっている部分がありますので、ここはしっかりと書いた方がいいと思います。それから、特に水位できちんと管理していることについての記述が、これは前の工事実施基本計画の方も少ないんでございますけれども、きちんと書かせていただければと思います。
 それから、○○委員のお話がございました。これもちょっと言葉が余り、もうちょっとしっかりした言葉と思います。私どもの意味していますのは、空間のみではなくて、水、それから水の中にあります物質、それからこれは土砂での堰堤もかと思いますが、それから当然そこにいます生物の全体の連続性をと、多分○○委員もそういうことが大事だとおっしゃっていただいているかと思いますので、誤解のないような言葉に直させていただければと思います。
 以上でございます。
(委員長) では、○○委員の方からご意見いただきたいと思います。
(委員) おおむね結構かと思うんですが。ちょっと文章は気になるところはありますけれども。水利用の関係から申しますと、ダム群の総合的な柔軟な運用というのは非常に結構だということは申し上げましたが。利根川水系で最近非常に厳しい、ちょっとお休み、毎年ありますけれども、お休みしているような感じでありますが、いろいろな立地しております、進出しております企業にとっても最近製品のライフサイクルが非常に短くなっておりまして、ちょっと何かありますと採算がとれなければ簡単に工場等が移転してしまいます。そういう意味で取水制限をなくすというのは一番よろしいんですけれども、あったとしてもできるだけ頻度を下げて少なくしていただくというのがやはり地域にとっては非常に重要かと思っております。
 工場や事業所等において現在の水使用よりもかなり厳しく節水して使うということは実は可能なんですけれども、期間がどちらかというと短い、短期間なら1月、2月とかそういったところなら大幅に節水することも可能と思っております、多くの場合ですね。ですが、長期間になりますと今度は材料等の損傷が生じます。パイプがさびるとかいろいろ出てきますので、余り長い節水というのはメンテナンス上、あるいは経済性の上からも好ましくない。むだ使いは絶対にいかんと思いますが、やはりある程度の範囲があるだろうと思っています。そういう意味からもできるだけ利水施設に関しましては弾力的な運用をお願いできるように今後もお願いしたいと思います。できれば洪水調節専用施設ダムでありましても日ごろはためておいていただくとか、もうちょっと余裕を持っていただければと思います。利水施設の設計は過去10年に最小の渇水ということで、簡単に言えば10年に1度の確率で、それでいいのかなと昔から思っているんです。もうちょっと中小河川並みにはならないものかなというのが感想でありますので、踏まえて今後の運用の方をお願いいたします。
(委員長) ○○委員、お願いします。
(委員) 2つありまして、1つはこれは単なるミスじゃないかと思いますが、17ページ、18、19ページにつながる部分ですけれども、利根川本川の方では関係機関と連絡調整というのが記述してあるんですが、支流の方にいきますとそれが抜けているんですね。これは何か意味があるのか。単なる落ちではないかと思いますが、ご検討をお願いしたいと思います。
 といいますのは、例えば鬼怒川においてとありますが、そのところのワンフレーズには関係機関との連絡調整というのがありませんので、これは本川とのバランス上悪いのではないかということでございます。
 それから、もう1つございます。これは感想じみたものですが。22ページの河川の適正な利用及び流水の正常の機能の維持の文章でございます。「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しては、渇水時における地盤沈下の防止や河川環境の保全」、それからその次の「近年の少雨化傾向にも対応した利水安全度の確保のため」、これはこういう近年の少雨化傾向及び近年の雨の降り方の特性ですか、雨の降り方の偏差の激しさというのがあるかと思います。こういうところに最初からするのではなくて、もっとほかのところ、大きなところでこの近年の少雨化傾向及び降雨の偏りの激しさですか、こういうものに対するものにどうするかということを基本方針、全体のことかもしれませんけれども、どこかに記述すべきではないかというふうに思います。この2点です。
(委員長) 洪水は大きくなるし、渇水は大きくなるという意味のことが受け取れるようにというご趣旨だと思います。ちょっとまた工夫させていただきたいと思います。
