j099-Report

交通事故、健康寿命、雪のない街――徳島の課題をPLATEAUで解く

「水都 とくしま未来構想アイデアソン × PLATEAU 2025」レポート

徳島市と徳島大学地域共創センターは2025年10月19日に、四国大学および国土交通省の協力のもと、新しいまちづくりアイデアソン「水都とくしま未来構想アイデアソン×PLATEAU 2025」を対面(徳島大学)とオンラインのハイブリッド形式で開催した。「徳島市総合計画2025」の政策をテーマに、市内外から集まった40名・8チームが未来のまちづくりアイデアを考案した。

:
松下 典子(Matsushita Noriko)
編集:
北島 幹雄(Kitashima Mikio)/ASCII STARTUP
撮影:
高橋 智
Share

本イベントは、国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」を活用し、徳島市の魅力発信や市民の安全・安心、生活の利便性向上など、さまざまな課題解決・施策推進のためのアイデアを提案する場として企画された。

メンターには、HollowByte合同会社 代表 米田将氏(オンライン参加)、株式会社エル・ティー・エス Consulting事業本部 Social & Public事業部/イノベーション・ハブ・ひろしま Camps コミュニティマネージャー 武村達也氏、株式会社ホロラボ 加茂春菜氏、国土交通省 都市局 国際・デジタル政策課 デジタル情報活用推進室 都市サービス推進係長 宮崎優氏が参加。ファシリテーターは合同会社MOMENT 代表社員の近藤令子氏が務めた。

(左から)メンターを務めた米田将氏(オンライン参加)、武村達也氏、加茂春菜氏、宮崎優氏、ファシリテーターを務めた近藤令子氏

審査員は、徳島大学 大学院社会産業理工学研究部 准教授 渡辺公次郎氏、徳島大学 総合科学部 准教授 夏目宗幸氏、四国大学 経営情報学部メディア情報学科 教授 辻岡卓氏が務めた。

(左から)審査員を務めた渡辺公次郎氏、夏目宗幸氏、 辻岡卓氏

開会にあたり、徳島市 都市建設政策課の林聡志氏が登壇。「徳島市総合計画×PLATEAU」と題して、まちの将来像や基本理念を定める総合計画の概要を紹介した。

徳島市では、①魅力あふれる都市空間の創造、②持続可能な徳島経済の創出、③安全・安心な生活環境の整備、④生涯健やかな暮らしの実現、⑤こどもまんなか社会の推進、⑥誰もが活躍できる場の提供――という6つの政策を掲げている。

林氏は「今日は、PLATEAUを使ってこれらの政策に関連する提案をしていただけるとうれしいですが、自由な発想で構いません。日々の暮らしの中で『こうなってほしい』『こうすればいいのでは』と感じていることも、徳島市の課題につながります」と語り、続けて「3D都市モデルは、これからのデジタル社会を支えるインフラです。建物や地形のデータに属性情報を持つPLATEAUのモデルデータは、使い方次第で無限の可能性があります。その可能性を引き出す一歩になることを期待しています」と参加者に呼びかけた。

徳島市 都市建設政策課 林 聡志氏

続いて、国土交通省の宮崎氏が「Project PLATEAU」の概要や取り組み、3D都市モデルの特徴などを説明したほか、メンターの武村氏が自身の作品制作の経験や、PLATEAUを活用するための技術・ツールについて紹介した。

宮崎氏は、「PLATEAUのデータ利活用をさらに広げるため、全国各地でさまざまなイベントを開催し、開発者コミュニティの育成にも取り組んでいます。2024年度は全国で25件のイベントを実施し、延べ2700名を超える方々にご参加いただきました。今年度も、そうした取り組みの集大成として、『PLATEAU AWARD 2025』というコンテストを開催予定です。本日のアイデアソンで生まれた提案が、その成果として形になることを期待しています」と述べ、参加者にエールを送った。

国土交通省の宮崎氏は「Project PLATEAU」の概要と取り組みを紹介

メンターの武村氏は「PLATEAUを深掘ろう!メンターより技術・ツールの紹介」と題して登壇。ゲームエンジン「Unity」やメタバースプラットフォーム「Cluster」を活用した開発事例を紹介。さらに過去のAWARD作品から、フォートナイトやAR技術と組み合わせた取り組みなど、3D都市モデル活用の可能性を示した。

