2.都市計画区域外における開発行為及び建築行為についての考え方
(1)全 体
・都市計画区域外における開発行為や建築行為を規制することに賛成。(個人、事業関係者、日本建築学会、日本都市計画学会、大阪府農業会議、日本商工会議所、岩手県、秩父市、熊谷市、越谷市、松伏町、北九州市)
・「計画なければ開発なし」といった強力な開発禁止の原則を確立するべき。(日本商工会議所、全国農業会議所)
・国土全体を都市計画区域とするべき。(日本都市計画学会九州支部、浦和市)
・都市計画区域外の規制については、都市、農地、森林、自然等の個別の土地利用規制を総合的に調整する仕組みが必要。(日本都市計画家協会、全国商店街振興組合連合会)
・法律に特段の規定がない場合であっても、条例を活用する等により、市町村が地域の実情に即した自主的なまちづくりを進めることができるようにするべき。(全国市長会)
・都市計画区域外において都市計画上の規制を行うことが制度上可能なのか。(個人、事業関係者、大阪府農業会議、徳島県、福井県)
・都市計画区域外において規制を行うことは、組織体制の弱い市町村では無理である。(個人)
(2)都市計画区域制度の弾力化
準都市計画区域制度の創設については、概ね賛成とする意見が大勢を占めているが、都市計画区域の拡大による手法との違いを明確にするべきとの観点からの意見も見られる。 |
<全体>
・準都市計画区域制度の創設に賛成。(有識者、事業関係者、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会、広島市)
・都市計画制度として新たな仕組みを設けることが市町村にとって新たな規制となることが懸念される。(全国市長会)
・準都市計画区域に指定要件は緩やかにし、指定規模も弾力的なものとするべき。(広島県)
・準都市計画区域は、将来的には都市計画区域に含まれる区域の予備軍と捉えられ、都市計画法が他の領分まで出ていくことに疑問。(宮崎県)
・準都市計画区域の指定は、都道府県も行えることとするべき(個人、兵庫県、福島県、愛媛県)
・都道府県マスタープランに準都市計画区域の指定方針を定めるものとするべき。(福岡県)
・準都市計画区域は、市町村マスタープランにおいて位置付けるべき。(日本建築学会、佐賀県)
・準都市計画区域においても集団規定の適用を可能とするべき。(広島市)
<都市計画区域の拡大>
・都市計画区域の拡大を進めることが必要。(個人、事業関係者、日本都市計画学会、日本都市計画学会九州支部、日本商工会議所、埼玉県、長崎県、岩手県、浦和市、与野市)
・都市計画区域の指定要件の廃止又は緩和を行うべき。(日本商工会議所、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会、福岡県、福島県、山ノ内町)
・準都市計画区域による手法と都市計画区域の拡大による手法の選択の視点を明確化するべき。(有識者、日本都市計画学会、山口県)
・準都市計画区域は、都市計画区域の指定が困難な場合やコンセンサス形成に時間がかかる場合に、機動的な指定を行うものとするべき。(日本商工会議所)
(3)都市計画区域外における開発許可制度の適用
開発許可制度を都市計画区域外に適用することに異論はない。ただし、適用する際の制度構成に関し、以下のような提案がある。 |
・都市計画区域外における開発許可制度の適用に賛成。(個人、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会、全国中小企業団体中央会、広島市)
・技術的基準の審査のみならず、無秩序な郊外開発の抑制など、立地適否の判断の要素も盛り込むべき。(日本商工会議所)
・開発許可の対象となる開発行為を大規模なものに限定することなく、すべての開発行為を対象とするべき。(全国商工会連合会)
・開発許可の対象となる開発行為の規模や開発目的による立地適否の判断について、自治体が独自に定められるようにすべき。(有識者、仙台市)
・災害防止に関する技術基準は厳しくすべき。(福島市)
(4)特に大規模な建築物等についての届出制度の導入
特に大規模な建築物等を対象として立地規制を行うことについては、大規模小売店舗立地法との関係の整理も含め、賛否が大きく分かれた。また、仮に制度を導入する場合であっても、届出制という規制手法、勧告基準の事前明示性等に問題がある等の見解が示された。 |
<慎重意見>
・大規模建築物等のみを対象とした届出制の導入に反対。(日本ショッピングセンター協会)
・大規模小売店舗立地法と同様の届出手続を設けることは不要。(事業関係者、日本チェーンストア協会)
・大規模小売店舗立地法の規制内容と重複することを避けるため、両者の関係を整理するべき。(日本建築学会、経済団体連合会、日本ショッピングセンター協会、不動産協会、青森県、京都府、福岡県)
・都市計画区域内においては、用途地域、特別用途地区により対応すれば足りる。(経済団体連合会、不動産協会、岩手県、徳島県、北九州市、神戸市)
・地域のニーズを反映した大規模建築物等については、都市計画区域外であってもその立地を円滑に進めることができるようにするべき。(日本ショッピングセンター協会)
・届出勧告制度については、過度な指導が行われないよう配慮するべき。(不動産協会)
<賛成意見>
・大規模建築物等の立地を規制することに賛成。(個人、日本建築学会、日本商工会議所、全国商工会連合会、和歌山県、広島市)
・大規模店舗の規制に関しては、現行の特別用途地区や都市計画区域の拡大では対応困難である。(山梨県)
<制度構成に係る提案>
・届出の対象とする大規模建築物の規模については、自治体が独自に設定できるようにするべき。(仙台市)
・大規模建築物等の立地規制については、届出勧告では十分な実効性がなく、許可制とするなどより厳しいものとするべき。(個人、日本商店街学会、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会、福岡県、徳島県、愛媛県)
・大規模建築物等の届出勧告制度の運用主体は、市町村とするべき。(京都府、仙台市、千葉市、広島市、福岡市、京都市)
・大規模建築物等の届出勧告制度の運用主体は、建築物の規模に応じて都道府県又は市町村とすべき。(広島県、茨木市)
・都道府県知事が勧告をする際には、関係市町村へ意見照会を行い、その結果を勧告の内容に反映させる等、市町村の意向を重視するべき。(愛媛県、札幌市)
・勧告の目的、基準等を明確に示すべき。(埼玉県、徳島県、岩手県、札幌市、京都市、広島市)
・勧告は、周辺市町村、住民等からの意見を聴取するとともに、都道府県マスタープラン、市町村マスタープランとの整合性に留意して、行うこととすべき。(日本商工会議所)
1.都道府県の都市計画に関するマスタープランの創設
2.都市計画区域外における開発行為及び建築行為についての考え方
3.線引き制度及び開発許可制度の見直し
4.既成市街地再整備のための新たな制度
5.環境問題等への対応のための制度の強化
6.都市計画の決定システムの合理化