 ○○委員、お願いします。
(委員) 私はこれまでいろいろこの場で発言させていただいたことが案に大体盛り込まれているかなと思って、原案でよろしいかなと思っております。ただ1点だけ、きょう気がついて提案させていただきますので、ご検討いただければということなんですが。39ページに流況の表がありまして、それと恐らく表3、表4がずらっとつながって見られるようにということで見ていきますと。先ほどきょうの資料1で、これは○○委員のご質問に対するお答えということで低水流量、渇水流量をかんがい期と非かんがい期に分けて表記されている表が出ておりましたけれども。できればこの表4をそういうふうにかんがい期と非かんがい期に分けた表記をしていただくときょうの冒頭の説明でもよくわかったんですが、どこに穴が空いているかというのがよりよくわかるという感じがいたしますので。もし可能であれば、表4をそういうかんがい期、非かんがい期に分けていただいたらどうか、これは提案でございますので、よろしくご検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
(委員長) 逆にこれ書かなくていいんじゃないかな。これは資料ですね。何か政策目標を掲げるわけではなくて、過去のデータを単に整理したのですね。表4は書くことになっているんですか。政策目標を実現するためのものは掲げなきゃいけませんが、単に統計資料として情報提供したということですね。1年たったらまた1年分記録が増えるわけですね。平成16年、17年、18年と増えていくわけなので、それほどこの資料に重要性はないのじゃないかなと思うんですけれども。検討してください。
(事務局) 過去の調べますと、流水の正常な機能の維持というものをどういうふうに確保すべきかといったときに、こういうものも見つめてというのでものを書いてきた歴史はあるようですので、後できちんとご相談をさせていただければと思いますが。一応それなりの機能は期待はして書いてきているようではございます。
(委員長) 比較表の方にはないですよね、前回はね。政策の目標値だったらこれはっきりと掲げなきゃいけませんが、単に過去の事情説明だとすればそれは統計資料を見ればいくらでもある話だから、あえて書く必要もないのではないかなと思いますが。では、今の意見を含めて検討いたしましょう。
 それでは、○○委員、どうぞ。
(委員) 資料3でございますが、23ページ以下の河川環境の整備と保全についてですが、非常に適切な記述がされていると思います。それから、20ページでございますけれども、かなり強い調子でございますが、首都圏の壊滅的な被害を防止するためにということで高規格堤防を整備すると。やはりこれも強い表現ですが、必要な記述だと思いますので、私としてはいいことじゃないかなと思います。
 あと、一委員としての関心があることが2つほどございまして、きょうはちょっと時間もありますので、もし場合によっては後日資料提供等でも結構ですので。1つは、今回利根川放水路の考え方が変わったということで、実は花見川の一帯は、私は最近は知らないんですが、10数年前に現地見たことありまして、なかなか水量が少なくて上流はかなり環境のいい場所だなと当時思った次第でありますが、もう少し何かいい空間の使い方とかないかなと思っていたのですけれども、今回明確にこういう利根川放水路の位置づけがこうなりましたので、やはりせっかく都市河川ですので、花見川のこの空間一体がどうなのかということでぜひ。多分、国と地元でお考えになっていると思いますが、そういうふうになるといいのかなというふうに思います。
 それから、もう1点は、先ほどの高規格堤防でございますけれども、既に国と東京都、また地元はじめとして、やはり高規格堤防と市街地整備の考え方は既にかなり議論されてこうなっているのか、あるいは今回の方針がこういうふうに明確になっていることで改めてまたいろいろな整備を考える、これからまたさらに再度少し再検討しようということなのか、その辺どういう状況になっているのか、もし差し支えない範囲で結構ですが、簡単にでも教えていただければ。また別途資料ということでも全然結構ですので。
(委員長) では、これは実情ですから説明してください。
