自動車アセスメント・チャイルドシートアセスメント

衝突安全性能試験の試験方法

フルラップ前面衝突試験

フルラップ前面衝突試験の様子

市販の乗用車は、衝突した場合を想定し、乗車中の人のけがを軽減する構造・装置をもっています。これらの安全対策を評価する試験方法は、現実の事故に近いものであること、データの信頼性が高いことなどが求められます。

ここでは、運転席と助手席にダミーを乗せた試験車を、時速55kmでコンクリート製の障壁(バリア)に正面衝突させます。そのときダミーの頭部、頸部、胸部、下肢部に受けた衝撃や室内の変形をもとに、乗員保護性能の度合いを5段階で評価しています。

なお、現実の前面衝突事故のほとんどは衝突テストの速度以下で起きていますが、衝突速度が非常に速い場合、衝突相手が車体の大きいトラックなどの場合、シートベルトをしていない場合などには、この衝突試験による評価はあてはまりません。

また、衝突試験の結果は、試験車の重量が同程度の場合に限り比較が可能です。つまり、試験車の重量が同程度であれば、評価の高い自動車は評価の低い自動車に比べて、この試験条件における安全性は高いといえます。

ページトップ

オフセット前面衝突試験

オフセット前面衝突試験の様子

運転席と助手席にダミーを乗せた試験車を、時速64kmでアルミハニカムに運転席側の一部(オーバーラップ率40%)を前面衝突させます。そのときダミーの頭部、頸部、胸部、下肢部に受けた衝撃や室内の変形をもとに、乗員保護性能の度合いを5段階で評価しています。

フルラップ前面衝突試験が主に乗員を保護する拘束装置(特にエアバッグ、シートベルトなど)を評価するのに適しているのに対し、衝撃を車体の一部で受けるため、ダミーへの衝撃はフルラップ前面衝突に比べ弱いものの車体変形が大きく、変形による乗員への加害性の評価に適しています。

なお、現実の衝突事故のほとんどは衝突テストの速度以下で起きていますが、衝突速度が非常に速い場合、衝突相手が車体の大きいトラックなどの場合、シートベルトをしていない場合などには、この衝突試験による評価はあてはまりません。

また、衝突試験の結果は、試験車の重量が同程度の場合に限り比較が可能です。

前面衝突事故形態の図

ページトップ

側面衝突試験

側面衝突試験の様子

自動車の衝突事故における乗員傷害のうち、前面衝突に続き傷害程度の大きな衝突形態として側面衝突があります。ここでは、原則、運転席にダミーを乗せた静止状態の試験車の運転席側に、重さ950kgの台車を時速55kmで衝突させます。そのときダミーの頭部、胸部、腹部、腰部に受けた衝撃をもとに、乗員保護性能の度合いを5段階で評価しています。

この台車は前面の衝突部分に自動車の前面に見立てた一般的な乗用車と同様な固さを持つアルミハニカムの衝撃吸収部分を取り付けてあります。

なお、現実の側面衝突事故のほとんどは衝突テストの速度以下で起きていますが、相手の衝突速度が非常に速い場合、衝突相手が車体の大きいトラックの場合、シートベルトをしていない場合などには、この衝突試験による評価はあてはまりません。

ページトップ

ダミーについて

前面衝突試験用ダミーの写真 側面衝突試験用ダミーの写真

フルラップ前面衝突試験及びオフセット前面衝突試験では、「ハイブリッドⅢ」と呼ばれるダミー(写真左)を搭載しています。このダミーは米国で開発されたもので、男性の大人を模擬しています。身長は175cm、体重は約85kgです。

側面衝突試験では、「ユーロSID-2」と呼ばれるダミー(写真右)を搭載しています。このダミーはヨーロッパで開発されたものです。身長は170cm、体重は約78kgです。

ページトップ

衝突安全性能試験の評価方法

衝突安全性能については、フルラップ前面衝突試験、オフセット前面衝突試験及び側面衝突試験を実施しました。試験車は、15車種です。結果については、それぞれの試験ごとに次に記載する方法により得点を算出し評価するとともに、3つの試験の点数を合計して総合評価を行っています。ブレーキ性能試験についても、試験車が15車種です。

フルラップ前面衝突試験とオフセット前面衝突試験の点数の出し方

頭部、頸部、胸部、下肢部のダミーの傷害値を計測し、欧米等の自動車アセスメントで用いられている点数換算関数を用いて4点満点で点数化します。車体変形量を計測し同様に0〜−1点まで点数化します。傷害値の点数から車体変形量の点数を引き、それに事故実態を踏まえた重み係数を掛け合わせて各部位毎の総合点を算出します。そのうえで、各部位の総合点数を加算して合計点を算出します。その合計点を5段階で評価します。

フルラップ前面衝突試験とオフセット前面衝突試験の点数の説明図
ページトップ

側面衝突試験の点数の出し方

頭部、胸部、腹部、腰部のダミーの傷害値を計測し、欧米等の自動車アセスメントで用いられている点数換算関数を用いて4点満点で点数化します。この点数に事故実態を踏まえた重み係数を掛け合わせて各部位毎の総合点を算出します。そのうえで、各部位の総合点数を加算して合計点を算出します。その合計点を5段階で評価します。

側面衝突試験の点数の説明図
ページトップ

「衝突安全性能総合評価」の方法

運転席に関しては、フルラップ前面衝突試験、オフセット前面衝突試験、側面衝突試験の3種類の衝突試験結果の各々の点数を合計し、6段階で評価します。

助手席に関しては、フルラップ前面衝突試験、側面衝突試験(運転席又は助手席の結果を用いる)の2種類の衝突試験結果の各々の点数を合計し、6段階で評価します。

衝突安全性能総合評価方法の説明図
ページトップ

衝突安全性能試験の結果の見方

衝突安全性能総合評価

衝突安全性能総合評価の点数表示の見方説明図

運転席は、フルラップ、オフセット、側面の3種類の試験結果の合計点数、助手席はフルラップ、側面(運転席又は助手席の試験結果を用いる)の2種類の試験結果の合計点数をそれぞれ棒グラフで表しています。

さらに、各自動車の評価の差が明確になるように、現在の技術において大多数の自動車が取りうると考えられる基礎点(運転席36点満点中16点、助手席24点満点中12点)を設定し、基礎点以下を星1個、基礎点から満点までの間を5等分して星2から6個で表し、6段階の区分を表示しています。

衝突安全性能総合評価の見方説明図
ページトップ

試験ごとの評価

試験ごとの評価の点数表示の見方説明図

各試験の点数を運転席・助手席の区分ごとにそれぞれ棒グラフで表しています。さらに、各自動車の評価の差が明確になるように、現在の水準を勘案し、12点満点中6点までをレベル1、それ以上から満点までの間を4等分してレベル2からレベル5で表し、5段階の区分を表示しています。

試験ごとの評価の見方説明図
ページトップ
各アイコンの見方説明図
ページトップ