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PLATEAU AWARD 応募のきっかけは? どんな情報を参考にした?――2024年度の受賞者に聞いてみた

「PLATEAU AWARD 2025」、8月29日から本エントリーも開始

まだ見ぬサービスやビジネス、あるべき未来の都市や暮らしにつながる取り組み、それらを支える先進的なソフトウェア―― 3D都市モデルのまだ見ぬ可能性を引き出すために、国土交通省が主催する開発コンテスト「PLATEAU AWARD」。さまざまな領域のエンジニアやクリエイターたちが自らの技術やアイデアを3D都市モデルと組み合わせ、独創的な価値を生み出すことが期待されている。2025年度の「PLATEAU AWARD」は、6月からプレエントリーがスタート。8月29日からは本エントリーが始まる。ここでは、前回「PLATEAU AWARD 2024」の受賞作を振り返るとともに、受賞者たちの声を紹介する。エントリーを考える人はもちろん、PLATEAUに興味を持つ人にも参考にしていただきたい。

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「PLATEAU AWARD 2024」グランプリ
「街の"未来"を描く地図」トグルホールディングス

グランプリを受賞したのは、トグルホールディングスの「街の"未来"を描く地図」。不動産・建築・金融情報を統合したプラットフォームだ。不動産開発を見える化し、加速するためのデジタルインフラとして2024年9月にリリースされ、個人から中小、大手デベロッパーをはじめとして仲介事業者にも導入が進んでいるという。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「街の"未来"を描く地図」

発表資料

発表の様子は、01:16:23から

■ 受賞者の声

グランプリを受賞したトグルホールディングスのメンバーたち・代表発表者である新谷健氏(写真手前左端)と審査委員長の齋藤精一氏(同奥左端)

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

私たちのビジネスで、デジタルツインに生成建物を合成するニーズがあったのを皮切りに、PLATEAUのデータの有効な使い方をどんどん見出していったためです。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

PlateauKit(PLATEAU AWARD 2023グランプリ作品)は最初非常に参考にしました。そのほか、地域によって項目のカバレッジが違う点などは仕様書を読んでいました。あとはMVT tiles変換をしてデータを軽くするなど、オンラインの記事を読んで実装しました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

トグルの求める方向はまちづくりの革新的なDXであり、それはPLATEAUの方向性と重なるなとエントリー前から感じていたので、全会一致で「これだ」と評価いただけてうれしく思います。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

PLATEAUは世界で見ても先を進んでいると思います。世界を先取りしましょう!

イノベーション賞
「3D都市世界体験型リハビリ・トレーニング」自治医科大学 西村 智氏

イノベーション賞を受賞したのは自治医科大学 西村智氏の「3D都市世界体験型リハビリ・トレーニング」。3D都市モデルの医療応用として、医師である西村氏が提案する楽しめるリハビリ用のトレーニングマシン+システムだ。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「3D都市世界体験型リハビリ・トレーニング」の発表の様子

発表資料

発表の様子は、00:56:29から

■ 受賞者の声

実演しながら審査員に説明する西村智氏(写真中央)

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

データ活用の状況を知りたかったため応募しました。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

3Dレンダリングの高速処理まわり、マークアップ言語データの高速テキスト処理について、githubなどを参考にしました。日本のサイトがあることは後で知りました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

現実社会とリンクした超現実データとしては、世界的にもまれなぐらい整備されており、用途は幅広いと思いますが、ハードウェアの重要性も同時に再認識しました。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

異業種からの参入を期待します!

エモーション賞
「虎ノ門深海水族館」うっぴー氏

エモーション賞はうっぴー氏の「虎ノ門深海水族館」が受賞。虎ノ門深海水族館は、VRChat上に作成した虎ノ門ヒルズのビルが丸ごと水槽になっているワールドだ。プレイヤーはワールド内をアバターとして自由に歩き回ることができる。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「虎ノ門深海水族館」

発表資料

発表の様子は、00:20:12から

■ 受賞者の声

「PLATEAU AWARD 2024」にて発表するうっぴー氏

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

ハッカソンイベントへの参加がきっかけです。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

ハッカソンで教えていただいたことや、ブログ、YouTubeなどです。

――応募までにPLATEAU関連イベントには参加しましたか。

はい。「PLATEAU Hack Challenge 2024 for ルーキー」に参加しました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

PLATEAUはもちろんのこと、VRChat、Unity、Blender、そして深海についてなど、さまざまなことを勉強する機会になりました。ありがとうございました。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

初心者なので最初の申込はとまどったのですが、参加してとても良かったです!

データ活用賞
「PLATEAU Agent」Loci AI

データ活用賞を受賞したのは、Loci AIの「PLATEAU Agent」。都市データの分析と議論のファシリテーションを一体型で行うAIチャットを「エージェント」として、3D都市モデルの分析結果をもとに都市の様々な課題を議論し、意思決定に活用するGIS(地理情報システム)だ。Loci AIは、2024年9月に開催された「PLATEAU Hack Challenge 2024」で集結したチーム。ハッカソン後も活動を続け、今回のファイナリストに残った。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「PLATEAU Agent」

発表資料

発表の様子は、01:36:28から

■ 受賞者の声

発表するLoci AIの河内大輝氏

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

PLATEAU HackChallengeでの開発物をブラッシュアップしたものを発表するためです。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

PLATEAU公式のgithubなどを参考にしました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

PLATEAU Hack Challenge 2024 in Tokyo」に参加しました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

AWARDを通じて、実際に自分たちの開発したものを使ってみたいという声を多くかけていただくことができました。フィードバックをもとに、さらに開発と改善を進めてまいります。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

PLATEAUを使って、ぜひまだ世の中にないアプリケーションを開発してください!