(事務局) すみません、ご関心のところがちょっとうまく飲み込めてないかもしれませんが。スーパー堤防と回りのいろいろな市街地整備計画とか都市計画法上の市街地開発事業とかその関係においては特段状況は変わっているわけではございません。同じように事業の出だしのころからなるべく両方の一体計画としてやろうということで計画を進めてきておりますが、今回特段変わっているということはございません。
(委員長) ○○委員。
(委員) 23ページの後半の部分、動植物の生息地、生育地の保全についてちょっと意見を述べさせていただきます。最初、数日前にメールで送っていただいた原案にかわりまして、下から6行目あたりに、先ほどもちょっとお話がございましたが、「生息、生育環境の上流から海域までの縦断的な連続性の確保に努める」という文言が追加されておりますが。これは大変よかったと私は思っております。やはり利根川の河川敷につきましては動物の移動の回廊としての役割の期待もあるわけですので、ぜひ上下流の河川敷の豊かな植生の連続性の確保ということについて努力していく必要があると思います。
(委員長) それでは、一通り学識経験者の委員からご意見承りましたが、それぞれ県知事としてご出席の方からご意見を順次お伺いしたいと思います。
 まず、茨城県知事の方からお願いします。
(委員) 茨城県でございます。今回見せていただいている基本方針案の内容ですけれども、今までの審議の内容も反映されていて、表現もかなり具体的に分かりやすいものになっているという印象を受けましたが二、三お話をさせていただきたいと思います。今回の基本方針の中では下流部の現況の流下能力を基に判断していると思いますけれども、下流部の流量が増やされております。下流の地域としてはそういう意味での不安はあるということでございます。何を今さらということかもしれませんが、350年前に利根川が東遷されたということで、やはり我々の下流地域にはそれによって水害がもたらされているという被害者意識というのが未だにあるということもございます。
 そういうものをもとに、下流地域の治水安全の確保のためには今まで委員会の中で上流ダムを再編することや、江戸川分派で利根川に流れてくる水をきちっとしてほしいと申し上げてきました。また、その下流については、布川の狭窄部対策、また小貝川の合流点対策ということをお話ししてきたわけですけれども、この記述の中でそれらを見ていきますと、上流ダムの再編については16ページの上から4行目ぐらいに書いてある「既設洪水調節施設の徹底した有効活用を図った上で」という表現と17ページの上段部分がそういう記述というふうに思います。ただ江戸川分派については、先ほど○○委員の方からもありましたけれども、もうちょっと我々からいえば分かり易いような表現が欲しいなという感じはします。
 それから、布川狭窄部対策と小貝川合流点対策ですけれども、合流点対策につきましては19ページのところに具体的に書き込まれておりまして、長い時間洪水が続くということで堤防強化を実施するというように書いてもらってよかったなと思っています。
 ただし、布川の対策については全体的には読めないことはないんですが、ちょっと具体的なところがないなという感じがします。布川については、昭和26年や昭和52年だと思いますけれども、小貝川の合流処理も含めた布川問題に対して背割堤案とか放水路案が出されましたが地域では大きな議論があって実現できなかった、そういう経過もあります。地域としては「今でもその辺は覚えているぞ。」という人もいます。そういうことから、もう少し布川のところの対策についての記述がされるとよかったなと思います。
 もう1点、首都圏氾濫対策でありますけれども、国レベルとしては確かに首都東京が被害に遭ったら大変だということで、資産が非常に大きい東京を守ることを優先的に表明するという考え方は大変理解できるんですけれども、そうなるとその反対側に位置する本県にとっては相対的に安全度が下がるのではないかと、そういう懸念もあるわけです。
 前回、第4回のときだったと思うんですけれども、追加資料の5ページの高規格堤防整備の記述の中に「上下流及び左右岸のバランスを考慮し」という言葉が入っているんですね。今回は「上下流」はあるんですが、「左右岸」のというところが入っていないので   どこかに入れていただければもっとありがたいなと、そういう感じを受けました。
 ちょっと長くなりましたが、意見としては以上です。
(委員長) 実際の実施に当たってまた十分調整しながら、先ほどのバランスの問題も含めてそれぞれの場で整理していくんだと思いますが。整備計画の段階でも十分協議をするように事務局にお願いしたいと思います。
