上記のような気候変動を把握するにあたっては、継続的、長期的な気象・海象の観測が必要である。
我が国では、関係機関が各々の目的に応じて観測を実施している。例えば、気象庁では、全国150余りの気象官署において気温や降水量等の観測を実施しており、海上保安庁では、全国55ヵ所の灯台等で気象・海象の観測を行い、船舶気象通報として提供している。また、国土交通省、水産庁、気象庁では、全国98箇所で波浪観測を行っている(図3.8 全国の波浪観測所位置図)。
海象観測のうち、海面上昇に直接関連する潮位については、現在、全国約500箇所で観測がなされている。特に、国土地理院に設置されている海岸昇降検知センターにおいては、国土交通省、国土地理院、海上保安庁、気象庁等、関係機関が計測している全国151カ所の潮位観測施設における月平均海面のデータを取りまとめており、これらの結果は年報等により公表されている(図3.9 潮位観測施設の位置図)。
また、国際的には、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)が、品質の高い海面ネットワークを確立し、気象、海象、沿岸海面研究に役立てる目的で「GLOSS(Global
Sea Level Observation System)」を組織し、全球的な観測データの収集や提供が行われている(図3.10 GLOSSプログラムによる観測ネットワーク)。 |