建設産業・不動産業

不動産業におけるマネー・ローンダリング対策(犯罪収益移転防止法)

1.マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について
 ○マネロンとは?
  マネー・ローンダリングの略称で、一般的に、犯罪によって得られた収益を不動産へ交換すること等により、その出所や所有者を 
 分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為をいいます。
 ○テロ資金供与とは?
  テロ行為の実行資金、テロ組織の活動資金等のために、資金や場所等を収集・提供等する行為のことをいいます。
 ○拡散金融とは?
  大量破壊兵器(核・化学・生物兵器)等の開発、保有、輸出等に関与するとして資産凍結等措置の対象となっている者に、資金等   
 の提供をする行為のことをいいます。
 ○マネロン等対策はなぜ必要か?
  マネロン等が行われることで、将来の犯罪やテロ、大量破壊兵器の開発等が発生し、ひいては健全な事業活動、市民活動の阻害に 
 つながりかねず、安全なくらしを守り、経済の健全な発展を実現するうえで、マネロン等を防止することが大切です。また、こうし 
 た行為は規制が緩い国が抜け道とならないよう、国際社会と足並みをそろえながら対応することが重要となります。
 ○マネロン等対策に係る国際的な取組
  国際基準の策定や履行を担う多国間枠組みとして設立された金融活動作業部会(FATF)での活動を中心に取組が進められており、  
 FATFでは、各国が遵守すべき国際基準(FATF勧告)を策定するとともに、加盟国間の相互評価を通じて基準の履行を担保していま
 す。
  我が国の取組に対しては、2021年8月に第4次相互審査の結果が公表され、宅地建物取引業等に対しては、マネロン等リスクにつ 
 いて「低いレベルの理解しか有していない」と評価され、我が国は実質的な不合格を意味する「重点フォローアップ国」に位置づけ 
 られました。


2.犯罪収益移転防止法の概要
  犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯罪収益移転防止法」という。)は、マネー・ローンダリング(資金洗浄)及び 
 テロ資金供与対策に関する国際基準の策定等を行う多国間の枠組みであるFATFの勧告の改定や近年における暴力団等によるマ
 ネー・ローンダリングの手口の巧妙化など、犯罪による収益の移転をめぐる国内外の動向に対応するために制定された法律で、平成
 19年3月に公布され、平成20年3月より全面施行されました。
  犯罪収益移転防止法では、金融機関や宅地建物取引業者など、全49の事業者が「特定事業者」として位置付けられ、顧客等の 
 取引時確認の実施や疑わしい取引の届出等の措置が義務付けられています。
  宅地建物取引業者については、宅地建物取引業法の適用を受ける取引のうち、宅地・建物の売買契約の締結又はその代理・媒介
 を行う取引が「特定業務・特定取引」として位置付けられており、取引に際し犯罪収益移転防止法上の義務を負うこととなります。
 
 ○犯罪収益移転防止法の概要
  ・概要資料
 〇関連法令
  ・犯罪収益移転防止法
  ・犯罪収益移転防止法施行令
  ・犯罪収益移転防止法施行規則
 〇関連通知
  ・犯罪収益移転防止法の厳正なる遵守について(令和7年6月27日)
 〇様式
   確認記録、取引記録の様式は不動産業における犯罪収益移転防止等に関する連絡協議会(事務局:【公財】不動産流通推進セン
  タ)作成のハンドブックに掲載されています。下記のリンク先よりご確認ください。
  ・不動産業における犯罪収益移転防止のためのハンドブック・各種様式(リンク先中段 関連書式のダウンロード・関連リンク参 
 照)
   https://www.retpc.jp/shien/maneron/


