国際

北京・大臣共同声明

(仮訳)

第6回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合 大臣声明 

(2007年8月29日 中国 北京にて)  

 

我々、アジア太平洋地域の国々のインフラ担当大臣及び代表団長等は、2007年8月28日~8月29日まで、中国北京に於いて第6回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合に参加した。各国の経験を分かち合いながら、水の持続可能な利用とインフラ整備における財源、投資制度の改革に関する重要性を改めて認識した。インフラ整備における財源・投資制度の改革を促進するとともに、各国の都市における水資源の開発、利用及び保護の水準を引き上げる為、我々は、以下の通り、声明を発表する。

 

1).持続可能な水利用

1) 基本的理念

1.水は、人類の生存に不可欠のものであり、生産と生活水準の向上に極めて重要な要素である。各国政府は、人類の水の安全性を保護し、水の持続可能な利用を促進する根本的な責任を負うべきことを認識し、統合水資源管理(IWRM)を推進すべく努力する。同時に、地方政府が、各々の行政レベルにおいて、その管轄下における水管理を強化することを奨励する。

 

2.国連ミレニアム開発目標によると、2015年までに安全な飲用水が確保できない人口比率を半減すると規定している。また、持続可能な開発に関する世界首脳会談実施計画においても、2015年までに安全な飲用水を入手・確保できない人口を半減すると規定している。これらの目標を実現するために、特に水供給と排水分野について、インフラ整備を含めた水環境の改善に努めなければならない。我々は、各国にこれらの目標を実現するために、たゆまぬ努力を呼びかける。さらに、各国政府は、国際連合の水に関する決議やその他の様々な水に関する宣言を尊重する。

 

3.我々は、水の効率的利用が水の持続的利用のために非常に重要であることを深く認識する。我々は、需要と供給の観点から水資源を統合的に管理しつつ、低コストでの給水を実現すべく努力する。さらに我々は、再生水等の利用に努力するとともに、環境に無害な技術の革新、開発及び普及を促進する。

 

2) 政策、プロセスおよび対策

4.政策決定の過程において、我々は、低収入層、特に貧困層の基本的需要と負担能力及び男女の平等を充分に考慮しなければならない。同時に、我々は、あらゆる局面で、利害関係者の参加をさらに促し、透明性の改善及び責任の明確化を推進する。

 

5.都市における水利用については、安全な水資源の持続可能な利用ための投資、建設、運営及びサービス等のプロセスを改めて検討することが不可欠である。我々は、管理能力の向上及び投資環境の整備と拡大を強化することが極めて重要であると認識している。

 

6.人々の健康を保証し、環境破壊を軽減するためには、水質汚染管理の強化が非常に重要である。

水質汚染を防止するため、我々は、都市排水管理の強化、汚水処理プロセスの効率化と再生率向上、基準に合致しない汚水排出の禁止措置の厳格な実行と汚染の総量規制を実施することが必要であり、汚染者負担の原則が採用されなければならない。

 

7.我々は、気候変動の影響等に伴い、洪水や土砂災害、干ばつなどの水関連がますます激化していることに対して、その対策が統合水資源管理の重要な要素であるとの認識のもと、早急にハード・ソフト両面からの総合的対策を取らなければならないことを認識し、水関連災害の防止に向けた取り組みを強化する。また、我々は、気候変動が水資源に与える影響を深刻に受け止め、今後の持続可能な発展のためには、各国が今後の開発の中に気候変動に対する適応策を位置づけることが重要であると認識している。そのため、我々は、一層の地球規模の水循環予測と気候変化の影響を含む観測に関する科学技術を奨励する。

 

3) 研究、情報発信と国際協力

8.我々は、知識の普及の重要性を認識している。そのため、我々は、水の有効利用や汚染防止対策といった持続可能な水利用に対する国民の意識が向上するよう努力する。

 

9.我々は、各国の関係する法律を評価し、必要に応じて改訂と改善をすることにより、水の持続的な利用の法律の枠組みを確立し、水の節約、水汚染防止及び水資源の保護を強化するように要請する。

 

10. 我々は、各国の政府内で、水資源に関係する複数部局が連携を強化して継続可能な水資源の確保に向けて取り組みを推進することを提案する。

 

11. 我々は、水資源を節約し、汚染を効果的にコントロールし、かつ災害による損失を最小限に抑制するため、国際レベルでの、データ、知識、情報と経験の共有と交流を提唱する。

 

12. 我々は、「水の安全保障:リーダーシップと責任」をテーマに、12月に日本で開催される「第1回アジア・太平洋水サミット」を歓迎するとともに、サミットでの各国首脳級による議論とその成果に期待する。

 

2).インフラ整備における財源、投資制度改革

13.我々は、インフラの整備及び運営のため、多種多様な資金を導入し、インフラ整備に向けた効果的な投資環境を創出するといった積極的な行動をとらなければならない。インフラ整備プロジェクトの優先順位を決定し、各プロジェクトの特徴に基づいた、多様な資金供給ルートを確立し、公共及び民間部門、国内及び国外からの資金を効果的に調達、利用しなければならない。

 

14. 我々は、インフラ整備プロジェクトの確実性を高め、プロジェクトへの民間部門の参加を促進するため、政府援助を実施するなどインセンティブの付与、金融機関等と協力したリスク管理メカニズムの創出などの環境整備に努める。

 

15. 我々は、インフラ整備における国際協力を促進するため、政府、民間部門、国際金融機関などが強固なパートナーシップを形成することを奨励する。

 

3). アジア太平洋インフラ担当大臣会合の継続

16. 我々は、アジア太平洋インフラ担当大臣会合が引き続き将来の協力のための場となるべきであると合意する。

 

4) 中国に対する謝意

17. 最後に、我々、アジア太平洋地域のインフラ担当大臣、副大臣及び代表団長等は今回の会合を開催するための中国政府の努力に感謝する。

 

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