4.調査内容
4-1.水質・底質調査
1)採水・採泥
試料の採水・採泥にあたっては、極微量の物質の測定を行うため、周辺環境からの汚染に細心の注意を払う必要がある。採水・採泥に用いる試料ビンは、あらかじめ分析機関において十分洗浄を行ったものを使用した。
水質・底質調査においては、平成12年冬期調査は、平成12年1月から2月中旬にかけて、平成12年秋期調査は、平成12年9月末から12月上旬にかけて実施した。1回の調査において採水は、同一地点で2日間に分けて採水し混合したものを試料とした。
採水量は、再分析を考慮して60L以上とした。
底質調査は、水質調査と同じ地点において、採水時に実施した。
2)分析方法
分析方法は、以下に示す方法で実施した。
表-4.1.1 水質試験方法
項 目 |
分析方法 |
ダイオキシン類 |
JIS K0312 工業用水・工場排水中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法 |
SS |
河川水質試験方法(案)1997年版II.11 |
VSS |
河川水質試験方法(案)1997年版II.11-3 |
TOC |
河川水質試験方法(案)1997年版II.55 |
表-4.1.2 底質試験方法
項 目 |
分析方法 |
ダイオキシン類 |
ダイオキシン類に係る底質調査マニュアル |
粒度組成 |
JIS A 1204 |
強熱減量 |
底質調査方法U.4 |
TOC |
CHNコーダーによる方法 |
3)形態把握調査における試料の調製
 |
水質
ガラス繊維ろ紙(保留粒子径0.5μm程度:アドバンテック東洋社製GC-50、whatman社製GF/F等)を使用して、ろ過を行い、ろ液と懸濁物質に分けそれぞれ測定試料とした。なお、ここではろ液中に含まれる物質を「溶存性」と呼び、懸濁物質中に含まれる物質を「非溶存性」と呼ぶ。
|
 |
底質調査
風乾した底質試料を75μmのフルイでレキ・砂分(75μm以上)と粘土・シルト分(75μm未満)に分けそれぞれ測定試料とした。 |
4)測定値の表記
ダイオキシン類の毒性当量(TEQ)の算出は、ダイオキシン類の実測値に毒性等価係数(TEF:WHO-1998)を乗じ算出した。また、実測値が検出下限値未満の場合は、検出下限の1/2の値を用い算出した。
表-4.1.3にダイオキシン類の検出下限値を示す。
また、分析値の単位は、特に断りのない限り水質は「pg-TEQ/L」、底質は「pg-TEQ/g(dry)」で表わした。
表-4.1.3 ダイオキシン類の検出下限値
項 目 |
水質(pg/L) |
底質(pg/g) |
TeCDD,TeCDF |
0.03 |
0.1 |
PeCDD,PeCDF |
0.03 |
0.1 |
HxCDD,HxCDF |
0.07 |
0.2 |
HpCDD,HpCDF |
0.07 |
0.2 |
OCDD,OCDF |
0.2 |
0.5 |
コプラナーPCB |
0.07 |
0.5 |
5)実施機関
調査の計画、実施方法の策定及び調査結果の精査・確認、とりまとめについては、(財)河川環境管理財団が行った。
調査は国土交通省の各地方整備局単位で実施し、採水及び分析は、各地方整備局から民間の採水及び分析機関に委託した。
4-2.精度管理
ダイオキシン類の分析は、非常に低濃度であり、且つ分析操作が煩雑であるため、精度管理に細心の注意が必要となる。このため調査に当たっては、以下の精度管理を行った。
1)精度管理計画書
分析実施機関に精度管理に関する計画書を提出させ、精度管理計画の有効性を確認し、精度管理計画書に沿って業務の実施を求めた。
2)操作ブランク・二重測定
試験方法(JIS及びマニュアル)に記載された方法に従い、操作ブランクの測定、二重測定の確認を行った。
3)クロスチェック
分析実施機関に対し底質の共通試料を配布しクロスチェックを実施した。
4)トラベルブランク
水質調査において1分析機関につき1検体トラベルブランクを実施した。
5)精査確定
有識者による「ダイオキシン類精度管理委員会」を設置し、測定結果の精査・確認を行った。
|