水管理・国土保全

  

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筑後川の主な災害

明治以降の水害

明治以降、大きな出水としては19洪水が観測されています。そのうち、明治22年、大正10年及び昭和28年の洪水は「筑後川3大洪水」と呼ばれ、筑後川の全域にわたって大きな被害をもたらしました。昭和28年6月の洪水の最大流量は、夜明(よあけ)地点において9,000から10,000 m3/sと推定(昭和28年西日本水害調査報告書:土木学会西部支部)されています。

また、近年では平成24年7月洪水において氾濫危険水位を2度も超過、平成29年7月洪水において計画高水位を大きく超過する水位を記録し、甚大な被害が発生しました。


平成29年7月洪水(花月川:日田市)

発生日 発生原因 被災市町村 被害状況
1885年(明治18年) 梅雨 国直轄工事として統一した改修計画(第1期改修計画)策定の契機となった洪水
1889年(明治22年) 梅雨 死者日田18人、久留米52人、家屋被害日田8,460戸、久留米48,908戸
第2期改修の必要性を痛感せしめた洪水(筑後川3大洪水)
1914年(大正3年) 梅雨 家屋被害5,130戸(中下流)
降雨量で既往の洪水を大きく上回った洪水
1921年(大正10年) 梅雨 家屋被害11,620戸(中下流)
第3期改修の契機となった洪水(筑後川3大洪水)
1928年(昭和3年) 梅雨 家屋被害14,434戸(中下流)
4大捷水路の開削が促進される契機となった洪水
1935年(昭和10年) 梅雨 家屋被害30,858戸(中下流)
中下流型降雨により支川改修着手の契機となった洪水
1941年(昭和16年) 梅雨 家屋被害4,235戸(中下流)
1953年(昭和28年) 梅雨 死者147人、流出全半壊12,801戸、床上浸水49,201戸、床下浸水46,323戸
破堤等122箇所、被災者数54万人
現在の治水計画の目標となっている洪水(筑後川3大洪水)
1972年(昭和47年) 梅雨 床上浸水142戸、床下浸水4,699戸
1979年(昭和54年) 梅雨 床上浸水71戸、床下浸水1,355戸
1980年(昭和55年) 秋雨 床上浸水713戸、床下浸水7,395戸
下流域の内水被害が甚大で、佐賀江川で激特事業が採択
1982年(昭和57年) 梅雨 床上浸水244戸、床下浸水3,668戸
1985年(昭和60年) 梅雨 床上浸水61戸、床下浸水1,735戸
1985年(昭和60年) 台風 床上浸水487戸、床下浸水1,517戸
(花宗地区床上140戸、床下324戸 寺井地区床上14戸、床下49戸)
台風13号と満潮が重なり下流域で大規模な高潮被害が発生
1990年(平成2年) 梅雨 床上浸水937戸、床下浸水12,375戸
下流域の内水被害が甚大で、佐賀江川で激特事業が採択
1991年(平成3年) 台風 風倒木面積19,000ha、風倒木本数1,500万本(夜明上流域)
台風17、19号による記録的な烈風により上流山地部で大量の
風倒木が発生
1993年(平成5年) 台風 床上浸水156戸、床下浸水135戸
玖珠川で大きな洪水を記録
2001年(平成13年) 梅雨 床上浸水23戸、床下浸水180戸
花月川支川有田川、寒水川で氾濫
2012年(平成24年) 梅雨 床上浸水444戸、床下浸水2,356戸
花月川、隈ノ上川、巨瀬川等で氾濫し、花月川で激特事業が採択
2017年(平成29年) 梅雨 床上浸水1,195戸、床下浸水1,378戸(速報値)
花月川を含む中流右岸支川で大きな洪水を記録
明治18年~昭和16年(筑後川五十年史)
昭和28年(昭和28年6月末の豪雨による北九州直轄河川の水害報告、筑後川五十年史)
昭和47年~平成24年(出水の記録)



