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4.海面上昇による国土保全上の影響
 
(1)海面上昇による世界的な影響
 地球には、高潮・高波等の自然災害に対して脆弱性を有する地域が多数存在しており、1年に1回以上これらの災害に見舞われる危険にさらされている人口は現在4600万人とも言われている。
 例えば、東南アジアでは、海面と土地の高さの差がないガンジスデルタやメコンデルタ等のデルタ地域に多数の人々が居住しているものの、防護施設等の社会基盤施設が十分整備されておらず、海面上昇によりさらに甚大な被害が及ぶ可能性がある(図4.1 アジアの主要なデルタ)
 また、南太平洋の島嶼国は海抜が低く、標高の極めて低いツバル、キリバス、マーシャル諸島等では、海面上昇で島全体が居住不可能になる可能性があり、比較的標高の高いフィジーやサモア等でも居住性や海岸資源へのアクセスの良さから低平な海岸地域に人口が集まっている(図4.2 トンガタプ島で予測される高潮の氾濫域(1mの海面上昇時))(表4.1 トンガタプ島における水没と高潮氾濫の影響)
 さらに、国土の4分の1を海抜下の土地で占めるオランダや、四方を海に囲まれたイギリス等の欧州においても、海面上昇による影響は無視できないものであり、これらの国々でも海面上昇にかかる対策が講じられようとしているところである。
 
(2)海面上昇による我が国への影響
 
 1)我が国の特性
 我が国は、北海道、本州、四国、九州をはじめ多数の島々からなっているため、狭い国土に対し約35000kmと非常に長い海岸線を有している。また、国土の7割が山地であることから、人口は居住空間が広い低平地を有する沿岸域に集中する傾向が強く、それに伴い産業も沿岸域を中心に発達してきた。例えば、海岸に面する市町村には人口の5割にあたる約6千万人が居住し、産業活動も工業製品出荷額の5割、商業年間販売額の6割が集中している(図4.3 全国に占める沿岸域の人口と工業・商業(1995年))。さらに、白砂青松の海岸に代表されるように砂浜、砂丘、干潟など様々な海岸地形が発達し、生態系や人間の営みを支える基盤としても貴重な空間であり、我が国では沿岸域を生活の基盤として利用してきた。
 しかしながら、沿岸域はこのように人口、資産が集中するという利便性の反面で、高潮、高波等の自然現象に対して影響を受けやすいという脆弱性を有し、過去にも幾度となく自然災害を経験してきた。例えば伊勢湾では、伊勢湾台風により死者、行方不明者は4500人余り(愛知・三重両県※1)に達し、全壊、半壊家屋約12万5千戸に及ぶ被害が生じた(図4.4 伊勢湾台風の浸水状況図)
※1 資料:伊勢湾台風災害誌(建設省)



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