マレーシア(Malaysia)

国勢概要
国名 マレーシアMalaysia
国土面積 約33万km²(日本の約0.9倍)
人口 2,840万人(2010年、統計局)
人口密度 84人/km²(2008年)
都市人口比率 72.2%(2010年)
GDP(実質) 1,738億ドル(2010年)
一人当たり
GNP(名目)
8,323米ドル(2010年)
産業別
就業人口比率
第一次産業14.0%
第二次産業28.1%
第三次産業57.9%(2008年)
GDP成長率 7.2%(2010年)
概況

マレーシアの国土は南シナ海をはさんでマレー半島の南半分(半島マレーシア)とボルネオ島北西海岸地域(サバ州、サラワク州)からなる。国土の5分の4は森林、湿地帯である。

1957年イギリス植民地からマラヤ連邦が独立、1963年イギリス植民地のサバとサラワクを合わせて連邦国家マレーシアとして独立した(その後、1965年にシンガポールが分離、独立)。

半島マレーシアにある11州に対しては、連邦政府が州政府に対して強い権限を有しているが、サバ州とサラワク州については、マレーシア結成時の合意に基づき、現在でも他の州と異なった権限が認められている。

主にマレー系、中国系、インド系からなる複合民俗国家で、多様な民族がマレーシアの文化に影響を与えているとともに政治においても大きな役割を果たしている。

地方ブロック図(半島マレーシア、ボルネオ島北部)
地方ブロック図

資料:Federal Department of Town and Country Planning, Malaysia (2010)

計画体系

計画体系

資料:Federal Department of Town and Country Planning, Malaysia (2005) "National Physical Plan"

国及び地方の関係と計画体系

マレーシアの行政体系は国家、州政府(広域圏(region)は幾つかの州をまとめた単位)、地方自治体(特別市、市、町)の三層で構成されている。州の数は13(うち11が半島マレーシア内)、地方自治体の数は144ある(2007年現在)。

国土政策に関連する計画として、国家レベルにおいて、五ヵ年開発計画(「マレーシア計画」と名付けられている社会経済計画)、空間計画(国家空間計画)の両方が策定されている。これらの計画はそれぞれ州(五カ年)計画とストラクチャープランに落とし込まれる。それら州の計画は次いでローカルプランまたは特別区域計画となりローカル(地区別)レベルの開発計画の枠組みの役割を果たす。

ストラクチャープランは州を単位として各州で策定されるものである一方、広域圏計画(regional plans)は、2以上の州を対象に、州境界を越える重要な開発課題が存在するエリアについて策定されるものである。

国土政策に関わる政府機関等
計画名又は行政分野 担当機関 ホームページ
第十次マレーシア計画 連邦政府首相府経済企画院 http://www.epu.gov.my/home
国家空間計画(2010年改定) 連邦都市農村計画局 http://www.townplan.gov.my/
クアラルンプール・ストラクチャー・
プラン
クアラルンプール市 http://www.dbkl.gov.my/index.php?lang=en

国土政策に関わる主要な施策

国レベルの社会経済計画の制度概要

マレーシアの現在の社会経済開発は、ビジョン2020及びマレーシア計画に沿って行われている。ビジョン2020は、2020年までにマレーシアがあらゆる側面(経済、政治、社会、精神的、心理的、文化)において完全に先進国の仲間入りをすることを目標とした、30年にわたる展望を示したものである。マレーシア計画は連邦政府首相府経済企画院が策定する五カ年計画で、現在は十回目にあたる第十次計画が実行中である。

マレーシア計画は、マクロ経済の成長目標を設定し、公的部門の開発計画の規模と配分について設定する。また、該当部門に対して方向性を示すもので、それが民間部門の投資決定に誘導的な役割を果たしている。現行の第十次マレーシア計画では、「ワン・マレーシア:国民第一、今こそ実行(1Malaysia: People First, Performance Now)」の理念に沿って高所得と社会的公平性を阻害しない高い生産性を実現する経済を目標に掲げている。第十次計画が立脚する10の理念は以下のとおりである。

  • 1) 内発的かつ外向きに
  • 2) 民族多様性の国際的活用
  • 3) 専門化を通じた高所得国への転換
  • 4) 生産力先導型の成長とイノベーションの発揮
  • 5) 有能な人材の育成、誘引、保持
  • 6) 機会均等の確保と弱者の保護
  • 7) 集中的成長とインクルーシブな(=全ての人が恩恵を受ける)開発
  • 8) 効果的で円滑な連携の支援
  • 9) 環境資源の価値評価
  • 10) 競争力の高い団体としての政府

同時に、マレーシアの経済成長を導くものとして新経済モデル(NEM: New Economic Model )があり、その最終目標は「2020年までにマレーシア経済を質の高い成長(持続可能かつインクルーシブ)を通じて高所得経済へと転換させる」こととなっている。

半島マレーシアの開発戦略

半島マレーシアの開発戦略

資料:Federal Department of Town and Country Planning, Malaysia (2010) "2nd National Physical Plan"

国レベルの空間計画の制度概要(国家空間計画)

国家空間計画(National Physical Plan: NPP)は1976年都市農村計画法(2001年改正)を根拠法とする法定計画である。連邦都市農村計画局が策定担当機関である。

NPPは2001年に行われた都市農村計画法改正により導入されたものであり、2005年に承認された計画が初の計画である。このNPPは、2006-2020年を計画期間としている。都市農村計画法により、NPPは、五ヵ年計画(マレーシア計画)と並行して5年ごとの見直しが義務付けられている。

NPPは連邦政府、州政府間の協議を経て策定される。NPPの策定は都市化に向けた目標や関連部門別政策を参照して行われる。現在、NPPの対象は半島マレーに限定されており、サバ、サラワクについては他の計画法制の所管となっている。

