都市を2Dゲーム化する「PLATEAU-2D」や未来の交通「AirTaxi Go」など、PLATEAUの可能性を広げる多様な作品が誕生
「PLATEAU Hack Challenge 2025 in Tokyo」レポート
PLATEAUの3D都市モデルを使って、まだ見ぬ可能性を引き出す―国土交通省が主催する開発イベント「PLATEAU Hack Challenge 2025 in Tokyo」が9月20-21日、TONNEL TOKYOにて開催された。チームビルディングからアイデア出し、実装まで2日間で作成するハッカソンだ。参加者は9チームに分かれ、成果発表会では9作品がプレゼンされた。
- 文:
- 大内孝子(Ouchi Takako)
- 編集:
- 北島 幹雄(Kitashima Mikio)/ASCII STARTUP
- 撮影:
- 曽根田元(Soneda Gen)

多様なアイデアが花開いた9チームの成果発表
今回のテーマは「あなたが創るまだ見ぬ世界 PLATEAUの3D都市モデルを大胆に活用し、あなたのアイデアで新しい価値を生み出す」。このテーマのもと、3D都市モデルを活用したプロトタイプ(試作品)をチームあるいは個人で作る。初日から株式会社シナスタジアの大西宏和氏、imgee株式会社/サイバー南無南無の河野円氏、株式会社シーディングソフテックの石井勇一氏、株式会社Eukarya 荻原優希氏がサポーターとして参加し、参加者の開発を後押しした。また、アドバイザーとしてProject PLATEAU ADVOCATEである大澤文孝氏が2日間フルで参加した。
成果発表会では、各チーム、5分の持ち時間で作品の魅力を伝える。審査では技術的な観点だけでなく、次の3つの基準で総合的に評価される。
・3D都市モデルの活用:PLATEAUのデータ特性をどれだけ活かせているか
・アイデア、独創性:新規性やユニークな視点があるか
・完成度:デモとしてどれだけ動くものができているか
審査には近藤義仁 null-sensei(@GOROman)氏、株式会社スペースデータの佐藤航陽氏、国土交通省の十川優香氏が当たった。一般社団法人MAの伴野智樹氏が全体のファシリテーション、成果発表会の司会を務めた。


2日間の開発期間を経て、ビジネス応用からエンターテインメントまで、9チームによる個性豊かな作品が発表された。
グランプリは2Dゲーム「PLATEAU-2D」(チーム名:さんま豊漁ズ(鈴木裕之))
グランプリ、そしてオーディエンス賞をダブル受賞したのは、さんま豊漁ズの「PLATEAU-2D」だ。端的に言うと、3Dの都市モデルを「横から見た2D断面図」に変換するツールである。3Dマップから選択したルート間を2Dモデルで表示する。


上部の3D都市モデルでスタート地点とゴール地点を設定すると、2D画面でキャラクターの前に該当ルートの建物が表示される。ルート上の建物は属性情報を取得しており、施設用途ごとにスタイル分けして表現されている。
デモでは、この仕組みを使ってデリバリーゲーム(指定された場所へ時間内に届ける)が紹介された。表示するアイコンを追加して、沿道の飲食店等の表示を行い案内するツールも考えられる。また、地下の断面図を加えて下水管を可視化する等も考えているという。

質疑では、佐藤氏から建物データの拡張性について質問があったが、2D側の表現自体はカスタマイズが可能だという。近藤氏は、完成度の高さと「PLATEAUといえば3Dという固定観念を覆す、斬新なアイデア」と評価した。
オーディエンス賞とのダブル受賞という快挙を成し遂げたさんま豊漁ズは、「この結果は信じられないですけれど、本当にありがとうございます。本当に刺激の多い2日間で、まだ全然わからないこともいっぱいあります。いただいた賞を励みに、今後も頑張ります」と、驚きと感謝を語った。
「Food Truck Simulator」(チーム名:フードトラックのある街)
「Food Truck Simulator」は、フードトラックの出店場所を3D都市モデル上でシミュレーションするツール。フードトラックは出店場所や時間帯、配置といった条件で売上が大きく変動するが、その売上予測や労働環境の検討を支援するものだ。PLATEAU SDK for Unityで天候や時間帯による日照条件の変化を再現することで、これらの条件検討を容易にできるのではないかと考えた。まだ開発中ということで、今回の発表では、その検証結果を報告した。


