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河川局

Topics 記者発表

5-4.詳細調査結果

(2)底質調査

1)水平分布調査
河川及び湖沼底質のダイオキシン類の水平分布を把握するために、3河川(綾瀬川、利根川、淀川)、1湖沼(霞ケ浦)において採泥を行ない、調査を実施した。

調査結果
 水平分布調査結果を表-5.4.2に示す。また、水平分布図を図-5.4.3から図-5.4.6に示す。
 綾瀬川における水平分布調査結果は、0.68〜240pg-TEQ/gの範囲にあり、槐戸橋、古綾瀬川が流入する八条大橋左岸、毛長川が流入する11.0km地点近傍で高い値を示し、砂質が多い流心で低い値を示す傾向にあった。
 利根川利根大堰は、0.50〜28pg-TEQ/gの範囲にあり、順流部及び湛水部上流部において右岸が高く(160.5km地点左岸を除く)、湛水部では、流心及び右岸が高い傾向にあった。堰下の順流部は値が低く差が見られなかった。
 淀川では、0.48〜37pg-TEQ/gの範囲にあり、堰上流湛水部では、左右岸が流心よりも高い傾向にあった。堰下の感潮域では、明確な傾向は見られなかった。
 利根川や淀川では、ダイオキシン類は粘土・シルト分が多い地点で高い傾向にあった。
 霞ケ浦は0.26〜19pg-TEQ/gの範囲にあり、流入河川近傍の数地点を除き、表層の底質は、10〜19pg-TEQ/gとほぼ一様な分布状況を示していた。

考察
 河川底質ではダイオキシン類の濃度分布は、値が大きくばらつき、空間的変化が大きいことが示唆された。底質が砂、シルト、粘土であるような性状に影響されることが大きいと考えられる。また、綾瀬川においては、地点間の差が大きく、支川流入の影響等が考えられ、空間的代表性の把握は難しいと考えられる。
 綾瀬川八条大橋左岸の様に、特異的に高い値を示す地点においては、特定の汚染要因が考えられる。この様な高濃度検出地点の対策を検討する場合、汚染の水平及び鉛直方向への広がりを把握する必要があると考えられる。
 霞ケ浦においては、底質の沈降、堆積状況が異なる流入河川近傍では空間的代表性にかけるが、その他の地点では比較的一様な分布を示しており、ダイオキシン類の汚染状況を監視していくには、霞ケ浦では湖心の地点で代表できるものと考えられる。湖沼における水平分布の一様性については、他の湖沼での確認が必要と考えられる。


表-.4.2 底質の水平分布調査結果
河川名 検出範囲
(pg-TEQ/g(dry))
綾瀬川 0.68〜240
利根川 0.50〜28
淀川 0.48〜37
霞ケ浦 0.26〜19
(10〜19)
 注)霞ケ浦の検出範囲の括弧内は流入河川近傍の地点を除いた値


図−5.4.3 水平分布調査結果(綾瀬川)


図−5.4.4 水平分布調査結果(利根川)


図−5.4.5 水平分布調査結果(淀川)


図-5.4.6 水平分布調査結果(霞ヶ浦)



2)鉛直分布調査
河川及び湖沼底質のダイオキシン類の鉛直方向の状況を把握するために、3河川(綾瀬川、利根川、淀川)、1湖沼(霞ケ浦)において柱状採泥を行ない、調査を実施した。

調査結果
鉛直分布調査の結果を表-5.4.3に、鉛直分布図を図-5.4.7及び5.4.8に示す。
綾瀬川では、伝右川、毛長川が流入する11km地点の下層で高い値を示した他は、上下層に明確な傾向は見られなかった。図-5.4.9より粒度の分布を見ると、11km地点の性状は、上層、中層よりも下層でシルト・粘土分が高かった。また、TOCもダイオキシン類と概ね同様の鉛直分布を示していた(図-5.4.7参照)。このことから、下層は有機物が多く、ダイオキシン類を含み易いシルト・粘土分が多い性状であり、上層、中層は、有機物が少なくダイオキシン類含有の少ない砂分が多かったと考えられる。
利根川及び淀川では、上下層に明確な傾向は見られなかった。
霞ケ浦では、ダイオキシン類は上層が高く、中層、下層が低い傾向にあった。今回の調査における中層は37〜40cmの深さの底質であり、実際に濃度が高い層の厚さが不明であった。
考察
ダイオキシン類はTOCで示される有機物含有量の多い地点、あるいはシルト・粘土のような粒子の細かい底質に多く含まれている傾向にある。
綾瀬川では、11km地点の底質は、上層及び中層では砂分が多く、下層ではTOCが高くシルト・粘土分が多い性状であった。このため、他の地点と異なり、下層のダイオキシン類濃度が高かったものと考えられる。
霞ケ浦のような湖沼では、大気経由、流入河川経由で運ばれてきたダイオキシン類を含む微粒子が、空間的に均一に年代順に堆積しているものと考えられ、中下層はダイオキシン類の発生が少なかった年代に堆積したことが考えられる。

表-5.4.3 底質の鉛直分布調査結果
河川名 地点名 検出範囲
(pg-TEQ/g(dry))
綾瀬川 11km地点
41〜110
16km地点
43〜71
槐戸橋
34〜45
利根川 154.2km地点
12〜24
160.5km地点
0.50〜0.63
淀川 伝法大橋
24〜39
霞ケ浦 桜川河口1km
0.57〜1
花室川河口2km
0.32〜16
木原沖
1.5〜10
牛込沖
3.7〜18



図-5.4.7 ダイオキシン類の鉛直分布図(底質 乾重量当たりの濃度)


図-5.4.8 ダイオキシン類の鉛直分布図(底質 乾重量当たりの濃度)


図−5.4.9 粒 度組成の鉛直分布図(綾瀬川)



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