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河川局

平成16年度河川局関係予算概要

2.河川局所管事業における主要事項

3)社会資本整備重点計画を踏まえた成果重視への施策展開

 社会資本整備重点計画の策定を踏まえ、成果目標の効率的な達成のため、一層の事業間連携の強化を図りつつ、ハード・ソフトの連携、既存ストックの有効利用等を推進。

○水害対策
<関連するアウトカム指標>
洪水による氾濫から守られる区域の割合【約58%(H14)→ 約62%(H19)】
床上浸水を緊急に解消すべき戸数【約9万戸(H14)→ 約6万戸(H19)】
流下能力不足橋梁数【4,200橋(H14) → 3,500橋(H18)】
ハザードマップ認知率(洪水)【6%(H14) → 70%(H18)】
 (ハザードマップ作成支援率【71%(H14) → 100%(H18)】)
地震時に防護施設の崩壊による水害が発生する恐れのある地域の解消【約13,000ha(H14)→ 約10,000 ha(H19)】

・「情報」、「土地利用」、「防災施設」が一体となった安全な地域づくりへの転換
 市街地の拡大、都市空間の高度利用等により、災害危険箇所の増加、地下街利用の増加など、平成15年の九州等における災害のように、防災施設整備だけでは対応が追いつかない事態が発生している。
 このため、このような災害に対して、特に「命を守る」ための緊急的な対応が必要になってきている。

 短期集中型事業の展開等による重点的な防災基盤整備を図りつつ、特定都市河川浸水被害対策法を踏まえ、日頃からの危険に対する周知、的確な避難のための徹底した情報伝達、情報の共有化等、自助、共助、公助のバランスのとれた対策を実施する。
【安全な地域づくりの概念図】
【安全な地域づくりの概念図】
福岡県福岡市
福岡県飯塚市
【梅雨前線豪雨(H15.7)による水害(左:福岡県福岡市 右:福岡県飯塚市)】


・短期集中型事業等の充実
 従来から年限を設けて重点的に投資している河川激甚災害対策特別緊急事業等に加え、平成15年度から、治水上の緊急性・必要性が高く、年限を区切って重点的に実施する事業について、その事業区間・期間等を公表したところであるが、一層の充実を図るため、本体打設中のダム事業等について工程管理を徹底するとともに、予定工程の公表を進める。

短期集中型事業等の充実


・河川事業と下水道事業の連携による雨水対策の推進
 社会資本整備重点計画の策定や特定都市河川浸水被害対策法の制定等を踏まえ、同法に基づく流域水害対策計画の策定を推進するとともに、河川管理者、下水道管理者が連携して、雨水貯留浸透施設の整備等の雨水対策を推進する。

平常時は公園として利用
平常時は公園として利用
洪水時は洪水を貯留
洪水時は洪水を貯留
【雨水貯留浸透施設の例(泉田向(いずみたむかい)公園(神奈川県))】


・質・量バランスの取れた堤防整備の推進
 堤防は、長大かつ歴史的経緯の中で築堤された土構造物のため、内部構造等不明確な部分が多く、構造的信頼性が必ずしも高いとは言えない。このため、これまでの高さや幅等の量的整備に加え、今後、既設堤防の強化対策等質的整備を計画的に図ることで、質・量バランスの取れた堤防整備を推進する。
質・量バランスの取れた堤防整備の推進


○土砂災害対策
<関連するアウトカム指標>
土砂災害から保全される戸数【約120万戸(H14)→ 約140万戸(H19)】
土砂災害から保全される災害弱者関連施設数【約3,100施設(H14)→ 約4,100施設(H19)】
ハザードマップ認知率(火山)【61%(H14) → 76%(H18)】
 (火山災害予想区域図提供率【81%(H14) → 100%(H18)】)

・短期集中型事業への重点化による激甚災害、災害頻発地域等の緊急防災対策
 近年大きな災害を受けた地域等において再度災害の防止を図るため、砂防事業の重点投資を行う。
【梅雨前線豪雨(H15.7)による土砂災害(福岡県太宰府市)】
【梅雨前線豪雨(H15.7)による土砂災害(福岡県太宰府市)】


