航空

国空航第1219号

国空航第1219号

平成17年3月25日

社団法人 全日本航空事業連合会会長殿

国土交通省航空局技術部運航課長

 

取材飛行の安全確保について

 

平成17年3月25日、航空・鉄道事故調査委員会は、本年3月7日長野県木曽郡木曽町上空を報道取材のため飛行中、送電線に接触して墜落し搭乗者4名全員が死亡した回転翼航空機に係る航空事故調査報告書を公表した。
同報告書によると、本件事故の原因は、同機が、交通事故現場へ報道取材に向かい飛行中、送電線の存在に気付かなかったため、送電線に接触し機体を損傷して操縦不能となり、河川敷に墜落したことによるものと推定されている。
また、同機の機長が、送電線の存在に気付かなかったことについては、(1)送電線に航空障害標識が設置されていなかったため、鉄塔及び送電線が背景に溶け込み、それらの発見が難しかったこと、(2)取材現場付近の送電線の場所を確実に把握していなかったこと、(3)取材現場付近において高度を下げた際、機外の見張りが十分で無かったことが関与したものと推定されている。
従来より取材飛行等の安全確保については、厳重な見張り、見張り要員の同乗等を行うよう要請しているところであるが、貴会傘下の関係事業者に対し、改めて下記事項について周知を図る等、運航の安全確保に遺漏のないよう措置されたい。

 


 

1.運航準備の徹底

報道取材飛行では、飛行依頼があってから離陸までの時間が短く、運航準備に時間が取れないことが多い。このため、報道取材飛行を実施する航空機の運航者は、操縦者が普段から事前に緊急取材のための資料の準備を行い、送電線等の場所を記入した地図を携行するなど、飛行経路上の送電線等の障害物を確実に把握するよう指導の徹底を図ること。


2.外部監視の徹底

報道取材飛行において低空飛行を行う場合には、操縦者が、事前に取材現場付近の障害物の状況を確実に把握し、障害物と衝突しないように厳重に見張りを行うことはもちろんのこと、同乗者も見張りを役目とし、送電線等の障害物の発見に努めることにより操縦者に対する支援を行うこと。



ページの先頭に戻る