建設産業・不動産業

地方公共団体の入札・契約手続に関する実態調査結果について

平成12年1月20日
 
地方公共団体の入札・契約手続に関する平成11年度の実態調査の結果がまとまりましたのでお知らせします。
 
 

1 調査概要

 
「地方公共団体の入札・契約手続に関する実態調査」は、全地方公共団体を対象として、建設省と自治省が共同して平成5年以来毎年行っているもので、今回が7回目の調査となる。
 
(1) 調査対象 …… 全地方公共団体 (47都道府県、12指定都市、3,240市区町村)
 
(2) 調査時点 …… 平成11年6月1日時点(ただし、入札件数等については、平成10年度に発注された50万円以上のすべての工事を対象としている。)
 
(3) 有効回答 …… 3,299団体 (100%)
 

2 調査結果の概要

 
(1) 一般競争入札等の多様な入札方式の活用
 一般競争入札については、すべての都道府県及び指定都市が導入しているほか、市町村(指定都市以外の市区町村をいう。以下同じ。)においても875団体が導入しており、前年に比べ161団体(5.0p)増加している。なお、一般競争入札の導入団体のうち、37団体においては5千万円未満のかなり小規模工事についてもその対象としているものがある。
 また、透明性・競争性の高い入札方式である公募型指名競争入札、工事希望型指名競争入札については、市町村を中心に未だ採用していないところも多く、公募型指名競争入札で11.7%、工事希望型指名競争入札で5.2%と一般競争入札に比べても導入率が低い。
 
(2) 入札・契約手続の透明性及び公平性の確保
 指名基準の策定は、かなりの団体で行われているものの、未策定団体が599市町村も残っており、また、前年調査との比較においても68団体しか増加していない。また、指名基準の公表については、市町村の約半数にとどまっており、都道府県レベルでも2団体が非公表であるなど、入札・契約手続の透明性及び公平性の確保という観点から、問題が大きい。指名審査委員会についても、未設置の団体が指定都市で1団体のほか市町村で208団体あり、早急の設置が必要である。
 また、指名停止基準については、未策定団体が945団体にものぼり、6府県を含め、2,152団体が非公表(未策定団体を含む。)であるうえ、前年との比較においても、その改善スピードは微々たるものであり、極めて問題である。
 入札結果の公表については、大半の団体で行われているものの、402団体が非公表となっており、改善もほとんど進んでいない。
 
(3) 工事完成保証人制度の廃止と新たな履行保証制度体系への移行
 金銭的保証を中心とする新たな履行保証体系への移行は大半の団体で行われているが、都道府県及び指定都市レベルでも3団体が依然として一部工事に工事完成保証人制度を残しており、早急の改善が望まれる。
 
(4) 多様な入札・契約方式の導入
 入札時VEが10団体(19件)、契約後VEが10団体(31件)ずつで行われたほか、設計・施工一括発注方式(デザイン・ビルド方式)が7団体(8件)、詳細設計付き競争入札方式が2団体(4件)、二段階随意契約方式が1団体(8件)で行われるなど、新たな入札・契約方式の導入の試みが行われつつある(計70件)。
 なお、これらの試みが比較的小さな市町村でも行われていることは注目に値する。
 
(5) 予定価格の公表
 予定価格の事後公表については、平成10年2月の中央建設業審議会建議を受けて、都道府県及び指定都市において大幅に進み、45都道府県、12指定都市、678市町村で公表されることとなった。しかしながら、全体としてみれば公表団体は2割程度であり、その一層の進展を要請する必要がある。
 
(6) 最低制限価格制度及び低入札価格調査制度の導入
 最低制限価格制度は全体の7割強の団体が導入しており、低入札価格調査制度を導入している団体は270団体となっている。
 しかしながら、低入札価格調査制度は、WTO対象工事については最低制限価格の設定が認められていないこともあり、都道府県及び指定都市で導入が進んでいるが(44都道府県、12指定都市)、市町村における導入状況は6.6%に過ぎない。
 また、最低制限価格以下の応札が行われた入札件数は14,585件、低入札価格調査制度に基づき調査を行った入札件数が794件であり、合計で前年に比べ約6割増となっている。最低制限価格の設定件数そのものが前年に比べて増加していることを差し引いたとしても、競争が激化していることの表れではないかと推測される。もっとも、平成10年度の全入札件数は約103万件であり、極端な低価格入札は1.5%弱にすぎないことを踏まえれば、これらの低価格入札を殊更に重視することは、適当ではないと思われる。
 なお、低入札価格調査制度に基づき調査を行った結果、履行能力等に問題があるとして契約に至らなかったものが59件あった。(昨年とほぼ同数。)
 
(7) 等級制の運用
 発注標準の公表については、都道府県及び指定都市では進んでいる(非公表:2府県)が、市町村では1,035団体(31.9%)にとどまっている。ただし、市町村の約27%に相当する868団体では発注標準そのものが策定されていないため、これを除外すると、市町村の公表団体は約44%となっている。
下 位ランク業者の上位ランク工事への参入(いわゆる「くい上がり」)は、1,353団体(41.0%)で措置されており、前年に比べて大幅に増加(528団体、16.0p)している。
 一方、等級の本人への通知は、43都道府県、11指定都市、747市町村にとどまっている。
 
(8) 不良・不適格業者の的確な排除
 CORINS登録の義務付けに関しては、都道府県、指定都市ではすべて行われているが、市町村においては22.5%にとどまっており、発注者支援データベース・システムの信頼性の向上のためにも、一層の普及促進が必要である。
 また、施工体制台帳の提出の義務付けは、都道府県ではすべての団体で行われているものの、指定都市では10団体、市町村では884団体(27.3%)にとどまっている。
 また、現場施工体制の立入調査は、都道府県及び指定都市では8~9割、市町村では3割弱の団体で実施されているにすぎないが、前年に比べればほぼ倍増となっており、不良・不適格業者の排除に対する発注者の関心が浸透してきていることが窺える。
 
(9) JVの活用状況
 特定JVについては、発注件数が6,766件(平成9年度)から8,391件(平成10年度)に増加、また、経常JVについても、登録件数が3,309件から3,579件に増加しており、JV制度が積極的に活用されている。
 

3 今後の対応について

 
 この実態調査の結果を踏まえ、早急に改善通知を行う予定である。
 

4 その他

 
 自治省内政クラブと同時発表
 
 
 

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