武村氏は開発に役立つツール紹介のほか、自身の作品制作の経験も紹介した

グループワークに入る前には、ファシリテーターの近藤氏が「アイデアソンとは?」をテーマにミニレクチャーを実施。アイデアソンの流れや、アイデアの発想法、発表資料のまとめ方などを解説し、参加者がより自由に発想できるようヒントを伝えた。

ファシリテーターの近藤氏はアイデア発想法や資料のまとめ方などをアドバイス
徳島市総合計画の政策から身近な課題を見つけ、3D都市モデルを活用して解決策を考えていく

その後、一人ひとりがアイデア出しを行い、そのアイデアをもとにチームビルディングを実施。全8チームが形成され、グループワークへと進んでいった。

成果発表では、地域の身近な課題に着目した提案や、データ活用の可能性を探る試みなど、多様な視点からのアイデアが共有された。ここでは、グランプリをはじめとした受賞4チームの作品から紹介する。

【グランプリ】危険運転を再現する交通教育シミュレーション「頭文字(イニシャル)T」(チーム「研究ヤバイ」)

グランプリに選ばれたのは、徳島市内を走行する交通シミュレーションゲーム「頭文字(イニシャル)T」を提案した、チーム「研究ヤバイ」。徳島県は人口10万人当たりの交通事故死亡者数が全国ワースト1位という課題を抱えており、これを改善するために「違反して、学ぶ。捕まえて気づく」をコンセプトにした交通教育型のシミュレーションゲームを構想した。

ターゲットは、運転免許の教習生や交通違反で講習を受ける人など。徳島市内の過去の事故事例や危険運転データをもとに、周囲の車の挙動や危険エリアを再現し、運転中に起こりうるリスクを体感的に学べる内容となっている。プレーヤーは「警察」または「一般車」の役割を選択でき、徳島県警察が公開している「交通安全デジタルマップ」をもとに交通マナーを再現。運転中の判断や行動を通じて、事故の危険性を理解し、安全運転意識の向上を促すことを狙う。

将来的には、徳島県の過去の事故データや危険運転情報をNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の動きに反映し、よりリアルな交通状況を再現。シミュレーション結果を分析することで、事故多発エリアや危険運転の傾向を可視化し、道路整備や交通規制、安全教育など政策立案への応用も視野に入れている。

質疑では、辻岡氏から「違反して学ぶ」という仕組みの意図について質問があった。同チームは「悪い状況をあえて再現することで、交通マナーの大切さを伝えるもの。適切な車間距離などを意識してもらうためのツールとして考えている」と説明した。また辻岡氏は「交通シミュレーションには道と建物の両方のデータが必要で、PLATEAUの活用例として非常に良い」と評価した。

アイデアの斬新さが高く評価され、「安全運転を啓発する」ではなく、あえて「違反を体験させる」ことで危険性を学ばせる逆転の発想が印象的だった。また、PLATEAUの3次元データを効果的に活用し、教育とデータ利活用の両面で完成度が高かった点も、グランプリ選出の決め手となった。

チーム「研究ヤバイ」の発表

【徳島市賞】写真の場所はどこ?郊外の穴場を探す探検ゲーム「フォトハンター MIKKETEDA」(チーム「徳島ゲーム製作所」)

徳島市賞に選ばれたのは、写真を手がかりに街を探索するタイムアタック型ゲーム「フォトハンター MIKKETEDA」を提案した、チーム「徳島ゲーム製作所」。日常の中に小さな探検の楽しさを取り入れ、中心部と郊外の行き来を促すことで、地域の隠れた魅力を再発見してもらうことを目指したアイデアだ。

プレーヤーは、写真に写った場所を3D都市モデル上のマップから探し出し、制限時間内に目的地へ到達することを目指す。初期画面では、プレーヤーの属性(県内/県外、性別、年代など)や目的(友人と遊ぶ、観光、地域学習など)を選択。提示されるクイズに答えることでヒントを得られる仕組みで、例えば「徳島市のキャラクターの名前は?」に正解すると目的地の方向が光り、不正解の場合は足止めとなる。上級レベルでは、災害時の避難所を題材にした設問も用意され、防災教育への応用も想定している。

発表後の質疑では、審査員の辻岡氏が「小学生などは行動範囲が狭いので、市内の端の方に何があるのかを知るきっかけになる」とコメントしつつ、「徳島市の課題である市中心部に人口が集中していることを考えると、大人にも郊外の魅力を伝えられる工夫があると良い。ターゲットは?」と質問。発表者は「プレーヤーの属性設定で世代や目的を選べるようにしており、大人向けにはグルメなど地域の魅力を伝える内容も想定している」と答えた。

