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船員の常務 |
前節までに,海上衝突予防法で定められた海上交通の基本ルールとなっている,「行会い船の航法」,「横切り船の航法」,「追越し船の航法」,「各種船舶間の航法」(以下「定型航法」といいます。)について,それぞれ説明してきました。 |
第39条 この法律の規定は,適切な航法で運航し,灯火若しくは形象物を表示し,若しくは信号を行うこと又は船員の常務として若しくはその時の特殊な状況により必要とされる注意をすることを怠ることによって生じた結果について,船舶,船舶所有者,船長又は海員の責任を免除するものではない。 |
一船が錨泊または漂泊中であるときは,定型航法を適用することはできませんので,「船員の常務」として,両船に衝突を避けるための措置をとることが求められますが,この他に,「船員の常務」として適切な避航措置が求められる事例を挙げてみます。 |
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@この衝突事件は,岸壁を離れた後,徐々に増速しながら右に回頭中のタンカーが,岸壁の沖合を航行中の貨物船に衝突したものです。 |
A両船が,互いに左舷を対して無難に通過できる態勢で航行中,A船が着岸予定の岸壁に向けて急に左転したため,両船に衝突のおそれが生じた。 |
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BA船が,停止していたB船の船尾側を通過しようとしたところ,B船が投錨のため後進で下がり始めたことから、両船に衝突のおそれが生じた。 |
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