ハッカソン会場周辺の東京都品川区の大崎駅周辺の出店状況をシミュレートした。大崎駅エリアではビル隣の広場にフードトラックを出店することで、ビル内の勤務者をターゲットとしたランチ需要を見込めるのではないかと結論付けた。

質疑では、十川氏はフードトラックという新しい切り口で3D都市モデルを活用している点が興味深いとしたうえで、特に3Dデータが活きる部分―このシミュレーターによって発見可能な情報は何かという質問があった。それに対して、ビルの高さ(階層データ)に応じた人流データをシミュレーションに組み込むことで、フードトラックの効率的な運営計画や無駄のない仕入れ計画の立案につなげられると考えているという回答があった。また、近藤氏は、日陰になる場所を事前に把握し、お客さんが並ぶ場所を検討するといった活用もできそうだと感じたと述べた。
「Kasane」(チーム名:AirBee)
「Kasane」は、ドローンの航路管理等での活用が期待される空間IDを管理するためのデータベース。空間IDはIPA(情報処理推進機構)が中心となって策定した時空間情報の規格で、空間をボクセルという立方体の単位に区切り、それぞれにIDを割り振ることで情報を管理する。ズームレベルという概念があり、1つの大きなボクセルが8つの小さなボクセルを包含する階層構造になっている。

空間IDは他の規格に比べて軽量なのが特徴であり、ドローンの航路管理などでの活用が期待されている。しかし、空間同士の包含関係の定義が既存のデータ形式と異なるためデータの整合性を保つのが難しいことや、大量に描画すると処理が重くなること、そもそもデータが少ないといった課題があるという。これらを解決すべく、空間IDの包含関係の矛盾を解決できるデータベース、効率的なプレビュー機能、CityGMLからのデータ変換基盤の開発を念頭に、取り組んだという。

PLATEAU等のデータを属性情報を保ったままバックエンドで空間IDに変換・保存し、API経由で提供するという仕組みを構築。ユースケースとして想定するのはドローンやモビリティでの利用だ。例えば、「雨が降っている」「下に横断歩道があるため落下リスクが高い」といった情報を空間IDに与え、フィルタリングすることで、安全に飛行できる経路だけを抽出するというような使い方だ。将来的には、人間がプレビューを見て意思決定を行ったり、ロボットやモビリティが自律的に空間を予約したりする世界の実現を目指すという。

質疑の中で、佐藤氏はどんな分野での活用を見込んでいるかと質問。同チームは「やはりドローンやモビリティ」と回答。ドローンがCityGMLのデータを直接読み込んで飛行の可否を判断することは難しいだろう。それよりも「この時間帯のこの空間は飛んでも良い/悪い」という情報を含んだマッピングデータを読み込んで飛行を判断するほうが、より簡単なはずと説明した。十川氏は、空間IDは近年、利活用を広げているフェーズであることに言及し、こうしたツールが出てくると関心を持つ人も増えるのではないかと述べた。
「PLATEU PIXEL QUEST alpha」(チーム名:Cチーム)
Cチームは、渋谷を舞台にしたレトロゲーム風の町おこしゲーム「PLATEU PIXEL QUEST alpha」を開発。「重くて扱いにくい」というイメージがあるPLATEAUのデータを、軽量で親しみやすいピクセルアートと掛け合わせることで、PLATEAUの世界を舞台にした軽快で面白いゲームが作れるのではないかと考え、着手したという。