3.疑わしい取引の届出について
  疑わしい取引の届出制度は、犯罪収益移転防止法により、宅地建物取引業者をはじめとする特定事業者に義務付けられているもの 
 で、犯罪収益に係る疑わしい取引に関する情報を集約して捜査に役立てることを主目的とする制度です。また、犯罪者によって特定 
 事業者が利用されることを防止し、特定事業者に対する信頼を確保しようとするものでもあります。疑わしい取引の届出が適切にな
 されることで、特定事業者がマネロンリスクを理解した上で業務遂行に当たっていることを示すことにもつながり、政府全体でも届
 出の推進が図られているところです。
 (1)参考事例、チェックリスト
    疑わしい取引の届出義務の履行にあたり、疑わしい取引に該当する可能性があるものとして、特に注意を払うべき取引類型を 
   参考事例として例示しています。また、当該例示をもとに、事業者団体で組織する協議会でチェックリストを作成し、取引実務
   で活用されています。
     ・「不動産の売買における疑わしい取引の参考事例(宅地建物取引業者)」(宅地建物取引業における犯罪収益移転防止のた
     めのハンドブック第2分冊P5抜粋)
     ・「チェックリスト」
 (2)届出にあたっての判断基準
    疑わしい取引の届出を行うにあたり、「チェックリストにいくつ該当すれば届出をすればいいのか」、「疑わしいか判断がつか
   ないが、届出すべきか」といったお問い合わせに対し、国土交通省において、以下の判断基準(※)を示しておりますので、積
   極的に届出を行ってください。
    ・「疑わしい取引の届出に関するチェックリスト」(犯収法等連絡協議会作成「宅地建物取引業における犯罪収益移転防止の
    ためのハンドブック<第2分冊>に掲載)に一つでも該当すれば届出を行う。
    ・「疑わしい取引の届出に関するチェックリスト」(犯収法等連絡協議会作成「宅地建物取引業における犯罪収益移転防止の
    ためのハンドブック<第2分冊>に掲載)に該当するかどうか明確でなく、判断に迷う場合は届出を行う。
     ※参考「事務連絡(令和8年2月19日「リスク評価書の作成及び「疑わしい取引の届出」における判断基準の明確化について」)
 (3)内報の禁止
    犯罪収益移転防止法第8条第4項において、特定事業者が疑わしい取引の届出を行おうとすること、または行ったことを届出
   に係る顧客やその関係者に漏らすことを禁止しています。
 (4)届出様式、届出方法
    届出にあたっては、犯収法施行規則第二十五条で様式が定められております。また、届出方法は以下のとおりです。
    ・届出様式(※警察庁JAFIC リンク先中段 届出様式(PDF)参照)
    ・届出方法(※同リンク先 疑わしい取引の届出方法参照)
 (5)疑わしい取引の届出の状況(犯罪収益移転防止法第8条)
 <宅地建物取引業者からの届出状況>

※国土交通省において把握している四半期末時点の届出件数です。
 最終的に集計を行う警察庁の件数と異なる場合があります。
 (6)不動産取引における暗号資産利用
    ・暗号資産を用いた不動産取引について(要請) 令和8年4月28日


4.マネロン等ガイドライン 
  FATF第4次対日審査結果において、「特定非金融業者及び職業専門家の監督当局は、マネロン・テロ資金供与リスク、リスク評価
 プロセス、マネロン・テロ資金供与対策義務の解釈やその遵守について、監督する事業者に対して実践的な指針(ガイダンス)を発
 行する。」ことが求められていることから、「宅地建物取引業におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策ガイドライン」
 を策定することになりました。
 ○宅地建物取引業におけるマネー・ローンダリング及び及びテロ資金供与対策に関するガイドラインについて
 経済制裁対象者
  外為法及び国際テロリスト等財産凍結法による資産凍結対象者は外務省告示等により指定され、措置対象となる個人・団体への
 支払いや資本取引等について規制されています。
  資産凍結対象者については、「経済制裁措置及び対象者リスト」として財務省HP
 にて公表されています。
   (財務省HP)
   経済制裁措置及び対象者リスト : 財務省
  同様に、「公告国際テロリスト」及び「公告大量破壊兵器関連計画等関係者」のリストとして警察庁HP にて公表されている。
   (警察庁HP)   
   国際テロリスト等財産凍結法関係|警察庁Webサイト