 それで、栃木県知事さんから。
(委員) 今まで議論されてきたことが網羅されていると思います。私どもで、特に上流県としては地域のバランス、地域ごとにそれなりの整備水準をということでお話ししてきたつもりですが、それが表現されているのかなと思っております。そのバランス論に関しましては今のお話のように、整備計画の中でまた議論があろうかと思います。それも限界はあるんでしょうけれども、その中での議論かと思っております。全体としましては段階的な整備の考え方、あるいは地域のバランス、それと今回特に整備途上の対応あるいは計画以上のものに対する被害軽減の方針、河川整備計画に対してやはり整備基本方針ということできれいな方針がかなりまとまっておりますので、これでよいのではないかと私の方は思っております。
 以上です。
(委員長) それでは、群馬県知事さん、お願いします。
(委員) 群馬県でございます。おおむね妥当かなというふうに思っておりますが、幾つかの点でちょっと意見を言わせていただきたいと思います。1つは、22ページのところなんですが、河川の適正な利用及び流水の正常の機能の維持のちょうど中間あたりになってくるんですが、確認事項でもあるんですけれども。この真ん中あたり、上流から下流までの地域特性を踏まえた水資源開発施設の整備による広域な水融通ネットワークをつくるということが書いてあります。実は前段に既設の水利用の合理化なんかも書いてあるんですけれども、資料でまた河川整備の施設だけというようなことになっているので、これは文章だけの話ですが、前の合理化のような方策、いわゆるソフトの方策もあるわけですので、広域的な水融通ネットワークの構築にはそういうソフト対策も入っているのではないか。表現としてはソフト対策を長々書くというのが問題だとすれば、この水資源開発施設の整備というハード、それから水利用の合理化というソフト、これが合わせて読めるような表現にしていただければよりいいのではないかというふうなことでございます。
 それから、23ページに、これも中段あたりでございますが、これは確認でございますけれども、我々の方でも例えば大きい話では霞ヶ浦なんかは水質改善というようなことを書いてあるわけですが、我々の県内の、特に東部の方でもやはり水質が非常に悪い地域がございまして、利根川本川からの環境用水の導水というのを国の方で調査をしていただいているところでございます。こういった中にはそういう中小河川の水質改善というのも当然入るんだというふうに解釈していいのかどうかということをちょっと確認したいというのが2点目でございます。
 それから、3点目でございますが、同じ23ページの下段に、今度は私ども逆なんですが、一番最初のときにご意見を出させていただいて、我々の県内では非常にアユを取り戻そうという活動を市民の団体の方が非常に活発やっておられまして、利根大堰なんかにもいろいろお願いをしに行って対応していただいていると。そこの中で上下流の連続性というような話がありまして、ここは当初ここに書いてあったわけなんですが、先ほどもっと大きい動植物の話のところに移されたということなわけで、表現上はアユ等の魚類に関しては連続性の話が抜けちゃっているような形になっているんですが、当然のことながら入っているんだろうというふうに私ども解釈はしておるんですけれども、そこを確認したいというのが3点目でございます。
 4点目はもっと大きい話で申しわけないんですが。ここの河川、今回初めて河川の整備基本方針ができるわけなんですが、先ほど各委員からも、やはり今までの知見、最新の知見を網羅されて、これができあがっているということには一定の評価をしているわけなんですが。今後はやはり次々と新しい知見、またさまざまなデータが積み重なってくるわけで、やはり自然環境とか社会環境いろいろ難しい中でのいろいろ組み込まれてできあがっているわけでしょうから、今後ともこの整備方針、基本方針については自然、社会情勢の変化等に即応できるように内容の検討とか検証を当然行っていくんだということで解釈していいのかどうなのかということをご確認したということでございます。
 以上でございます。
(委員長) ちょっとメモっておいてください。次に事務局から答えていただきます。
 では、埼玉県知事さん。
