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令和元年度 
手づくり郷土賞受賞案件概要 【一般部門】(全20件) 【大賞部門】(全4件)

手づくり郷土賞【一般部門】(全20件・都道府県順)

 函館湾岸地域のほとんど知られていない魅力的な土木や建築等の地域資源を発掘し、磨き上げ、多くの人に貴重な価値を知ってもらい新たな価値を創造し産業振興に結びつけるにはどうしたら良いか?そんな思いから当団体をH27年に設立。歴史・地理・建築・土木・観光・金融・教育などの専門家が集まり新しい函館湾岸の価値を発見・創造すべく熱く活動、現在32名の会員。函館の歴史や市民の暮らしに密接な関係を持つ「コンクリート」を媒介に、価値ある地域遺産を活用した体験ツアー、パネル展、シンポジウムなどの活動をとおして埋もれている地域資源の掘り起こしを推進し次世代への伝承を目指す。

 中心市街地において車両が通行している道路空間は歩行者の自由な往来を制限していたことから、賑わいをもたらし、快適に過ごせる空間とするため、2006年から「歩行者天国」を開始、14年目を迎える。 「市民がつくり、市民が楽しみ、市民が支える」中心市街地の活性化、地域コミュニティの再生、定住・交流人口増を目的として道路空間を活用した市民参加型の多様で魅力あるイベントを定期的に開催し、来場者は毎年約10万人にのぼる。減少していた休日の歩行者通行量の回復、近隣飲食店の売上増など地域の経済効果にも寄与。活動の原動力は地域への貢献であり、地域への愛着や一体感が生まれている。

 福島県浜通りを縦断する一般国道6号は、幹線道路であるとともに地域の生活道路である。特定非営利活動法人ハッピーロードネットは、地域に住む子供達からの「きれいになれば、まちは明るくなる」という意見を踏まえ、国道6号線沿線の清掃(みんなでやっぺ!!きれいな6国)や約2万本の桜の植樹(ふくしま浜街道・桜プロジェクト)などの活動を展開している。昨年度は約3千人の参加があり、地域住民が地域づくり・まちづくりへ参加しやすい活動を行い、楽しく住みやすい地域社会の実現に寄与している。

 人口減少や少子化が進む中、H26年度より婚活事業の一環として地域資源を活用した嫁入り船を復活させた。花嫁花婿が、地域唯一の船大工による手作り木船に乗り込み、阿賀野川~満願寺閘門~小阿賀野川と川を渡る。その後、豪農の館北方文化博物館を人力車で回遊し人前式を執り行う。地元中学校吹奏楽部によるお祝い演奏、行く先々で観覧者が手を振りながら祝福する。観覧者増の工夫として写真コンテストを同時開催し多数の応募があった。6年目を迎え認知度が上昇し多世代から親しみを得ている。

 市政90周年を契機として、中心市街地活性化を目的に、平成23年より活動を開始。水の都大垣市内を流れる水門川において、奥の細道むすびの地大垣から舟で伊勢に旅発った松尾芭蕉や、関ヶ原の戦いで敗れた武将の娘がたらい舟で落ちのびた歴史をイメージさせる「舟下り」や「たらい舟」体験乗船を実施するなど、他の都市にない独自性を持った取組を実施している。また、市内の観光名所「大垣城」やアニメの舞台との連携を図り、市内へ年間160万人の観光客誘致するなど効果が出ている。

 岡崎市街中心部を流れる一級河川乙川は、治水事業によって単調な河川景観となり、川遊びもなくなり、徐々に使われない空間となっていた。平成27年度に水辺空間の再開発を目的とした環境整備にあわせて、平成28年度から市民・民間事業者が主体的に水辺空間を活用する社会実験「おとがワ!ンダーランド」が始まった。この社会実験により、事業者・団体と連携した物販や観光船、カヌーイベントなどの水辺の多彩なイベントにより、年間7000人の来場者や、日常的な河川利用者を増やす効果を確認している。

 綾部市制施行60周年記念事業として「綾部バラ園」開園。バラ園を継続して管理運営する「綾部バラ会」が設立された。登録ボランティアにより除草や花ガラ摘み等を毎週実施する他、春と夏の年2回、バラまつりを開催。現在、120種類・1,200本のバラが咲いており、令和元年春のバラまつりには79,096人の入場者があった。園内のバラのオーナーになってもらう「バラのオーナー制度」や自宅でバラ園を開園する所には「フレンドガーデン」に認定するなど、花と緑あふれるまちづくりの一翼を担っている。

 寺内町は歴史資源やまちなみ、大水路、環濠も一部当時のまま残っており、それらの景観など良さを情報発信するため、当該協議会を立ち上げ、燈路まつりなど様々な活動を行っている。毎月1回の清掃活動の他、燈路まつりの前には、地元の小・中学生と道路や環濠、大水路の草引き・清掃を実施。燈路まつりではその道路や大水路にみんなで燈籠の飾り付けを行っている。まつりの規模も年々大きくなり、来場者数は第1回を開催した時に1,000人だったが、昨年第9回の実績は7,000人を超える。