 ○外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドライン

 ○外為法告示
  安保理決議に係る制裁等について制裁対象者以外の名義により行われる制裁対象者への支払が規制対象となることを明確化   
  ・外国為替及び外国貿易法第16条第1項又は第3項の規定に基づく財務大臣の許可を受けなければならない支払等を指定する件
   (平成10年財務省告示99号)
  ・外国為替及び外国貿易法第21条第1項の規定に基づく財務大臣の許可を受けなければならない資本取引を指定する件
  ・令和5年6月1日施行の支払告示・資本取引告示の FAQ


5.リスク評価書について
  リスク評価書とは、宅建業者の事業規模や取引形態に応じて、マネロン等リスクの特定や評価、低減措置を記したもので、これま
 でもマネロン等ガイドラインで作成を要請してきたところです。
  また、政府においても、令和8年1月23日に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定し、「速やかに実施す
 る施策」として、「令和8年度中には、マニュアルを踏まえて全ての宅建業者が「リスク評価書」の作成を完了することを目指す。」 
 ことが盛り込まれています。
  「疑わしい取引の届出」の件数を向上させていくうえで、宅建業者におけるマネロン等リスクへの意識向上を図る必要があり、「リ
 スク評価書」はそのための重要なツールであり、土台となります。
 ○作成要領等
  リスク評価書作成の参考となるよう、国土交通省において令和8年2月19日に、作成要領を作成し公表しております。未着手、
 未作成の事業者におかれては、令和8年度中のリスク評価書作成完了をお願いします。
    マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融に関するリスク評価書
     ・事務連絡(令和8年2月19日「リスク評価書の作成及び「疑わしい取引の届出」における判断基準の明確化について」)
     ・リスク評価書作成要領(宅地建物取引業者におけるひな形)
     ・リスク評価書(様式)
     ・リスク評価書(記載例)
     ・リスク評価総括表
  
  ※FATFによる「グレイリスト国」及び「ブラックリスト国」の一覧
   毎年2月、6月、10月頃に、FATF会合の結果を踏まえて、財務省HPにて最新のリストが掲載される。また、最新の犯罪収益危険度
 調査書(国家公安委員会:毎年11月発行)にも掲載されている。
    ・財務省HP
      グレイリスト国→「強化モニタリング対象国・地域」として掲載
      ブラックリスト国→「行動要請対象の高リスク国・地域」として掲載
     FATF(金融活動作業部会)関連 : 財務省

    ・犯罪収益危険度調査書(国家公安委員会)
     年次報告書|JAFIC 警察庁


6.犯収法等連絡協議会について
  不動産業6団体では、「不動産業における犯罪収益移転防止等に関する連絡協議会」を設置し、業界をあげて、犯罪収益移転防止
 法に係る義務履行等の徹底を図っております。
 (1)「宅地建物取引業における犯罪収益移転防止のためのハンドブック」
   協議会では、犯罪収益移転防止法で義務化されている不動産取引時の確認事項や疑わしい取引の届出等について、実務面から分
  かりやすく解説した『犯罪収益移転防止のためのハンドブック』を作成し、公表しています。
   ・「令和8年1月公表 宅地建物取引業における犯罪収益移転防止法のためのハンドブック」(リンク先中段 ハンドブック(PDF)ダウンロード参照)
 
 (2)「不動産業における犯罪収益移転防止等に関する連絡協議会申合せ」
   連絡協議会の構成団体間で申し合わせを行い、不動産業における犯罪収益移転防止等に関する措置の徹底を図っております。
   ・犯罪収益移転防止等に関する措置の徹底について(申合せ)
 

お問い合わせ先

国土交通省不動産建設経済局 不動産業課 不動産業指導室
電話 :03-5253-8111

ページの先頭に戻る