また、渡辺氏からは「PLATEAUをどのように使っているのか」との質問があり、チームは「クイズ内容に応じて使うデータを変えており、建物の方角や築年数、ハザードマップなどを活用する」と説明した。

徳島の阿波おどり会館や三河家住宅など、市内の名所をクイズの題材として取り上げた点が評価された。また、ゲーム形式で楽しみながら地域を知ることができ、実用性が高いことから徳島市賞に選ばれた。

チーム「徳島ゲーム製作所」

【審査員特別賞】運動習慣で健康寿命を延ばす「徳島サイクリングシミュレーター」(チーム「自転車」)

審査員特別賞に選ばれたのは、チーム「自転車」。オンラインで参加した同チームは、3D都市モデルを活用して健康づくりを支援する「徳島サイクリングシミュレーター」を提案した。徳島県は健康寿命が全国下位(男性44位・女性43位)で、糖尿病リスクも高い。これを改善するため、有酸素運動の定着を促す仕組みとして本アイデアが発表された。

徳島市の地形データをもとに、勾配や高低差、日照量、緑の多さなどを解析し、利用者の体力や目的に応じた最適なサイクリングルートを提案。スマートウォッチなどと連携して心拍数や消費カロリーを自動計測し、健康管理アプリと連動して健康状態を“見える化”する。運動習慣の定着による健康寿命の延伸を狙う。

ハード構成は、エアロバイクにペダルセンサーやBluetoothモジュールを搭載し、PCやVRアプリと接続して仮想空間内を走行するイメージ。PLATEAUの3D都市モデルにOpenStreetMapのデータを組み合わせ、リアルな走行体験を再現する。将来的には広域化を進め、観光プロモーションなどへの応用も視野に入れている。

質疑では、渡辺氏が「景観的な特徴をどう活かすか」と質問。チームは「木や森のモデリングデータを追加し、自然を感じられる空間にしたい」と答えた。また、夏目氏からの「街路樹などをリアルに再現する必要があるか」との問いには、「疑似的でも構わない。飽きさせないことが重要」とコメント。辻岡氏の「水都徳島をテーマに、川沿いの走行は?」との質問には、「CityGMLの水面データを活用してリアルに表現したい」と答えた。

健康寿命のデータをもとに課題設定が明確であったこと、また3Dデータをフルに活用し、今後の発展性を示している点が評価された。

オンラインで参加したチーム「自転車」の発表

【オーディエンス賞】子どもたちが遊びながら徳島の魅力を再発見「PLA徳ピタの大ぼうけん」(チーム「8人のピーすけ」)

オーディエンス賞に選ばれたチーム「8人のピーすけ」は、3D都市モデルを使ったゲーム「PLA徳ピタの大ぼうけん」のアイデアを発表した。

発表では「徳島県は2023年度の都道府県幸福度ランキングで全国最下位。若者の流出も続いているが、実際は食べ物もおいしく、自然や景観にも恵まれている」と指摘。そのうえで「地元の良さを子どもたち自身が発見し、自信や誇りを持てるようにしたい」として、徳島市の3D都市モデルを活用して、地域の風景を舞台にした“動く仕掛け作品”を構想した。

建物データに加え、標高などの地理情報を用いた物理演算によって、大玉が転がる様子をリアルに再現。徳島を象徴する要素を盛り込んだギミックも多数登場する。例えば、鳴門の渦潮に入ると弾が飛び出す、阿波踊りの人々が球を運ぶ、鳴門鯛がボールをはじく、蓮の葉に乗って流れる――といった具合に、徳島ならではのモチーフで構成されている。将来的には、3Dプリンタを用いて、仮想世界から現実世界でも遊べる立体作品に発展させたいという。

質疑応答では、夏目氏が「地形データを使うなら、PLATEAUだけでなく国土地理院のDEM(数値標高モデル)などもある。PLATEAUならではの仕掛けは?」と質問。これに対して同チームは、「建物の属性情報を使い、築年数によって動かせなかったり、球がぶつかると崩れたりするなど、防災教育にも応用できる仕掛けを考えている」と説明した。

また辻岡氏は「ゲーム仕立てで地域愛着を育むという発想が良い。地域の人が自分のまちを面白がることが、地域外への発信にもつながる」と評価。観光資源としての要素について問われると、同チームは「吉野川を動かしたり、駅ビルなどのランドマークをひっくり返したりするだけでも楽しい。徳島市の地形全体を使って楽しむイメージ」と、ユーモアを交えた回答で会場を和ませた。