PLATEAUの3D都市モデルを直接ピクセルアート化するのではなく、Unityの描画をピクセル風に見せるアセット「ProPixelizer」を使って描画をピクセルアート風に見せる工夫をしている。また、開発中に、Unityエディタ上での作業を効率化するエディタ拡張機能(不要なオブジェクトのメッシュレンダラーを一括でオフにする)を自作した。

パフォーマンスの最適化が課題として残ったほか、単純にシェーダーでピクセルアート風にしても「映えない」という表現上の課題にも直面した。今後の方向性として、ゲームのUIなども含めて、より統一感のあるピクセルアートの世界観を構築していきたいと語った。
質疑の際には、発表では音が出ず紹介できなかった8ビット風のゲーム音楽も紹介。近藤氏は、元ゲーム業界の人間としてワクワクしながら見ていたと述べた。
「都市計画レポート生成AI」(チーム名:CUI)
「都市計画レポート生成AI」は、PLATEAUのデータから客観的な統計情報を抽出し、レポートを生成するAIツールだ。都市計画レポートは自治体が住民へ都市計画を伝えたり、職員間の意思疎通を図ったりするために不可欠な要素だが、その作成には多大な労力がかかる。一方で、自治体の都市計画に携わる人材は減少傾向にある。このことから、都市計画レポートの作成を支援するAIツールの開発を目指した。

ユーザーが対象地域を指定すると、AIがPLATEAUの3D都市モデル(CityGML)から客観的なデータを抽出し、自然な文章と組み合わせて分析レポート(PDF形式)を自動で生成する。システムの中心となるのはOpenAIのAPIを制御し、ユーザーからの指示を受け付ける「生成AI制御」部分、そしてPLATEAUのデータから客観的な統計データを抽出する「エージェント」だ。PLATEAUのデータは膨大なため、LLMのAPIに直接すべてを渡すことはできない。そこで、統計情報だけを事前に集計したり、データを一度データベース(DuckDB)に格納し、AIにSQLを生成させて必要な情報だけを絞り込んだりといった工夫をしている。


当初、単に数値を集計するだけでなく、データに基づいた考察や「次に何をすべきか」といった提言までAIが生成してくれることを期待していたが、現段階では至っていない。今後、ブラッシュアップしていきたいという。
質疑では、佐藤氏からは、レポートのレイアウトやグラフ化といったビジュアルを整える部分までできるのかという質問があった。それに対して同チームは、レイアウトの整形にAIは使用せず、あくまでレポートの中身(レポートのコアになる情報)の生成に特化させる、という役割分担が現実的だと考えていると答えた。また、十川氏が、自治体のまちづくりにおける意思決定をAIが支援するという点に可能性を感じると述べた。
「AirTaxi Go」(チーム名:空クル製作所)
「AirTaxi Go」は未来の交通手段「エアタクシー」の運航プラットフォームである。都市内をスピーディーに移動できる新しい交通手段として実現が待たれるエアタクシーだが、低高度飛行のリスクや運用イメージが定まっていないなどの課題も多い。そこで、障害物を回避する最短経路の検索とリアルな飛行シミュレーター、配車機能を統合し、エアタクシーの社会実装に伴う課題を解決するプラットフォームを開発した。
「AirTaxi Go」には、ユーザーが出発地と目的地を設定して配車を依頼する配車機能、経路検索、フライトシミュレーターの3つの機能がある。フライトシミュレーターでは、一人称視点の画面で利用者が実際にエアタクシーに乗っているかのような体験ができる。


PLATEAUの3D都市モデルをボクセル(立方体のマス)状のグリッドに変換し、建物などの障害物が存在するボクセルを「飛行禁止エリア」として設定して、経路探索アルゴリズム「A*(エースター)」を用いることで障害物を回避する経路探索を実現している。また、配車機能では、利用者が配車をリクエストした際、待機している複数の機体の中から最も出発地に近い機体を自動的に選択し、効率的な配車を実現する工夫も行っている。