・避難路の保全対策の重点化
 東海、東南海・南海地震により土砂災害が発生する可能性のある箇所のうち、保全対象に津波等からの避難路(市町村地域防災計画上の避難路)を含む箇所について、重点的・集中的に投資し、平成20年度末を目処に概ね5年で整備する。
【宮城県沖を震源とする地震(H15.7)で発生したがけ崩れ(宮城県松山町)】
【宮城県沖を震源とする地震(H15.7)で発生したがけ崩れ(宮城県松山町)】


・災害弱者対策の推進
 厚生省(現:厚生労働省)、文部省(現:文部科学省)等と実施した緊急点検結果等に基づき、土砂災害の犠牲者となりやすい自力避難が困難な災害弱者に関連した老人福祉施設等の災害弱者関連施設に係る土砂災害防止施設の整備を重点的に行う。
 また、自力避難が困難な災害弱者が24時間入居している施設のうち、特に土砂災害のおそれの高い箇所を平成15年度より概ね5年で整備する。

土砂災害による死者・行方不明者に占める災害弱者の割合【過去5年(H10〜H14)】
土砂災害による死者・行方不明者に占める災害弱者の割合【過去5年(H10〜H14)】
【土砂災害(H11.9)による災害弱者関連施設の被害状況(沖縄県南風原町)】
【土砂災害(H11.9)による災害弱者関連施設の被害状況(沖縄県南風原町(はえばるちょう))】


・重要交通網の対策
 土砂災害による広域的な物流の遮断等、社会経済的に極めて重大な被害の発生を防止するため、都市部周辺の国道・鉄道等の重要交通網や地域間交流、災害時の緊急輸送に不可欠な幹線道路等の物流ネットワークを保全する土砂災害防止施設の整備を推進する。


・土砂災害対策3つの緊急プロジェクト
 平成15年7月に発生した九州地方を中心とする梅雨前線豪雨により、熊本県水俣市などでは大規模土石流等が発生し、土砂災害による死者が23名を数える大災害となった。この災害を契機に、危険箇所の認知や気象・土砂災害情報の伝達の整備・強化、土砂災害防止法による土砂災害警戒区域等の調査・指定のさらなる推進を図る。

土砂災害対策3つの緊急プロジェクト


・土砂災害警戒情報に関する伝達の推進
 地方自治体の防災活動や住民のより迅速・適切な警戒避難行動等により、土砂災害による人的被害の最小化を図るため、河川局、気象庁、総務省消防庁が連携して、地方自治体や地域住民等に土砂災害の警戒に関する情報を提供する。


・ハザードマップの整備
 整備水準を上回る災害の発生時に出来るだけ被害を減じるとともに、あらかじめ災害の発生に備えるために、被害想定区域や避難経路などを示す土砂災害、火山ハザードマップの作成支援等を促進する。特に、火山については、時々刻々と変化する火山現象に応じて、影響範囲等をGIS上でリアルタイムに予測する『リアルタイムハザードマップ』の整備を推進する。
【火山ハザードマップ:浅間山(長野県・群馬県)】
【火山ハザードマップ:浅間山(長野県・群馬県)】


○海岸保全対策
<関連するアウトカム指標>
津波・高潮による災害から一定の水準の安全性が確保されていない地域の面積【約15万ha(H14)→ 約10万ha(H19)】
地震時に防護施設の崩壊による水害が発生する恐れのある地域の解消【約13,000ha(H14)→ 約10,000 ha(H19)】

・東南海・南海、東海地震等大規模地震防災対策の推進
 東南海・南海、東海地震に代表される大規模地震対策として、津波堤防、避難路の整備等の津波対策を推進する。

【北海道南西沖地震(H5.7)の津波被害】
【北海道南西沖地震(H5.7)の津波被害】
【津波堤防(奥尻海岸(北海道))】
【津波堤防(奥尻海岸(北海道))】


・海岸保全施設の耐震対策
 東南海・南海、東海地震等による被害が予想される地域等を中心に、施設管理者が統一的に目標を定め、計画的かつ重点的に耐震対策を推進する。

海岸保全施設の耐震対策


○生活環境整備
<関連するアウトカム指標>
都市空間形成河川整備率【34%(H14) → 40%(H18)】
人々が海辺に親しむことのできる海岸の延長【6,700km(H14) → 6,800km(H19)】
都市域における水と緑の公的空間確保量【12.1m2/人(H14)→ 13.1m2/人(H19)】
河川の流量不足解消指数【55%(H14) → 61%(H18)】
河川における汚濁負荷削減率【H19までに13%を削減】
自然体験活動拠点数【218箇所(H12) → 300箇所(H18)】
地域に開かれたダム、ダム湖活用者数【499万人(H12) → 621万人(H18)】