2010年8月にはNPPの改定 (NPP-2)が承認された。NPP-2で示された目標は「2020年までに高所得国家かつ先進国となるべく国家の全体的な発展を導くため、効率的、公平で持続可能な国家の空間的枠組みの創造」となっている。NPP-2で追加された政策・方針は、気候変動、生物多様性の保全、グリーンテクノロジーなどの技術のほか、持続可能な観光業についても考慮したものになっている。また、NPP-2には、公共セクターのプログラムにアウトカム重視のアプローチを導入することを目指す中で打ち出された6つの国家重点達成分野(NKRAs: National Key Result Areas)の目標達成に向けた施策の概要も示されている(犯罪率引き下げ、アフォーダブルで良質な教育へのアクセス拡大、貧困層の生活の質の向上、農村部のインフラ整備、公共交通の整備などについて)。

NPP-2は、「集中的分散」と呼ぶ、半島マレーシアの国土空間形成戦略を打ち出している。これは、@成長コリドー候補沿いの重点開発(都市・産業、農業、観光、交通、インフラ、都市サービス)、A指定都市圏及びその他の主要都市地域での重点的都市開発、B後発・非都市地域への開発の拡大、Cエコツーリズムと農業資源へのアクセス提供、を柱とするものである(右図参照)。これらのうち、Aは、第一次NPPが打ち出した「選択的集中」戦略(クアラルンプール、ジョージタウン、ジョホールバル、クアンタンなどの重要な都市圏の成長を促すことで国家発展をけん引させようとするもの)を継承発展させたものである。

クアラルンプール市ストラクチャープラン

クアラルンプール市ストラクチャープラン

資料:Kuala Lumpur City Hall (2004) "Kuala Lumpur Structure Plan 2020"

首都圏計画(Metropolitan Planning)制度の概要

クアラルンプール・ストラクチャープランは、1982年連邦直轄地(計画)法を根拠法とする法定計画である。立案はクアラルンプール市が行い、現行計画の計画期間は2000-2020年である。この計画は、クアラルプールの20年間の開発指針であり、ビジョン、目標、政策、提案等を内容とする。

クアラルンプール市はクアラルンプール首都圏(Kuala Lumpur Metropolitan Region: KLMR)の一部である。KLMRとは、クラン・バレー調査(1972年)にて最初に定義されたクラン・バレー地域全体およびクアラルンプール国際空港へとつなぐ幾つかの地区を指し、総面積は約4,000平方キロメートルである(クアラルンプール単独では243平方キロメートル)。KLMRは、都市機能をひととおり備えた広い都市地域を形成している。クアラルンプール市が周辺の地方政府と調整して計画を定めることが、制度上求められている。

クアラルンプール首都圏

クアラルンプール首都圏

資料:Kuala Lumpur City Hall (2004) "Kuala Lumpur Structure Plan 2020"

「クアラルンプール都市圏」(Kuala Lumpur Conurbation)や「大クアラルンプール」(Greater Kuala Lumpur)は、クアラルンプールとその周辺を大まかに指す場合に用いられる表現である。前者は第一次NPP(2005年)で用いられた表現でクアラルンプール中心部から45分圏内のエリアを指しており、ヌグリ・スンビラン州のポート・ディクソンにまで及ぶもので、従ってKLMRよりも広いエリアを指す。後者は、マレ−シアの経済発展を牽引するものとして指定された12の国家重点経済分野(NKEAs:National Key Economic Areas)のうち唯一の地域整備構想(他のNKEAsは全て産業分野)を示す際に用いられた表現で、クアラルンプールおよび周辺市(併せて10市)を指し、総面積は2,793.27平方キロメートルとなっている。この構想は「大クアラルンプール」を10年かけて一流のグローバル都市に転換させることを目的としており、具体的には、2020年までに都市の経済成長(GDP成長率)で世界20位以内となるとともに、‘最も住みやすい都市’(アクセシビリティ、ビジネス環境、観光上の魅力、レクリエーション他のサービスによって決定)としても世界20位以内となることを目標としている。

その他空間開発上、影響が大きい施策の例

急成長都市地域

国家空間計画は、ジョホールバル、ジョージタウン、クアンタンの3つに「急成長都市地域」または地域成長都市圏の位置づけを与えることを提案した。この提案にもとづき、第九次マレーシア計画は、3つの「地域経済発展コリドー(回廊)」の開発戦略を採用した(南ジョホール、北部コリドー、東部コリドー)。これら3地域で半島マレーシアの約60%を占める。

経済地域

3つの議会制定法にて3つの経済地域、すなわちイスカンダル開発地域(南ジョホール)、北部コリドー経済地域(北部のプルリス、クダ、ペナン、ペラ各州より選定された地域)、東海岸経済地域(東部のクランタン、トレンガヌ、パハン各州およびジョホール州北部より選定された地域)、が設定されている(2007年イスカンダル地域開発庁法(法第664号)、2008年北部コリドー実施庁法(法第687号)、2008年東海岸経済地域開発委員会法(法第688号))。これらの法並びに地域経済開発機関は、対象エリアの開発に関して相応の方針、施策、および戦略を提供するためのものであり、それには貿易、投資、観光などを促進する政府機関との調整を行うことも含まれる。三つの機関(イスカンダル開発地域、北部コリドー経済地域、東海岸経済地域)は、各機関順に総合開発計画、開発計画、マスタープランをそれぞれ作成し、開発における選択にあたってはそれらの計画に従うこととなる。

Sanisah binti Shafie
  • 情報更新日:2011年2月9日
  • 寄稿者:Sanisah binti Shafie(マレーシア住宅・地方自治省連邦都市農村計画局シニア・アシスタント・ディレクター)
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