佐波川の河口部である、河口から佐野堰(河口から約5km)付近は感潮区間であり、河口付近に広大な干潟が広がっています。ここには干潟特有の動植物が生息・生育している他、カモ類の飛来が多く見られます。背後には干拓によって造成された農地が続き、奥行きを感じる広々とした河川景観を見せています。
続く下流部では、佐野堰から総合堰(河口から約9km付近)までは、左岸側が防府市街地に隣接している区間で、河道形状も直線的であり、広い高水敷が整備されています。また、河道内にはヨシなどが多く見られます。
また、総合堰付近から中流部にかけては、山間のやや広い谷底平野の中を左右に蛇行しながら流れています。その中には多数の農業用取水堰が設けられ、湛水域と瀬が交互に連続した変化に富む水面を見せています。河道内にはツルヨシ、オギ、ヤナギ群落などが見られるほか、河岸斜面から山にかけてはアカマツが広がります。また、下流部全体としてアユ釣りが盛んであり、県内外から太公望が訪れます。
山口市徳地堀より上流は、同様に谷底平野の中を流下していますが、平野は下流に比べて狭くなっており、上流に近づくに従って山が迫ってきます。特に佐波川ダムより上流では渓谷を形成しています。また、この付近は滑山国有林などがあり、古くから杣木として東大寺の再建用材にされるなど美林を誇ってきました。現在でも一部は、学術参考林として保護されるなど、豊かな自然環境が残されています。