昭和28年6月洪水

昭和28年の洪水では、当時の大臣管理区間(夜明(よあけ)地点下流)だけでも26箇所で破堤し、筑後川右岸50km付近の朝倉(あさくら)堤防の破堤は延長約600mに及びました。この洪水による流域内の被害は、死者数147人、流出全半壊家屋約12,800戸、床上浸水家屋約49,200戸、床下浸水家屋約46,300戸、被災者数約54万人に及ぶ甚大なものでした。


浸水実績図(昭和28年6月洪水)


水没した久留米市街地(久留米医大付近:昭和28年6月洪水)



平成24年7月洪水

7月3日の豪雨では、筑後川水系花月川の花月川水位観測所で「はん濫危険水位」を超え、花月川では堤防が2箇所で決壊、13箇所から洪水流が越水しました。日田市街部を含む花月川沿川の地区では多数の家屋浸水等が発生し、花月川の堤防や護岸が崩壊するなど甚大な被害が発生しました。

さらに、7月13日から14日の豪雨でも再び花月川の堤防から洪水流が越水し、3日に引き続き家屋浸水等や堤防護岸等の施設被害が発生しました。またその他、筑後川支川の隈上川や巨瀬川、小石原川等においても浸水被害が発生しました。


花月川8k000付近の浸水(平成24年7月3日洪水)


花月川夕田橋付近の越水(平成24年7月3日洪水)



平成29年7月洪水

梅雨前線に伴い、7月5日の昼頃から夜にかけて九州北部の福岡県から大分県にかけて強い雨域がかかり、短時間に記録的な雨量を観測し、朝倉市から日田市北部において観測史上最大の降雨を記録した。花月川の花月水位観測所においては、計画高水位を大きく超過する水位を記録し、花月川の堤防損傷や越水による浸水被害が発生しました。また、筑後川中流支川の赤谷川などにおいては土砂崩壊および流木の発生などにより、朝倉市や東峰村などにおいて甚大な被害が発生しました。


花月川3k400付近の状況(平成29年7月5日洪水)


花月川3k800付近の浸水(平成29年7月5日洪水)



昭和60年8月高潮

観測史上最高の潮位を記録した昭和60年の台風13号による高潮で、筑後川下流及び早津江川の沿岸では、浸水被害が発生しました。


昭和60年台風13号による有明海の高潮(芦刈海岸)


昭和60年台風13号による高潮の被害(大川市)



過去の主な渇水
過去の主要渇水
筑後川流域は、平成6年及び平成14年に代表されるように、近年でも大きな渇水に見舞われています。記録的な少雨となった平成6年の平成大渇水では、農業用水、工業用水及び水道用水の取水に影響を及ぼし、過去にない多岐にわたる渇水調整が実施されました。現在においても、慢性的な水不足の状態にあり、概ね2年に1回程度の割合で取水制限や渇水調整が行われています。

平成17年の渇水は、6月の記録的な少雨により河川流量が減少し、農業用水が安定的に取水できなくなるなどの障害が生じました。また、瀬や淵の減少や魚類等の生息環境の悪化など、河川環境にも影響を与えました。


干上がった寺内ダム(平成6年渇水)

発生年月 取水制限延日数 最大取水制限率 筑後川の瀬切れ発生日数
昭和53年4月~昭和54年4月 373 -
平成1年7月~9月 78 -
平成2年8月 8 -
平成4年12月 ~平成5年2月 58 上水道 45%
平成6年7月~平成7年5月 329 上水道 50%、工業用水 30%、農業用水 79%
平成7年12月~平成8年4月 145 -
平成9年6月 4 -
平成11年1月~6月 163 -
平成12年6月 1 -
平成13年6月 2 -
平成14年8月~平成15年5月 265 上水道 22%(福岡県南、佐賀東部)、55%(福岡地区)
平成16年2月~5月 98 -
平成17年6月~7月 20 -
平成18年1月~4月 96 -
平成19年12月~平成20年4月 115 -
平成21年6月 7 -
平成22年11月~平成23年6月 207 -



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