水管理・国土保全

  

| 河川トップ | 川の歴史 | 主な災害 | 地域と川 | 自然環境 |   


黒部川の自然環境

清流黒部川

黒部川は全国でも有数の清流で、「清流ランキング」でも常に上位に位置しています。また、扇状地の扇端部(せんたんぶ)には「全国名水百選」に選ばれた湧水群(ゆうすいぐん)があり、自然に湧き出る湧水のほか、井戸などから自噴する地下水が見られます。特に黒部市海岸部の生地(いくじ)地区に多く見られ、地元では「清水(しょうず)」と呼ばれています。これを利用した共同洗い場が今も残っていて、町内の人が管理し利用しています。


生地(いくじ)の共同洗い場:清水庵(しみずあん)の清水(しょうず)




黒部峡谷(くろべきょうこく)

黒部峡谷は長い年月をかけ、黒部川の激しい流れによって削られて出来た深いV字型峡谷です。峡谷には美しい自然が残っており、白竜峡(はくりゅうきょう)、十字峡(じゅうじきょう)、S字狭(えすじきょう)、奥鐘山(おくかねやま)、猿飛峡(さるとびきょう)などが国の特別名勝・特別天然記念物に指定されています。この美しい峡谷を楽しむために、毎年たくさんの人が黒部峡谷鉄道(トロッコ電車)に乗り、この地を訪れます。


後曳橋(あとひきばし)をわたるトロッコ電車


S字狭(えすじきょう):
黒部川がS字に流れています。



植物
源流と河口の標高差が大きい黒部川流域は、場所によって異なる変化に富んだ植生が見られます。上流部の黒部峡谷には、ネズコ、ツガなどの針葉樹やブナ、ミズナラ、ケヤキなどの夏緑樹が入り交じって生育しています。また、黒部峡谷は谷が深いため、季節風の影響も少なく、黒部川源流部ではトウヒ群落やカラマツ、ドロノキ、ヤナギランなどの内陸性のものが、また中流部では暖温帯性のツガ群落が分布しています。
 扇状地の上流部では、カワヤナギ、コゴメヤナギが見られます。中流部では荒廃地を好み、あばれ川の黒部川を代表するアキグミが多く群生し、その周辺にはカワラヨモギ、オトコヨモギ、ススキなどの多年草が生育しています。下流部ではクルミ、カワヤナギ、ヨモギ、メドハギ、コマツナギなどが見られ、河口部になるとガマやヒメガマ、ツルヨシといった水辺の植物や、砂地にはウンラン、ハマヒルガオなどの海辺の植物が見られます。


アキグミ




魚類、鳥類

黒部川は水温が低く急流河川のため、魚の餌となる水生昆虫が少なく淡水魚類の種類は多くありません。源流部から峡谷部にかけてすむのはイワナだけで、下流部に行くほど魚の種類は増えていきます。扇状地より下流にはウグイ、アユ、タカハヤ、カジカ、サケ、マハゼ、スミウキゴリ、ヌマチチブ、トミヨなどが生息しています。湧水などきれいな水にすむトミヨは、敵から身を守るために背中のトゲを立て相手をいかくします。また、オスが巣を作り子育てします。
 黒部川流域にすむ鳥類の種類は多く、季節や場所によって見られる鳥もいろいろです。黒部峡谷では、オオルリやキセキレイ、アカゲラなどがいます。中流部の墓ノ木(はかのき)自然公園は渡り鳥の中継地となっており、多くの野鳥がここに集まります。河口付近にも多くの野鳥が集まり、水鳥であるカモメ類、カモ類、サギ類、シギ類などの生息地となっています。


トミヨ




ほ乳類、昆虫類

黒部川流域にすむほ乳類は、特別天然記念物のニホンカモシカをはじめ、ツキノワグマ、イノシシ、キツネ、アナグマ、テン、リス、ムササビ、ノウサギ、ヒメネズミ、トガリネズミ、ミカワネズミ、ヒミズモグラ、ヤマコウモリなどの記録があります。
 黒部川上流は、黒部峡谷のけわしい地形、少ない日照時間、低い水温などにより昆虫が生息しにくいようで、他の地域と比べると種数や個体数が少ないようです。しかし、宇奈月ダムから下流部では平成13年に調査したところ、1,000種以上の昆虫類が確認されています。オオカワトンボ、マダラヤンマ、オオムラサキ、ギフチョウ、ヒラタクワガタ、ゲンジボタルといった絶滅の恐れがある貴重な昆虫も確認されています。









ページの先頭に戻る