チーム「8人のピーすけ」

続いて、他の4チームの発表内容を紹介する。

商店街の魅力をデジタルで再発見。個別最適化されたサイネージ広告(チーム「FUTATABI ver.徳島」)

チーム「FUTATABI ver.徳島」は、シャッター街が増える商店街の活性化を目的に、個別最適化されたサイネージ広告を提案した。商店街があることは知っていても、閉まっている店が多く、入りづらいという印象を持つ人が少なくない。そこで、通行人ごとに最適化された情報を提示することで、地元商店街の新たな魅力に気づくきっかけをつくる。

提案では、3D都市モデルを活用し、ユーザーの視点の高さや店舗の階高に合わせた情報を表示。スマートフォンでは歩きながらの閲覧が危険なため、街頭のデジタルサイネージを活用する構想だ。

マネタイズは、地域店舗による広告掲載料(BtoB)、観光協会などとの連携(BtoG)、パーソナライズ広告による課金モデル(BtoC)の3軸を想定。ユーザーは基本無料で利用し、より自分向けの広告を求める場合はプレミアム機能を利用できる仕組みを想定している。

質疑では、渡辺氏が「どこに表示するのか?ARを使うのか」と質問。同チームは「特定のデバイスを使う想定ではなく、街を歩きながら上を見上げて広告を楽しむような看板型の設置を考えている」と説明した。また、広告の内容については「全年齢が見られるものに限定する」と補足した。

オンラインで参加したチーム「FUTATABI ver.徳島」の発表

デジタルとリアルで“遊び場”を拡張「PLATEAUで実現する遊び場増加計画」(チーム「よっぴー」)

チーム「よっぴー」は、「PLATEAUで実現する遊び場増加計画」をテーマに、子どもから大人までが楽しめる新しい都市イベントを提案した。近年、ビルの増加とともに自由に遊べる場所が減っていることを課題に挙げ、3D都市モデルを活用して、街全体を“遊び場”として再発見することを目指す。

提案では、市役所や観光施設、ショッピングモールなど、普段は遊べない空間をイベント会場として開放し、地域の行政や企業に親しむ機会をつくる。参加者の位置情報をPLATEAUの3D地図上にリアルタイムに表示し、観客も地図上で楽しめる仕組みだ。

さらに、イベントの実施中にLiDARで建物内部をスキャンし、LOD4相当のデータを収集。現状のLOD2データでは不足している屋内情報の整備にもつながり、データ取得と地域交流を同時に実現できる点を強調した。

質疑では、渡辺氏が「具体的な遊び方は?」と質問すると、「ショッピングモールやビルを会場にした運動イベントや社会見学を想定している」と同チームは回答。夏目氏は「データを集めながら市民が楽しめる、コスト効率の良い仕組み」と評価した。

オンライン参加のチーム「よっぴー」の発表

雪のない徳島で“雪害”を学ぶ バーチャル体験型シミュレーター(チーム「ホワイトカラー」)

チーム「ホワイトカラー」は、雪の少ない徳島で雪害リスクを学ぶためのVRサービス「ひんやりハット~雪の徳島で歩く・遊ぶ・知る~」を提案した。徳島県では10センチ程度の積雪でも交通被害が発生するが、雪が身近でないため危険が実感しづらいという課題に着目。バーチャル空間上で徳島市中心部を再現し、積雪時の危険箇所を体験的に理解できる「スノーセーフティシミュレーター(SSS)」の開発を構想した。

シミュレーターでは、3D都市モデルをもとに雪の高さや滑りやすい場所を再現。過去の事故地点などを重ねることで、リスクの可視化を図る。さらに「とくしま雪まつり」などのイベントとして展開し、眉山スキージャンプや城山ボブスレー、雪景色フォトコンテストなど、雪を楽しみながら防災意識を高める仕組みも提案した。

課題として、過去の積雪データが少なく、雪の再現には新たなデータ整備が必要と指摘。将来的にはARを組み合わせ、現地でのバーチャル体験イベントにも発展させたいとしている。

審査員からは、「バーチャルならではの“もしも”をシミュレーションできる発想が良い。雪だけでなく大雨など他の災害にも応用できる」との意見が寄せられた。また、「直接的なスリップ事故や渋滞などに起因するリスクをさらに深掘りすれば、実用性の高い防災アプリになる」との指摘もあった。

子ども目線で“まちの危険”を見える化。PLATEAUでつくる冒険地図(チーム「関西出身」)