(委員) 埼玉県でございます。前回、前々回、中川から江戸川への放流について質問をし、ご説明をいただきましたので、特に意見ということはないんですけれども。埼玉もカスリーン台風や、あるいは明治43年の大出水で県下相当大きな被害が出ております。そういう意味では今回堤防強化対策等が明確に位置づけられて非常によかったのではないかと思っております。今後とも上流における洪水調節なり河道の整備できればよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
(委員長) では、千葉県知事さん、お願いします。
(委員) 千葉県ですけれども、2点ほどお願いということでお話しさせていただきます。
 最初の1点目で、17ページの本文の関係なんですけれども、利根川の取手から下流においてという記述がございますけれども、今回の基本方針で布川地点の上流に千葉県に計画されていました利根川放水路計画が中止となったということで、その結果として先ほど茨城県さんの方からも発言ありましたけれども、下流部の流量配分がふえたということで、以前からお願いしていますし、また17ページにも記述がありますけれども、布川下流部の河川整備計画あるいは水門管理の実践について今後とも十分対応をお願いしたいというお願いでございます。
 それから、印旛沼につきましては適切な記述をしていただいておりましてありがとうございます。
 2点目につきましては、本文に旧江戸川の記述がございませんけれども、今回の基本方針で毎秒1,000m3/sの高水を処理するということになりましたが、実績があるとはいえ、旧江戸川沿いには浦安市、千葉市ですか、標高がゼロメートル地帯で、しかも軟弱地盤が広がっているということで、震災対策とか高潮対策。震災対策につきましては江戸川等ということで22ページに表現されていますけれども、あるいはそのほか内水対策とか、またソフト対策として水防活動あるいはハザードマップの作成なども必要になってくるということもあります。また、さらに長期的にはスーパー堤防の計画も立てておりますので、このような趣旨を本文に盛り込んでいただければありがたいと思います。
 以上でございます。
(委員長) では、東京都知事さん、お願いします。
(委員) 東京都でございます。
 今までお話の中で上流、下流のバランスのお話等もございましたし、私ども最下流ということでそういう意味では非常に上流の方でぜひよろしくお願いしたいということになってしまうんですが。確かに東京の区部の、特に東京地区はゼロメートル地帯ということで利根川だけではなくて、いろいろな意味で治水上、やはり何かあったときに非常にそういう意味では弱いといいますか、被害のポテンシャルが高い地域だろうというふうに思っております。そんなことで、先ほど埼玉県さんの方からもお話があったように、ぜひよろしくお願いをしたいということはそうなんですが。
 やはり、高潮等の影響もございますし、そういう意味では先ほど千葉県さんの方からお話があったように、22ページで南関東直下型地震の記述において水門等の耐震対策を実施するという、こういう記述を入れていただいたのは大変ありがたいということで御礼を申し上げたいと思います。
 千葉県さんと同じように、私どもやはり旧江戸川、それから中川、新中川、綾瀬川等も含めてでございますけれども、やはり先ほど言いました地震とかそういうこともございますし、より安全性の向上を目指して私どもの方もスーパー堤防も整備をしていきたいというふうに考えておりますので。もちろんこの整備方針を受けて私どもの方も整備計画を立てるということだろうと思いますが、そのよう趣旨が方針の方にも書かれていればよりありがたいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
(委員長) 一通りご意見をいただきました。それぞれにもっともなご意見でございますので、極力文章に反映させたいと思いますが。
 事務局で聞いた中で、今申し上げられることがあったら。
(事務局) ご意見として受けて直すべきかなというところはそのとおりでございます。それから、質問的なお話が入っていました分はちょっと申し上げたいと思うんですが。1つは、群馬県の方がおっしゃられたお話で、連続性のお話は入っているか確認したいというお話。当然書き方のお話かと思いますが、全体で連続性の中にアユだとか全部含めた格好ではありますので、ちょっと文章上きちんと内容が伝わるようにしたいと思います。