今後はエアタクシーの事業計画策定など、より上流の工程も支援できる統合的なプラットフォームへと発展させていきたいと考えている。
質疑において、佐藤氏は、非常に実用的で具体的な利用イメージが湧くプレゼンテーションだとしたうえで、地上の配車アプリと異なる「空ならでは」の難しさとして天候などのパラメータも必要になってくるのかと質問。これに対して、今回は実装できていないが、将来的には風向きなども考慮して安全な経路や燃費効率の良い経路を選択する機能も検討していると答えた。
「ビルクラッシャーズ 東京タワー編」(チーム名:東タワ)
「ビルクラッシャーズ 東京タワー編」は、ユーザーが指定した視点から東京タワーを見るために、視線を遮る建物をキャラクターが破壊していくというエンタメツールだ。「港区のオフィスからは見えた東京タワーが、学校からはビルに遮られて見えない」という個人的な体験をきっかけに、「視界を遮っているビルを何棟くらい倒したら東京タワーが見えるのか――PLATEAUの正確な3D都市モデルを使って、実際に計算してみよう」というアイデアに至ったという。


ユーザーはマップ上で東京タワーを見たい地点(ビルや窓)を選択し、スライダーで「タワーのどの部分までを見たいか」を指定する。スタートすると、デフォルメされたキャラクターがピコピコハンマーで邪魔な建物を破壊していき、視界を確保する。最後には、壊した建物やフロアの数、面積などが集計され、表示される。
活用の可能性としては、再開発で見えなくなってしまった景色を「もう一度見る」といった体験や、街の再開発において「建物を壊したら景観がどう変わるか」という視点を提供できるとする。

今後は、音やエフェクトを加えたりアニメーションを強化したりして、ゲームとしての完成度を高め、対象を他のランドマーク(スカイツリーや富士山等)にも広げる予定だ。一方で、都市開発において新しい建物を建設した場合の景観の変化をシミュレーションする用途にも応用できると考えている。
質疑では、十川氏から、中間発表では建物を壊すのにかかる「コスト」を算出するアイデアも出ていたがどうなったか、との質問があった。これに対しては、開発期間中に信頼できるデータを見つけることが難しかったため今回は実装を見送ったが、今後ぜひ取り組みたいと答えた。近藤氏は、個人的にも非常に共感度の高い作品で、ゲームとしても面白そうだとコメントした。
「Rector PLATEAU」(チーム名:ムキムキ)
PLATEAUのデータを用いたフォトリアルな映像表現に挑戦した作品。品川区を舞台に、風の流れをVFXで可視化するなど、アーティスティックな作品を創り上げた。

こだわった部分は、マテリアルの質感調整と時間経過の表現だ。建築物のLOD1のデータはライトを当てると光ったようになり、LOD2以上の詳細なモデルと組み合わせるとちらつきが目立ってしまうという。そこで、フォトリアルな映像表現に馴染むよう、建物の質感を独自に調整していた。また、シーン内のライトの角度を動的に変化させることで、建物の影が移り変わる様子を表現した。これにより、都市の一日の時間の経過を映像的に表現することが可能になったという。
Unity6を中心に、PLATEAU SDK for Unity、Blener等を使って制作した。こだわった部分として、PLATEAUの3D都市モデルのデータをSDF(符号付き距離関数)形式に変換し、UnityのVFX Graphと組み合わせた点を挙げた。


