火災延焼シミュレーションシステムの開発
実施事業者 | 国際航業株式会社 |
---|---|
実施協力 | 埼玉県 / 埼玉県所沢市 / 埼玉県寄居町 |
実施場所 | 埼玉県所沢市内:狭山ヶ丘2丁目木造密集市街地/埼玉県寄居町:寄居駅南口周辺地区※寄居町内の住宅密集地 |
実施予定 | 2025年10月〜11月 |

主に地方公共団体職員の利用を想定した、容易に操作可能かつ高精度な火災延焼シミュレーションを実行するためのインプットデータ作成ツール、シミュレーションの条件設定ツール、シミュレーション結果の可視化ツールの3つを開発。3D都市モデルと属性情報(建物構造、階数、高さ)を活用した建物一棟単位で市街地の延焼拡大状況を時系列で予測することで防災計画策定や災害対応支援の高度化を目指す。
本プロジェクトの概要
木造密集市街地においては延焼速度が速く、一度火災が発生すると短時間で大規模火災に発展する危険性が高い。一方で、3D都市モデルを活用した高精度な延焼拡大予測エンジンを実行するには、インプットデータの作成やシミュレーション条件設定など、専門的知識や手作業が必要となることから、地方公共団体で広く活用されるには至っていない。
本プロジェクトでは、「ファイル作成ツール」、「条件設定支援ツール」及び「GISデータ変換ツール」の開発・改良により、国土技術政策総合研究所が開発した市街地火災シミュレーションプログラム(以後、国総研市街地延焼シミュレーションプログラム)の活用における専門的知識や手作業の必要性を軽減する。延焼シミュレーターUIの構築により、シミュレーション範囲、出火点、風向・風速等の与条件を自由に設定可能とし、地方公共団体における特定地区の防災リスク評価を支援することで、社会実装可能か検証する。

実現したい価値・目指す世界
都市部、特に木造住宅が密集する市街地では、火災の延焼速度が極めて速く、ひとたび火災が発生すると短時間で大規模火災へと拡大する危険性が高い。このような火災延焼リスクに対応するため、延焼範囲や延焼速度を正確に予測し、その結果を活用することが重要である。具体的には、消防部局による効果的な消防・消火活動の計画・戦略立案、および都市計画部局による防災まちづくりの観点からの防災対策強化が喫緊の課題となっている。
延焼範囲や速度の正確な予測を行うための方法として火災延焼シミュレーションが挙げられる。その中でも、国総研市街地延焼シミュレーションプログラムは高度な火災延焼モデルであり、3D都市モデルを活用することで高精度の延焼拡大予測が可能である。一方で、国総研市街地延焼シミュレーションプログラムは、インプットデータの作成やシミュレーションの条件設定、シミュレーション結果の可視化を行うために、専門的な知識や手作業が必要となることから、地方公共団体における、システムの導入・運用が阻まれている。
本プロジェクトでは、火災延焼リスクの低減と被害最小化を目指し、国総研市街地延焼シミュレーションの周辺ツールの開発・改良を実施し、シミュレーション実施範囲、出火点、風向・風速等の与条件を自由に設定可能とすることで、地方公共団体職員が適切に地区の防災リスクの評価を実施できるものとする。
開発・改良する周辺ツールは、①ファイル作成ツール②条件設定支援ツール③GISデータ変換ツールの大きく3つより構成される。①ファイル作成ツールは、国総研市街地延焼シミュレーションの防火属性付加機能とシミュレーション用データ変換機能を統合し、3D都市モデル(建築物モデル)から延焼シミュレーション用のファイルを作成する際の専門的知識の必要性や手作業の負荷軽減を実現する。②条件設定支援ツールは、延焼シミュレーターUIの構築により、シミュレーション実施範囲、出火点、風向・風速等の与条件を設定可能とする。③GISデータ変換ツールは、出力されたシミュレーション結果(時刻別の焼損棟数、建物ごとの出火時刻、延焼経路を記述したカンマ区切りテキストファイル)を、三次元可視化できるよう汎用的なGISデータに変換する。
上記により、地方公共団体職員が自らの手で延焼シミュレーションの与条件を設定し、地区の防災リスクの評価が可能となる。
本プロジェクトで周辺ツールを整備し、全国の地方公共団体で利用可能な汎用的な延焼シミュレーションを構築、本システムをオープンソースソフトウェアとして公開することで、地方公共団体職員が、自らの手で容易に市街地の延焼拡大予測を行うことを可能とし、都市の防火性能の評価、火災に強いまちづくりの推進を支援する。