・水辺都市の再生
 水辺環境が著しく劣悪な市街地等において、貴重なオープンスペースである河川を本来の川らしい姿に再生するとともに、市街地整備等のまちづくりと一体となった河川整備を推進することにより、安全で良好な水辺空間を創出し、都市の魅力を向上させる。

整備前
整備前
整備後
整備後
【淀川高規格堤防 酉島(とりしま)地区(大阪府)】


・海辺に親しめる海浜空間の形成
 豊かな自然と多様な機能を有する沿岸域において、海浜の特性、地域の特性を十分活かした施設の整備を行うことにより、地域住民が海と親しみ、また、集い憩える海浜空間を形成するため、『コースタル・コミュニティ・ゾーン(C.C.Z.)』の整備を推進する。

【松任(まっとう)海岸C.C.Z.(石川県)】
【松任(まっとう)海岸C.C.Z.(石川県)】
(海岸の利用状況)
(海岸の利用状況)


・都市山麓グリーンベルト
 山麓斜面に市街地が接している都市において、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境としての一連の樹林帯の形成を推進する。これにより市街地周辺への無秩序な市街化防止や都市周辺に広がる緑のビオトープ空間の創出を図る。

【都市山麓グリーンベルトの整備イメージ】
【都市山麓グリーンベルトの整備イメージ】


・観光振興に資する砂防事業の展開
 水辺や活火山等の自然観光資源を活かすための周辺整備、地域の産業や自然を活用した体験型観光等により、地域の創意と工夫にあふれ国民のニーズの多様化に応える魅力ある観光交流空間づくりを支援する。

【観光振興構想と一体となった砂防事業(有珠山(北海道))】


・安全でおいしい水の確保
 水質汚濁が進行し水道の水源となっている河川や湖沼において、河川の直接浄化施設の設置及び底泥浚渫等を実施し、また富栄養化等により水質汚濁が著しいダムにおいて、曝気等による貯水池の水質保全対策及び貯水池周辺の流入河川対策を実施することにより、水道水源となっている河川や湖沼の水質を改善し、安全でおいしい水の確保を図る。

【安全でおいしい水の確保(イメージ図)】
【安全でおいしい水の確保(イメージ図)】


○自然環境保全・整備
<関連するアウトカム指標>
失われた自然の水辺のうち、回復可能な自然の水辺の中で再生した水辺の割合【H19までに約2割再生】
失われた湿地や干潟のうち、回復可能な湿地や干潟の中で再生したものの割合【H19までに約3割再生】

・自然共生型事業の推進
 生物の良好な生息・生育環境を有する河川・里山・海岸環境等を保全・再生するため、湿地、干潟の再生や魚がすみやすい川づくり等の自然環境の再生を目的とした事業を実施するとともに、自然環境に配慮した多自然型川づくり、既設ダムの容量の活用等による平常時の河川水量の確保、山腹工を主体とした里地・里山の保全などの多様な自然共生型の河川、ダム、砂防、海岸事業を推進する。

自然共生型事業の推進


・河川・湖沼の水環境の改善
 水質汚濁の進んだ河川や湖沼において、河川の直接浄化施設の設置、浄化用水の導入や底泥の浚渫を実施することにより、良好な水環境を取り戻し、親しめる水辺空間の創出を図る。これらの事業の推進にあたり、地方公共団体や下水道管理者等と連携して『清流ルネッサンスU』など流域と一体となって取り組むことにより、さらなる水環境の改善を図る。

【清流ルネッサンスU(イメージ)】
【清流ルネッサンスU(イメージ)】


・リサイクル・リユースの推進
 流木や間伐材、土木工事から発生する建設発生土、コンクリート殻、ダム貯水池の堆積土砂等を建設資材として積極的に活用することにより、環境負荷の少ない河川、砂防、海岸事業等を推進する。また、河川やダムに漂流する流木のリサイクルを推進する。

リサイクル・リユースの推進
リサイクル・リユースの推進
【建設発生土を有効活用する砂防ソイルセメント工法(富士川(山梨県))】




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