SASには、様々な治療方法があります。いずれも、睡眠時の上気道(喉の奥)の空気の通りを良くすることで、睡眠中の呼吸停止を防ぐものです。これにより、睡眠の質が改善され、日中の眠気などの症状を改善します。適切な治療法の選択については、専門医の診察が必要です。
中等度〜重度のSAS患者には、CPAP(シーパップ/経鼻持続陽圧呼吸療法)という治療法がよく用いられます。これは、写真のように睡眠中に鼻にマスクをつけ、空気を持続的に送り込むことで喉の奥を押し広げて無呼吸を防ぐ治療です。
軽度のSAS患者には、下顎を前方に固定することにより、空気の通り道を広げるマウスピースも有効です。
また、狭くなりやすい喉の奥の部分を広くする手術法もあります。
多くのSAS患者では、肥満によって喉の奥が狭くなっているので、上記の治療法とともに減量に取り組むことが重要です。また、喫煙や過度の飲酒もSASを悪化させるので適正飲酒、禁煙に取り組むことも効果的です。
効果的な治療により、睡眠中の呼吸停止が起こらなくなり、睡眠の質も改善し、日中の眠気や居眠りがなくなり、SASが原因となる漫然運転や居眠り運転による事故防止につながります。SAS患者の交通事故率は、CPAPによる継続的な治療を行った場合、大幅に低下し、健康な人と変わらなくなるという報告もあります。したがって、1.(2)「SASに関連する症状」に当てはまる場合や、スクリーニング検査でSASが強く疑われた場合は、ためらわずに専門医療機関を受診してください。