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5.海面上昇に対応した総合的な取り組みの展開
 
(1)海面上昇への戦略的なシステムの構築
 前述のように、地球温暖化による海面上昇は、現在予測される上昇量に幅があるものの、海面の上昇そのものは確実に進行しており、この海面上昇による影響は国民の生命から生活にいたるまで今後甚大なものとなってくると考えられる。このような特性を有する海面上昇に対応するためには、対策の必要性について国民の認知を得ながら、長期的・広域的な視野に立ち、状況に応じて適切に対応できるような戦略的なシステムを構築することが重要である。即ち、継続的な観測・監視を実施し、そのデータを海面上昇予測や影響把握に反映させ、得られた結果をもとに、適宜対応策を策定・変更し、国民の合意のもとで、各種施策に反映させていくような仕組みを考えていく必要がある。
 また、各地域、関係機関は、国土づくりの展望を見据えた総合的な沿岸域の保全の中で地球温暖化による海面上昇を捉え、連携しながら対策に取り組んでいくことが重要である。(図5.1 戦略的なシステムフロー図)
 
(2)国民の認識向上と合意形成
 現在は、地球温暖化による海面上昇が我々の生活に直接影響を及ぼしてはいないため、国民の認識は必ずしも高くない。しかしながら、海面上昇は将来確実に進行する現象であり、かつその影響が甚大であることを踏まえると、今後の対応策を講じる上でも、その影響の甚大さとこれに対する施策の必要性について国民の認識を高め、十分な合意を得ることが重要である。そのためには、地球温暖化に関する情報を集約し、それを国民へ情報発信していくような仕組み作りが必要となってくる。
 
(3)適切な対応策を実施するための海面上昇の継続的・定量的な把握及び予測
 影響を的確に把握し、効果的な対応策を講じるためには、現状把握や、高精度な上昇予測の前提となる海面水位の観測・監視について、現段階から継続的に取り組むことが重要である。とくに、予測計算等への技術的な検討を行うためには、地球温暖化の影響のみによる海面上昇を把握する必要がある。
 
1)潮位の観測値に含まれる種々の要因
 海面水位は、通常各地域に設置されている潮位観測施設において計測しているが、計測された結果には、地球温暖化による海面上昇量のほか、潮位観測施設の設置箇所自体の地盤変動、海流や大気圧など、様々な要因による水位の変動が含まれており、地球温暖化の影響のみによる海面の上昇量を正確に把握するためには、これらの要因による変動分を取り除く必要がある。このなかには、変動が十数年以内の短周期であるものや、長期間に及ぶものがあり、このうち地盤変動は、相対的な海面上昇に、長期的に、かつ大きく影響してくると考えられることから、この影響を取り除く必要がある(表5.1 潮位観測施設で得られるデータに含まれる要因の例)



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