質疑では、十川氏から、風の流れは精緻なシミュレーションを行った結果かという質問があった。これに対して、今回は擬似的なシミュレーションであること、今後、そうした精緻なシミュレーションデータに基づく表現にも挑戦したいとの回答がなされた。近藤氏は、センスの光る作品と評価。そして、画面に表示されていたUIについて質問したところ、同チームはユーザーがゲームコントローラーを使ってエフェクトやカメラ位置・方向を調整できると説明した。
「PLATEAU CITY CANVAS -都市との未来を投稿できるPLATEAU版SNS-」(チーム名:42Tokyoメタバース部feat.ヒロキング)
「PLATEAU CITY CANVAS」は、PLATEAUの3D都市モデルをキャンバスとし、ARを通じて誰もが気軽に、そして建設的に街への想いを表現・共有できるSNSだ。「こんな建物が欲しい」という思いをARモデルとして投稿・共有できる。ターゲットは都市やまちづくりに関心を持つ人々とし、主に3つの使い方を想定している。


ユーザーはまず、現地でARモードを起動しプロンプト等を通じて3Dモデルを生成し、現実空間に重ね合わせて投稿する。他のユーザーはその投稿に対して「いいね」やコメントといった形でフィードバックを送ることができる。行政機関・土地関係者は、そのコメントをまちづくりや今後の土地利用の検討材料にできる。こうした一連の流れから、まちづくりへの住民参加や地元への愛着醸成、住民の意見収集など、まちづくりに関するゆるやかな合意形成が可能になるとする。
この体験を支えるのが生成AIだ。ユーザーの入力するプロンプト(例えば「めっちゃエモいビル」)から、その場所の位置情報に紐づき、地域データや経済分析データ等から総合的に解釈し、意図に沿った3Dモデルを自動で生成する。

将来的には、ユーザーが投稿した無数のARモデル群が、その地域ならではの新しいデジタル観光資源となることも見据えている。
質疑では、佐藤氏は、生成AIのクリエイティブを連携させて場所に応じた「素材」を出すというアプローチは非常に面白いとコメントを寄せた。また、住民の参加を促すためにゲーミフィケーションの要素を取り入れるもの良いかもしれないとアドバイスした。十川氏も、どのようなインフラに投資をすべきかといった市民からの情報を常に求めている行政にとって非常に有益なインプットになり得ると述べた。
支えたサポーター、そしてコミュニティからの声
全チームの発表が終了し、グランプリ発表へと移る前、このハッカソンを技術的に支えたテクニカルサポーター、そしてPLATEAUコミュニティを牽引するアドボケイトから、参加者へのメッセージが送られた。
株式会社シナスタジア 大西 宏和 氏(PLATEAU SDKサポート担当):
2日間お疲れさまでした。普段、我々はPLATEAU SDKの開発を担当していて、Unityでの3D表現という視点で見ることが多いのですが、今回、データを変換して軽量化する、あるいはデータそのものとして活用するといった、我々とは異なる新しい視点に触れることができ、非常に勉強になりました。ありがとうございました。

imgee株式会社/サイバー南無南無 河野 円 氏(TouchDesignerサポート担当):
2日間、みなさまお疲れさまでした。クリエイターとして見ていて、非常にレベルの高い作品が多く、シンプルに「すごい」と感じながら拝見していました。そんなハイレベルな中でも、「ビルクラッシャーズ」のような遊び心のある作品が登場したことに、ハッカソンはもっと遊んでもいいんだな、と感じました。今後のPLATEAUの発展が非常に楽しみになる2日間でした。

株式会社シーディングソフテック 石井 勇一 氏(Unityサポート担当):
お疲れさまでした。私がサポートさせていただいたのは数名でしたが、みなさんの作品が予想以上に面白く、発表のたびに「そんなアプローチがあったか」と驚かされていました。今回も楽しいものを見させていただき、ありがとうございました。

株式会社Eukarya 荻原 優希 氏(Webサポート担当):
素晴らしい成果を拝見しました。私は普段WebでPLATEAUをどう使うかという観点で関わっていますが、今回SDKを中心に開発が進む中で、PLATEAUのデータセットがどのように活用されようとしているのかを間近で見ることができ、非常に面白かったです。引き続き、PLATEAUを使って何ができるかをみなさんと一緒に考えていけたらと思います。

