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2.地球温暖化に伴う海面上昇への対応の考え方
 
 現在、我々人類が直面している地球温暖化は、将来にわたって長期的かつ確実に進行していくことが予想されるが、これに伴い、海面上昇も同様に進行していくことが考えられる。この海面上昇により、沿岸の低平地に人口が密集している東南アジアや島嶼部、国土の大半が低平地となる欧州の一部など、地球規模での影響が懸念される。
 
 日本は四方を海に囲まれ、国土の大半が山地で占められていることから、沿岸域を中心に文化・社会が発達してきた。このため、我が国においても、今後海面が上昇していくと、砂浜の減少や、高潮時の浸水による危険度の増大、下水道施設や港湾施設の機能低下など、自然環境や国民の生命・生活に特に甚大な影響が生じることが懸念される。 
 
 一方で、今後の海面上昇の予測については、現在においてはまだ予測モデルの精度やモデル間における予測値の相違などに問題があり、加えて、将来の社会情勢の変化といった不確実性の要因があるため、予測されている海面の上昇幅にはばらつきがある。しかし、地球温暖化に伴う海面上昇という現象は確実に生じており、その影響が、徐々に甚大なものとなっていくことは明らかであることから、今後、状況に応じた適切な取り組みを行っていくことが必要となってくる。即ち、地球温暖化の特性を十分に把握した上で、その時点における海面上昇の現状や予測をフィードバックさせ、柔軟な対応をとりながらも、将来にわたって効果的に対応していけるような戦略的な取り組みを行っていく必要がある(図2.1 海面上昇への戦略的な取り組みの概念)。そのためには、まず、海面上昇を的確に把握して予測に反映させるとともに、適切な対応策を講じるために必要となる潮位の観測・監視を現段階より継続的に実施していく必要がある。その際、国土の脆弱性を見極めるためにも、地盤の変動等も含めた観測・監視も併せて実施する必要がある。
 
 また、海面上昇に対する具体的な対応策を検討するにあたっては、国民の安全性・利便性の確保と自然環境の保全といった目的を最大限充足しながら、長期的、総合的な視点で持続可能な経済活動を確保しつつ、快適な国民生活を行っていくための国土づくりの政策の中にこれらの対応策を位置づけることが重要である。即ち、予測や制度等のその時点での現状、投資効果、自然環境への影響を踏まえた上で、施設等の整備を中心とした防護対策、土地利用の順応対策、防災体制の強化などを、望ましい沿岸域形成の政策にうまく調和させていく必要がある。
 
 さらに、現象及び影響が短期的には目に見えて顕在化せず、長期的かつ継続した取り組みが必要となる地球温暖化の特性を踏まえると、地球温暖化による海面上昇やその対応に関する情報提供を通じて、その影響の大きさについての国民の認識を深め、その上でこれらの対策にかかる十分な合意を得ていくことが必要となる。



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