考察
綾瀬川は、時間変動調査の結果、内匠橋、槐戸橋とも水質が懸濁物質(SS)と同様の変動をしていた(図-5.4.1参照)。水質の濃度変動は比較的高濃度のダイオキシン類を含む底質の舞い上がりの影響を受けていると考えられ、人為的な影響または感潮の影響による濁りが要因であることが示唆された。調査地点における水質の代表性を考慮した場合、特に高濃度が測定された地点においては、複数回の採水による平均化が必要と考えられる。
また、全国実態把握調査において1pg-TEQ/Lを超える濃度が検出された地点は、必ずしも底質濃度が高いわけではなく、調査地点の底質の舞い上がり以外、他からの移動等の要因も考えられる。要因が異なれば、時間変動の傾向が変わることが考えられ時間変動の特性把握のため、綾瀬川以外に、過去の調査において高濃度が検出された地点において時間変動調査を行なう必要があると考えられる。
利根川順流部では、ダイオキシン類濃度がSSの変動と同じ傾向を示したが、底質が低濃度であったためか順流部ではあまり変動していなかった。堰部では、SS、ダイオキシン類ともに低濃度で、時間変動はなく、低濃度の地点や、湛水部においては水質の均一性、代表性が示唆された。 |