チーム「関西出身」は、交通事故や空き家の多さといった地域課題に着目し、子ども目線で危険な場所を可視化する「キケン★マップ!〜ぼくのまちの冒険地図〜」を提案した。自転車や徒歩などの低い視点から、どこが危なく、どのように危なかったのかを記録・蓄積し、PLATEAUの3次元地図上で表現することで、地域の安全意識を高めることを狙う。

PLATEAUのデータを用いることで、日中の交通量や日照情報など他のデータを重ね合わせた立体的な分析が可能となる。例えば、一見開けて見える道路でも、建物の影で視認性が悪くなる場所を把握できる。小学生が通学路でヘルメットや帽子にカメラを装着して撮影することで、日常的なデータ更新にもつながる仕組みだ。

将来的には、子どもだけでなく、犬や猫などの小動物、さらにはドライブレコーダーの映像からも情報を収集し、より多角的に危険箇所を把握することを構想。ホログラムで地図情報を手元に表示するなど、視覚的に理解しやすい仕組みも検討している。

審査員からは、「総合計画の重点戦略である交通問題と空き家問題を両方扱っている」、「公共性の高いデータを集める仕組みとして有効」と評価された。

徳島市の課題に切り込んだものから楽しくワクワクするものまで多様なアイデアが誕生

成果発表の後、審査員とメンターによる総評が行われた。

審査員の渡辺氏は、「初対面のメンバー同士での議論は緊張もあったと思いますが、皆さん楽しそうに取り組まれていて良かったです。PLATEAUをきっかけに、身の回りにある多様な空間に関心を持ち、どうすれば社会をより良くできるかを考える機会になったと思います。データは使い方次第で良くも悪くもなります。ぜひ良い方向に活用し、まちづくりや地域活動の中でPLATEAUデータを試してみてください」と述べた。

夏目氏は、「昨年と比べて、PLATEAUデータをどう使うかについての理解が進み、具体的なアイデアが多かったと感じました。3Dデータが一般に知られてきたことで、より積極的な活用提案が増えたのも印象的です。今回はデータ活用を重視して審査しましたが、収集方法やエンタメ要素など、ユニークな発想も多かった。ぜひ今後はアイデアを形にしていってほしいです」とコメント。

辻岡氏は、「PLATEAUのようなデータやAIなどのテクノロジーが先行する時代において、それをどう使い、何に活かすかがますます重要になります。その点、皆さんがしっかりと議論を重ねていたことが印象的でした。今日出たアイデアをもとに、次は実装にも挑戦してもらえるとうれしいです」と締めくくった。

続いて、各チームをサポートしたメンターからも講評が寄せられた。

オンラインチームのメンターを担当した米田氏は、「チーム決定後の議論がとても活発で、真剣に取り組まれている印象を受けました。似たテーマは過去にもありましたが、それだけ課題としての重要性が高いということです。ぜひアイデアで終わらせず、実際に形にして世の中に出してみてください」と述べた。

武村氏は、「今日のプレゼン資料をそのままChatGPTに投げても、ある程度のプロトタイプは作れる時代です。動くものをつくって世の中に出してみることで、人生も広がります。ぜひ実践に挑戦してみてください」と語った。

加茂氏は、「徳島ならではの課題設定が多く、『雪がないから雪を体験したい』『運転が荒い』といった地域特有の視点が面白かったです。見たことのないアイデアが多く、とても新鮮でした。ぜひブラッシュアップしてPLATEAU AWARDにも応募してほしいです」とコメント。

国土交通省の宮崎氏は、「徳島で皆さんの幅広いアイデアに触れ、非常に刺激を受けました。国土交通省ではPLATEAUに限らず、さまざまな国土・交通データを掛け合わせて地域課題を解決する取り組みを進めています。今回のアイデアをきっかけに、サービスづくりにも挑戦してほしいです。ハッカソンやPLATEAU AWARDなどにも、ぜひチャレンジしてください」と述べた。

最後に、主催者を代表して、徳島市 都市建設政策課 課長補佐の林聡志氏が挨拶した。

「本日は長時間にわたり、本当にお疲れさまでした。無事にこのアイデアソンを終えられたことに、まず感謝申し上げます。皆さんのプレゼンを拝見して、徳島市総合計画の政策を起点に、楽しくてワクワクするものから、交通マナーといった社会課題に切り込むものまで、非常に多様な提案をいただきました。PLATEAUは、これからのデジタル社会を支える重要なインフラです。今回のように多くの方が実際に触れ、活用することで、新たなアイデアが次々と生まれ、それが実装につながっていくことを期待しています」