 平原地区は江戸時代から、薬草栽培が盛んな集落であったが、人口減少・少子高齢化が進み、薬草畑も耕作放棄地となっていた。そこで、住民一丸となって、もう一度活気のあるむらづくりに取り組むことを決心。県道沿線を中心に耕作放棄地でのハーブや花を植栽。そのハーブの栽培・収穫・加工で耕作放棄地の解消、花等による道路景観の向上、新たな特産品が創出され、開店したピザハウスは毎回約160枚のピザが売り切れるほどの来店があり、活気と賑わいの創出など、県道を中心に地域づくりが進んでいる。

 小野水辺の楽校の建設前は、川に親しむ活動を行い、建設に当たってはどんな水辺の楽校がいいか提案し、完成後は維持管理も含め、年間を通じて楽しめるような活動を仕掛けている他、小中学生を対象にした防災活動にも取り組んでいる。平成20年より「こいながし」を地元自治会と継続して実施してきた結果、SNSを通じて広く認知され、スタッフ300人、来場者数15,000人が集まる一大イベントへと定着し、JA山口県のカレンダーに防府市を代表する風景として採用されるなど、郷土愛の醸成にも貢献している。

 沖洲人工海浜の「海浜利用」と「希少種保護」の両立という課題を解決するため、「沖洲海浜楽しむ会」を設立。平成21年から現在に至るまで地元小学校等と地域の中で海浜をどうしていくかを考えることを目的とした海浜を理解するプログラムを実施(昨年は、約160人が参加)。また、平成22年から年4回、海浜を楽しむ目的で観察会を開催し、地域外の人へ海浜を認知し理解を深めてもらう活動を行っており、海浜の生き物を知るだけでなく、海浜で遊び楽しむことで思い出を作り、愛着をはぐくむ活動となっている。

一般部門NO.12

徳島県・三好市

地域の活動でよみがえった「祖谷」の襖絵からくり舞台

 半世紀前に途絶えてしまった「祖谷」に伝わる伝統芸能「襖絵からくり」を復活させるため、平成16年に襖絵の修復や舞台の製作、操作練習等を開始し、平成19年 米国ダルズ市の訪問団の来訪に合わせて復活公演を行い、大成功を納めた。復活した襖絵からくりを後世に引き継ぐため、平成20年に実行委員会を結成し、ボランティアで公演を毎年2回行うとともに、舞台のアクセス道路への案内看板の設置や清掃活動、樹木伐採を継続的に取り組み、数名から始めた活動の輪が地域全体(会員50名)へ広がっている。

 宇多津町には歴史と風情ある古い町並みが残されているが、老朽化や空き家の増加が問題となった。そこで、地域に暮らす住民がひな人形を飾る行事を行い、来訪者をおもてなしするため、平成16年に実行委員会を設立。当初は、ひな人形を展示するイベントだったが、小学生の三味線演奏会や空き家や空地の活用、大学生による古街マルシェ等、様々な連携のプラットホームとなっている。第1回の平成16年は来訪者3千人だったが、16回目の平成31年に1万7千人、約5.7倍まで増加。季節の行事として定着している。

 H3年の台風被害をきっかけに市民団体を発足させ、町並み保存活動を開始した。八女市ではH7年度に「街なみ環境整備事業」が開始し、H14年に重伝建地区に選定を受け、保存活動が加速した。約230棟の家屋の修理再生や空き家再生を通じて、交流人口・雇用の拡大と地域の活性化に取り組んでいる。伝統建築技術の育成継承や伝統産業との連携したイベントが行われるようになっている。また、地区内約230棟の内、137棟の修理再生事業が完了し、良好な町並みの景観形成につながっている。

一般部門NO.15

長崎県・諫早市

高来町の魅力再発見!
~本明川干陸地の利活用~

 諫早湾干拓事業により創出された400ha以上の干陸地において「子供たちが将来もこの地に住み続けたいと思えるような魅力ある地域をつくりたい」という思いを基にH18年より活動を実施している。地域住民を対象に諫早湾干陸地および環境保全に関する活動、水質保全活動等を行っている。年に4回程、本明川流域の住民を呼びかけ、約1200名が清掃活動を行っている。また、当団体主催の「300万本のコスモスまつり」は、昨年度で約21,000名の来訪者数であり、地域の賑わい創出、地域活性化につながっている。

 「お年寄りに生きがい、青年にやりがい、子どもたちには思い出づくり」をモットーとし、人と自然との関わりの再生も視野に、幅広い年代層の方々が参加できる事業やイベントを、S63年より実施している。当団体は、子供を中心に川漁の面白さや水の大切さ、怖さを教えており、具体的には「閘門周辺をフィールドとした環境学習」、「伝統漁法等を含めた舟運の伝承」、「河川清掃活動」を行っている。伝統文化の継承や幅広い世代の人々が楽しめる場所の創出につながっている。

