水管理・国土保全

  

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北上川の自然環境

北上川の自然環境
流域の自然環境
北上川流域は、本川及び各支川の源流部付近が国立・国定公園や県立自然公園等に指定されています。本川源流部には「十和田八幡平国立公園」、東部には「早池峰国定公園」、西部には「栗駒国定公園」が存在し、これらは5,000ha以上の規模を有し、豊かな自然環境が保たれています。
 また旧北上川流域については、ラムサール条約の登録湿地である伊豆沼・内沼・蕪栗沼・化女沼があり、野鳥のサンクチュアリーとなっている他、河口域は「南三陸金華山国定公園」「硯上山万石浦県立自然公園」に指定されており、源流域から河口に至るまで、豊かな自然が保たれています。






十和田八幡平国立公園(出展:岩手県HP)


伊豆沼(出展:宮城県HP)

河川の自然環境
北上川の水辺や高水敷については、河畔林等が連続し、緑の回廊を形成しています。水域については、アユ、サクラマス、サケ等の回遊魚が上流域まで遡上しており、下流から上流域まで動植物の生息・生育地の連続性が保たれています。
 北上川の全般的な植生は、河岸にはオニグルミやヤナギ類が分布しており、高水敷にはオギ群落を中心にガマ、ミゾソバ等の抽水植物が生育、またカサスゲ、セリ、ヘラオモダカなどの湿生植物も生育しています。河口部にはハマナスなど砂丘植物群落も見られます。流水の緩やかなところでは広い河川敷が発達し、エノコログサ類、タデ類、ウシノケグサ類や帰化植物が生育しています。




サケ


ヨシ群落

鳥類については、数多くの水鳥と水辺の鳥としてカイツブリ類、オオハクチョウ・コハクチョウなどのハクチョウ類、オシドリ、マガモ、カルガモなどのガン・カモ類、コサギ・アオサギ・ゴイサギなどのサギ類・シギ類などが上流から下流にかけて全般的に見られます。また渡り鳥が全川に渡って確認されており、鳥類にとって北上川は重要な環境となっています。食物連鎖で上位に来るワシ・タカ類も北上川沿いで多く出現しており、北上川沿い及びその周辺の生物層が豊かであることを示しています。
 魚類はウグイ、オイカワ、カマツカ、モツゴ、ニゴイ、フナ類などが、ほぼ全川に渡って生息しており、盛岡市上流の北上川本川ではヤマメも見られます。全般的に淡水性のコイ科魚類が多く、下流側ではボラ、メナダ、スズキ、マハゼなどの汽水性の魚類も生息しています。





河川水質
北上川の水質は、松尾鉱山からの砒素を含んだ強酸性の坑廃水や浸透水により著しく汚染されていた時期があります。
 水質汚濁の始まりは東洋一の硫黄鉱床を誇る松尾鉱山の開山からであり、大正3 年に松尾鉱業所(株)が操業を開始して以来、赤川は強酸性水で汚濁され、出鉱量の増加に伴いその汚濁は赤川が合流する松川、松川が合流する北上川本川にもおよび、昭和20 年代後半からは盛岡市付近で魚類等が生息出来ないほど水質は悪化し、市民のレクリエーションの場であった河川空間から市民がいなくなってしまいました。
 このため河川を管理している国土交通省(旧建設省)は、昭和47 年5月から緊急の処置として炭酸カルシウムを利用した暫定中和処理を開始し、その後、さらなる水質の改善と清流を維持するために、鉄酸化バクテリアによる新中和処理方法を確立しました。
 昭和57 年1 月からは新中和処理施設の管理・運営を岩手県に引き継いでおり、水質は改善されています。




北上川と松川の合流部(昭和49年頃)


新中和処理施設



自然再生に向けた事業の実施
水際環境の再生
北上川と和賀川の合流点の河原は、かつて、礫河原が広がっていました。
しかし近年、外来種等の樹木が繁茂し、河道内の陸地化が進行したことにより、川の流れが固定化され、水域と陸域の二極化が進行し、陸域と水域をつなぐ水際のなだらかな連続性を持つ礫河原が消失してきており、動植物の生息・生育・繁殖環境の多様性や良好な河川景観の消失等が懸念されています。
 このため、川本来の河川環境を把握し、そこに生息する動植物及びその生息・生育・繁殖環境に配慮しつつ、樹木伐採、河川敷や中州の掘削・切下げ等を実施し、冠水頻度を高めることにより礫河原の維持を図るなど、本来の清冽な流れや良好な生態系を保全・再生します。


和賀川合流部における礫河原再生(整備前の状況)


和賀川合流部における礫河原再生(整備後のイメージ)

魚のすみやすい川づくり
樋門や堰下流の河床低下により、魚類の遡上が困難な環境となっている施設において、魚がすみやすい川づくりを目指し、北上川下流域で魚類の遡上に障害となっている施設の改善を実施します。
 また、魚の遡上が困難な環境となっているダムや堰等において、魚がすみやすい川づくりを目指し、本川や支川を含め、魚類の遡上に障害となっている環境の改善に向けた調査・検討を行い、必要に応じて対策を実施します。


河床低下に伴い魚類の遡上が困難(旧魚道)


魚道の改築(新魚道)




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