PLATEAUアドボケイトを代表して、PLATEAUプロジェクトを立ち上げた内山裕弥氏(国土交通省)から次のようなメッセージがあった。
国土交通省 内山 裕弥 氏:
みなさんお疲れさまでした。2020年にこのProject PLATEAUを立ち上げたものとして、みなさんが我々が整備したオープンソースやドキュメントを使って何かを作ってくれている、それだけでもうれしい気持ちで見ていました。実は、これまでのハッカソンやコンテストで出てきたアイデアや要素技術が、PLATEAU本体のシステム(PLATEAU VIEWやその裏側で動くデータベース等)に実際に取り入れられることは少なくありません。今回もそうした可能性を秘めた発表がいくつもありました。ぜひ、このハッカソンだけで終わらせずに、国土交通省や企業と連携するなどして、サービスやプロダクトとして社会実装してくれるとうれしく思います。

審査員総評:多様化するPLATEAUの可能性
最後に、審査員3名から本ハッカソン全体の総評が述べられた。
近藤氏:
みなさん、2日間お疲れさまでした。素晴らしい作品が多く、審査は非常に悩みました。その中でグランプリに「PLATEAU-2D」を選んだ決め手は、3Dのイメージが強いPLATEAUをあえて2Dに落とし込むという発想の転換、そしてSNSでも話題になりそうな要素だったり、ストアで販売したりといったビジネス的な広がりも感じられた点です。
個人的には、「都市計画レポート生成AI」も高く評価しています。派手さはないですが、生成AIやLangChainなどを駆使し、行政の現場で実際に活用できる可能性を秘めた、非常に意義のある作品でした。他にも「kasane」など多くの作品にPLATEAUの新たな可能性を感じました。

佐藤氏:
私も非常に刺激を受けました。私の中では2つの作品で迷いました。1つはグランプリとなった「PLATEAU-2D」。そのクリエイティビティと発想がとにかく面白く、アウトプットのクオリティも高い。すぐにでも子どもたちが夢中になるようなゲームとして世に出せるポテンシャルを感じます。
そしてもうひとつが、「AirTaxi Go」です。これは投資家の目線で見ても、すぐにでも投資したいと思えるクオリティでした。単なる配車アプリに留まらず、防災や地上の都市開発まで連携できる統合的な社会基盤になる可能性を秘めていると感じます。今回はクリエイティビティを優先しましたが、ビジネスという側面ではこちらも非常に注目すべき作品でした。

十川氏:
みなさん、2日間本当にお疲れさまでした。進捗は様々だったと思いますが、最終的な発表の熱量はどのチームも同じで、素晴らしい発表でした。毎年PLATEAUのハッカソンでは作品の幅が多様化しているのですが、今年もその傾向は顕著でした。
「都市計画レポート生成AI」や「PLATEAU CITY CANVAS」のように、まちづくりや行政のために使える実用性を追求した作品もあれば、「AirTaxi Go」のようにモビリティ産業の未来を感じさせる作品、一方で「フードトラックのある街」や「Rector PLATEAU」のように、市民が3D都市モデルを身近に感じられる作品、そして「ビルクラッシャーズ」や「PLATEAU-2D」、「PLATEU PIXEL QUEST alpha」のように、インパクトと親しみやすさで3D都市モデルの魅力を伝える作品、本当にPLATEAUが持つ多様な顔を見せていただきました。その中で「PLATEAU-2D」がグランプリとなったのは、総合的な評価が極めて高く、審査員3人とも推しだったからです。
この2日間の熱量を、ぜひ今後の作品ブラッシュアップや、チームの垣根を越えた共同開発などにつなげていってほしいと思います。

最後に、今後の展開として「PLATEAU AWARD 2025」の開催が告知された。募集締め切りは11月20日。今回のハッカソンで生まれた作品をさらにブラッシュアップし、全国規模のコンテストへ挑戦することが期待される。





