5.都市計画区域外における開発行為及び建築行為に対する規制の創設
(1)準都市計画区域制度(仮称)の創設
近年、都市計画区域外の区域においても、既存集落周辺や、幹線道路の沿道、高速道路のインターチェンジ周辺等を中心に、開発行為や建築行為が集積し、周辺での交通渋滞の発生、用途の無秩序な混在等の問題が発生している。現行都市計画制度においては、都市計画区域外の区域は、基本的に制度の対象外とされているが、上述のような地域については、いわば都市の萌芽ととらえ、都市計画区域に準ずるような区域を指定し、必要な土地利用規制を行えるようにする必要がある。また、このような区域は、地域の実情に通じた市町村が、機動的に指定できることとすべきである。
なお、都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全するため、土地利用規制だけでなく、都市施設の整備や市街地開発事業の実施を併せて行うことが制度上予定されている区域であり、そこまでの都市計画上の意思がない場合には、都市計画区域を拡大して対応することは適切ではないと考えられる。
<具体的な制度構成のあり方>
○ 都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物の建築又はその敷地の造成が既に行われ、又は行われると見込まれ、建築物の用途の整序や景観の維持等を図る必要性が高いと認められる区域について、市町村が、「準都市計画区域」(仮称)を指定できることとすべきである。
この準都市計画区域においては、用途地域、前述の特定用途制限地域、風致地区等建築物の用途制限や景観の維持に係るような地域地区及び地区計画のみを定められることとし、都市施設や市街地開発事業に関する都市計画は定められないこととする必要がある。また、準都市計画区域内においては、すべて市町村が都市計画を定められることとする必要がある。
準都市計画区域においては、都市計画区域で最低限確保されるべき市街地水準と同等の水準を確保するため、開発許可制度を適用するとともに、建築基準法の集団規定を適用することとすべきである。なお、開発許可制度の適用については、非線引き都市計画区域内なみに3000u以上の開発行為を対象とすることとし、技術基準のみを適用することが適当である。
(2)都市計画区域及び準都市計画区域外における開発許可制度の適用
都市計画区域外で行われている大規模開発の中には、開発区域周辺にアクセス道路等の公共施設が十分に存在しないために交通渋滞が発生したり、開発工事が十分な防災工事を伴うものでないため法面が崩壊したりといった問題が発生している例があり、このような不良な開発を放置すると、都市の健全な発展と秩序ある整備を期することは困難である。したがって、都市計画区域及び準都市計画区域外の区域であっても、一定規模以上の大規模な開発行為については都道府県知事の許可にかからしめ、宅地に関する最低水準を担保する(法第33条の技術基準を適用する)ことが必要である。許可対象規模については、既存の条例や要綱の例を踏まえ、1ha以上程度を念頭において検討すべきである。
○「V.具体的に講ずべき施策」のフロントページに戻る 2.線引き制度及び開発許可制度の地域の実情に応じた柔軟性の確保 |