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河川局

Topics 記者発表

5-3.形態把握調査

(1)水質

1)調査結果
 河川、湖沼等21地点における水質試料中のダイオキシン類の存在形態を把握するため、溶存性ダイオキシン類(孔径0.5μmのガラス繊維ろ紙によるろ過でろ液に含まれるもの)と非溶存性ダイオキシン類(孔径0.5μmのガラス繊維ろ紙によるろ過で残留物に含まれるもの)に分けて分析を行った。
 水質の形態把握調査結果の概要を表-5.3.1に示す。
 表-5.3.1から溶存性ダイオキシン類濃度は、0.069〜0.26 pg-TEQ/L、 平均値0.096 pg-TEQ/L、非溶存性ダイオキシン類濃度は、0.074〜1.3 pg-TEQ/L、 平均値0.26 pg-TEQ/Lであった。


表-5.3.1 形態把握調査(水質)結果の概要 (地点数 21地点)
  平均値 範 囲
溶存性ダイオキシン類
(pg-TEQ/L)
0.096 0.069〜0.26
非溶存性ダイオキシン類
(pg-TEQ/L )
0.26 0.074〜1.3
注1) NDを検出下限値の1/2で計算

2)考察

ダイオキシン類濃度
<溶存性及び非溶存性ダイオキシン類濃度>
 ダイオキシン類のTEQ値(毒性当量)の計算は、測定値がND(不検出)の場合、検出下限値の1/2として計算しているため、測定したすべての異性体の濃度がNDでもTEQ値は0.069pg-TEQ/L(溶存性と非溶存性を合わせると0.14pg-TEQ/L)となる。
ダイオキシン類測定値が低い場合は、このND計算値が影響し、TEQ値が同じような値になるため、溶存性ダイオキシン類と非溶存性ダイオキシン類濃度との関係については評価ができない。また、低い濃度のダイオキシン類の異性体組成を見ると、溶存性、非溶存性ともに高い頻度で検出されている異性体(7,8塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンやCo-PCB:#118、#105、#77等)以外は検出されないか検出下限値付近の値が多く、検討を行なうには信頼性が乏しい。そのため、今回の検討には溶存性ダイオキシン類と非溶存性ダイオキシン類がある程度検出され、両者の合計が0.2pg-TEQ/L以上になったものについて評価した。
 ダイオキシン類の濃度範囲別における各因子の数値を表-5.3.2に、また、調査地点別ダイオキシン類濃度を図-5.3.1に示した。
 今回の形態把握調査地点で総ダイオキシン類濃度が0.2pg-TEQ/Lを超えたのは、河川順流域4地点、河川堪水域2地点、河川感潮域3地点、汽水域4地点、湖の淡水域2地点、の合計15地点であった。溶存性及び非溶存性ダイオキシン類濃度を比較すると、濃度が高い試料については、非溶存性ダイオキシン類濃度が高く、ダイオキシン類は水試料中では大部分が0.5μm以上の懸濁物質に含まれて存在していることが示唆された。ただし、一部では溶存性のダイオキシン類が存在する試料もみられた。
 溶存性ダイオキシン類は全体的に低濃度であったが、やや高い値を示す地点においては、TEQ濃度への寄与が大きい4,5,6塩素のジベンゾゾフランの検出が見られた。
 非溶存体ダイオキシン類については高濃度検出地点においては、低濃度地点に比べ4,5,6塩素のジベンゾフラン、ジベンゾ-パラ-ジオキシンの検出及び濃度の増加が見られた。

SS、VSS、TOCとの関係
<溶存性ダイオキシン類とTOCの関係>
 溶存性ダイオキシン類濃度と有機物汚染の指標であるTOCとの関係は、溶存性ダイオキシン類の濃度が低かったため、評価はできなかった。

<非溶存性ダイオキシン類とSS、VSS、TOCの関係>
 非溶存性ダイオキシン類とSS、VSS、TOCとの関係は
 図-5.3.2(1)(2)(3)に示すとおり、SSとの間に弱い相関が見られたが、他の項目とは相関がなかった。綾瀬川内匠橋と荒川堀切橋は、汚染の原因が他の地点と異なると考えられるので、内匠橋と堀切橋を除いてSS、VSS、TOCとの相関をとった。図-5.3.2(4)(5)(6)に示すように、SSとは高い相関が見られ、水質のダイオキシン類はSSに起因していると考えられた。一方、有機物の指標であるVSS、TOCとは相関が見られなかった。今回の調査地点は、ダイオキシン類濃度が低い地点が多く、これらの地点では、NDの計算方法のため溶存性、非溶存性が同様の値を示し、明確な関連性の検討は困難であった。これらの項目との関係をより明確に検討するためには、ダイオキシン類が高濃度の地点を選定し、SS、VSS、TOCとの関連性を把握する必要があると考えられた。



表-5.3.2 ダイオキシン類の濃度範囲別の各因子の数値(平成12年秋期形態把握調査)

ND値を1/2検出下限値で計算した結果

ダイオキシン類
の濃度範囲
(pg-TEQ/L)
地点 ダイオキシン類濃度
(pg-TEQ/L)
SS
mg/L
VSS
mg/L
TOC
mg/L
溶存性 非溶存
0.2〜0.3 石狩大橋 0.071 0.13 14 1.9 2.1
利根川河口堰 0.070 015 7.3 2.3 2.0
瀬ノ下 0.072 0.15 4.5 1.3 2.3
高瀬川No.C 0.15 0.088 2.0 1.6 1.8
宍道湖No.3 0.13 0.12 2.0 0.1 3.0
米子湾中央部 0.11 0.15 2.3 0.1 3.7
高瀬川No.H 0.15 0.13 1.0 0.9 1.3
0.3〜0.5 釜谷沖 0.069 0.25 11 8.6 5.4
出合橋 0.085 0.17 5.5 1.4 2.4
矢口川上流 0.26 0.18 0.1 0.1 1.5
0.5以上 平成大橋 0.073 0.44 13 1.0 1.9
湖心 0.071 0.52 24 5.5 4.7
堀切橋 0.079 0.67 11 3.0 3.5
枇杷島橋 0.10 0.26 6.0 3.6 5.3
内匠橋 0.074 1.3 15 5.3 5.1
注) 水質の溶存性及び非溶存性ダイオキシン類は、21地点で測定したが、低濃度地点ではNDの計算が影響し評価が困難なため、合計が0.2pg-TEQ/L以上の地点のみ記載した。


図-5.3.1
図-5.3.1 調査地点別ダイオキシン類濃度


図-5.3.2(1)
図-5.3.2(1) 非溶存性ダイオキシン類濃度とSSの相関


図-5.3.2(2)
図-5.3.2(2) 非溶存性ダイオキシン類濃度とVSSの相関


図-5.3.2(3)
図-5.3.2(3) 非溶存性ダイオキシン類濃度とTOCの相関


図-5.3.2(4)
図-5.3.2(4) 非溶存性ダイオキシン類濃度とSSの相関(内匠橋、堀切橋を除く)


図-5.3.2(5)
図-5.3.2(5) 非溶存性ダイオキシン類濃度とVSSの相関(内匠橋、堀切橋を除く)


図-5.3.2(6)
図-5.3.2(6) 非溶存性ダイオキシン類濃度とTOCの相関(内匠橋、堀切橋を除く)


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