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国空航第807号
平成18年1月27日
社団法人 全日本航空事業連合会会長殿
平成18年1月27日、航空・鉄道事故調査委員会は、平成17年6月6日、栃木県河内郡河内町上空を飛行中に発動機の継続的な出力の損失が発生したため、宇都宮市内のゴルフ場に不時着した本田航空所属のJA3934機セスナ式C172P型の航空重大インシデント調査報告書を公表した。 同報告書によると、同機が飛行中、燃料がほぼ枯渇したため、エンジン回転数が不安定となり、発動機の継続的な出力の損失に至ったものと推定し、また、これは、機長が、燃料油量計のこまめな確認を怠ったまま飛行を継続したこと及び飛行形態に即した燃料消費量を十分に把握していなかったこと等が原因となったものと推定している。さらに同報告書では、同種事例の再発防止のための対策についての所見が述べられている。 今後、かかる事例の再発防止のため、貴会傘下の関係事業者に対し、下記事項に留意し、航空機の運航の安全確保について、万全を期するよう改めて周知徹底されたい。
1.航空運送事業者又は航空機使用事業者の機長は、各社の運航規程又は運航基準に定められた携行しなければならない燃料の量に係る基準等を遵守し、十分な燃料を携行すること。なお、航空運送事業者又は航空機使用事業者は、飛行形態を考慮し、必要に応じて当該基準等を見直すこと。
2.航空機使用事業者は、写真撮影飛行の場合にあってはその撮影工程について事前に撮影会社と十分な調整を行うなど運航上無理な飛行とならないよう安全管理面に十分配慮すること。
3.航空運送事業者又は航空機使用事業者は、飛行中に残燃料を確認する手順を定めておくなど、燃料枯渇による不時着が発生しないよう有効な方策を検討すること。
4.航空機の燃料消費量は、飛行の形態によって大きく変動する場合があり、予想以上に燃料を多く消費することも考えられることから、操縦者は、過去の飛行経験に基づく時間による燃料管理のみに頼ることなく、燃料油量計の指示を確認しながら、残燃料に十分な余裕を持って航空機を運航すること。
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