 それから、社会状況、自然状況の変化で変えるべきものかというのは、これは行政計画でございますので、当然自然的状況でまた雨の状況が変わったり、何か社会的状況で大きく変化があったときに、どういうときに、大きく変わったときにということになるかと思いますけれども、当然計画でございますから必要に応じて当然変えるということはあり得るということかと思います。
 あと、いろいろいただきましたものは基本的によく考えて直したいと思います。
 以上です。
(委員長) ただいまの答弁でよろしゅうございますか。また事務的には恐らく事務局がお伺いして、最終案の段階でまたご確認を得たのを最終案にすることになりますが、各県知事さん、それでよろしゅうございますか。
 各県知事さんからお伺いしていてそれぞれのご不安を抱えていることがわかります。上流の県では住民が望まないダム建設を引き受けざるを得ないということもありますし、下流は下流で上流で改修して集められた洪水が来る不安というのがありますし。そのバランスはどうするんだというお話はありました。今後河川整備計画を策定する中でも、あるいは毎年実施する事業の中でも丁寧に意思疎通を図りながら進めていくことが大事だと思います。
 先ほど、東京を守るために右岸側の方で高規格堤防とか緩傾斜堤防というお話があって、左右岸のバランスもよく考えておけよというような、これも当然な話です。ただ、第一歩を踏み出さないと、いつまで上流でダムをつくってくれと、下は待っているというだけでもいけませんので、やはり下もできるだけ破堤のしない堤防に切り替えていくと。第一歩が東京側から始まったということですね。見直しの段階で社会状況の変化等を見ながら当然に左右のバランスもとるということだと思いますが。仕上がりの文章を見ていただいた上でまたご確認の上で決定したいと思います。
 時間がまいりましたけれども、なおかつご意見がある方はどうぞご発言願います。
 ○○委員も子どものころ水害に遭ったそうですが、私も埼玉県内にいまして、利根川ではないですけれども、昭和33年の狩野川台風で当時学生でしたけれども、床上浸水を経験しました。学位論文が全部水に浸かって半年の努力を無にしました。学生ですからその程度ですけれども、本当に浸かった方は大変悲惨であります。都市は汚物も、化学工場の有毒な水もみんな家の中に入ってくるわけですから。計画流量は減らしてつじつまを合わせるなんていう話ではない。昭和22年の洪水さえ何とかすればいいという話ではなくて、少なくとも世界に冠たる首都圏の治水の安全度というのは所定の安全度を保つことが極めて大事です。その最終意思決定者はやはり県知事さんです。その住民の生命、財産の安全に責任を持っておられる知事さんが決定すべき事項だと思います。そういう意味できょうはそれぞれニュアンスは違いますが、上流、下流、左右岸ありますが、完全に合意を得たと思いますが、それでよろしゅうございますか。
 それでは、基本的なところについてはきょうは皆様のご了解、ご理解が得られました。細部の文章の表現については改めて十分事務局に確認していただくこととして、一応本日の河川整備基本方針案はこの原案をもって決めたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

(委員長) それでは、本日の議論を踏まえまして、私と事務局において利根川水系の河川整備基本方針案、最終案をとりまとめ、なおかつ各委員にご確認をいただいた上で河川分科会に報告したいと思います。
 この件につきまして、私に一任いただければ幸いと存じますが、いかがでございますか。

(「異議なし」と声あり)

(委員長) ありがとうございます。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 各委員には本議題につきまして短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。特に審議対象の利根川水系の関係委員としてご参加いただきました橋本委員、福田委員、小寺委員、上田委員、堂本委員、石原委員、今成委員、根本委員の各委員におかれましては、今回をもって最後の委員会となります。地域の実情を踏まえた貴重なご助言などをいただき、まことにありがとうございました。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) 近藤委員長、どうもありがとうございました。




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