UI/UXデザイン賞
「飛び出す避難場所マップ」日本工営株式会社 ビジュアルコミュニケーションチーム

UI/UXデザイン賞は日本工営株式会社 ビジュアルコミュニケーションチームの「飛び出す避難場所マップ」が受賞した。「飛び出す避難場所マップ」は、空間再現ディスプレイを使ってビジュアルのアプローチから避難施設などの情報収集に興味を持ってもらうことを目指したコンテンツだ。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「飛び出す避難場所マップ」

発表資料

発表の様子は、00:28:53から

■ 受賞者の声

日本工営株式会社 ビジュアルコミュニケーションチームによる発表の様子

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

日頃から業務でPLATEAUを活用する機会が多く、PLATEAU AWARDの存在を知ったときに「応募しない手はない」と感じました。一昨年にも応募していたのですが、その際は選考落ちでした。今回は、より実用性と表現力のあるコンテンツづくりに挑みました。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

防災情報自体は広く公開されていますが、それを「自分ごと」として捉えてもらうのは容易ではありません。ゲームや博物館の展示、アートイベントなど、人の興味を自然と引く仕掛けに日頃から注目しており、そうした体験のエッセンスを取り入れるよう意識しました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

今後も、「伝える」ことにこだわりながら、見る人の心に残るようなビジュアル表現や体験を通じて、防災や都市、社会インフラの姿を身近に感じてもらえるコンテンツづくりを続けていきたいと思います。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

「こんなことできるかな?」という小さな好奇心が、社会に新たな問いや気づきを届けるきっかけになると、今回の参加を通じて実感しました。 思いついたことをかたちにし、一緒にPLATEAUの世界を広げていけたらうれしいです!

PLATEAU賞
「Plateau3D 都市モデルを活用した衛星画像のシミュレーションでわかる災害状況と減災活用​」スペースシフト

PLATEAU賞はスペースシフトの「Plateau 3D 都市モデルを活用した衛星画像のシミュレーションでわかる災害状況と減災活用」が受賞。衛星データを利用することで、災害が起こったときに災害前後の画像を比較することで被災状況を把握するシステムだ。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「Plateau3D 都市モデルを活用した衛星画像のシミュレーションでわかる災害状況と減災活用​」

発表資料

発表の様子は、01:06:38から

■ 受賞者の声

スペースシフトによる発表の様子

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

SNS(X)での投稿から応募しました。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

CityGMLやLiDARについて、制定・提供しているサイトを参考にしました。

――応募までにPLATEAU関連イベントには参加しましたか。

PLATEAU AWARD 2024説明会に参加しました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

3Dモデルや点群、フォーマットなど技術的にも多くのことを学ばせていただきました。また、利用者の方々の認識や課題などを肌で感じてさまざまな視点を得ることができました。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

新しいアイデアや技術で驚かせてくれることを期待します!

PLATEAUユース賞
「空傘散歩」ミヤタゲームズ

学生を対象としたPLATEAUユース賞はミヤタゲームズの「空傘散歩」が受賞した。空傘散歩はアニメや映画でよく描かれる「傘で空を飛ぶシーン」が体験できるVRコンテンツだ。体験者は映像表現と風覚装置から風の方向を知覚する。その風の方向に傘を傾けると実空間で傘が引っ張られるとともに、仮想空間では体が宙に持ち上がるというもの。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「空傘散歩」

発表資料

発表の様子は、00:11:31から

■ 受賞者の声

ミヤタゲームズのメンバーたち

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

PLATEAUを使った作品をVR学会で展示したところ、審査の方に「PLATEAU AWARD」について教えてもらい、興味を持ったことがきっかけです。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

インタラクション系の研究やモノづくりコンテストの作品、「PLATEAU AWARD」の過去の登壇者の資料を参考にしました。

――応募までにPLATEAU関連イベントには参加しましたか。

はい。「PLATEAU AWARD 2024 説明会」に参加しました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

長い間取り組んできたプロジェクトが評価され、大変光栄に思っております。学生生活の締めくくりに、このような貴重な経験ができたことは、チームにとって大きな喜びであり、忘れがたい思い出となりました。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

一番ワクワクできるものが、良い作品につながると思います。心から応援しています。

審査員特別賞
「PLATEAUを利用したコミュニケーション、情報共有ツール」広島高校 情報部

審査員特別賞は広島高校 情報部の「PLATEAUを利用したコミュニケーション、情報共有ツール」が受賞した。広島高校 情報部が提案するのは、住民の防災意識向上への貢献、従来のハザードマップの拡張、3次元地図上の情報共有機能の実現を目指した、PLATEAUの3D都市モデルを使った情報共有システムだ。(「PLATEAU AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポートから抜粋)

「PLATEAUを利用したコミュニケーション、情報共有ツール」のメイン画面

発表資料

発表の様子は、00:44:49 から

■ 受賞者の声

受賞した広島高校 情報部のメンバー

――「PLATEAU AWARD 2024」に応募したきっかけを教えてください。

PLATEAUのデータを軸に何かを作ろうとなったとき、目標を設定するためコンテストを探しており、その時にちょうど目に入ったからです。

――作品の制作を進めるうえで、どんな情報を参考にしましたか?

PLATEAU公式のドキュメントやさまざまな方の個人ブログから学びました。

――「PLATEAU AWARD」に参加してみての感想は?

学業と両立しての開発は大変でしたが、結果としてAWARDに参加し、他の参加者の方々の作品に触れ、多くのことを学ぶことができました。
このような機会をいただき、さらには賞までいただけて光栄です。

――「PLATEAU AWARD 2025」を目指す人たちへ、一言メッセージをお願いします。

現実を再現した3Dモデルを誰でも扱えるということは、とんでもない可能性の塊だと感じています。

■関連サイト

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