一般部門NO.17

熊本県・阿蘇市

道の駅を核とした地域振興
~道の駅の役割と住民とのネットワーク構築~

 道の駅を核とし地域資源の保全・継承の取組を行い、市内に点在する90の自然や建造物などの地域資源を「サテライト」とよび、H18年より事業を展開している。「地域資源の維持管理・清掃及び地震等災害の復旧作業」、「地域資源を紹介するイベントの開催」、「テーマ性のある散策・周遊ルートの構築」「地場作業を活かした六次産業化のサポート」等を行っている。激減したホタルの復活や被災した神社仏閣の復旧等の45件の成果が出ており、地域コミュニティ維持にもつながっている。

一般部門NO.18

大分県・中津市

山国川奇譚
~鶴市花傘鉾神事保存・伝承事業~

 当会では1135年より続く「鶴市花傘鉾祭」を挙行している。この神事では母子の霊を慰めるとともに五穀豊穣を願う行事として利水受益地域を色鮮やかに飾られた花傘鉾が列をなして約40kmを巡航している。S46年に発足され、大祭前には主会場である山国川河川敷の草刈りや清掃美化活動を行っている。大祭等を通して、地域に古くから継承されている民俗芸能の魅力や、治水・利水の役割と重要性を住民へ伝え、ふるさとを愛する心の醸成と地域コミュニティの形成に寄与している。

一般部門NO.19

宮崎県・西都市

記紀の道
~地域の宝をつなぎ心を育む~

 西都原古墳群と中心市街地を結び神話にまつわる伝承地を巡る「記紀の道」における自然景観の保全及び創出、普及啓発・人材育成活動等を中心としている。H25年より活動しており、具体的には散策マップやサインの製作、「記紀の道」を歩こう会、小学生による伝承地のワンポイントガイド、古代米の栽培、クリーン活動、花の植栽を行っている。小学生参加のイベントが多く、地域性を大切にした道づくりを実践している。この活動を通して、地域に残る宝の価値が再認識され地域への愛着が育まれている。

一般部門NO.20

沖縄県・国頭村

やんばる奥川の自然環境共生型地域づくり

 沖縄本島最北端の集落で人口減少や高齢化等の問題がある中、地域を盛り上げていこうと地域住民が中心となり活動を行っている。奥川では今年30回目の「こいのぼり祭り」開催し、約3万人が来場した。併設する宿泊施設やレストラン等も整備され、多くの県民に親しまれる河川となった。また、改修工事により失われた環境を取り戻そうと平成19年に協議会を設置し河川の改良の他、リュウキュウアユ稚魚の放流やマングローブ植林等 自然再生の取組を実施している。

手づくり郷土賞【大賞部門】(全4件・都道府県順)

 全国に先駆けて会津若松市景観条例が制定され、七日町通りではレトロなまちなみ景観を基軸としたまちなみづくりが推進されている。地域の特性に調和した外観整備、空き店舗対策、人材育成事業などを実施し、通り全体として「おもてなしのまち(地域)づくり」を進めて、通りの魅力向上に努めた。会津若松市の観光拠点となり、約30万人もの観光客が訪れている。これまでに52軒の建物外観の修景が行われ、38軒の空き店舗解消につながり、現在では物販業、飲食業、サービス業などの81店舗が立地している。

 文化財の宝庫である長野市松代町の歴史的建造物において平成12年から来訪者の接待や案内等を開始。ボランティアガイドは内外から高い評価を得て定着しており、平成30年度は延べ8,215人の活動により約24,000人のガイドを実施した。文化財の調査・研究やガイドブックの作成、ワークショップの開催など建造物等の魅力を掘り起こす活動は“社会資本を活かすソフト”として町全体に波及し、城下町を面として活用する“城下回遊型”にシフトするなど松代町の地域づくりに大きく寄与している。

 古くはお伊勢参りの玄関口として賑わったみとまち神社港の再興を目的に、木造船みずき運航による船参宮を再現し、運航開始から10年以上が経過して地域資源として定着している。また、平成10年に70年ぶりに復活した、伝統行事である篠島から船による伊勢神宮への「御幣鯛(おんべだい)」の奉納は、本年度22回目を迎え、のべ約20,000人の地域住民が参加している。更には、「海の駅」を活用した「辰の市」の継続や、新たに行政と連携した不法係留船対策を行うなど活動を拡大している。

 平成13年に源流域の保全から始めた活動は、上中下流域の連携・協働による森林整備、河川清掃、干潟再生等の流域全体の環境保全活動へと展開し、前回受賞したH17年と比較し、イベント開催回数が年3回から24回に、年間参加者も4.5千人から30千人に増加するなど、活動を発展させてきた。更に環境学習の充実や日本ユネスコ協会の未来遺産登録など環境保全・再生の活動を広める取組みを行った結果、県内外の企業から助成、支援、活動への参加(12社)に繋がるなど、活動は流域圏を超えて波及している。

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